綺麗な絵はもちろんのこと、特筆すべきは海外小説のように粋な会話劇です。
構成も卓越しており、商業BLとして新しい試みがされた意欲作でした。
主人公の攻、不動が一人一人と真摯な恋愛をしていきます。
受のタイプはバラエティに富んでいて、どのキャラも魅力的です。
決まって受から別れを切り出されてしまうのが可哀想ながら面白いな、と軽い気持ちで読み進めていったら、不動の心情が吐露されたシーンが切なくて。
彼は常に、本気で嘘偽りのない恋をしているだけなんですね。
ネタバレになるので詳細は書きませんが、最終話で結ばれた相手とは三角関係になりそうな気配があり、作中で明確には語られていないことも相まってとても気になります。続編で詳細を明かしてほしいです。
しかし一番気になるのは1話冒頭でちょっとだけ出てきたジェーニャだったりします。
サンクトペテルブルグでのジェーニャとの3年間、どう出会ってどのように恋に落ちたのか、ジェーニャが不動との別れを決意するまでに何があったのか、美麗な筆致で読んでみたいです。
今後の作品にも期待しております。