梨とりこさんのレビュー一覧

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

重厚感ハンパないけど、サクサク読めます

こんなに分厚い本でこのタイトルなので、読むのに覚悟がいるかと思いきや、あっという間に読めてしまいます。
佐田先生の作品にでてくる人間はヘンにいい子いい子してなくて、愛、嫉妬、憎しみ、執着など生々しい感情を持った等身大のキャラが多い。そしてそれをリアルに感じ取れる佐田先生の文章。
今回の主人公•斎木も、嫉妬、羨望、憎しみ、自己保身、後悔、そして愛情、さまざまな感情にとらわれています。

幼い…

2

ファンタスマゴリアの夜 小説

砂原糖子  梨とりこ 

光と影が紡ぐ物語

砂原糖子さんは気になる作家さんのお一人だったのですが、
数ある作品から今作を選ぶにあたって
”ファンタスマゴリア”という耳馴染みのないタイトルと
挿絵が梨とりこさんだったことが決め手となりました。

小さな街金の社長束井艶と、バーテンダー永見嘉博の
切なくもスリリングな展開を含ませる同級生・再会もの。
幼少期のふたりの出会い、青春期のすれ違い、
大人のなってからの再会とすれ違いの果…

8

渇命 小説

宮緒葵  梨とりこ 

超執着攻

受に話しかけるだけで、殺意を持ってしまう攻。執着攻は好きだけど、ここまで凄いと引いちゃいました。でも受に話しかけるのが女性だったらいいって、、、受がゲイならわかるけど、ノンケなのに本来だったら受に寄ってくる状況にも敵意を見せてもいいのに、それは別にいいの?って不思議でした。

ストーリー的にはエロエロなんだけど、なんだか濡れ場がエロく感じませんでした。なんて言ったらいいのかわからないけど、とに…

1

アカノイト 小説

朝丘戻  梨とりこ 

草木には水

朝丘先生の作品を読んでいるといつも、いつ、どんな破局が訪れるのかと、最後までハラハラししてしまう。
実のところは、たとえ一時遠回りしたとしても、ちゃんとハッピーエンドになるのだけれど。
この作品でも、犀賀が自分の人生に常に諦観を持っていて、有理の事もずっといつか失われる物として見て「あのときが幸せだった」とか言うし、有理の恋心も「目の見えていない今だけの思いこみ」で押しやろうとするしで、この先…

6

アカノイト 小説

朝丘戻  梨とりこ 

あなたへと繋がる糸

赤い糸はひとつじゃない。
誰かを支えるための糸、支えてもらうための糸、
共鳴し、共存するための糸...
手の指にはたくさんの糸が繋がり巡っている。
でも、左手の小指だけは特別。
愛し合うための運命の赤い糸がただひとつ、
それはあなたへと繋がっているはず―

純潔の吸血種・犀賀と、人間とのハーフの吸血種・有理、
ファンタジックな設定に重ねられたのは
あまりにも重く哀しいそれぞれの…

4

彼は死者の声を聞く 小説

佐田三季  梨とりこ 

秀逸な作品

こんなに面白い作品を久々に読みました。
読後に、「ようやく読み切った…!でももっと読みたい!!」とそわそわするこの感じ。『箱の中』の時以来でしょうか。

幽霊が見える、という受けの設定を事前に聞いた時は、ちょっとファンタジー色が強いのかと思いましたが、そんなことは一切ありませんでした。
むしろ、こんなに現実味のある、リアルな人間社会を描いた作品は少ないのではないでしょうか。
人間は、例え…

7

アカノイト 小説

朝丘戻  梨とりこ 

ファンタジー設定でありながらリアリティにあふれた作品でした

「Heaven's Rain 天国の雨 Limited Edition」が非常に良かったので作家買いしてみました。今回もすごく良かった。内容はすでに書いてくださっているので感想を。

「Heaven's Rain~」の時も思ったのですが、この作家さんは設定がすごく特殊というか。今回も食事の代わりに人の血液を飲む「吸血種」が主人公です。ファンタジーな設定なのにふわふわしたスト…

10

アカノイト 小説

朝丘戻  梨とりこ 

同性愛への背徳感

初読み作家さんです。
あらすじを読んで、興味がわきました。

あらすじと表紙で、儚く悲しい物語なのかな…と
予想しながら、読み始めました。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

吸血鬼と人間のハーフである大学生の有理(受け)。
20歳を超えたら、人間の血を飲まなければ生きてはいけないのに、
長期間血を拒否し続けたせいで、視力を失っていました。

そんな有理に血を届ける役となっ…

9

アカノイト 小説

朝丘戻  梨とりこ 

盲目の小バナナ吸血鬼

”主人公は吸血鬼と人間のハーフ”、”人間の血を飲まないと死んでしまう”というファンタジー設定でありながら、
人としての、吸血鬼としての、非常にリアリティのある日常風景が丁寧に丁寧に描かれていきます。
そのため、するりするりと世界観に入り込み一気に読むことができました。
タイトルの『アカノイト』もよく言うロマンチックな”運命の赤い糸”に絡めて、吸血鬼ならではの意味もあって、読了後しっくりきまし…

15

ファンタスマゴリアの夜 小説

砂原糖子  梨とりこ 

走馬灯が二人を照らしたら。

初読み作家さんです。
砂原糖子さんは、他の作品の表紙等を見る限り、
「明るい作風の作品を書かれる方なのかな」
なんて、先入観を持っておりました。

ところが、その先入観はこの作品で完全に打ち砕かれました。

ファンタスマゴリア(走馬灯)って美しい響きですよね。

今回の話は物語の奥行きが深くて…、
ちょっと陰鬱としているけど、芯はしっかりと通っていて…
そんな作品でした。

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