榎田尤利さんのレビュー一覧

寡黙な華 小説

榎田尤利  雪舟薫 

愛情は、見えない花のようなもの

同じ花が、想う人の心に咲いてくれるとは限らない。もし咲いていても、見えない。

ということで、華族物。

お話の全てのイメージが「百合の花」に象徴されていく展開が素晴らしい。
蕾の百合だった千早が、邦彦の執着と激情に翻弄されて、そして開花する。
ありがちな幼なじみ執着物の王道のようでいて、「百合の花」を核に、すっきりと揺るぎなく展開する物語。
お話のほとんどは攻め視点。
それは攻め…

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ゆっくり走ろう 小説

榎田尤利  やまかみ梨由 

藤井沢商店街

帯『車という名の密室で大人の恋は暴走する。』

他の藤井沢商店街シリーズを読んでいて、そいえば第一作ってどれだっけ?と記憶の扉を探しつつ引っ張り出して再読。
既に何冊か藤井沢商店街シリーズを読んでからの再読なので、商店街の描写がより楽しく読めました。
あ、藤井沢商店街シリーズはシリーズといっても同じ商店街が舞台になっているという事で作品としてはそれぞれ単独で楽しめます。

本社から営業…

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魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

同情が同調に変わる

他人の不幸を聞いているうちに、それに同調してしまう。
私も人の悩みを聞いているうちに自分も落ち込んでいたという経験があるので、すごくこの魚住のかつてのカウンセラーの気持ちがわかりました。

でももともとこのカウンセラーの男の境遇に問題があったため、魚住の過去話を聞いて闇が増長し、勝手に自殺に至ったわけですので、魚住のせいではもちろんありません。
でもカウンセラーの弟から見れば「こいつに会わ…

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愛とは言えない(2) 小説

榎田尤利  町屋はとこ 

ゆっくりと恋をする二人

前巻より二人の気持ちは近くなっているというか、サガンが少しずつ橘高に対しての気持ちに気付いていく感じです。
サガンの心の重しが取れた部分から始まります、今回は橘高の心に重しが乗っかる番でした・・
淳平と英も二人に絡んできて、橘高・サガンそれぞれの想いが変化していくのがゆっくりと描かれています。
良いスパイスになってる感じですねw(淳&英)

やきのりちゃんと呼ぶサガン、カレー作ったのがバ…

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largo(ラルゴ) 小説

榎田尤利  依田沙江美 

主人公の強さと弱さ

音大に通う設楽六実は、同じ科の桜田凜のことが嫌いだ。
必要以上に懐いてくるところも、人に「タラちゃん」なんて変なあだ名を付けるところも、音大生らしからぬ恵まれた体格も、きらきらしたピアノの才能も全部。
大嫌いなのに、惹かれてしまう。
凜に好かれているのをいいことに、自分のためにピアノを弾くことを要求した六実。
それに対して凜は報酬としてキスを求めてきて……

音大生もの。
プライドの…

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魚住くんシリーズ(1) 夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

とっくに好きなのに、気付かない

不幸にあいすぎて感情が麻痺してしまった魚住くんは、とっくに久留米を好きになっているのに気付かない。
家族だった犬が亡くなって、それを片づけてもらった後も久留米の家に居続ける。
久留米の住処はクーラーもない、狭いアパート。
魚住は久留米に言われて料理の練習まで始める。
なぜそこまで久留米のそばにいるのか、久留米は理解できない。
当の魚住もわかっていないので、当然久留米にはわかりっこないのだ…

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Chara BIRTHDAY FAIR2008 創刊11周年記念 グッズ

松岡なつき FLESH&BLOOD 手紙

とうに夜半をすぎ、うっすら空が白みかけてる中、ナイジェルは1通の手紙を書いていた。
出すことのできない手紙を。

親愛なるカイトへ・・・。

カイトにとっては重荷になってしまうであろう手紙を書くのには、素直に感情を伝えるのはいいが、感情的になってはいけない。
言いたいことを全部書けたように思えても、やはり何か足りないように思えて 不安に苛まれる。

初めてあった時に戻ってやり直した…

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猫はいつでも甘やかされる 小説

榎田尤利  紺野けい子 

猫、かわいい

金髪の美しい猫を、拾って手なずけるお話。

この、金髪美人猫と呼ばれているシュウが、実にわかりやすくかわいいツンデレさん。
ある事件をきっかけに、アメリカから父の国・日本へと逃げてきて、だれに対しても、背中の毛を逆立てて、緊張している状態。
そんなシュウに、春は高校の特別授業の講師同士という立場で出会います。
ある日、春は新宿二丁目の路地裏で、泥酔して、襲われそうになっていたシュウを見つ…

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愛とは言えない(1) 小説

榎田尤利  町屋はとこ 

じれったいぃ♪

サガン先生の素直じゃないところが素敵です。
ツレな過ぎですが、じわりじわりとほだされていく感じがいいですね。

というかサガンは橘高に頼っている時点で深層心理的にはごにょごにょ・・・先生、人の心は読めても自分の深層心理には気づけないんですね(笑)
シリーズなので長期戦でしょうが、がんばれ橘高!(笑)

めぞん一刻とか、ああいうじれったい感じが好きな人なら読んで下さい。
逆にじれったい…

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恋とは呼べない (1) コミック

榎田尤利  町屋はとこ 

ボリューミー

帯『恋愛が楽しいなんて…誰が言った?』
 『恋は、堕落だ』

単行本派なので、榎田さんと町屋さんのコラボがどーなるんだろと読むまで想像つかなかったんですがぴたっとハマってましたね。
英が、冬の夜に男と猫を拾う、冒頭シーンはありがちといえばありがちな始まり方ですが、そこからの展開は丁寧でどんどん世界がまとまり、そして広がって行く。
淳平の口元や目の表情が彼の性格を表している様でいいですね、…

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