生化学研究所の同期、佐伯と千里の焦れったくも面白い、もどかしいラブストーリーです。イヤ、面白いんで一度読んでみて下さい。だまされたと思って是非。ホントにだまされたらごめんなさい。
資源の無駄遣いな男前・ヘタレ佐伯と、そんじょそこらの女じゃ敵わない美形・ツンデレで毒舌の千里は、大学生の頃からお互いに惹かれあってる訳ですが、互いに臆病で必死に隠し続けているので、伝わらない。もどかしい。ああもどかしい。でもそれがじっくり書いてあって、面白い。共感できる(のは私だけだったらどうしよう)。
千里視点で描く、せつない片思いがいいのです。と言っても主役カップルは結構愉快なんで、そんなジメジメはしてません。佐伯がだいぶみっともないくらいで。
そして特筆すべきが、脇役にはおさまらない変態・千石堂。千里いわく『肩書きだけは見事な変態』千石堂。最強にふさわしいド変態。何が変態って、言うこと為すことすべて変態。最強の美形変態。窮地に陥った佐伯に、取引と称してナイスな一言をぶちかまします。この変態けっこう好評を博したらしく、彼が主役の番外編も読めます。フェチの私にはたまらない、眼鏡攻め二本立て。おもしろかったー。
水泳の授業で移動中の受け。そのキレイな『乳首』に一目ボレし、権限使いまくりで寮の同室におさまり、弱みを握った上で『嫁にもらい受けたい(乳首のみ)!』と迫る。そんなカッ飛んだ攻めと、ヘンタイ君にじょじょに惹かれていく純粋な受け君のお話です。
ポイントはと言うと、やっぱり攻めのヘンタイぶり。ものすごいアブノーマルを期待した方には可愛らしい…というか全くフツーでしょうが、言ってる事もやってる事もとにかく笑えます。決めるトコはピシッと決めているようで、やっぱり変。そんな攻めを迷惑がり振り回されつつも、その人柄に惹かれていく、まっすぐで純情な受け君が可愛い。
内容としては、ふたりが意識しあう過程を丁寧につづった本編が六話。それと若いってイイなぁ、という感じのかわいらしい後日談が一つです。一冊まるまる同じ話をじっくり読みたい私は、大変満足させていただきました。
あと話の筋とは全然関係ないんですが、半分ちょっと手前のページの、右上の余白に入ったこの本のタイトル。なんか妙にハマッた場所にあって笑えました。