タイトル通り、「普通に面白い”漫画”でした」。まずはこの一言を。
レビューは普段書かないクチですが、下のhamu太さんという方に煽られたので乗ってみる事にしました。ちなみにこの時間になったのは、ある事を調べていた事、そしてもう一度渡辺さんのこの作品を読み返していたためです。寝ずに出社ですよ。苦笑
ちなみに下のhamu太さんは渡辺さんに対する私怨粘着のみで動いているようですね。amazonのみならず、某801のスレでも発見しましたよ。嫌いな作家が商業ラインに出ると堂々叩けてスッキリすると書かれていましたね。
(私も粘着だな。笑)
さて、もう一度渡辺さんのこの本を読み返しました。
私は少年誌、青年誌(成年誌)、少女誌、BL、TLと様々な漫画を読んでいる一介の漫画オタクなので、BLという枠を超えた感想になってしまいます。そこはご了承ください。
まず散見する「苦手な絵柄」は、確かにBL向けではないと感じます。それもあって苦手な方が多いんでしょう。どちらかといえばマイナー系の青年誌に近いですね。作者さんのpixivも拝見しましたが、ほぼ青年誌寄りですね。笑
その青年誌の絵柄を、BL寄りに奇麗にしようとしている印象を受けます。(恐らく「トライガン」の内藤泰弘さんとかお好きなんじゃないかな。テンポや擬音にその空気がある)
確かに絵は上手ではない。(ごめんなさい)だからと言って、下手でもない。壊滅的におかしい部分はありませんでした。ただ少し、裸の描き方がやや太ましく感じますね。ムッチリしていると言うか…。もう少し細身に描かれたら、エロさが出るんじゃないかなーと思います。あとは無理に顔を面長にされている印象も受けますね。ただし私は、「その全てが必然」の進一は凄く萌えましたよ。ツンデレオヤジというのは総じて乙女な位が一番いいですね。笑
(余談、amazonレビューで他の方が「43歳に”いや”とか言わせるな」と書かれていたので調べてみましたが、言っているのは「星から王子様」の修二(大学1年)で、進一は言っていませんね。強制プレイで「やだ」とは言っていますが…。amazonで買おうとしたけど結局普通の書店で買ったので、amazonで誰か買われてたらツッコミ入れて下さい。レビューが少ない分目立ってて、流石に作者さんが可哀想だ)
ストーリーに関しては、しっかりとした「漫画」として出来上がっています。起承転結よりは序破急なイメージですが、1本のページ数を考えると調度良い流れに組んであります。コマや台詞の数もバランス良く、詰めすぎず、スカスカ過ぎず。顔だけ漫画でもないので、次のコマへとすっと移れる事が出来ます。左下構成も考えて描かれているな~と感じます。
ただし、「BL漫画」としては萌や甘さにあと一歩という所でしょうか。
進一の「否定も反論もできなかったのは、つまりそういう事だ」や、「結婚もしねーで男と居ることに、周囲がきづけば邪推もされる」なんかは、男らしい台詞で好きです。歳下のあたるに対してもしっかり謝れるいい男です。耳が性感帯なのに隠さないのも逆に良い。笑
あたると割とインスタントに結ばれたのは若干気になるので、ここはもう少し掘り下げて欲しかったなと。でも話の落とし方が非常に上手いので、楽しく読み終える事ができます。バーのママのスピンオフが読みたい。笑
星から王子様も面白かった。こちらはギャグ寄りなイメージがありますね。
戒人が折角のデキる男なのに天然培養でバカ過ぎて(褒めてます)、非常に面白い。気取ってドヤってる男が実は童貞だったなんて、私は戒人のバカさを含めて爆笑しましたけどね。笑 描き下ろしでそのバカさがクライマックスなので、BLに笑いを求める方には戒人に注目して欲しい。
修二も単なるキャワワ系の子かと思えばそうじゃなく、「関西人がみんなノリええと思うな」と言いながらも戒人に対してかなりツッコミが入っています。笑 しっかり者なのもいいですね。
少女漫画感は確かにありますね。花がブワッと咲くのは少女漫画お決まりですが(最近はあんまりないけど)この話の場合は比喩表現(好きになったという表現)として、伏線としても使われていたので、うまいなと思いましたよ。別の意味で華を添えているマッチョガールがまた面白かった。彼女(彼?)の走る擬音、よくこんな擬音思いついたなあと。笑 こういう小ネタや笑える脇キャラの作り方も上手です。メインを邪魔しない程度に出てくるけれど、インパクトは大という。笑
描き下ろしはこの2カップリングをクロスさせた話です。「その全て」のあたると、「星から」の修二が兄弟関係にあるので、そこを上手に活かされています。恋人が出来た弟に赤飯を炊いて大学へ行く兄のあたる、ところが弟は部室でヤってる最中だった…という所から話が始まります。
あたるがどうして進一に八つ当たりする程怒ったのかは描かれていませんが、兄のあたると弟の修二が全く似てないし、あたるは標準語なのに修二は関西弁ですから、何やらありそうだなと考えてしまいますね。こうした想像の余地を与えるという意味でも、話が上手い人だと感じました。
総じて「BLとしてはあと一歩さを感じるが、”漫画”としてはかなりよく出来ている方」だと感じました。
今時のシュッとした細い線やレトロフューチャー/サブカルテイストに類するような流行りのBL絵でもないし、突出して抜きん出た「素晴らしさ」は確かにないです(ごめんなさい)。ただし、話作りはBLという枠を超え、一般的な”漫画”としてしっかりと成立されていると感じます。ギャグもかなりおかしなセンス(褒めてます)をお持ちの作者さんのようなので、ギャグBLも読んでみたいですね。
以上長くなりましたが、偏りのないよう書かせて戴きました。
私はこの作者さんの描く漫画、好きですよ。