槇えびしさんのレビュー一覧

御界 上巻 小説

中田雅喜  槇えびし 

リアル&バーチャル

御界とは、江戸時代をステージにしたバーチャルゲーム。
それは自分が設定したキャラになりきってゲーム世界に入り、思考、行動、対話などすべての感覚が本物のように体感できるリアルバーチャル。
現実にはパッとしない圭太が春斗と名のり、ゲームの中で起こる殺人事件の犯人を左馬と名乗る青年と解決しようとする。
春斗はゲームの中で知り合った仁竜という医者に信頼を寄せるが、左馬は次第に春斗を稚児扱いし、独占欲…

2

黄昏に花 小説

樹生かなめ  槇えびし 

早すぎたオヤジ受け作品

ほんの数年前までは30歳代でオヤジであり、受けとは美少年・美青年にのみ許された役割と考えられていたと思うのだが、最近はすっかりしょぼくれた40~50歳代の受けも認知され、いやそれどころかかなりの人気を博している。

本作は、見た目こそ30歳代だがバツイチ・インポ・リストラの憂き目に会った45歳の美中年が、何の因果か20も年下の若者に惚れられてしまうという話だが、何より重要なのが、この作品の初出…

10

黄昏に花が舞う 小説

樹生かなめ  槇えびし 

早すぎたオヤジ受け小説『黄昏に花』の続編

前作『黄昏に花』の後半でぎっくり腰まで患ってしまった岩井課長と、課長を甲斐甲斐しく世話する(とはいえその方法はかなり自分勝手な)小田原の仲は、はっきり言ってさほど進展していない。
それどころか、ある意味本作のメインは、前作でも強烈な印象を残した岩井課長の部下たる女性たちの姿であると言ってもいいかもしれない。
しかし、老いや死を意識しながら生きねばならない中年の恋愛は、きっとこれぐらい緩やかでい…

9

ホーリー・アップル -穴だらけの林檎- 小説

柏枝真郷  槇えびし 

80年代のアメリカ、ニューヨークを舞台にした、刑事と警官の「ラブストーリー」(?)

あちこちから水蒸気が立ち上る道路は工事の穴だらけ・・・すなわち「穴だらけの林檎」。
治安も景気も悪く、どことなく荒廃した空気の漂う時代と街で生活する警官たちがちょっと素敵だ。
高給取りではないのでそれなりのアパートに住み、交代制勤務に合わせて寝起きして、仕事帰りに買い物してちょっと料理したりスーパーの開店時間に間に合わなければテイクアウトで簡単に済ませたり、仕事の合間に安いランチを食べ、パトロ…

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