うお〜…おもしろかった…!
あと少しで会えそうで会えず、かと思えば事件に巻き込まれたりと手に汗握る展開ばかりで読み応えがありました。
このハラハラ感、たまらないですね。
…が、きちんと内容を正しく理解して読めたかどうかと考えると微妙なところなんですよ。
お話は文句なしにおもしろいのです。
蛍の部屋にいた彼らの正体が判明した瞬間は「ああ、そういうことか!」と興奮しましたし、2人の能力によって事件が解決し、再会を果たす流れも良かった。
しかしながら、時系列と設定のごちゃつきと、2人の恋愛面の駆け足さは否めなかったかなと、星4と迷い今回はこちらの評価になりました。
じっくり読んだはずなのだけれど、やはり入り組んだ時系列と特殊設定がいまいち頭に入って来ず、なんだかすごいことになっているぞと圧倒されながら一気に読みきった感じといいますか…
下巻の頭に相関図と時系列をまとめたページが少しでもあれば、もっと楽しめたのかもしれません。
そして、1番気になったのは2人の恋愛面について。
良い終わりだっただけに、これでは過去のエピソードが足りなさすぎてもったいなく感じます。
盛り上がるに盛り上がれませんでした。
お互いがお互いを支え合える素敵な2人ですから、少しずつ蓄積されていった想いの強さや、拗らせた感情、特別感のある関係性が見えるような学生時代のエピソードももっと見たかったです。
言葉を選ばずに述べるのなら、「まだよく分からないのにおもしろい気がする」作品かなと思います。
過去が見えてしまう者と、未来が見えてしまう者。
いわゆるオカルト能力を持った従兄弟2人の過去と未来が断片的に描かれ、これからなにか大変なことが起こってしまいそうな予感がひしひしとする、なんともいえないピリッとした空気に痺れました。
彼らの周りに散りばめられた謎を想像しながら、自分も一緒になってその行方を追いかける楽しさがありましたね。
ただ、うーん…
正直に言えば、なんとか世界観と設定についていくのに必死で、きっとこういうことなのかな…と脳内でまとめつつも、自分の中でちゃんと理解出来ているのかが分かりません。
親切な話作りか?と考えると否でしょう。
なので、上巻だけでは物語としてもBL作品としても評価が難しいところです。
下巻まで読んでから、上巻に戻ってきて読み込めばもっとおもしろいのかもなんて。
はたして2人は再会出来るのか?どんな関係性になるのか?
そんなことを期待しながら下巻に進みます。
義人と秋央の行く末が気になり、下巻まで一気読みして今にいたります。
結果、「俺と先輩」よりも「姉と俺」の読み手にしかわからない内面やお互いへの感情の方が好みだったかもしれません。
もちろん恋愛面も悪くはなかったのだけれど、目には見えない姉と弟の関係性の描き方が良かったです。
経験豊富でありながら、ある意味初恋を迎えたばかりの恋愛初心者の義人と、なにもかもがまっさらな同じく恋愛初心者の秋央。
恋愛面では秋央がちょっと面倒くさいタイプだなあと思うこともありましたが、義人がそんなのは些細なことだとまるっと受け入れるタイプでしたので安心して読めました。
蓋を開けてみれば、どちらも同じくらい重い破れ鍋に綴じ蓋CPでしたね。
今後が楽しみな2人だなと思います。
ただ、やはり途中から駆け足気味…ジェットコースターのような展開でややバタついて見えてしまったかなと星3寄りのこちらの評価になりました。
上巻はバランスが良くおもしろく読めた分、下巻もそのままのおもしろさで読み切れたのならと惜しいです。
特に結びの部分はもう少し余裕を持ってじっくり読みたかったですね。
既刊「おさななじみに彼氏ができた話」に触れた際にも感じたのですが、導入時点で読み手の興味をぐいっと物語に惹きつける力がある作家さんだなあと思います。
あまり見たことがない切り口というか、既存の型にはまらない設定と話作りがおもしろいんですよね。
次はどんな展開になるのかを予想しながら、ページを次々とめくって追いかけたくなります。
個人的に、女性が多く登場するBL作品は、女性を作中でどのくらいの塩梅で動かすのかが鍵な気がしていて。
薄すぎても印象に残らず、かといって出張りすぎてもキャラクターの質によってはうるさく感じてしまうことも。
ただ、パース先生の作品に登場する、主役級になれそうな女性ってすごく魅力的なんですよ。
今作も主人公・秋央の姉の冬子がとてもよかった。
うーん、かっこいいです。好きですね。
姉と俺と先輩と…と、文字だけを並べてみると複雑そうに見える関係性だというのに、気がつくとなんだか自然とBLになっていて、その合間に家族や姉弟関係についてもさり気なく描かれているんです。
全体的に冬子の立ち位置が非常にうまく活きているなあと。
ついつい姉の冬子のことばかり書いてしまいましたが、秋央と義人のちょっぴりややこしい恋愛面に関しては、喜怒哀楽が激しい秋央はかわいらしかったけれど、萌えたかどうかと考えると微妙なところ。
上巻時点では探り合いというか…ぎこちのないシーソーゲームのような不安定さがありましたので、この上巻の結びを見ればやはり下巻に期待を膨らませたいです。
ああもう、なんてかわいい2人なんだろう…!
はちみつのようなとろ〜っとした甘みが全ページにわたって広がり、読後は多幸感で全身が満たされます。
3巻まで2人の部屋の壁と床をやっていて良かった…オタク冥利につきます。
なんだかとても癒しに癒されてしまいました。幸せだ〜!!
恋愛初心者だった心くんが急成長を見せた2巻から、さらにステップアップをした3巻。
いやあ…どこを開いても最高じゃないですか?
まるで今までコツコツと2人で育ててきたどでかい気持ちが爆発したかのような、全編高糖度ボーナストラックが待ち受けていて頬がゆるみっぱなしでした。
大好きじゃ足りないくらいに好きなんですよ…全細胞で自分を覚えてほしいんですよ…これにはやられた…
初かつ念願のアレももちろん良かったのだけれど、どちらかというとお互いのことを本当に大切に思っているのが分かる、ストレートな愛情表現の数々に萌えた自分がいます。
燈先輩の涙もすごくよかったなあ。
個人的に、受けがかわいいのは当たり前のことだと思っているのですが、攻めが受けの前ではかっこよくもかわいくもなってしまう現象がツボでして。
受けにかわいいと思われている攻めも、そう思っている受けもかわいいななんて。
この2人はまさに!な組み合わせだなあと感じています。
願わくば、このままなんの波乱もなくひたすらに甘い愛し愛されな日々を応援しながら見守りたいです。
「可愛いの更新が止まらない」が名言すぎて…
1巻読了時に、次巻はもっと甘くなるのかななんて思っていたのですが、想像していた甘さをポンと軽く飛び越えてきてくれて多幸感でいっぱいです。
好きの2文字がとても印象に残る2巻でした。
シンプルな言葉ではあるのですけれど、シンプルだからこその良さがこれでもかと効いていて、大好き同士が真剣に向き合って恋を大きく育てていく姿には癒されるばかり。
なんて、なんてかわいらしい2人なのか〜…!
先輩からの愛情という名の水を毎日与えられて、すくすくと成長する心くんのかわいさのポテンシャルの高さに悶え、そんな心くんの急成長を時に持ち前の包容力を持って見守り、時に余裕がなくなるキュートな一面を見せてくれる燈先輩がツボにはまり大変でした!
記念日の度に写真を撮る2人も、遊園地でデートを楽しむ2人もとってもキュートで、なんだかもう読めば読むほど2人のことが大好きになってしまいますね。
お互いに恋人のことを大切に思っているのが手に取るように分かるので、安心して流れに身を任せて読みながら甘さをたっぷりチャージできるのもうれしいポイントかなと思います。
嫌な当て馬も嫌な人も登場せず、ただただ微笑ましく2人の成長を見守ることができる良作でした。
次巻ではどんな急成長を見せてくれるのかが楽しみです。
「愛とかいらない」と受けとくれば、これでもかというくらいどろどろに溺愛されて、身も心も愛でいっぱいになってわからせられてほしいなあと思います。
2人の関係性がわかるまでのテンポがあまり良くはなかったので、読み始め時点ではもしかして続刊から読んでしまったのか?と一瞬戸惑ってしまったのですが…
バックボーンが語られるにつれ、甘やかし愛でながらそっと囲い込み、心くんの恋愛感情の芽生えをじっくり待つスタイルの燈先輩の忍耐力と自制心の強さにすっかりやられてしまいました。
やさしさとお砂糖たっぷりの甘さと包容力と溺愛攻めの素質を兼ね備えているのが確定している、とても良い攻めっぷりに乾杯。
そして、自身の中で生まれた未知の感情に戸惑う、恋愛初心者マークの心くんを「その気持ちはどこからどうみても恋なんだよ…」と、頭に殻をつけたままよちよち歩くひよこを見守るような気持ちで最後まで楽しく追えました。
1巻でこの甘さですから、これはもう2巻目以降はきっともっと甘いに違いないと今からわくわくしています。
がんばれ心くん!がんばらないで!燈先輩の理性!
次巻ではどんな愛らしい姿を見せてくれるのかが楽しみです。
1ページ1ページ細部まで丁寧に描き込まれていて目が楽しかったです。
モノクロのはずなのにキラキラ光って見えるのが不思議で素敵。
THE王道なお話だったかなと思います。
海外要素はやや薄めに感じられましたが、全体的に雰囲気もテンポもよく読みやすいです。
主人公のリクに関しては、1人でぐるぐると思い込んでは突っ走り…ばかりだったので、うーん…残念ながら自分の好みのタイプの受けではなかったかなと。
ただ、年上攻め・ジョシュアが良かった。
溺愛・大人の余裕・包容力と、甘やかし系年上外国人攻めに揃っていてほしい要素がズラリと並んでいるうれしさ。
どストレートなかわいがりって、なんでこんなに糖度が高いのでしょうか。
べたべたに甘やかす姿にすっかり癒されてしまいました。
しかしながら、ジョシュアの愛で方はとても良かったのだけれど、恋愛感情を抱くきっかけがちょっと弱めに思えたことと、想像が出来る展開だったこと。
そして、リクのキャラクターが自分には合わなかったためこちらの評価になりました。
どちはかというと、リクよりもリクのルームメイトのジンくんの方が気になってしまったなあ。
オフの姿とタトゥーアーティスト時の髪型のオンオフがツボでした。
彼のお話も読んでみたいです。
モノクローム・ロマンス文庫のディープ・エッジライン。
黒地に真っ赤な文字で「ヤバい恋、あります」なんて書かれてしまったら、これはもう読むしかないでしょう。
結果、非常にディープで読む人を選ぶ内容の作品だったかなと思います。
とある大富豪に引き取られた、人を殺めることになんのためらいもないサイコパス7兄弟の恋を描いたシリーズの1作目となる今作は、美しい容姿を持つ末っ子・アダムが主人公。
かつてまだ少年だったアダムによって父親を殺された青年・ノアとの出逢いから始まる物語…と、この時点で愛憎入り混じるドロドロの展開を想像したくなるところなのですが、予想に反して不思議な読み心地になる作品でした。
正直、アダムのサイコパス感は期待していたよりもやや薄く感じられたものの、読んでいてなんだか変な気持ちになるんですよ。
アダムとノアの両視点で綴られる、ノアの父親が殺された理由を彼らとともに紐解いていくうちに、だんだん自分の中の「普通」の感覚が麻痺していくんですよね。
殺人を犯しているはずのマルヴァニー一家の方が正しいもののように見えてくるというのかな…
もちろん決して褒められた行いではないのですけれど、ある意味ダークヒーローのようにも見えてくる不思議。
それもこれも、作中で描かれていた犯罪がどれも卑劣であり、その一方で粛清する側のアダムたちのキャラクターが魅力的に見えたからなのかもしれません。
そして、世界観も題材もダークだというのに、アダムとノアの関係性が終始甘くて驚きました。
どう見ても2人ともどこかがおかしいんです。
ただ、第3者から見ればおかしくても2人の間では成立していて、とびっきり甘い恋模様を繰り広げてくれる姿はまさに破れ鍋に綴じ蓋。
愛を理解できないアダムの執着にも似た一途さと、読み始めと読み終わりで印象ががらりと変化するノアの相思相愛っぷりは好みでした。
個人的には、海外にはこんな切り口のお話もあるのだなとおもしろく読めたのですが、やはり題材的にも少々好みが分かれそう。
次巻はまた別の兄弟の恋が見られるようなので、7人分じっくり追いかけたいです。
注意点があるとすれば、犯罪の種類において、いわゆる地雷的な苦手要素がいくつかあるよという方にはあまりおすすめはできないかもしれません。
特に子供がつらい目に遭うのが苦手な方は間違いなくしんどいです。
フィクションとして分けて読める方は問題なく読めるかなと思います。
2006年に発売された、ややダークな方の国枝先生作品が集められた短編集。
どれもこれも短編ならではの味のある作品ばかりで、その後を想像したくなるような余韻がたまらなく良かったです。
余韻といっても爽やかな余韻ではなく、どことなく仄暗さが漂います。
なんともいえない雰囲気があって魅力的な1冊でした。
「いつか雨が降るように」
どう見てもカタギではない男と記憶喪失の少年が、ひょんなことからひとつ屋根の下で暮らすことになるお話。
少しずつ交流を深める彼らのほのぼのとした生活を微笑ましく追っていると…ピリッと重たいスパイスが加えられているではありませんか。
今後がどうなるのかがわからない結びで、短編の良さが1番活きていたように思います。
「不定周期/確率変動」
外見は綺麗でも、掴みどころがなく本質がよく分からない男性キャラクターって特別な魅力があるなあと感じた2作。
作中の彼らは友人でも恋人でもありません。
なのだけれど、節目節目で再会する不思議な関係。
それは偶然なのか?はたまた運命なのか?
存在自体が謎めいた仁見という1人の男に、津田はもう一生囚われて生きてしまいそうですね。
「水鏡」
どの作品が1番救いがあったのか?と考えると、こちらの作品なのではないでしょうか。
美しい同級生に片想いをする大学生・早瀬の一途さと、ちょっとの情けなさ、素朴な包容力が素敵でした。
片想いものでもあり、双子ものでもあり、救済ものでもある…と、非常に具沢山です。
けれど、すっきりとまとまっていてあと味も良かった。
綺麗な夏の夜明けを感じさせる1作でした。
「秘密と嘘」
読み始めからは予想がつかない展開と、結びでしっかりタイトルを回収する構成の上手さに唸ります。
佐々木が抱えている罪の意識がどこからくるものなのかを想像しながらページをめくっていくと、想像以上のものがパンドラの箱から出てきて驚きました。
読む人を選ぶ作品かなと思いつつ、佐々木の内面の複雑さには惹かれるものがあります。
「ひとつのふとん」
良い意味で1番こちらのレーベル色が薄い作品でした。
一人暮らしを始めた兄の部屋を訪れた、兄よりもしっかり者の弟による兄弟のお話。
すごく切なくて、同時にあたたかさも感じる1作です。
なんでも知っていると思っていた相手の、知らなかった一面を知った人間の心理描写が秀逸で苦しい。
ひとつのふとんで眠っていたあの頃を時折思い返しながら、きっと今までよりもより良い関係になるのだろうなと思える希望のある結びでした。
「呪」
国枝先生の初コミックス「夏時間」のその後のお話。
3Pほどの短いお話なので未読でも問題なく読めるかとは思いますが、やはり元作品を読んでいた方が楽しめそうですね。
とある男の呪いを受けて以来、刹那的な触れ合いを繰り返す青年。
何がどうなって彼はこの生き方をしているのか?と、元作品も読んでみたくなりました。
発売から19年が経った今読んでも、刺さる人には刺さりそうな作品が詰め込まれた1冊だと思います。
ものすごくダークとまではいかないけれど、薄暗さを感じるお話が読みたい方におすすめしたい作品集です。