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某海賊映画のようなスカッと感

続きものですので、前作「チェンジリング~妖精は禁断の実を冥王に捧げる~」を先に読むことをお勧めします。

いきなり急展開のところから始まり、その後アンリ皇子が生まれた頃からを現在までの過去を振り返り、前作のゼインとルカとの合流~妖精王に会いに行って国を救うまでの話。

ハラハラの展開が続き、海賊船でクラーケンとの戦闘で沸き立ち、アンリ皇子と聖騎士オルトの身分・年の差両片思いにジレジレし、最後は最大の黒幕を残しつつも、ひとまずの平和は取り戻して大団円。
もう内容が盛りだくさんで、あと2~3冊かけて読みたかったと思ったほどです。
でも最後まで夢中になって読んでしまい、とても楽しかったです。

チェンジリングのメインキャラは皆、高潔でかっこいいですね。
今回は特にルカ。やっとゼインと心が通じ合えて、一緒にいることだってできるのに、魔物に堕とされていく取り替え子たちの境遇を見過ごせず、救出のために別行動を決意したところがシビレました。

ルカやゼインの男前っぷりが際立っているため、今作の主人公であるオルトとアンリ皇子がやや押され気味のようにも感じましたが、今回はいちばんつらい運命を抱えていたのはこの二人ですし、きっと次回作が出ればさらに頼もしくなっているんだろうなと思います。

私は、主にアンリ皇子を応援するような気持で読んでしまいました。
生まれてから18歳の誕生日を迎えるまでの間、窓もない薄暗い部屋に押し込められ、オルト以外の人間とはほとんど話す機会もなかった生活で、よく素直に育ってくれたなあと思います。
一人称は「僕」ですし、オルトを無心で慕っていたり、初めての生理現象を病気と勘違いしてオルトに教わるシーン、初めて見る海の日の出に涙をこぼしたり…皇子らしい振る舞いの中に少年っぽさが見えて可愛かったです。
でも、ツイッターキャンペーンの後日談SSを読んだ感じだと、近い将来S系スパダリ攻めになってしまうのかなあ(笑)

それとこの物語での「真名」の使い方にも感じ入りました。
生まれた時から手に刻まれている自分自身の本当の名前。相手の真名を使って命令すれば言うことをきかせることができるのはよくある話ですが、この物語での「真名」はその人物の運命をも表していて、物語のキーワードにもなっているのですね。
あと、アンリ皇子が睦言でオルトの真名を使っていたのがすごく萌えてしまいました。こんな発想ができる沙野先生はやはりすばらしい。

続編については構想はおありのようですが、やっぱりまた売上次第なのでしょうか。明言はできないようでした。
でも奈良先生の挿絵がすばらしいので、ぜひまた商業で続編を出していただくことを強く願います。

蜘蛛の巣に絡めとられたのは・・・

「蛇淫の血」のスピンオフ。こちらも大好きな作品になりました。

ヤクザ×検事もの。いや~涼しげな美貌の検事さんがエロい辱めに合うのっていいですね・・・

高校時代の弓道部の後輩と先輩が大人になって偶然の再会を果たし、そこから始まる執着ドロドロストーリーです。
組織の抗争が絡んだある殺人事件の捜査をしていた神谷は、情報提供を持ち掛けてきた久隅と接触するうちに、ノンケの同僚事務官に対して抱いていた恋情を知られてしまう。そしてそれを脅しに久隅から身体を求められるようになるところから始まります。

なにが面白かったかというと、
頑なに「真実」に拘り、例え被疑者がヤクザでも無罪の可能性がある限り徹底的に捜査する優秀な検事の神谷、その彼が実は心の傷を抱えていて、破壊願望めいたものをもっているところです。
一方で久隅の方は、保護者である岐柳組幹部の叔父に憧れて自ら望んで極道の道に入りました。その生き方に後悔はなく、心のあり様がいたって健全なのです。
最初は脅迫関係にあった二人が、神谷の心の病みに引きずられてズブズブに嵌っていくのが耽美で萌えました。まさに「堕とされたのはどちらか」。

久隅が神谷を救出するために、誇りにしている背中の蜘蛛の刺青を自ら焼き潰す場面にも滾りました!
沙野先生の語りがまた巧いのです。普通なら激痛に悶えるところをじっと耐え、代わりに刺青の蜘蛛が断末魔の声をあげているかのような迫真の描写。
そして静かに涙を流す神谷を見て、神谷の中で自分の存在が大きくなっていたことを確信し歓喜する久隅の心の動き・・・まるで映画をみているようでした。

お互いの呼び方についても、とってもツボでした。
久隅は最後までずっと「神谷さん」呼びなのです。強引に身体を拓いてくるし、ヤクザらしく命令口調なのに「神谷さん」呼びのまま。
神谷の方は「久隅」と呼び捨てで、最終的に「俺を抱け」なんて命令口調の台詞が飛び出してきたりして、甘ったるい言葉などなくても対等で深く気を許しあった関係が伝わってきて胸熱でした。

ヤクザ・暴力描写、凌辱、3Pに耐性があるならば、夜明けタイプがお好きなお姐さま方にはぜひともおススメしたい作品です!

前作未読でも読めますが、「蛇淫の血」の登場人物が出てくるので、そちらを先に読んでいるとより一層楽しめると思います。
シリアスで終盤までハラハラが続きますが綺麗にまとまりますし、とても心地よい読書時間を堪能できました。

子蛇ちゃんの覚醒

ー凪斗(受)が敵の首元に匕首突き立て「俺に角能さん(攻)ください」ー
ーそれを聞いた角能は、凪斗に己の全てを捧げる決意を固めるー

終盤のこのシーンにもうどれだけハゲ萌え転げたことか!!



凪斗はヤクザの組長の隠し子でありながら、一般人の母親の元で、裏社会とは無縁の平穏な人生を送ってきました。
しかし跡目を狙う異母兄からたびたび脅迫を受けてきたため、巻き込んでしまうことを恐れて恋人も親友も作らず、寂しさを抱えて生きてきたのです。

そんな凪斗が唯一気持ちを吐露する手段だったのが絵を描くこと。しかしその絵が父である組長の目にとまり、凪斗のうちに秘めた気性を見抜かれ、後継に望まれてしまいます。

平穏な生活を望んでいた凪斗が、ボディーガード兼組長になるための教育係についた角能との共同生活の中で恋に落ち、極道の家を継ぐ決意をするまでのストーリーが紡がれていくのですが、この過程がなんとも切なく淫美で堪能させられました。


凪斗が最後まで家を継ぐことに抗い、角能や入院中の祖母を守ろうと独りで足掻いていたのがとても良かったです。

恋心を自覚していても、告げずに墓場まで持っていこうと決め、その思いとともに刺青を入れることを承知するというのも本当に切なくて切なくて・・・

角能の方も、最初は傲岸不遜な振る舞いをしていましたが、凪斗の内に秘めた素質に気付いた時から惹かれていきます。
でも角能の方にも、凪斗との関係に深入りできない理由があるのです・・・
互いに惹かれ合いながらも、気持ちを伝えられないまま体だけ重ねていく、その焦燥感を伴う二人の生活と、刺青入れる描写が切なくてエロくて素敵でした。

そして紆余曲折を経て冒頭で述べたシーンに繋がるのです。


いや〜本当に面白い作品でした。久しぶりに夢中になって読み耽ったと思います。

二人が「愛してる」と口にすることは最後までありませんでしたが、それでも互いをなくてはならない存在として固く結ばれたのは充分に伝わってくるので、すっきりと読み終えることができました。

沙野先生のエロチャレンジみたいな?シーンもあって面白かったですし。(後書き読んで、そこかー!と唸ってしまいました(笑))
続編があるようなので、楽しみに読みたいと思います!

ところで。
初版はもう十数年も前の作品のようで、本を探すのが大変でした。
できれば電子化か増刷をぜひお願いしたいです!