灼先生の作品を拝読するのは、『あおに鳴く』に続き2作目です。
約2日でのめり込んでしまったくらい、灼先生の作品は、私の観念や思想とマッチするのだと思います。
絵について。
瞳の訴える力や、身体の色気が物凄く、うっとりするほど好きです。
また、全ての言葉についてしっかり読み込む必要はありますが、読み込めば漏れなく全てに意味が詰まっているので、文字だけで赤面できます。
言葉の破壊力が高くて最高です。
八潮は優しいと、繰り返し出てきますが、この「優しい」が内包する意味についても色々考えられます。
この「優しい」や「甘い」の意味ついて、灼先生の作品ではちゃんと読み取る必要があると勝手に思っています。
ミツもトキも八潮の両親も、八潮に甘えている。でも甘えたからには、自分の罪悪と向き合わねばなりません。その深度の差が、関係値の深さの差に直結している。トキが逃げずに向き合ってくれて良かったと思います。
さておき、不老不死の謎について、「宿木」をヒントに考察してみました。
トキは黒髪だった頃、木の上にある宿木(丸い塊)と、地面に落ちて死んでいる鳥とを見比べて、「嫌だなぁと思った」と回想しています。
その時は何がどう嫌で何の話をしているのかわからないのですが、最後まで読んで、
これは「鳥のような生が嫌で、宿木のような生が羨ましい」という意味なのかなと解釈しました。
だから、ラストシーンの八潮への言葉が「俺に遺して 俺を息づかせて」という表現になる。
宿木は、鳥に実を食べさせ、運ばせ、新たな別の木にフンを根付かせてもらうことで、自分の種を繁殖させます。
トキは誰かの宿木になりたかったのかな?と、思っています。
ともかく、沢山考えられて、すごく読むのが楽しかったです。
本当に出逢えて良かった作品でした。
ありがとう!!!