初めて読んだのはずいぶん昔ですが、しっかりとした設定とストーリー、なにより二人の考えや感情の人間らしさ(片方は妖魔ですが)にすっかり惹かれてしまったのを覚えています。
ストーリーは他の方々が説明してらっしゃるので省きますが、この物語の魅力は主人公二人のキャラだと思います。
唯我独尊で、平安時代の若い頃には荒っぽい子どもそのものであった司野(攻)ですが、一人の陰陽師に躾を受け、情緒を学び、その人の死を経験した後に1000年という時を一人で過ごすことで、非常に思慮深くなっています。彼がこうなるまでにどれほどのことを考えてきたのだろうと思うと、愛しいような切ないような、なんとも言えない気持ちになりました。
受けの正路はおっとりしていて抜けているようなところもありますが、人の本質を見抜く力と何事にも一生懸命に頑張る素直さがあり、こちらも非常に好感が持てました。あまりにも冷静でそっけない感じの司野の、本当は純粋で好奇心旺盛なところや、かつての主であった陰陽師辰冬さんの教えをきちんと心に留めて受け継いでいるところを、しっかりと理解しています。
「司野は完璧だが、それは彼が妖魔だからでは、きっとない。そうではなくて・・・努力しているからだ」という正路のモノローグに、ジンと心が温かくなりました。
ストーリーはオカルト要素があり、とても面白いです。
この設定よく考えたなーと思いました(笑)