一穂ミチさんのレビュー一覧

Don't touch me 小説

一穂ミチ  高久尚子 

一穂さんのすごいところ

「今日は疲れているし、さらっと読めるのがいいな」
「今日のテンションから、シリアス目なの読みたいな」
と、本を前にして、何を読むかを考えると思います。
で、さらっと陽気な物語を読みたいときに、
ガツンと重々しいシリアスを読み始めてしまったことに気づくと、
その物語にあまりいい印象を持てなかったり、
途中で断念して、またシリアスを読みたいときまで、読むのをとっておく
ことがあります。

5

2012 Winter 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

何もかも手は届かないけど、怖いばかりじゃないと、知る時

久しぶりでしたという感じの、『藍より甘く』の短い番外編。
タイトルは「ゆうぐれなき」、夕暮れ泣き。

偶然街中で、かつて暁行の彼女だた真希と出会った遥。
この偶然がもし、自分とではなく暁行との間に起こっていたら…

  …世界が、決して自分の手の届かないところで回っていると知った
  とりとめのない焦燥や不安で、夕暮れに泣きたい気持ち、怖さ…

そんな思いが溢れて、やってきた暁行…

1

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

人の幸は、人の不幸でもある

「何と綺麗なタイトルなのだろう」と、随分前に思った記憶がある。
こちらの小説を読むと、北原白秋の作品の一部分だと知った私は、自身の無知加減に呆れると共に知れた喜びも感じた訳で。

切なく儚く、キラキラとしていながらどの登場人物もどこか影を感じる。
人生で二度受験に失敗した高校1年の志緒と、担任でどこかへらっとしているように見える桂のお話。
正直、両方ノンケ同士の話にはいつも無理矢理感が否…

12

Ninna Nanna 小説

一穂ミチ 

それぞれが口ずさむ子守唄

『off you go』番外編。

クリスマスイブの夜、おひとり様を楽しんでいた良時のところへ
酔っぱらってやってくる佐伯さん。
彼が抱えて来たのは、大きなしろくまの縫いぐるみ。
プレゼントだっていうならいざしらず、連れてきたそのいきさつに怒った良時、
いつもいつも好き勝手はさせないぞ!と厳しい態度に出るが…
そこから始まる、彼ら流の(笑)あまーい夜。
え?どうしてそうなる?と思っ…

5

さみしさのレシピ 小説

一穂ミチ  北上れん 

言葉とふたつの欲

私にとって、初・一穂ミチさん。
数か月前、北上れんさんを好きになった時にたまたま手に取ったこちらの作品。
そもそも一穂ミチさんを存じ上げずに購入していた自分は、すぐ読む訳でもなく、ずっと本棚に寝かせてありました。

月並みな言葉しか発せない自分のボキャブラリーの無さに落胆しますが、それでも言いたい。

……何で今までほったらかしにして読んで居なかったの!早く読んでおけばよかった!

6

Saturday night paralysis 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

志緒くんが大人になるとき

本日は成人の日。東京地方は、この作中同様の雪模様…
ということで、レビューしてみたいと思います。
『林檎』番外編、志緒くんの成人式の日のエピソードです。

            :

腕枕をして共に眠った翌朝、桂は右手が痺れて動かなくなってしまう。
そんな状態の桂だが、志緒に世話をやかれるのを嫌がっている。

彼らは、教師と生徒として出会った。
50年経ったら大した差じゃなく…

4

Overtour 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

Over and over

明光新聞社シリーズ、is in you&off you goの番外編。

最初に序曲『Overture』、香港で出逢った時代の佐伯と一束。

表題作の『Overtour』は、出張で東京にきた一束が、佐伯と再会し静兄妹と出会う話。
相変わらず十和子はものすごく魅力的。
何故突然のように十和子は離婚を申し出たのか、
「身体は分けられないから」と語る彼女は、潔くて美しく切ない。

彼ら…

4

ちょうちょ結び 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

ときめいて ほどきし紐を ちょうちょ結びに 

『雪よ林檎の香のごとく』番外編。

作者にとってのデビュー作である通称『林檎』は、
その後もコンスタントに同人誌上で、彼らの行く末を見る事ができる作品になっている。
清冽なデビューで一気にファンの心を掴んだので(掴まれたw)人気が高いのも確かだろうが、
おそらく作者本人にとっても思い入れも大きいのだろうー。

高校生だった志緒は順調に(?)成長し、大学院生となり
作中で生まれた妹は…

4

すべての日は灯 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

赤い誘惑

一穂作品の中で、変態エロ担当の「街の灯」カップル。
今回も楽しませてくれました!

除光液を買って来てと言われ、訝しがりながら訪れてみると
片喰は、初鹿野の妹にねだられて、マニキュアを施してやったらしい。
なんとなく面白くない初鹿野は、自分の足にも忘れ物の赤いマニキュアを塗ってもらう。

翌朝そのまま出張に出かけた初鹿野は、夜大浴場に行く段になって足の赤い色彩を思い出す。
片喰に電…

4

すべての日は灯 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

“灯”より官能的な“赤”

ミチさんの新作は、
なんとなく深呼吸してから読むようになってしまいました。
物語の初めの文から、すっと世界に入れるのです。
この度も私の大好きでしょうがない片喰×初鹿野、
甘くてくらくらしました。

カタバミという雑草が江戸時代にホウセンカと混ぜて
マニキュアとして使われていたと百に聞き
人の役に立ってたんだとこっそり喜ぶのがまた片喰らしい。
最初から百の爪に試すのではなく、自分…

6
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