谷崎泉さんのレビュー一覧

真音 2 小説

谷崎泉  麻生海 

過去に直面させられる人々の転機

二巻では一巻より踏み込んで各キャラの過去に触れていく。

この巻では、進藤の少年院入りの原因となった事件の真相を調べる人物が現れたり、さめさんが倒れたりした事でそれぞれ触れたくない過去に直面する事となる。
富樫の過去については最終巻まで引っ張られる訳だが、彼が変わりたがらない進藤の核心を突く一言ずつにははっとさせられるものが多い。

おそらく昔の因縁から犬猿の仲であるさめさんと富樫につい…

3

真音 1 小説

谷崎泉  麻生海 

少年院を出て間もない青年の転機

読み応えある二段組みで骨太な小説。
文章に癖があるって訳ではないが、食事に例えて言うならば早食いできずにじっくりと噛み砕きながら味わうように読み進める必要があった。
三人称なのに進藤、富樫、槙原の視点がしょっちゅう切り替わるが、それを追ううちに登場人物に感情移入してしまいそうになる。
まず読み始めてみて、薄幸とか心に傷を負っているっていうのと一線を引いた感じの、欲や願望が欠落したかのような雰…

5

エスケープ 小説

谷崎泉  如月七生 

こんな作品が埋もれていたなんて!

表紙を見る限りではBLとはとても思えませんし、そういうシーンも他の谷崎作品と比べてもかなり少なめ。
ただ、そういうわかりやすいエロよりもじっくり読みたいという方にはかなりお勧めしたいです。
ハッキリ言って面白い!
エロにページを割かれないせいか、事件と登場人物たちの心情や行動を満足いく形で読めました。
谷崎作品は好きで読んでいる方だと思っていましたが、まだこんなのがあったのかと嬉しくなりま…

6

真音 3 小説

谷崎泉  麻生海 

染み渡る作品。

拒みきれず、それどころか富樫を許容し踏み込ませてしまう進藤。
行かないで欲しい。
かつて誰にも思ったことのないそんな気持ちを富樫に覚え、戸惑う進藤にすべてを分かっている富樫はとことん甘い。

きな臭い諏訪組内部、組長が襲撃され槙原の運転手を勤めていた青木が槙原を庇い銃に撃たれ死んでしまう。
仇を取る、と気色ばんで飛び出す槙原。
槙原を捜させながらも本気で止めようとはしない富樫。
そん…

8

真音 2 小説

谷崎泉  麻生海 

伸ばされた手。

暴力団幹部である富樫に気に入られ、なかば無理矢理関係を結ばされた進藤。
抗いつつも、強引かつ執拗で、けれど優しい富樫に拒みきれず、ズルズルと体を許してしまう。

この巻では槙原の、富樫の、さめの、そして進藤の過去背負ったものが明らかになりました。
誰もが傷を抱え、そして闇を抱え、それを暴かれないよう誰もが口を紡ぐ。
そんな中、富樫は厳しいともとれる言葉を告げます。

「一生、背負って…

1

真音 1 小説

谷崎泉  麻生海 

さて、一体どっちがハマっていくのか。

ずっと気になっていたお話。
ようやく手に取りました。

母親が残した借金を取り立てに、ヤクザがやって来た。
とぼけることもできたのに真面目に返済を考えていると、とある暴力団の事務所に連れて来られた進藤。
そこで本部長という肩書きの富樫に出会い、気に入られてしまう。

自分に自信があり傲慢で何でも手にしている富樫は進藤に、何でもくれてやる、と甘言を囁き続けますが、進藤は何もいらないとつ…

4

好きになるということ 小説

谷崎泉  高座朗 

まだ終わらなかった…

『愛するということ』続編。

灰田が壱のもとで働き出すところから始まります。
ぶっちゃけてしまうと、二人、全然進展しませんでした。
なんとなぁーーーーくそんな気がしていましたが、やっぱり続くのか…。

前作でなぜ壱が必死にエリエゼルホテルの仕事を取りたがっていたのかが明らかになりました。
そして、灰田がエリエゼルホテルの仕事に関わりたかったのかも。

羽田が昔の俺みたいだ、と壱が…

0

愛するということ 小説

谷崎泉  高座朗 

『声』

柔らかな日差しが降り注ぐ、春。
この時季になると体調を崩す壱はどうしても取りたい仕事のため、体調の悪い中プレゼンを行う。
しかし仕事となると顔つきは変わりその様は堂に入っていて熱意が伝わる、が。しかしながら再プレゼンを言いつけられてしまった。
再プレゼンを言いつけられたこと、そしてその人物の『声』に気持ちが治まらないままだった壱。
そんな中、目の前に現れたのは、再プレゼンを突きつけてきた張…

1

落花流水の如く 諸行無常というけれど (2) 小説

谷崎泉  金ひかる 

絶食系受け

谷崎作品の受けって、なぜか恋愛小説の主人公にしてはお世辞にも恋愛体質とはいえない人が多い。仕事をさせればとても真面目で優秀、家族や仲間、友人なんかもそれなりに大切にしてて、別に薄情というわけでもない。でもその人生において、恋愛の優先順位はとても低い。仕事面で遺憾なく発揮されるすぐれた頭脳も色恋沙汰には切れ味鈍く、他人が自分に向けてくる好意に疎いし、自分自身の相手に対する感情もいまひとつつかめてな…

0

諸行無常というけれど 小説

谷崎泉  金ひかる 

それなりに面白いが、作者への期待値未満。

谷崎作品は好んで読んではいるものの、
これはできの悪い「しあわせにできる」みたいで
残念ながらいまひとつだった。

傲岸不遜な金持ちの御曹司で外交官の一之瀬と、
綺麗で有能ながら、何とも運に恵まれない朽木。
高校の同級生だった彼らが同窓会で再会したのだが……

一巻は恋愛って感じはない。
強姦で始まってとりあえず体はつなぎ、
心も繋がる予感……みたいなところまで。

一之瀬…

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