ずっと気になった2人のそれから。
大学時代のバッドエンドの裏側をなぞるように進むこの続編。
コウの明るいやんちゃさは重硬い日高にとって太陽だったんだろうな。
そして年齢を重ねお互いが成熟するにつれ、関係性が変わるのを描くのもすごい。
しかしこの作品は自分の未熟な恋の難しさを思い出して心が痛いです。
失恋って自分の気持ちが理解できなかったり、状況の解釈不足や焦りや不安で自分発信で起きる事もあるんだけど、この恋もやっぱそうだったんだな。。
それってベクトルが相手に向いていないんだよね。落ち着いて人に対して思いを巡らせる様になるには、アドレナリンが出てる時期だと難しかったりするし...
しかしそんなメタ思考ができるようになるには成長と痛みが必要で。
呪いが溶けた日高と、情熱を出せるようになったコウ。
友情が恋愛になって始まってしまうことのもどかしさは別れてしまうとあれほど仲良かった人と縁が切れることだなと私自身思っているので、コウの寂しさは共感ばかりです。どうすればよかったかな、と思うよねほんと。。
せめて物語の中だけではこうすればよかったんだ、と思わせてほしいな。
この先に期待です。
当初中学生の甥っ子が成長して家長の叔父を長期戦で陥落させる話なんだけど、家族に対する細やかな感情を丁寧に描いていて、何度読んでも心が震える...。
大人側のユウジがバランスを崩して葛藤する様子もまた現実にありそうで心に痛い。
登場人物の性格や考え方の違い、特にハヤトの母親の描き方は子育てしている身としては受け入れ難いものの、一定数こういう人いるよね...と思える。
一般的ではない家族を描いた話としても先見性ばかりで唸っちゃいます。
こどもの成長は早く、大人は現実が止まっているような日常の中で変化は突然起きるもの。淡々と日常を描く中で起きるイベントに対する複雑な感情と心理描写を描くスキルは秀逸。
言葉のチョイスも秀逸で、口語の味わいや会話表現で関係性をテンポよく描くのも心地よい。
個性的かつ作家性が高く、力量にただただ感服です。
途中に出てくる弟コウと日高の続編の『STAYGOLD それから。』も素晴らしいです。