茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

帰宅 小説

剛しいら  茶屋町勝呂 

これがデビュー作

これが剛しいら先生のデビュー作。
時代的なこともあると思うけど、かなり暗くシリアス。いわゆるBL的な、攻めがいて受けがいて、恋愛関係があって、ラストは何らかの決着がある、という展開ではありません。
もっと文芸的、といってもいいかもしれない。
3作品が収録されています。

「ぴすとる」
家にも学校にも居場所のない中3の秀明。今夜もどうせ母親はいないからゲーセンに行って…と考えていたら、昔…

5

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

秘密のあるところには…

表題作の「秘密」は、ある秘密を抱える大学生・啓太と、幼い言動に似合わずセックスがうまい充が、夜に飲み込まれるように惹かれ合っていく話で、啓太の視点で書かれています。
緊迫感あふれる独白から啓太の混乱ぶりが伝わってきて、読んでいるこちらまで混乱してしまいました。この混乱こそが彼の抱える秘密に深くかかわっていたことを知ったのは、最後のどんでん返しで。充が隠し続けていたある秘密も、明らかになります。ホ…

5

ジロウ コミック

茶屋町勝呂 

物語の力を実感する

最近は描かれていないのでしょうか、茶屋町先生?
…のかなり古い作品。短編集で、すべてエロ無しです。でも雰囲気が強めなお話ばかり。物語の力を感じます。

「もみぢ」
ヤクザの組長だった父親の死の床にて。
若頭と坊の行き違う想い。そしてバッドエンド。
短いけれど、いや短いからこその映画のような物語。

「Green Step」
ちょっと昔の、英国上流階級の学園ものっぽい。
主人公ベ…

1

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

読まなきゃよかった(泣)

かなり神よりの萌2をつけさせて頂きました。
というのもこの作品、この続巻を読んで初めて知ったのですが、かれこれ7年以上も続きが出てなかったんですね(泣)。基本的に堪え性のない人間なんで、そのことを知ってたら読まなかったのに~と後悔しております。あと、ぶっちゃけ、イラストは前作の雪舟先生の絵の方が、繊細な作品の雰囲気と合っていて、私は好きです。

ミステリーとしては、今回の方が俄然面白くなって…

4

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

世界の果てで待っているのは、誰?

BL小説のなかで最も続きを熱望している作品の一つです。
元刑事で現在は探偵の統一郎と、刑事の雪人が織り成す物語。
探偵事務所に持ち込まれた事件を解決に導くパート、統一郎の妹である澪子の事件の核心に迫っていくパート、そして二人の関係性を主にするパート。
三つの主要な軸が絡まりあって複雑で味わい深い物語を形成しています。
サスペンスや警察小説としても充分に面白いのですが、やはり肝は二人の切迫…

8

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

霧雨のようなモノローグ

受けの啓太を中心に、読み書きにハンデを抱える杉浦充と、充の従兄弟であるゲイの榎本。主な登場人物はこの三名。厳密に言えば他にも登場人物はいるにはいるのだけれど。
啓太と充を中心に描かれる今作は、とても閉鎖的な空気を漂わせています。それは、この三名がマイノリティーである事が根底にある事。そのため、客観的というよりは啓太の妄想か現実か、判別不能なモノローグによって、読者は翻弄されていきます。
啓太の…

2

赤の原遊戯 アカノワシュピール コミック

茶屋町勝呂 

初BL

多分初めて読んだBL作品
時代背景もあり薄暗い印象を受けます。ナチスに関しては第三者の目で見たような淡々とした事実を描いてるように感じる。

オットーのゲオルクに対する執着はエスターのためなのか、それとも違うものなのか。改めて読んで見ても複雑だなと。オットーからするとエスターは同期以外の何者でもないそうですが。同性愛が収容所送りの時代ではそう言うしかなかったのか。
エスター事件のせいでゲオ…

0

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

この本に出会えた幸運

「夏の塩」に続き一気に読みました。
この「夏の子供」には8の話が収められています。
「夏の塩」同様、いやより多く周囲の人たちの姿が描かれる。
マリとあの女装少年・馨のエピソード、マリの過去、響子のエピソード、魚住が祖父母にきちんと愛されている事、魚住に恋する男と久留米とるみ子とバーのバーテンとの不思議な縁、魚住を犯した男…
そんな色とりどりの物語たちと並行して、または溶け込んで、久留米と魚…

2

夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

文芸的

先生、なつやすみの宿題終わりました!

そんな読後感。
この有名作、私は2009年発行のハードカバー版で手に入れました。10の話が一冊に収められ、一気に読める嬉しさはあるものの、2段組みでボリューム感が凄い。
読書は義務なんかじゃないけど、どこかやらなければいけない宿題のような存在でした。
元々BLと一般の境界的な作品ということは聞いていたので、BL描写の期待はしてなかったけれど、思った…

1

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

好きになる過程

夜読んで、仕事行って帰ってきて読んだんですが、もう仕事中「早く続き読みたい続き読みたい…」とイライラしてました。それくらい続きが気になる作品でした。

啓太は「誰かにそばにいてほしい。死体がある家に帰りたくない。泊まる家がない」、充は「愛する人が欲しい。自分も愛されたい」そんな理由から始まった言わば偽物の関係が、ページをめくるごとに本当に愛する者同士の関係へ変化してゆく様がとても良かったです。…

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