尾上与一さんのレビュー一覧

碧のかたみ 小説

尾上与一   

美しいお話でした。

BLという言葉で片付けたくはない。
作中で何度も出てくる言葉
『ペア』というものがとても大切で愛おしいものに聞こえます。

ただ好き好き言い合って、体を重ねて…
というモノではない。
唯一無二の存在、深い深い絆、とても気持ちのいい読後感でした。

前作では作者様の腕は認めるものの、話の筋的に微妙でしたが、
今回は読んでよかったと思わされました。

8

天球儀の海 小説

尾上与一   

BLとしてなら、良い。

簡単に言ってしまうと
BLとして、戦争関係なくまっさらなファンタジーとして読むならありだと思います。

静かだけれど激しいお互いの想い――
出征に向けての駆け足の展開には咽び泣きました。

けれど、BLとして読んだとしてもラストには気持ちよく頷けませんでした。
安易に、良かったねー、とは言えない。
べつに悲恋ものが好きなわけでも死ネタ、死に別れが好きなわけでもないです。
むしろそ…

14

『碧のかたみ』書き下ろしショートストーリーペーパー「友人、厚谷六朗についての考察」 グッズ

魅力的な脇役視点の、基地の日常の一こま

書店限定特典のペーパー。

本編の中で淡々としたすごくいい感じの脇役だった、整備員の秋山視点の話。
「友人、厚谷六朗についての考察」

相も変わらず喧嘩ばかりしている恒と、今日もまた必死に止める六郎。
夾竹桃の向こうで繰り広げられるお馴染みの騒ぎを眺めながら、
そんな六郎について秋山が思いめぐらせていると……

誰でも手に入るものじゃないだけに、読んでも読まなくても別に支障はない…

4

「碧のかたみ」出版社初回特典ペーパー グッズ

雲を越えて、ラララ、星の彼方♪

表面はSS『天の川の話』。
常夏のラバウルだが、今日は七夕。
残念ながらの雨を眺めながら、織り姫と彦星を案じる六郎。
常識的な六郎が知っているロマンチックなエピソードに、
理科の観察のような意見を滔々と述べる恒。

恒らしい実に面白い視点なのだけれど、
情緒のない話のように見えて、実は誰より愛らしい。

愛するもの達の逢瀬を邪魔する雲は、
それをも越えてしまう飛行機乗り達には関…

4

碧のかたみ 小説

尾上与一   

鮮やかな碧い季節 〜そして尾上先生再評価〜

「天球儀の海」の主人公だった希の兄、ラバウルの5連星、恒と、
共に夜間戦闘機「月光」に乗り組むペア六郎の物語。

前作は、素晴らしいところと納得できないところが両方ある作品だった。
この作品は、ずっとまとまりがよくて破綻を感じずに最後まで読み切ることができ
今まで読んだ尾上作品の中では一番好きだし、個人的には再評価です。


読み始める前に知っていたのは、希の兄恒が南方戦線の英雄の…

19

碧のかたみ 小説

尾上与一   

自分にとっても一番(!)の作品となりました

この感動をどうあらわせばよいのか、うまい言葉が見つかりません。
ただもう、後半は涙が止まらず(悲しい涙ではなく、二人のつながりに胸をしめつけられる涙)、読後に他の本を読む気力も興味もすっかり失うくらい、この本に溺れてしまいました。

二人の生きた時代や戦闘の描写だけでなく、南洋戦線下におかれた当時の若者たちが、内地に残る大切な人たちをを守るために、どんな生活をしながらどんな気持ちで日々を生き…

22

碧のかたみ 小説

尾上与一   

好きな物は、ビール。嫌いなモノは戦争!メソポタミア人マンボウです。

戦時ものは、大嫌い!なので、前作(天球儀の海)は、パスしました。
chillchillレビューを読んで購入。いや~~!これ、BL枠でいいの?!ってぐらいハマりました!
戦時もの嫌いと言いながら「大空のサムライ」坂井中尉とか、「零戦撃墜王」岩本徹三氏、バロン西とか、(美しい心)を冠されたロブサンサンボー、「慟哭のキャタピラー」の現場の人々、松本零士先生の「成層圏の蛍」…絵画で言えば、香月先生のシ…

4

碧のかたみ 小説

尾上与一   

大好きなお話です

『天球儀の海』のスピンオフです。
前作で、恒の戦死の知らせが届いていたので、覚悟して発売を待っていました。

まず、表紙が発表になったとき、見た瞬間に魅了されました。
恒と六郎の笑顔が本当に素敵で、素敵な分、二人の行く末が心配で心配で。

でも、こんなに素晴らしい笑顔の二人のお話なら、たとえ何が起きても
二人が幸せな時間を精一杯、生きたことは間違いないと確信しました。

そして、…

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二月病 小説

尾上与一  黒沢要 

余韻を引きずらせる物語。

不思議な余韻を残す物語だった。
世界観を2、3日引きずった。

ストーリーは簡単に説明できてしまうのだけれど、
そこに至るまでの心理描写が、
物凄く読者の心を揺さぶる類の小説だと思う。
文章自体はとても淡々としている。
1センテンスもそう長くはない。
でもリズミカルという印象とは違い、
やはり「淡々と」しているという
イメージが近い気がする。
崩れず、どちらかというと硬い。

7

碧のかたみ 小説

尾上与一   

自分にとっての1番

既刊『天球儀の海』に続く戦争を背景にした命の儚さ、
人の弱さを否応無く感じさせる作品でした。

『天球儀の海』の受けの琴平希の兄が優秀な操縦士として出てくるスピンオフ
更に番外編のように『天球儀の海』の二人の話も収録されていて、
今回の作品と是非セットで読んで欲しいと思える作品になっていました。
個人的には戦争ものは実は苦手、尊い命が呆気なく散っていく話は
BLに限らず映画でも文学小…

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