落ちるという意味では同じようなもの。
読み終わって改めてタイトルを噛みしめます。語感が良すぎる。
以下ネタバレありの個人的な感想です。
まーくんが自分で作った薄暗い「ユートピア」から抜け出して出会ったのが、「「可愛い」インフェルノ」。
「可愛い」って言葉はお互いが別の世界の生き物っていうある種の壁です。まーくんは一線引いて突き放すためにもその言葉を使うんだけど、仁が最終的に壁ぶち抜いて、まーくんを引きずり落とします。無知で無垢で無鉄砲で普通で平穏な地獄。まーくんが捨ててきたものの塊。
まーくんが持ってる力は多くの人が喉から手が出るほど欲しいはずなのに、仁はそんなもの使えなくてもいいし、なんなら警察に捕まえさせてでもとにかく会えればいいって言い切るんですよね。何だそのピュアな好きは…。そりゃまーくん落ちるよ。まーくんっていう力に固執したタツミとの違いはそこですよね。
炎の前で仁に望みを言わせるまーくんの魔人感が最高でした。
まーくんは結局犯罪者ですし、普通の生活を失ったのも完全に自業自得、若気の至りの結果なので、その辺倫理的に受け入れられない人もいるかもしれません。彼は別に後悔してないし、何か償ったりしないですからね。
自分勝手なキャラって相手がかわいそうで好きじゃないんですが、このカップルは二人ともそこそこ自分勝手なのでバランス取れてるから良いです。まーくんはスパダリというよりは魔人攻だと思います。
あとこのお話、仁にハマれるかで評価がガラッと変わりそうです。タツミとの関係性の方に萌える層も結構いるのでは?
私はタツミがあまりにもまーくんへの執着を隠さないので、「おまえそんなに心丸出しで大丈夫なのかい…」と読んでて心配になりました。共感性羞恥というか…。そんなに頑張っても君は絶対選ばれないんだよ?!と。番外編で描かれてた「楽しもうぜ」のところでもう、まーくんの中では終わってたんでしょうね。案の定一分の隙もなく振られてて(おまけに金も持っていかれ)、朝田先生容赦無いです。高飛び先でいい相手が見つかるといいね。
受にズブズブになっていく攻という図が見たかったので、SpecialTrackで堪らずドタドタ出てくるまーくんが見られて良かったです。
仁は自己評価もコミュニケーションの経験値も低いから、懐いた相手にものすごく無防備なんですよね。
「可愛げ」の描写が安易に顔の造形とか性的な部分で描かれてないのがすごく良かった。そして性的なムードが居た堪れなくてついつい回避しちゃう感じがすごくリアルでした。ザ・マグロ。
これからどんどん慣れて解放的になるのかな…と妄想するのもまた楽しい。いいお話でした。