水原とほるさんのレビュー一覧

災厄を運ぶ男 小説

水原とほる  葛西リカコ 

え?こういう話?

一言で言うと、
「執着攻めxロックオンされて雁字搦めの可哀想受け」。

主人公の秀一は既婚者子持ち。
で、一貫してずっと家族想いで妻と子供を大切に大切にしている。
なら何故BLが成立する?
そこに秀一の落ちた罠というか、不幸な偶然の積み重ねというか?

秀一は元々大手商社勤務のリーマン。
取引先の受付嬢だった美幸と恋愛結婚し、娘も産まれた。平凡だが幸せな家庭。
しかし実家は町工…

1

旭光に抱かれて眠れ 小説

水原とほる  兼守美行 

愛は「居場所」。護国の鬼としての場所で…

自衛隊内の特殊部隊のお話。
だから、ある意味ハードボイルドで硬派で、甘さよりももっと生に直結した欲求のような行為。

主人公は元特殊部隊員で、ある事故により負傷し後方支援に退いた秋元。
特殊部隊においての後方支援とはすなわち、より地下に潜る事。
「秋元」というのは偽名。
もはや元の名、生まれた時の自分は葬られている、ということ。
秋元が担当しているのは、特殊班のメンバーのスカウトと、…

2

青の疑惑 小説

水原とほる   

こんなSM関係なら読める!!

2007年刊。
電子書籍版は挿絵はないが、巻末に作中の一シーンが漫画化されたものが7ページ分掲載されている。
(*過去の小説Charaの"一部分のみマンガ化"って企画の再録らしい)

初期の水原さん作品の中では痛さを引きずらず、飄々とした雰囲気ってのが珍しい。
まぁ、受け・恭の過去は、昔の男と二人でのめり込んでいったという過激な行為の羅列だったが。
同じく初期の水原…

3

月下の縁 小説

水原とほる  ひたき 

いろいろと複雑なものを含んでいるなぁ…

2007年刊、電子書籍版では挿絵あり、作者とレーターさんのあとがきなし。
昭和30年頃の横浜中華街が舞台。
大陸(中国)人と台湾人、日本人がどうにか共存しているものの、そこにアメリカ人やらヤクザ者が絡んできて混沌とした雰囲気になっている。
そんなある時、偶然謎の大陸人・李 凱士(リーガイス)に出逢った瞬間に惹かれる何かを感じた双 麻晶(スワァン マーチン)。
う~ん…

そもそも晶は日…

1

二本の赤い糸 小説

水原とほる  金ひかる 

本当は欲張り…?

表紙からして3Pもの?
確かに「攻め2人に受け1人」の三角関係なんだけど、この場合、2人の攻めが納得づくで1人の受けを「共有」する、という関係性。
基本的に3人で行為、というのは無く、ある日は片方と、別の日はもう片方と、という関係です。
視点は、受けの一実(かずみ)。
攻めの克彦と英章とは高校の同級生で、もう10年来そんな関係を続けている、という設定。
一実が何というか…ひたすら従順、卑…

2

夜間診療所 小説

水原とほる  新藤まゆり 

したたかずるい大人には、こんな純な年下が似合う

訳あって、繁華街での夜間診療所を開いて1人で運営している医師・上嶋。
ヤクザの怪我の治療でぼったくったり、逆にホームレスや夜の街の外国人女性はツケで診たり。街でもなくてはならない診療所になっている。
そこにある晩怪我でやってきた若い男・敬になぜか懐かれ…
…と展開していきます。
上嶋は、ゲイ。
年下好きではあるけれど、一回り下の敬とどうこうという事もない…はずだったのに。
とにかく敬が…

2

愛の嵐 小説

水原とほる  嵩梨ナオト 

愛は過ぎ去り、また巻き込んで吹き荒れる

水原とほる先生の警察もの。

既婚の公安所属の三橋と関係している、知能犯部隊所属の十乃美土里。
溺れてない、愛など求めない。
そう決めて三橋との情事を楽しんでいたはずの美土里だが…

…そうはいかないわけだ。
逢い引きをヤクザ者に感づかれ、脅され、ヤクザの情報屋に成り下がる美土里。
その上、ノンケのはずのそのヤクザにカラダまで凌辱され。

…とストーリーが展開していきます。

1

仕立て屋の恋 小説

水原とほる  あじみね朔生 

美しい鳥は生贄

仕立て屋さんBLはコミックスでも小説でもいくつか読んでいて、そのどれもが結構好み。
そして本作も…
とっても心揺さぶられてしまいました。

母子家庭で育ち、一人で自分の進む道を紳士服の創り手として思い定め、フランスでの辛酸を舐めた苦労を経て今では東京で独立を果たしている河原清見が主人公。

ある日、病に倒れた社長の跡継ぎとして急遽ビジネスの世界に放り込まれた「御曹司」・三木恭介がスーツ…

3

アシメトリー 小説

水原とほる  高緒拾 

コンプレックスの昇華

2006年刊、電子書籍にて購入、挿絵なし。
今回の主人公・香津美(かつみ)は子供の頃より睾丸が片方しかないというコンプレックスを抱えている。
やむを得ない事情で摘出せざるを得なかったとはいえ、この手のコンプレックスは若いうち程根深いと思う。
香津美は17歳の頃に初体験の相手にその事をバラされたせいで、人間不信レベルのトラウマを負ってしまった。

そんな香津美だが、通いのクラブの飲み仲間の…

2

義を継ぐ者 小説

水原とほる  高階佑 

ハードLOVE。ヤクザBL

2010年作品。
ヤクザもの。
かなり終盤まで甘さは無くハードな展開。
…で。私こういうの大好物です。

主人公は美貌の組員、浅黄慶仁。
組員といっても、完全に本部内でカネの動きを操作している経済担当。
組長の慶次郎の寝室にまで出入りしているので、周囲からは「男妾」という目で見られている。だが実は…
…という慶仁の出生の秘密的な背景があり、そこに組長の急な死、そこからの跡目問題、反…

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