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尾上与一 牧
千寂
『天球儀の海』スピンオフです。そちらの主人公・希の兄である恒(酒のラベル送ってきた五連星の兄ちゃん)の話。 舞台が太平洋戦争も佳境に至って以降の最前線・ラバウルである以上、”死”は前作より更に近く、常に懐に抱え込んでいるようなもの。その”死”に磨り減らされた…磨かれた人の心、物語のどこまでも美しい純粋さが哀しくて、胸が引き絞られました。 美化し過ぎだと笑うことすら出来ません。存分に、敬虔に…
尾上与一 コウキ。
snowblack
「天球儀の海」「二月病」に続いて3冊目の尾上作品。 個人的には3作の中では一番好きだったと思う。 シリアスなんだけれど、ちょっとコミカルな匂いがするのが他二作との違いか。 元ヤクザ・漆真下(うるまっか)幸久×僧侶・東恋慈 (*余談ながら、この漆真下という名字、岩手の方に多い名字で地名でもあるようです。 ただし、読み方はウルシマッカとなっていましたが。) 状況に流され、ついには…
尾上与一 黒沢要
airi
ネタバレ
文章力、表現力は素晴らしいです。途中までは、これ、何かの文学賞受賞作でもおかしくないと思いながら読んでいました。 でも、ごめんなさい。主役二人の設定が受け付けませんでした。 攻め上げ受け下げが、ちょっとあからさますぎじゃないかと…。 攻めは、成績優秀スポーツ万能イケメンでモテモテ。対する受けは、成績が悪く、何の取り柄もない平凡な人物。 そんな素晴らしい攻めが、輝かしい未来も何もかも捨てて受…
親友だった。 一番大切な友達で、就職して結婚して子どもが生まれても、ずっと変わらず親友でいるはずだった。 サスペンス仕立ての作者のデビュー作。 カッコ良くて人気者で何でも持っている千夏(せんか)の口癖は、「幸せになりたい」。 1998年、高校卒業を控えた二月のある日、 幸せに気がつかない程傲慢に幸せだった彼の平穏な日々は 突然に巻き込まれた事件によって、劇的な転換を余儀なくされる。…
木原梨乃
お好きな方には申し訳ない評価ですが、正直な感想です。 もちろん人の感じ方はそれぞれ。誰かの意見を否定する類のレビューではありません。 何の他意もない、至極個人的な意見です。 この作品を読んで思ったのは、なんぼーBLって言うても間違った日本の戦争の描き方をしちゃ駄目でしょうということ。 私は別に右翼とかじゃないけど、自分の国の確かにあった悲惨な時代のことを、 こんなふうに別次元に描くの…
Krovopizza
恐ろしくネガティブで自虐的な受けに、ほぼ寺の中と周辺で進行するストーリー展開。 良く言えば繊細、悪く言えば閉鎖的で気詰まりな世界観で 随所に「赤」のモチーフが登場するにも関わらず作品のテーマカラーは中間色のような、 ぼんやりした印象がぬぐえない作品だと個人的に感じました。 この陰鬱な空気感の中にあるそこはかとない可笑しみは 文学的とも言えるし、ほのぼの/コメディ系のカテゴリにも分類で…
1998年、香川県で起きた鉄塔倒壊事件。あの事件の裏にこんなドラマがあったら…という仮定のもと描かれるミステリー仕立てのお話で、かなり読ませます。 私の二月は、三日足りない…という台詞が意味深な2013年の冒頭。 そこから始まる15年前の物語。 家族の死とともに姿をくらました少年と、 鉄塔からボルトを抜き取り、黙々とある場所へ運ぶ少年。 ある事件に巻き込まれた二人の運命と、互いを救い…
なぺっぺ
新書二段………開いた瞬間に掻き立てられました。 あ、これは、やられるなと。もちろん不確かな直感ですが。 まさかこんなに重い話だとは思ってませんでした。BLを読んでいることすら忘れそうになるくらい作品に引き込まれました。 登場人物の感情が苦しいほどにわかりやすく描かれているし、若田のキャラクターもいい。死を間近にして事件に巻き込まれながら愛情が恋情に近しいものだと気づく千夏。ずっと…
わたしが読みたかったものをカタチにしてくれた、というような素晴らしい一冊でした。 いやはや……読んだ後の余韻………こんな体験をしたのは初めてです。 素晴らしいです。素晴らしい。 年齢差。初恋。健気受け。執着攻め。時代背景。シチュエーション。文。 尾上先生の作品は初めて読みました。 完全に心奪われました。完全にです。天球儀の海、ただのBLなんて言っていいものじゃありません。まさに名…
galoo
尾上与一さん、初読みです。 第2次世界大戦が舞台のBLは初めてです。 とても綺麗な純文学のような文章を書かれる作家さんでした。 希は幼い頃に命を救ってもらい、憧れた資紀の身代わりとして特攻に行く事を決めます。 卑屈な気持ちは全くなく、むしろその使命を誇りに思って。 ここら辺からもう切なくて悲しくて本を読んでいる間、始終泣けました。 しかし、5歳の時に会ったきりで、やっと再…