梨とりこさんのレビュー一覧

「青、八号キャンバス」ショコラ文庫「彼は死者の声を聞く」特製ペーパー グッズ

ふっと何かが溶けるような・・・

普通おまけのSSって用紙片面分が普通ですが、縮小したとしてもびっしり両面分に値する4Pは、とても価値観のあるペーパーだと思います(佐田さん!太っ腹)
そして内容のほうも、ちょっとした後日の甘甘、、、
という軽いモノではなくて、本編の余韻をそのまま持ち込んで甘いけれどその中に緊張感が走るような、そんな本編の終わりに付いていても良いようなSSが仕上がっていました。

お話はもちろん本編後。

2

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

人間は弱いよね。

この作品は好き嫌いがはっきり分かれる作品ではないかと個人的には感じます。
痛い、辛い、苦しい、怖い、様々な負の感情がこの1冊に凝縮されている。
ラストに行くまでのどうだと言わんばかりの感情が溢れ出るような作品で、
軽めで心が浮き立つような作品を好まれる方にはちょっと辛いのではなかろうか?

そして私も後者の部類に入る典型だから、作品自体は凄いなと思っていても
この作品に心を揺さぶられる…

9

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

ホラーなのにリアルが迫ってくる

BLにして京極夏彦の文庫並みの分厚さ!
読むのに苦労するのではないかと一瞬不安に思うも、それは杞憂でありあっという間に読み終えていました。
そのくらい吸引力のあるお話です。
もう最初から、硝子を爪でひっかいた音を聞かされているような、ヤスリで身体を削られているような、そんな痛みを感じながら、もう堪忍してー!許してー!とこちらが叫び出したくなるような苦しみを感じます。
しかも、その苦しみが歪…

5

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

ホラーを切り口にした人間ドラマ

初・佐田先生。ホラー設定に興味を惹かれて買ってみました。

霊が襲ってくるような直接的なホラー展開はなかったですが、次第に過去が明らかになる謎解きのような面白さに引き込まれ、一気読みできました。
あくまでホラー設定を切り口に、死を身近に感じながらも生きていく残された人々にフォーカスした人間ドラマという印象です。

とは言え、現代社会や人間の愛憎がリアルに描かれていて、そこにある意味モダン…

10

月に笑う 上 小説

木原音瀬  梨とりこ 

上下まとめての感想です

木原さんの作品なのに、これは痛くない!
そう思ってしまう私は立派な木原ジャンキーかもしれません。
辛いだけのお話ではなく、くすっと笑えたりほっこりする箇所もある。
そういった意味では、「こどもの瞳」「薔薇色の人生」なんかとひと括りにしたいなと。

中2の路彦は、同級生から夜の公園で激しい暴行を受けているところを、4つ年上のチンピラの信二に助けられる。
そんな出会いから10年間にわたる二…

9

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

愛と憎悪と嫉妬と執着

え。文庫で950円?それもそのはず。
手に取ってびっくりずっしりの約450ページの大ボリューム。
そして内容は、愛と憎悪と嫉妬と執着うずまく、まさに佐田節大炸裂の昼メロも真っ青なドロドロの愛憎劇。

知的障害の双子の姉の死。10年経った今も鏡を見ると常に死んだはずの姉が映り込む。
罪悪感にもがき続ける斎木に、避け続けていた因縁ある幼馴染・神成との再会と脅迫…
そこに職場の人間関係のゴタ…

17

渇仰 小説

宮緒葵  梨とりこ 

犬だ

確かに、犬すぎるくらい犬。

狂犬攻め?

私的には、これで、宮緒葵=ホラー作家、認定?

いくらなんでも、この、達幸の執着と犬願望は怖すぎるし。
明良に対してのセックスも、がっつきすぎ。
明良ってよほど丈夫なのかしらって、心配になる。

達幸の生い立ちだの、明良の成長につれての達幸や両親に対する葛藤だの、達幸の役者としての輝きだのと、ストーリー自体は盛りだくさんでもちゃんとま…

3

神の囲い人 小説

沙野風結子  梨とりこ 

スピンオフ作るか3巻ぐらいに分けてぇ~!

沙野センセイの6Pとあらば、これは買わずにはいられません!!!!
しかもファンタジー系じゃないか!うぉー!なんというツボ!

厳密に言うと、6Pではございません。とはいえなかなか面白い。
ハードボイルドが多い沙野作品にしては珍しいアマアマ展開。
1冊じゃなくてやっぱり3冊に分けてシリーズ化してほしいですね~。
カップルが3つ出てくるんですが、それぞれ魅力ありますから。

カップルそ…

10

渇仰 小説

宮緒葵  梨とりこ 

強い憎しみから愛へと変えてしまう迫真の演技!

明良以外には何もかもが無意味で執着し続け、
明良と二人で暮らせるように稼げる為ならと
身一つで俳優の道へ進んだ達幸。
そんなうまいこと売れるもんかな、とか
明良を優先させるのを了承する事務所って
やっぱり無理があるんじゃないかなーとか
気になるところはありましたが、
やはり一途というか怨念に近い想いは凄かったです!

明良が褒めてくれたから他人には見せたくないと
わざわざ青い瞳…

1

追憶の庭 小説

栗城偲  梨とりこ 

せつない恋の向こう側。

出会いはある意味、偶然。
祖父の同居人・閑野と絶縁状態になっていた孫・大和。
接点がなかったはずの2人が絵を生業としていた祖父を通して近づいていく。
それでも、最初は同じ空間にいるだけの接点のない他人のような。
それが少しずつ気持ちがめぐりめぐって。

せつない片恋が静かに漂っているようなお話でした。
祖父に叶わぬ想いを抱く閑野。
その祖父が秘めている閑野の祖父への深い深い想い。

4
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