尾上与一さんのレビュー一覧

天球儀の海 小説

尾上与一   

納得の結末(ネタバレ)




読んだのがかなり前で、その時は「この結末は惜しいんじゃないか」と思っていました。

尾上先生も、本当は悲恋の物語にしたかったのではないかと失礼極まりないことまで考えていました。

私が未熟でした。

これぞBLです。

BLの名作です。



1

碧のかたみ 小説

尾上与一   

前作までネタバレのレビューです。




とても面白いけど、悲劇的な最後にしなかったのは勿体なかったんじゃないかな、と思い、前作と合わせ、ずっと評価を迷っていましたが、先日ハッピーエンドではない本を読んで、これは「神」で良いんだと納得しました。

有名なBL小説家の先生が、BLの基本はハッピーエンドです、とインタビューに答えていらっしゃったのは、実は大層奥深い意味のあることだったのだと思います。

二人を死に別れさせな…

16

碧のかたみ 小説

尾上与一   

鮮やかな碧の世界の中で

前作「天球儀の海」で登場した希の兄の恒と、彼とともに「夜間戦闘機・月光」でペアを組む六郎の物語です。

初めのうちこそ六郎の想いにとまどいを見せていた恒ですが、彼の気持ちを受けとめると決めてからの男前な様子が微笑ましくて。恒の少年のような無邪気な部分と、一度ペアと決めた相手をまっすぐに想う強い意志が渾然一体となって不思議な魅力を放ち、六郎が惹かれるのも当然かと。

ラスト手前まで資紀の心が…

15

碧のかたみ 小説

尾上与一   

ペアという絆

複座戦闘機でのペアという日常とはかけ離れた状況。
その中でお互い相手を信頼していき、それがいつのまにか愛情に変わっていく。
命をかけた戦闘の中で育まれる愛だからこその強くて固い絆。
この二人が離れることなんて考えられないと思った。

恒を強く愛している六郎のけなげさに胸がしめつけられました。
何度も死にかける恒を助ける六郎が不憫で不憫で・・・。
好きな人が目の前で弱っていったり、苦し…

10

碧のかたみ 小説

尾上与一   

美しいお話でした。

BLという言葉で片付けたくはない。
作中で何度も出てくる言葉
『ペア』というものがとても大切で愛おしいものに聞こえます。

ただ好き好き言い合って、体を重ねて…
というモノではない。
唯一無二の存在、深い深い絆、とても気持ちのいい読後感でした。

前作では作者様の腕は認めるものの、話の筋的に微妙でしたが、
今回は読んでよかったと思わされました。

8

天球儀の海 小説

尾上与一   

BLとしてなら、良い。

簡単に言ってしまうと
BLとして、戦争関係なくまっさらなファンタジーとして読むならありだと思います。

静かだけれど激しいお互いの想い――
出征に向けての駆け足の展開には咽び泣きました。

けれど、BLとして読んだとしてもラストには気持ちよく頷けませんでした。
安易に、良かったねー、とは言えない。
べつに悲恋ものが好きなわけでも死ネタ、死に別れが好きなわけでもないです。
むしろそ…

13

『碧のかたみ』書き下ろしショートストーリーペーパー「友人、厚谷六朗についての考察」 グッズ

魅力的な脇役視点の、基地の日常の一こま

書店限定特典のペーパー。

本編の中で淡々としたすごくいい感じの脇役だった、整備員の秋山視点の話。
「友人、厚谷六朗についての考察」

相も変わらず喧嘩ばかりしている恒と、今日もまた必死に止める六郎。
夾竹桃の向こうで繰り広げられるお馴染みの騒ぎを眺めながら、
そんな六郎について秋山が思いめぐらせていると……

誰でも手に入るものじゃないだけに、読んでも読まなくても別に支障はない…

4

「碧のかたみ」出版社初回特典ペーパー グッズ

雲を越えて、ラララ、星の彼方♪

表面はSS『天の川の話』。
常夏のラバウルだが、今日は七夕。
残念ながらの雨を眺めながら、織り姫と彦星を案じる六郎。
常識的な六郎が知っているロマンチックなエピソードに、
理科の観察のような意見を滔々と述べる恒。

恒らしい実に面白い視点なのだけれど、
情緒のない話のように見えて、実は誰より愛らしい。

愛するもの達の逢瀬を邪魔する雲は、
それをも越えてしまう飛行機乗り達には関…

4

碧のかたみ 小説

尾上与一   

鮮やかな碧い季節 〜そして尾上先生再評価〜

「天球儀の海」の主人公だった希の兄、ラバウルの5連星、恒と、
共に夜間戦闘機「月光」に乗り組むペア六郎の物語。

前作は、素晴らしいところと納得できないところが両方ある作品だった。
この作品は、ずっとまとまりがよくて破綻を感じずに最後まで読み切ることができ
今まで読んだ尾上作品の中では一番好きだし、個人的には再評価です。


読み始める前に知っていたのは、希の兄恒が南方戦線の英雄の…

19

碧のかたみ 小説

尾上与一   

自分にとっても一番(!)の作品となりました

この感動をどうあらわせばよいのか、うまい言葉が見つかりません。
ただもう、後半は涙が止まらず(悲しい涙ではなく、二人のつながりに胸をしめつけられる涙)、読後に他の本を読む気力も興味もすっかり失うくらい、この本に溺れてしまいました。

二人の生きた時代や戦闘の描写だけでなく、南洋戦線下におかれた当時の若者たちが、内地に残る大切な人たちをを守るために、どんな生活をしながらどんな気持ちで日々を生き…

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