2作目を買ったので読み返し。
史郎とれんげが両想いの恋人になるまでのお話です。
高校生のときの体育の時間のけががきっかけで、史郎のやさしさに触れ、ずっと片思いをしてきたれんげ。
大学生になって再会し、史郎と恋人になりたい、と、あれこれがんばります。
その努力がまずかわいい!
金髪にしたり、耳たぶにピアスをあけて膿ませてしまったり、片乳ピアスをあけたり、見た目を史郎の仲間に近づけて、さらにもう一歩、がんばってそれっぽいノリで話しかけ、それっぽい場所についていき、なんとなくでホテルに行ってセックスしかけてしまいます。
何番目でもいい、一番さいごでもいいから史郎くんの恋人になりたい、と涙の告白、好き好き連呼しながら、史郎に抱かれて気持ちよくなってしまうれんげ。
危ないよ、心配だよ、ひどい目にあわされちゃうよ、誘拐されちゃうよ、騙されちゃうよ、とハラハラしてしまうかわいさです。
ずっと好きでした、とかわいい告白からの史郎の言動がクズ!すっごいクズです。
しかし、れんげほどかわいくて純粋で純情でまともな子に全身全霊で好かれることを自覚した史郎が、徐々に変化していく様子は小気味よく爽快で、そして萌えるものでした。
この後にめちゃめちゃラブラブなバカップルになっていく次作を思い浮かべながらの再読は、一読目よりさらに楽しめました。
是時、揃えてから読まれることをお勧めします。
同人誌のほうでそろえていたのを2巻発売を機に商業で購入しました。
単行本はまとめて読めるので、世界観に浸れていいですね。
田中森よこた先生の作品は、エロエロとあまあまが同居しているところが、ほかの作家さんにはない味だと思っています。
ぴりり、ずきん、という陰の雰囲気が混じる作品もあるのですが、今作はとにかく、かわいくてかわいくて、そしてかわいいです。
安心して楽しんで萌えてください。
元ヤリチン、ちょっとクズ味の強い史郎くんが、友人たち、セフレたちに、恋人一筋宣言をするところからお話は始まります。
ふわふわ、かわいくて、史郎くんの言いなりになっちゃうれんげ。
いろんな場面で搾取されるのでは、ひどい目にあわされるのでは、哀しい目にあわされるのでは、と心配になりますが、読み進めていくにつれ、その芯の強さ、肝の座り方に気づかされます。
他の相手とだと、何かしらのもめごとや問題が起きそうなちょっと変わった史郎とれんげ。
でも、この2人だからこそ、ぴったり、しっくりくるのが、読んでいて幸せ、萌えるところです。
ちょっとはらはらするシーンもありつつ、全体的にとにかく甘くてかわいいです。
キャラクター設定も出会いも展開も突拍子もないです。
さすが峰島なわこ先生!
峰島なわこワールドという感じで入りからしてワクワクします。
極度のあがり症でアイドルでありながらファンサができず、超塩対応を続けてきた向島碧。
弱小PR会社のインタビュアーの名前を見て、生涯の推し、かつての伝説のアイドルではないかと新司に取材を受けるのが出会いです。
アイドルと一般人が出会うパターンで取材の場、というのはありそうですが、それ以外はすべてぶっとんでいるのが楽しいです。
そしてそのあと、アイドル指導をお願いする碧と、性欲解消に付き合ってくれるなら、とセフレを交換条件に持ち掛けた新司康弘。
伝説のアイドルなのに、アイドルになったきっかけも、やめた理由も、セックス、というのもすごい。
さすが峰島なわこ先生。
若いころから奔放でおじさんになるまでの年月でいろいろな経験を積んできたであろう新司康弘の手練手管にあらがえるわけもない純情童貞の向島碧。
騙されちゃうよ、攫われちゃうよ、と読者ながら心配になってしまいます。
セクハラつきの指導を経て、ファンサの改善ができた向島碧。
さらなる高みを目指して、なまめかしいあれこれつきのアイドル指導が始まります。
うーん、楽しい、楽しすぎる展開!
セクハラつきの指導を楽しんでいたように見えた新司が、碧からの恋愛感情に気づいて、さっと一歩引く様子には驚きつつ、素敵だと思いました。
性に奔放だけど、ちゃんとした大人で、アイドルの先輩なんだあ。
そんな中、唯一、碧がアイドル指導を受けていたことを知っている(お膳立てした)碧の所属するアイドルユニット「Gracia」のマネージャーが新司を呼び出し、問題になる前に指導を終わらせてと頼み、新司はこれを受け入れます。大人同士のいろいろな事情を考慮しての話し合い、そこに乗り込んでくる碧。
新司の「ファンも恋人もだなんて欲張っちゃ駄目だよ」というセリフは、元アイドルで、今は立派な大人からの重たい言葉でした。
しかし、それは過去の新司の言葉、「大切だからこそ両立させなきゃ。楽勝ですよ」とは真逆であること、だからこそ好きになったと告白する碧。
碧のほうが一枚上手、になってきます。
翻弄されて赤くなって慌てていた純情な子犬が、しっかりした男らしさを見せる様子にきゅんきゅんします。
困難があっても立ち向かっていこうと両想いを確認した2人。
そしてそのまま4か月たった後の再会、が、平成初期のトレンディドラマくらいロマンチックで、読みながら両手両足をじたばたさせてしまうほどでした。
会えない間もさぞかし自習してたんだろうな、という成長ぶりも見どころの一つです。
感動の再会からの感動エッチ、そして事後の会話。とてもドラマチックでかわいくて素敵でした。
事故後、意識不明の状態が続く白鳥、そして自分はその白鳥だと自称する瀬野。
名塚は、事故当初はやむを得ず、そのあとはおそらく成り行きと決断できない優柔不断さから、瀬野(自称白鳥)との暮らしを続けてきました。
思いを伝えあい激しく愛を交し合ったその時、白鳥が目を覚まします。
困惑する名塚と、覚悟をしていたのかためらいなく(見える)言葉を次々と投げつける瀬野。
そのまま去ろうとしていたのに、名塚に「お前は一体誰なんだよ!!!」と怒鳴りつけられ、仮面のような表情がはがれてしまい「教えてわかるならこんな事しない」と帰す瀬野。
謎はとけないまま、苦しさが増す展開でした。
退院後、帰宅した白鳥を訪ねてきたのは義理の姉となった、過去になにやらあったことをうかがわせる厚顔な言動の美しい女性でした。
清廉潔白な美しい人だと思っていた白鳥のそんな様子を見たあとに、徐々に自分の気持ちを理解していく名塚。
ようやく瀬野のことを考え、最後のセリフの意味を知りたくなります。
追いかけて追いかけてついに瀬野の正体、本当の気持ちを知った名塚が、ようやく自分の気持ちに正直になり、白鳥に、瀬野に本心を伝えることができた、といういったんのラスト、から、瀬野の過去を訂正に描く話に入ります。
簡単にハッピーエンドで終わらせてくれない、ためこう先生のストーリー展開、好きだけどきつい・・・
名塚以上に鬱屈していて執着していて苦しい瀬野の心情が切ないです。
大なり小なりあるものの、重ための問題が抱えた人ばかりが出てくるお話でもありました。
好みがわかれるところだと思いますが、予想のできない展開が続く深いお話でした。
ためこう先生の作品は全て持っていたと思っていたのですが未読のまま、CDを聴く機会がありあとから購入しました。
CDで物語はわかっていたとは言え、読んでいて、やはりせつなく、きつく、苦しく感じました。
高校時代からの親友、白鳥にずっと片思いをしているけれど、その恋心を打ち明けるわけにはいかず、親友という立場を守り続けている名塚。
その鬱憤をセフレの瀬野で晴らしているのですが、言動がクズ男そのもので、かなり胸糞悪いです。
瀬野はごつい系のアクセサリーとタトゥがあり、名塚の都合で振り回されている、本心が読めない男、という印象ですが、事故後に、自分は白鳥だと言い出します。
まさかそんなことがあるのか、いや、創作ものだからありえるのか、と後半の種明かしまで、名塚同様、瀬野の言動に振り回されてしまいました。
白鳥を汚したくないから瀬野で憂さ晴らしをしていた名塚が、外側が瀬野で中身が白鳥ならば、とついに思いの丈をぶつけていく様子は、せつなさより身勝手さを感じました。
他責思考が過ぎる、というか。
絵がキレイで繊細なので、より、そのクズさ、身勝手さが引き立っていたように感じます。
CD視聴済で展開を知っているのに、白鳥が目を覚ますシーンでは、やはりハラハラしてしまいました。
題材と人物設定から、好みがわかれるところだと思いますが、途中でやめずにまずは上下通して読んでみてほしい作品です。
ためこう先生の作品は全て持っていたと思っていたのですが原作未読でメインの声優お二人目当てで聴取しました。
で、聴取後に原作を購入、読みました。
せつなさと苦しさを全編通して感じる作品でした。
聴いていてとにかく苦しいです。
奇妙な三角関係、片思いと執着と、身勝手が錯綜するお話です。
高校時代からの親友、白鳥のことがずっと好きだけど、その恋心を打ち明けるわけにはいかず、親友という立場を保ち、守り、その鬱憤をセフレの瀬野で晴らしている名塚。
瀬野に対する言動も、白鳥に対する言動も、自分勝手でなかなか胸糞悪いです。
名塚を訪ねてきた帰りの白鳥と、むしゃくしゃした名塚に呼び出された瀬野が交通事故を起こしてしまい、白鳥は意識不明の重体になり、目を覚ました瀬野が自分を白鳥だと言い出し、名塚との暮らしが始まります。
さすがに嘘だろうと思ったり、瀬野(体)の発言でやはり、白鳥と心が入れ替わっているのかと思ったり、まったく予想できないまま物語は進んでいきます。
白鳥が目覚めて瀬野の嘘と正体が判明し、物語が一気に展開していくのですが、驚きの連続でした。
それぞれ内に秘めたものがあり、傷があり、相手によって言動に温度差があるところ、実際の社会にもある現実味を強く感じました。
そしてそれを演じる声優のお三方の声色、声の表情の使い分けに感心しました。
最後はハッピーエンド、ではあるけれど、ちょっとしっくりこない、というか、もやもやが残るラストでした。
でも、この2人が晴れていつまでも幸せに暮らしましたとさ、とはならないところも、現実味があり、納得のできるラストでした。
圧倒的受けの印象が強かった斉藤壮馬さんが暗い感情満載の攻めを演じていらしたのが、個人的には最も印象深かったです。
2人それぞれの場所での交流関係が育ち、深まっているのを冒頭で感じ、勝手に親戚のおばさん気分になり目頭を熱くしました。
2人の関係は静かにゆっくり深まっているけれど、結婚という形を気にし始める晴斗、とそのあたりのことには鈍感な雅。
歪んだ意識、偏見を持つ両親に育てられ、追随して歪んだ弟にもひどい目にあわされ続けてきたはずなのに、傷つき尖りまくって現れ暴言を吐く弟に寄り添い、力になろうとする雅。
晴斗のプロポーズの言葉に戸惑ってしまうのは仕方のないこと、簡単にうれしい、と返さないところが、この作品、シリーズの深みのあるところであり、読者の胸をざわつかせるところだと思います。
晴斗が考えに考えて、言葉や場面を選んで雅の心に寄り添い、愛を伝え続ける様子が素晴らしく美しいです。
雅の家族に対する言動のひとつひとつが本当にすばらしくかっこよくて感動します。
2人のすること話すこと、感動がたくさんなのですが、個人的には、プロポーズをする場所、内容について、迷った挙句に相談してしまうところです。
この2人らしい、お互いへの愛情に満ち満ちた相談に幸せな気持ちになります。
お伽噺の王道中の王道のラスト、そして2人はいつまでも幸せに暮らしました、めでたし、めでたし、という言葉を唱えたくなる、素敵で幸せなハッピーエンドでした。
罪なくちづけの続編。
原作未読ですが、CDの前作は聴取済み。
前作もそうでしたが、いろいろとありえないエピソードが満載でした。
穴だらけの捜査に、規則どこいったという感じの警察官のやり取り。
でも、前作同様、殺人事件の絡む刑事もので、ハラハラワクワク、楽しめました。
犯人は割と早いうちに、この人だろうなというめぼしはついたのですが、もう1つの殺人事件と絡んで複雑であり、背景や真相は最後までわかりませんでした。
刑事と会社員カップルはメインのようでいて、メインではない登場で、2人の夫婦漫才のようなやりとりが楽しめましたが、2人が主になるストーリーはほとんどありませんでした。
今作がBLものとして珍しいと感じたのは、友情を主軸に描いたところではないかと思います。
2つの殺人事件、加害者と被害者、2人の抱える思い。
とても切なく、優しい愛に満ちた言葉がつづられていて、聴きながら涙が止まりませんでした。
個人的には本宮秀紀を演じた深みがある諏訪部順一さんの声がとても心に響きました。
原作未読。
刑事と突然、殺人事件の容疑者になってしまった会社員がメインカップルのお話。
いろいろとありえないエピソードが満載で、驚きながら聞きました。
20年前の作品なので、当時はそれくらい大げさなほうがドラマチックでよかったのかなと思いましたが、それでも、仰天もののエピソードが多かったです。
野島健児さん演じる田宮吾郎が、飲んだ帰りに男に強姦され、それを公表できずにいるところはまあ、まだわかるとして、そのあとに、知り合った、味方をしてくれた、刑事、というだけの男に無理やりとは言え犯されてしまうのは、ちょっとやりすぎな気がしました。
トラウマで心療内科に通うレベルの事件だと思うのですが、そこから恋心を抱くようになる展開は、どうにも謎でした。
刑事ものの小説、ドラマが好きなので、そちらを軸にしてみるとわりと面白かったです。
愛憎がらみの殺人事件、本当の犯人はだれか、という展開。
割と序盤で、こいつが犯人だろうな、というのは聴いていてわかりましたが、吾郎がふわふわぼんやりしているので、なかなか気づかず、またも襲われてしまうのは、またか!と笑えるほどでした。
置鮎龍太郎さん演じる高梨良平の言動は、警察官としてはありえないことのオンパレード、時代劇ならあるかな?というレベル。
でも、調子がよくて、優しくて、強情なところは憎めない印象でした。
メインのお二人、同僚、3人の声優さんそれぞれの魅力的な声を楽しめる作品でした。
原作既読。
小野友樹さん演じるオメガで、次期組長の花村義治も、松田健一郎さん演じる義治の弟分で舎弟で相棒でベータ偽証の斉藤真。
どっちもとてもかっこいい男性でした。
原作も勢い、気風、主義、いろんなものがかっこよいと思いましたが、音声がつくとさらにその世界観に色がついて格好良さが増したように感じました。
お見合い相手の野望あり腹に一物ありのアルファの男たちの嫌らしさは倍増、嫌なやくざの雰囲気がすごく出ていて、やっつけられるシーンは爽快でした。
唯一の女性の登場人物で、かつ、最も格好良かったのは義治の祖母、現組長でした。
物語の登場人物なのに、ついていきます!と言いたくなるほどの気風の良さに惚れ惚れしました。
オメガバースものは、オメガがその体質から弱く描かれることが多いと思いました、小野さん演じる義治の芯の強さ、主義を言動にきちんと出すところがとてもかっこよかったです。