茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

髭面の天使

 初めて読んだのはもうずいぶん前で、当時は衝撃のあまりレビューの言葉も正直見当たりませんでした。「答姐」の「イタイ話」トピで久々に思い出し、数年ぶりに読み返してみると、痛いのも重いのにも変わりはないんですが、少しだけ衝撃以外のものも受けとめることができたような気がします。

 主人公のエスは31歳。アンダーグラウンドで傷や死体や畸形など「壊れかけた身体」を専門に撮る写真家だ。みずから「傷に選ば…

9

硝子の街にて(2) 雪 SNOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

無防備な行動

硝子の街にての第2巻。
1巻を読んだときには、恋愛でなく友情に重きを置いてる作品だと思ったのですが、シドニーのほうは伸行を恋愛対象としてはっきり意識している感じです。

ゲイのシドニーは伸行を「初恋だった」、と前回笑いながら言っていましたが、終わった恋でなく今でもずっと好きなんでしょう。
子どもの時から考えると長い年月ですね。その間に付き合った人もいるんだろうけど。

今回、雪の日に埋…

2

硝子の街にて(1) 窓 WINDOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

可愛くて苦しくて愛しい作品

Windowsってタイトルですが、Windows95からきてるんですね。Windows95…懐かしい響き。
舞台が90年代のニューヨーク。20巻以上ある長いシリーズです。

実はほぼ最後の巻数まで既に読み終えた上で、今1巻の感想を書いているのですが、1巻では恋愛部分はほぼなくて、少し物足りなさを感じます。でも手に取られる方には是非、2人が結ばれるまで(巻数がかかるのですが)読んでほしい!

4

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

寸止めのエロス

 BLとエロは切っても切れないもの。そもそもエッチシーンなしでBLが成り立つのか?

 そういう議論になるといつもこの作品のことを思います。この一冊の中で主人公の2人、櫂谷と黒澤の接触はキス以上には進みません。シリーズ前作「天使の傷痕」では、一度だけ関係を持つシーンがあります。裏表紙の作品紹介では「甘い一夜の記憶」とあるけれど、私には到底「甘い」とは思えませんでした。
 当時2人の関係は、も…

8

Home A place in the sun 小説

かわいゆみこ  茶屋町勝呂 

A House is Not A Home

「家」とは何か。
ある人にとっては安らぎ、ある人にとっては絶ち切りたい因縁の象徴。
また他人と「家」を作ることは、その人の人生を受けとめ責任を持つことも意味する。

本書は恋愛小説であると同時に、そうした「家」への様々な想いも伝わってくる、上質なヒューマンドラマ。
97年の発行だが、少しも古さを感じさせない。
とても普遍的で身近なテーマが胸に迫ってくる。


大阪の暴力団組長の妾…

2

世界の果てで待っていて -天使の傷痕-(新装版) 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

その後の続刊はもうないんですかね・・・

虚無仮説のような小説が読みたいと思っていて、偶然、むしろドラマCDのキャストさん目当てでCD聴いてみようと思って、原作も読んでみようと思って読んだら、すごく良かった。
もう何年も前の本だけれども。
2冊め出された後続刊はされてないようだけれども。
まだ続くんですよね?
ぜひ続きを書いて欲しい。

ネクタイ外してくれっていうシーンがとてもエロく感じた(*´Д`)

2

魚住くんシリーズ・メモリアル I'm home 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

魚住くんたちへの喪の儀式

魚住くんたちのその後が知りたくて購入しました。

遠距離恋愛を選んだ魚住くんたちに、らしいと思いましたが、やっぱりファンとしては幸せな姿が見たくて。離れても、近くにいた時と変わらない距離感のメールにじんとしました。
魚住の久留米あてのメールがよかったです。
ヒューストンに旅立った魚住と仲間たちのメールのやりとり、カラーコミック、山田ユギさんや宮本佳野さんの寄稿、Q&A、イラスト入りダイジェ…

1

夏の子供 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

名作でした

レビューでの高評価を見て、夏の塩と合わせていつか読まねばと思って購入。装丁とボリュームから、これはしっかり態勢を整えてじっくり正面から読むべきだろうと、準備ができるまでお預けにしてから一気に読みました。

夏の塩は色とりどりのざわめきという印象に対し、こちらは終始静かで透明な水の印象でした。夏の昼下がりに遠くに喧騒が聞こえる奥まった場所で、建物の壁に水の波紋がゆらゆらと光を反射している中にたた…

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夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

そっとしまっておきたい

なんと言っていいかわかりません。
興味深い、感動するようなお話を読むと、その感動を語りたくなるものだと思っていました。
この作品を読んで、逆に何も言いたくないということもあるのだなぁと知りました。
あらすじも分析も感想も、何も言いたくないのです。
不安定な器になみなみと入った透明な水を受け取った気分です。それをこぼさず波立てず、そのまま奥深くにしまっておきたい。そんな気持ちになりました。

4

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

キスだけでも萌える作品、恐るべし

『世界の果てで待っていて-天使の傷痕-』の続編です。
先にあとがきを読んで知ったのですが、まだ続くようでして。
前作に引き続き、攻め受けの視点が切り替わる作品です。
よく、続編を先に読んでも問題ないものも多いですが、出来れば順番通りに読まれるのをお勧めします。

変わらず攻めは元・刑事で探偵の統一郎。
受けは元・統一郎の同僚で刑事の雪人です。
といってもこの巻では、最後まではありませ…

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