谷崎泉さんのレビュー一覧

魔法使いの食卓 小説

谷崎泉  陸裕千景子 

ぼんやりした味の料理みたい

面白いはず。
だって谷崎さんだし、きっと面白いはず、
と思いながら、読み終わってしまいました。

細部は面白い……んだけれど、
全体としてちっとも面白い!という気分になれない。
美味しい(はずの)料理……を並べられて食べてみて、
えっと?きっとこれ、素材もいいし美味しいんだよね?
でも薄ぼんやりした味で、今ひとつよく分かんないんだけど?
という感じの読後感。

       …

2

あなたの恋人になりたい 小説

谷崎泉  祭河ななを 

タイトル通り素直な、気持ち良く読める一冊

エリートサラリーマン青山、御年33歳。
高級マンションに妹と暮らし、自らの性癖に引け目を持ち
かつての傷から恋なんてもう望まない……と暮らしている。

そんな彼が、偶然に出会った普段は接点がないような男に恋をする。
相手は、神(じん)28歳、鉄骨鳶、ガテン系。


ルビーの本は、本の作り自体も中身も薄くって
あまり手を伸ばさないのだが、
谷崎さんだし……と読んでみたら、なかな…

2

ちゃんとわかってる 小説

谷崎泉  陸裕千景子 

甘くないのはかまわない

 中学の先生と鳶職という およそ接点のなさそうなお仕事同士のカップルだというので、そこに焦点を当ててるのかと思いきや、描かれるのは専ら先生の方の生徒に振り回される日々でしたね。鳶の日常ももっと読みたかったなあ。仕事柄鳶が命に関わる怪我をして、先生が病院へ駆けつけて「死ぬなっ!」とかいう展開があるのかと勝手に予想してたら、なんと病院送りになったのも先生の方だったし。そういえばわたしの同級生でも何人か…

3

真音 3 小説

谷崎泉  麻生海 

変わっていった皆の好機

元々ヤクザ要素のほうはおとなし目な話だが、最終巻では槙原の舎弟が銃撃されて、抑え気味だったものが一気に噴き出すような激しい展開になるのかと思っていたら、落ち着いた展開で読めた。

ここで槙原を止める為に覚悟を決めた富樫と進藤の関係がはっきりとして、それぞれの環境が変わっていく。

進藤も、彼の周りの人達もそれぞれに過去を見つめ直す転機があり動いていくのを読むと、巡り会わせの不思議というか、…

4

真音 2 小説

谷崎泉  麻生海 

過去に直面させられる人々の転機

二巻では一巻より踏み込んで各キャラの過去に触れていく。

この巻では、進藤の少年院入りの原因となった事件の真相を調べる人物が現れたり、さめさんが倒れたりした事でそれぞれ触れたくない過去に直面する事となる。
富樫の過去については最終巻まで引っ張られる訳だが、彼が変わりたがらない進藤の核心を突く一言ずつにははっとさせられるものが多い。

おそらく昔の因縁から犬猿の仲であるさめさんと富樫につい…

3

真音 1 小説

谷崎泉  麻生海 

少年院を出て間もない青年の転機

読み応えある二段組みで骨太な小説。
文章に癖があるって訳ではないが、食事に例えて言うならば早食いできずにじっくりと噛み砕きながら味わうように読み進める必要があった。
三人称なのに進藤、富樫、槙原の視点がしょっちゅう切り替わるが、それを追ううちに登場人物に感情移入してしまいそうになる。
まず読み始めてみて、薄幸とか心に傷を負っているっていうのと一線を引いた感じの、欲や願望が欠落したかのような雰…

5

エスケープ 小説

谷崎泉  如月七生 

こんな作品が埋もれていたなんて!

表紙を見る限りではBLとはとても思えませんし、そういうシーンも他の谷崎作品と比べてもかなり少なめ。
ただ、そういうわかりやすいエロよりもじっくり読みたいという方にはかなりお勧めしたいです。
ハッキリ言って面白い!
エロにページを割かれないせいか、事件と登場人物たちの心情や行動を満足いく形で読めました。
谷崎作品は好きで読んでいる方だと思っていましたが、まだこんなのがあったのかと嬉しくなりま…

6

真音 3 小説

谷崎泉  麻生海 

染み渡る作品。

拒みきれず、それどころか富樫を許容し踏み込ませてしまう進藤。
行かないで欲しい。
かつて誰にも思ったことのないそんな気持ちを富樫に覚え、戸惑う進藤にすべてを分かっている富樫はとことん甘い。

きな臭い諏訪組内部、組長が襲撃され槙原の運転手を勤めていた青木が槙原を庇い銃に撃たれ死んでしまう。
仇を取る、と気色ばんで飛び出す槙原。
槙原を捜させながらも本気で止めようとはしない富樫。
そん…

8

真音 2 小説

谷崎泉  麻生海 

伸ばされた手。

暴力団幹部である富樫に気に入られ、なかば無理矢理関係を結ばされた進藤。
抗いつつも、強引かつ執拗で、けれど優しい富樫に拒みきれず、ズルズルと体を許してしまう。

この巻では槙原の、富樫の、さめの、そして進藤の過去背負ったものが明らかになりました。
誰もが傷を抱え、そして闇を抱え、それを暴かれないよう誰もが口を紡ぐ。
そんな中、富樫は厳しいともとれる言葉を告げます。

「一生、背負って…

1

真音 1 小説

谷崎泉  麻生海 

さて、一体どっちがハマっていくのか。

ずっと気になっていたお話。
ようやく手に取りました。

母親が残した借金を取り立てに、ヤクザがやって来た。
とぼけることもできたのに真面目に返済を考えていると、とある暴力団の事務所に連れて来られた進藤。
そこで本部長という肩書きの富樫に出会い、気に入られてしまう。

自分に自信があり傲慢で何でも手にしている富樫は進藤に、何でもくれてやる、と甘言を囁き続けますが、進藤は何もいらないとつ…

4
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