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野阿梓 小島文美
葡萄瓜
ネタバレ
時代が軋みつつうねりゆく中、 引き裂かれた運命は再び出会い、そして空白を 埋める様に濃密な情愛を展開する。そこには 世情の律の入り込む余地なぞ一切無い。 やがてひと時の騒乱が過ぎて後…。 仮想史書として大きく広げられた風呂敷が耽美と 言う過程を経て収斂され、思念の対峙と言う SF的過程を経て日常へと還って行きます。 執行雅が過ごしたのは、青年への階段と 一言で言うには余り…
「月光のイドラ」で描かれた事件より一年後、 執行雅は寵愛される者としての美しさを開花 させつつも未だ不安定な心理状態の中にあった。 その最中に巻き込まれた理不尽な状況。 そして雅は否応無しに濃密な性愛の儀礼へと 巻き込まれてゆく…。 耽美とSF、そして精神理念を融合させた妖しくも 硬質な世界が展開されています。 暗い美しさにじっくりと浸る事ができる作品でしょう。
野阿梓 春日聖生
93年に刊行されたハードカバー単行本を C★NOVELS Fantasiaの一冊として刊行 したもの。挿画をBLらしくしたのは時流に 合わせての事でありましょう。 但し、本文の骨太さに些かも変わる所は ございません。耽美でありつつもSFとして、 冒険活劇譚としてしっかり読める構成と なっております。 殿方の書いた初期BLとしても稀少なもので ありましょう。
衆道志向の下集った私塾で縁を持った公彦と雅。 二人の関係は密やかな敬愛も絡んで中々に濃厚な ものとして描かれて居ます。 その縁で結ばれた二人の活劇譚、と言う一面も 愉しめるでしょう。 元々SFの手練れであった野阿梓氏が試みた『やおい』です。 続刊である『緑色研究』上・下もかなり良い歯応えです。
野阿梓
作者の野阿梓さんは元来がSF作家。 その為物語の基本がSF仕立てになって おり、文体も硬質な為ややとっつき難い かも知れません。 しかし、性愛描写の部分の濃密さ鮮烈さも 同時に存在する為、好みのツボにはまれば 病み付きになるでしょう。