鳩かなこさんのレビュー一覧

帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

イラストも美しい大正浪漫

大正浪漫BL、堪能させて頂きました。

桜の頃、一目見た御曹司の京介。あまりにまぶしく憧れを頂く琢馬。そのときに借りた絹のハンカチを大事にとっておくのだが、後日他人のように振る舞われる。しかし、詩の秀作を書き付けた帳面を教室に忘れ、偶然京介に読まれたときから2人の運命が重なり始める。

美しい桜のイメージを通奏低音にして、2人の恋と執着の行き着く先を描いています。当て馬は琢馬の妻せつ子。い…

2

夏夜のたまゆらに 東景白波夜話 小説

鳩かなこ  今市子 

「暁闇に咲う」の続編

「東景白波夜話 暁闇に咲う」で拾われた育ての親の家を離れた与一。小さい頃から共に生きた藤吉と離れ、2人の行く末はー、というところで終わっていた前編の完結編。

1作目がかなりよかったので期待して読みましたが、ちょっと拍子抜けでした。なんというか、まず大正浪漫風が気に入ってましたが、これが不発ではまらなかった。どうしても手抜きというか雰囲気だけ借りてきた薄いBLに見えてしまう。
ストーリーとし…

0

東景白波夜話 暁闇に咲う 小説

鳩かなこ  今市子 

大正浪漫風BL

時代設定、文章が大正浪漫風。軽ーいノリが苦手な方にははまるかと思われます。
こういう趣のものはBLでは初めて読んだので、雰囲気が気に入って感心しました。

狐面がシンボルとして登場。元の顔も吊り目で、感情を表さず、しかし一途な攻め様、藤吉。このキャラは”帝都”シリーズから健在。一方、受けは美人で切れものながら男オトコしいのがよいです。この受けの与一は幽閉されていたところを攻めに助けられ、身の…

0

花の棲処に 東景白波夜話 小説

鳩かなこ  今市子 

これ完結じゃないよね。。。

本編は掏摸の親分になった与一郎とそれを支える藤吉の密な人間関係が描かれましたが、こちらは本編でもちらちらと臭わされていたおりんと吉田の関係を描いたスピンオフ。
しかし、いわゆる2人を軸にしたスピンオフというのとはちょっと違います。どちらかというと、極貧に生まれて陰間として育てられたおりんの半生を描いた作品というのに近い。

文章は相変わらず近代の趣が感じられるようになっていますが、少し鼻につ…

0

花の棲処に 東景白波夜話 小説

鳩かなこ  今市子 

現実を生きる

シリーズ第三巻。
今回は、今までも登場した警察官の吉田と、
元陰間の少年おりんのスピンオフです。

前巻までの流れで、
おりんと吉田が互いに意識していることは、与一郎の視点を通して描かれていました。
与一郎は、吉田がおりんを女と勘違いしていると推理していましたが、
過去にこんなすれ違いがあったとは驚きです。


陰間茶屋に育った女装少年おりん。
ある雨の日、番傘をさしかけたこ…

2

夏夜のたまゆらに 東景白波夜話 小説

鳩かなこ  今市子 

迂回の美徳

シリーズ第二巻。

与一郎と藤吉の愛憎の物語はこの巻で終結し、
次巻はスピンオフになります。


一巻で、掏摸(スリ)集団の頭の座を藤吉に譲り、家を出た与一郎。
ある日、老婆を掏摸から助けたことが縁で、ある高貴な方から掏摸の依頼を受ける。
それをきっかけに藤吉と再会し…。

一巻と同じく、ここでも食えない警察官の吉田が暗躍。
与一郎と吉田の、投獄された熊次(先代頭で養父)をめ…

2

東景白波夜話 暁闇に咲う 小説

鳩かなこ  今市子 

江戸情緒と大正ロマン

鳩かなこさん初読み。

耽美で端正な文章がとても素敵で、
江戸情緒を残す大正時代の東京が眼前に浮かぶようです。

BLというより、
同性愛要素のある時代小説を読んでいるような感覚でした。
絡み描写は匂い立つような色気がありますが、
メイン二人の恋愛に偏ることなく、
人情や親子の絆といった、幅広い人間関係が描かれます。


大正時代の東京。
両親の死後、継母により蔵に幽閉さ…

2

帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

ふるえるぞハート。

鳩かなこさんのあとがきの後に
解説を書かれているのが【栗本薫】氏でござい。

栗本薫氏の愛弟子が鳩かなこさん!
そうでありましたか!とても納得ある栗本薫氏の解説もさることながら
1冊丸ごとどっしりと土台のあるそれでいて細かな骨組もしっかりとした読み応えのある鳩かなこさんの小説に無我夢中となりました。
初めて鳩かなこ作品を読みましたが、読み進めても途中で話がまったくぶれていかないし最後ま…

3

帝都万華鏡―桜の頃を過ぎても 小説

鳩かなこ  今市子 

軽薄短小BLにもの申す!

明治風の文体と時系列のはっきりしない描写で、慣れない読者は面食らうかもしれませんが、
軽薄短小コンパクトすぎるBLに飽き飽きでござる!という方にはぜひともおすすめしたい。

時は大正、しかし大正浪漫というよりは赤貧の詩人とその妻、その詩人を見つめる編集者。
ほかに友人の画家や、編集者の家の実質的な家令など、さまざまな人間関係がおりなす
BLというよりは人間ドラマに近い様相を呈しています。…

3

よしはら心中 帝都万華鏡秘話 小説

鳩かなこ  今市子 

独特のエロティシズムに誘われる世界

大正浪漫「帝都万華鏡」シリーズの5冊目、
本編4冊は京介×琢磨、紘彦×春洋の2カップルの話でしたが
今回は番外編、春洋の兄の物語で、独立した話として読む事ができます。

栗原薫に「泉鏡花のような、といっては褒めすぎながら、現代のBL作家の持たぬ
こってりとした味わい」と評された濃艶な文章が大きなの特徴の作者ですが、
シリーズ1冊目の「桜の頃を過ぎても」あたりは生煮え感があって
かなり…

6
PAGE TOP