名香智子さんのレビュー一覧

花蝶風月 小説

山藍紫姫子  名香智子 

「花夜叉」や「長恨歌」への布石が見て取れる

耽美時代の山藍先生の特徴あふれる短編集。
初期の短編集「金蝕環」と同様、読後感にチリッとしたものを感じる。
それが、皮肉であったり、恐怖であったり。

山藍先生、実はけっこうな短編の名手でもあります。
本作では和テイストを前面に出したゴシックホラーといった趣が強い。
山藍ファンにとっては必読の書かと。

「妖童」
江戸時代を舞台としている。「色闇」や「長恨歌」のあやしい空気をまと…

3

密猟者 小説

山藍紫姫子  名香智子 

美貌と不条理と限界

1900年代初頭の英国らしき国、
社交界を賑わせる美貌の作家シェヴィーには、
悲劇的な生い立ちと、不義の息子があった。
のちに彼には、息子と実弟に犯される運命が待っていて…。
なんとまあ、ショッキングな展開!
昨今の規制が叫ばれるBL業界では、
ちょっと見られないようなハードな近親ネタです。
まるで「風と木の詩」のオーギュストよろしく、
息子と関係を持ってしまうわけですが…。
こ…

2

赤と黒 小説

松岡なつき  名香智子 

カジノで燃えた恋

時代は20世紀初頭。
官費留学生の篠崎和樹が、とある小国の高級カジノで
若き大公・イリヤと出会うところがら、物語が始まります。

ルーレットで勝負し、負けた人間が勝者にものになり、身体を差し出す。
そこから始まる二人の恋………
ありがちというか、王道の設定ですね。

しかし綿密な時代考証に、登場人物達のエスプリの効いた会話。
松岡さんの豪奢な文章によって、作品中に退廃的でセレブな…

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