ルネッサンス吉田さんのレビュー一覧

淋座敷空慰 コミック

ルネッサンス吉田 

生き続ける深沢、変容し増殖する愛

最初、なぜ十三は二三とくっついてしまうのか、納得がいきませんでした。だって、深沢君とあんなに・・・!と。(だって私は深沢君ひいきだから)

だけど、十三、深沢君を愛したまま、二三とくっつくんですよねぇ・・・。というか、深沢君は全く出てこないにもかかわらず、深沢と分かち合った愛がずっと十三の中に生き続けていることを全編通して感じられるのです。十三は二三を通して(過去のこととしてではなく)今も深沢…

3

茜新地花屋散華 コミック

ルネッサンス吉田 

切なさも甘さもMAXIMUM

これは評価が分かれると思いました。
絵柄もそうですし、一見わかりづらいように作ってあるからです。

好きな人にはとても味わい深い作品だと思います。

どうしてもわかりづらいときは、次作「甘えんじゃねえよ」など作者のほかの作品を読んで、この作者の文法に慣れるとわかりやすくなると思います。小難しく見えますが、実はそうでもありません。

深沢は「白」、十三は「闇」のイメージを担っています。…

3

甘えんじゃねえよ コミック

ルネッサンス吉田 

広大な迷路を探索する楽しさ

BLには珍しくちゃんと病んでます。

おかしな日本語ですが、病んでいるという設定であっても、それはある一定方向のみに向けられていたり(つまりは性行為や相手に対する気持ちのみにおいて)、ヤンデレとはこういうものであるという定義にのっとった役割としての病みがほとんどだったりする中で、ちゃんと病んでいます。

人間には自然治癒能力があって、どんなに病んでいるときでも無意識に回復の方向をむこうとし…

3

茜新地花屋散華 コミック

ルネッサンス吉田 

分らない!

皆さまのレビューを拝見し、購入してみましたが、
評判通り、難しいです。
面白いような面白くないような、というかよくわかりません。
おっさんと思ってた十左が高校生だったり(過去の話なのか、実は高校生なのかさえ分からない)、死んだのダレなの?って感じだったり。

哲学的な話なのでしょうか。何度も深く読んだら内容を理解できてくるのでしょうが、
絵が…。
非常に好みの別れる絵だと思います。エ…

1

淋座敷空慰 コミック

ルネッサンス吉田 

作者のトリックにひっかかってはなりませぬ!

『茜新地花屋散華』の続編になる。
失踪した開高十三が戸籍を買い”吉行零”として生きている、その世界に現れた捨てた男・深沢にそっくりな二三(つぐみ)との出会いと、この二人の再生のお話です。
茜新地より、非常にわかりやすい展開だったと思います。
あそこでは、こむずかしい哲学や理論をびっしりと文字の表現として埋め尽くし、混沌とカオスをかもしていたのでしたが、よく考えればそんな難しいものではなく、単…

5

茜新地花屋散華 コミック

ルネッサンス吉田 

キリキリでヒリヒリでギリギリで、だけどそれでもどうしても

『疾走する剥き出しの魂』…帯のこの言葉がまさにぴったり。

ある程度早い年齢で、間違って(故意にでも可)手にしちゃって読んでみたら結構なショックを受けてー…みたいな出会い方が理想的な本かと思いました。エロ耐性無いとトラウマになるかもだけどそれはまぁそれで…(ぉぃ

花街で店主をやっている高校生・十三。ある日、大きな病院の廊下で“まぶしく光輝く少年”深沢とすれ違ったことからストーリーが進み出…

7

茜新地花屋散華 コミック

ルネッサンス吉田 

深沢くんの恋物語

テキスト量とエロスがとても多いです。
エロスとタナトスが題だそうです。性的なことをしながら「死の匂いがする」と思う十三の姉。この話の登場人物はみんなそう感じているんでしょうか。しかしきっと、深沢くんは解放されたように思います。

前半は花街、春を売るお店の店長・十三を軸に話が進んでいきます。
父親「十全」は死んでいて、母親と肉体関係を持っている十三。十三は母親を愛していたといいます。その愛…

5

甘えんじゃねえよ コミック

ルネッサンス吉田 

読むの大変だけど面白い。

苦悩する人間の思考回路をよくここまで文章化できるものだなぁと苦労しながら読破しました。
全体的に暗く、割と底辺な描写が多い作品ですが、ざっくりと荒廃したタッチの絵でどんどん読み進められます。

ときおり入る捨て身な感じのブラックユーモアも面白かったです。
前作「茜新地花屋散華」よりも個人的にはこちらの作品のほうが好きです。
(あくまで推測ですが)作者の自己投影が激しい分、読み応えがありま…

4

甘えんじゃねえよ コミック

ルネッサンス吉田 

BLと言うには場違いな作品

BLというジャンルは基本的にエンターテイメント(ときどきポルノ)だと私は思っているのですが、ルネッサンス吉田の描くものは間違いなく「文学」です。なぜなら登場人物が二次元の身体しか持たない「キャラクター」ではなく、生身の人間を想起させるものだから。太宰治とか大江健三郎とか中上健次を読むようなつもりで、生まれたからには死ぬ運命にある命の中でもがく登場人物を追う、そんな読み方が似つかわしい気がします。

6

甘えんじゃねえよ コミック

ルネッサンス吉田 

病んだ作者による、病んだ登場人物たちによる、病んだ世界のカオスでした。

「茜新地花屋散華」に続く第二作、作品的にはその前後の短編集ですが、全編とおして孤独と病んだ心を中心に描かれています。
実際、この本は自分でも5回ほど読みなおしました。
「茜新地~」ほど明確なストーリーはありませんので、理解しようとはしないほうがいいです。
ただ、心を病んだ経験のある人には、その哲学的な恐ろしくネガティブな思考はおぼろげながらわかるものがあるかもしれません。
多分、作者自身も…

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