茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

魚住くんシリーズ(5) リムレスの空 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

物語は続いている

読み終わった後、思わずほろっときてしまいしました。
ほんのり切なくて、でも胸があたたかくなるそんなラストでした。

魚住の留学が決まって、おそらく最終章は魚住と久留米のひと悶着ありつつも帰ってくるのを待っている、というよくあるラストを予想していたのですが、予想外に語り手が太一という初登場の少年。

少年から見た魚住と久留米という人間。そしてこの世界。
辛い境遇である太一は、この世界に対…

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世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

切ないッス

現在のの事件を追いつつ、過去の事件をチラ見せしていくという二重構造のストーリーになってます。

一冊かけて分かったのは、静かだけど激しくて揺るぎない探偵の執念でした。
いちばん身近にいた刑事ですら気づいてなかったその執念。
妹を殺された探偵が何を思い、数年かけて何を調べあげてきたのか。
まだ分かりません。
そう、まだ分からないんですよ!
なぜなら続いてるもんで。

刑事はそれを知るなかで、さまざま…

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世界の果てで待っていて -天使の傷痕-(新装版) 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

大好き作品です

旧版にレビューしてるんですが、新装版も手に入れて読んでしまいました。
思えばこの作品は、私がBL魔境におそるおそる足を踏み入れた初心者時代に読んだ一冊で、どっぷりハマってしまう原因となった作品の一つでした。
このなかで語られる愛のカタチにゾクゾクし、自分が紛れもなく腐ってることを自覚させられました。
それだけに思い入れが強いんですが、思い入れの強さを差し引いてても素晴らしい作品だなと思えます。
そ…

4

魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

同情が同調に変わる

他人の不幸を聞いているうちに、それに同調してしまう。
私も人の悩みを聞いているうちに自分も落ち込んでいたという経験があるので、すごくこの魚住のかつてのカウンセラーの気持ちがわかりました。

でももともとこのカウンセラーの男の境遇に問題があったため、魚住の過去話を聞いて闇が増長し、勝手に自殺に至ったわけですので、魚住のせいではもちろんありません。
でもカウンセラーの弟から見れば「こいつに会わ…

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魚住くんシリーズ(1) 夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

とっくに好きなのに、気付かない

不幸にあいすぎて感情が麻痺してしまった魚住くんは、とっくに久留米を好きになっているのに気付かない。
家族だった犬が亡くなって、それを片づけてもらった後も久留米の家に居続ける。
久留米の住処はクーラーもない、狭いアパート。
魚住は久留米に言われて料理の練習まで始める。
なぜそこまで久留米のそばにいるのか、久留米は理解できない。
当の魚住もわかっていないので、当然久留米にはわかりっこないのだ…

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非BL作品

咎狗の血(2) 非BL コミック

Nitro+ CHiRAL  茶屋町勝呂 

そして各々が危険に踏み込む

3度目の世界規模の対戦により、東西に分断された日本。
かつての首都は「トシマ」と呼ばれ、退廃した街では
麻薬組織による殺人可のバトルゲーム「イグラ」が
繰り広げられています。
無実の罪で拘束された主人公アキラは、釈放を条件に
軍の密命で「イグラ」に参加する事になります。

イグラの参加者たちを日本刀で瞬殺する、
恐怖の存在シキに出くわしたアキラは
辛くもその刃から逃れます。
こ…

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非BL作品

咎狗の血(1) 非BL コミック

Nitro+ CHiRAL  茶屋町勝呂 

非現実に踏み入る始まり

生死を賭けたバトルの中で生まれる愛憎と
凄惨な戦闘シーンで話題となったBLゲームのコミカライズです。
重苦しい雰囲気と廃墟の街がこれでもかという位描き込まれ、
自在なアングルでみせるコマもやや多めです。
台詞や説明が多く読みづらい感はどうしても否めません。
が、見せ場でもある戦闘シーンは切迫感があり一見の価値あり。

3度目の世界規模の対戦により、東西に分断された日本。
かつての首…

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明日が世界の終わりでも 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

切なくて温かい

表題作は玲[攻]と望[受]との切ない話、「約束」はその6年後で玲の友人の城上[攻]と悠一[受]との話、最後の「集い」はその4人が出会うエピソードで締めくくられています。

心にずしんと来るのは表題作。
玲と望は恋人同士なのですが、玲自身は決して望を抱かずに城上を始め他の男に抱かせそれを見ているだけ。
SMプレイのそれではなく玲は過去のトラウマからそうやってしか愛せない人間。
望は次第にそ…

1

魚住くんシリーズ・メモリアル I'm home 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

また会えて嬉しいよ

本当にどうしようもなく惚けてしまったのですよ、
このシリーズを読み終えた時に。
実在していると言われれば微塵も疑わない程、
彼らは文字という形を飛び出して息づいていました。

本編後の近況を伺えるメールのやり取りは、
マリや濱田、サリームに響子たちのお喋りそのものです。
そんな中でも、魚住にとってマリは久留米とは違う部分の
心を預ける人なんだな、と感じました。

各話のダイジェ…

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秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

「秘密3」で涙ぼろぼろ

3部に分かれてます。
「秘密」→啓太目線
「秘密2」→充の従兄弟の榎元目線
「秘密3」→充の弟樹目線

あらすじの「大きな冷凍庫が唸る部屋で、独り夢を見たくなかったから」から始まるミステリーのようなホラーのような話かと思いきや、このような“ジャンル”という一言ではくくれない物語です。この作品を読んだあとの感想としては、作品としての萌度はほとんどありません。

杉浦充というキャラクター…

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