椎崎夕さんのレビュー一覧

あなたの声を聴きたい 小説

椎崎夕  街子マドカ 

気持ちを伝える努力

主人公の苦学生・亨は心の傷を抱えていて、
ある条件を兼ね備えた成人男性が苦手。
おまけに自己表現が苦手で、誤解を受ける事が多々あり、
なかなか辛い状況で生きています。

椎崎さんはネガティブというか、負の心理描写が地味に上手くて、
幸せよりも不幸せな状況を書かせると、実に筆が冴える気がします。
なのでこの方が書かれる「辛い状況におかれた主人公」は、
本当に読んでいて辛いのです…。

3

年下の男 小説

椎崎夕  高久尚子 

もしかして評価が分かれる作品かも?

上司と部下が酔った勢いで寝てしまい、微妙な関係へ。
酒の勢い、一夜の過ちとして水に流したい上司・敬。
忘れさせまいとする部下・館上。

当初は「のほほんへタレワンコな年下攻」っぽく登場した館上が、
割とはっちゃけた倫理観の持ち主で、敬との関係を終らせないために結構、
酷いことをやっています。
その辺りを「それだけ相手のことが好きなのね!」と萌える人と、
「なんだこの男は!」と思う人…

4

優しい檻 小説

椎崎夕  佐々木久美子 

隔離された世界

お互い好きなのに、その気持ちを伝えられない関係。
呼び合う名前さえ、昔と同じ呼び方もできない。
素直にすべてを話してしまえば誤解も解けるのに…。
伝えられない気持ちが長年にわたって蓄積され、とっても切ないです。
ケガをして、成り行きで常盤の家に滞在する事になった樹。
結果として監禁なのですが、離したくない、側に置いていたい、という常盤の気持ちがありありと伝わってきます。
最初は辛く当た…

5

優しい檻 小説

椎崎夕  佐々木久美子 

二人だけの世界

あらすじを読んだ時、監禁調教ものかと思いましたが。
淡々と、二人だけの世界が展開される静かな物語でした。

樹を容姿から所作。日常生活全てに関して、
徹底的な管理下に置いた高名な彫刻家・山辺。
愛人関係と思われているが実は………
そんな山辺と樹の歪な関係にゾッとしつつ、
二人はとても寂しい人だったんだと切なくなります。

擦れ違い・誤解の末に、樹の身体を奪い、自分の工房に留める常…

6

親友と恋人と 小説

椎崎夕  高宮東 

真っ正面から

気づかないうちに人から利用されているようなお人好しの佑一と、無愛想な(でも顔の良い)中司は周りも認める親友同士。
性格も学部も違う二人だけど、気がついたら一緒にいた。
中司は気がつくとまわりに利用されがちな佑一を仏頂面で助けてくれる。
当たり前の心地よい距離感。
それは、佑一が中司への気持ちに気づいたときに変化をきたし……

親友から恋人へを真っ正面から書いた素敵作品。
そんなの王道…

1

三十二番目の初恋 小説

椎崎夕  金ひかる 

サイテー男にムカムカ

「結婚するから明日出ていけ」の一言で恋人だと思っていた男に切られ、続いて起こった見知らぬ男女のトラブルに巻き込まれて利き腕を骨折。恋人と一緒に自分も出資した店も追い出されて何もかも失った想は、骨折の原因となった男・梶山のマンションに、ギブスが取れるまで居候することになる。

梶山は、穏やかというか、感情の起伏のない無機質な淡々とした男。しかし一緒に暮らすうちに、想は梶山の微かな笑顔や優しさに惹…

1

好きと言えない 小説

椎崎夕  あさとえいり 

義理の兄弟

幼い頃に自分を置いて家を出た母親を恨んで育った晴(15歳)。
そんな彼が父親が亡くなった為、
母親の再婚家庭に引き取られることになります。

再婚先・柚木家にはひとり息子・慶司(28歳)がいます。
晴にとっては年の離れた義理の兄となる人です。

父親や叔父に虐待されて育った晴は、甘え方を知りません。
そして自分を捨てた母親への反発もあり、引き取られた柚木家でも
上手く暮らしていけ…

1

きみの背中を見ている 小説

椎崎夕  あさとえいり 

年の差の醍醐味

主人公が見知らぬ男と一夜を共にするまでの序盤は、
「なんとういご都合主義!」と思ってしまいました。
素晴らしい偶然の偶然が重なりすぎなんです。
なのでこれはちょっと……微妙な作品かも?と。
気持ちがやや、萎えたのですが。

主人公が親友の弟と同居するあたりから、
ぐんぐん話しに引き込まれて。
序盤に無理無理な偶然を重ねたのは
この設定を考えると、仕方がないのかと思いました(笑)

1

弟の親友 小説

椎崎夕  佐々成美 

勘違い、すれ違い

椎崎さんの作品はタイトルとあらすじで、中身がかなり想像できてしまい、
さらにその想像通りに物語が進んで行くのが多いと思います。
今回もまさに、そういう作品でしたので。
あまり詳しく書くと、ネタばれになってしまうので控えます……。

ただ想像通り、ベタな展開で進むのですが。
ぶっちゃけオチも、中盤でなんとなく予想はつきます。
しかし読者を胸キュンさせ、最後まで読ませてしまうんですね。

1

非保護者 小説

椎崎夕  北畠あけ乃 

何度か読み返すと面白い

タイトルや粗筋からも分かるように主従の王道設定で、
こうなるんだろうなと思うところに、ストンと落ちた作品でしたが。
なんとなく、好きなお話です。

心の傷を抱えた坊ちゃんが、思いを寄せるのは年上のお目付け役。
昔は優しかった瀬尾が、最近は事務的な態度になり、切ない。
そんな彼の気を引きたいがために、わざと飲み歩いたり。
両親の愛情が薄かったせいか、この坊ちゃんは甘え下手で。
素直な…

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