あらすじは、攻め(オイルマネーで潤っているアラブの国の皇太子)が受けを攫ってきて、自分の王宮に監禁し、強姦しまくり、なんやかんやあって受けが攻めに惚れて大団円・・・という王道パターンです。
この話の受けは、才能がないことを自覚している小説家。取材のため、アラブの小国を訪れますが、歓迎のための寸劇ということで皇太子に攫われ、そのまま王宮に招待されます。しかし、この受け、相当性格が悪い。小物のくせに傲慢だし、毒舌だし、他人に感謝しないし、自己中心的で薄っぺら。いいのは容姿だけ。皇太子の歓迎にも関わらず、彼を侮辱したために不興を買い、監禁からの強姦。王宮から逃走して砂漠をさまようも、結局皇太子に見つかってしまいます。その怒りをPCにぶつけて小説という形で昇華したことで、ようやくちょっとマトモな奴になります。とはいえ、やっぱり相変わらず攻めに対して傲慢というか、口の悪い部分は残っているので、なんだかずっと受けの性格の悪さにイライラしていたように思います。好きになれないタイプの受けでした。
エロは標準的ですが、良かったです。挿絵が官能的。
傲慢でドSな攻め×健気で素直なMの受け です。
攻めと婚約していたはずの姉が、その腹違いの弟である楓の子を身ごもってしまったため、弟である桜海は姉の代わりに、攻めの「話し相手」として攻めの屋敷に住むことになります。しかし、話し相手とは名ばかりで、実際は姉の身代わりの色子としての同棲。桜海は、傷ついているはずの篁を癒そうと、姉の代わりにせいいっぱい尽くそうとします。初夜では、篁が望むままの屈辱的な行為(鏡プレイ、緊縛プレイ、フェラ、スパンキング、自慰強制など)を受け入れ、尽くします。ここの初夜の描写が多分一番長いです。
毎晩繰り返されるSMの数々を経るうち、桜海はなぜか篁に惚れ、キスしてほしい、抱きしめてほしいなどと思うようになります。ここら辺の桜海の心情は、桜海視点でたっぷり情緒的に語られます。桜海の世間知らずの没落華族であるがゆえの一途さは、せつないほどですが、客観的にみれば、なぜ桜海が篁にここまで惚れこんでいるのか若干分かりづらい気がします。まぁ、桜海にMの素質があったがゆえかもしれませんが…。
篁に惹かれるあまり間接キスで喜んでしまっている桜海ですが、篁と楓の会話から、篁が嘘をついていたことを知ってしまい、また、里帰りを願い出たことから篁に顔を見せるなと言われてしまったことで、絶望します。ナンパしてきたホストの男とホテルに行く寸前、篁のつけたボディガードによって桜海は屋敷に連れ帰られます。桜海に篁はお仕置き(ビンタ、風呂での「お清め」)をしますが、桜海が本音を漏らしたことで気持ちが通じ合います。後日、楓から桜海は真実を聞かされ、篁から、最高の奴隷になる資質を見込まれてこれまで調教されていたことを知ります。しかし、そこはドMに調教済みの桜海ですから、むしろ尻尾を振って、篁に仕える喜びをかみしめて、ハッピーエンド。
全体的に、Mの素質がある子を、攻めが調教開発して立派な犬に育てていく物語だったなって印象です。表紙とかタイトルからは、そうは思えなかったので意外性はありました。でも、いくら篁が激昂していたからって受けの頬を叩くのはなぁ…、あといくら計画のうちだったからといってずっと受けを騙していたのもあまり好きになれなかったので、評価低めです。
「不機嫌な王子」のスピンオフです。同作に出てくる第二王子と日本人学生が少しだけ登場します。
攻めはアタディーヤの第一王子。顔はいいけれど、不真面目で女好き。受けは、日本人とアタディーヤのハーフで、攻めの側近。真面目でお堅い感じのする青年です。
ストーリーは、攻めがお城を抜け出したり、女性と遊び歩くたびに受けが自覚を持つように促していたら、女遊びを止めたいならお前が相手をしろ、と攻めに押し倒され、側近は逆らうことができずに体だけの関係になります。受けは子どもの頃に出会った攻めの役に立つために側近になったという経緯があり、視察に訪れた施設で事故があって受けが攻めを守って負傷するなど、主想い。攻めも攻めで、受けにちょっかいを掛けた悪友をけん制するなど、受けに対する執着心を見せています。そこで攻めが漏らした失言により受けがショックを受けて辞職。しかし、悪友がうまいことやって、王子と側近の気持ちが通じ合います。
私は、健気で主想いの従者が好きなので、この受けはかなりタイプでした。ただ、王国のためを思って、第一王子は女性と結婚してお世継ぎを残すべき…と言っているのに、最後なんだかんだであっさり攻めとカップルになってしまっているので、そこはもうちょっと掘り下げて、受けの葛藤が見たかったなぁ、と思ってしまいました。
横澤さん自身、~小野寺律の場合~では、当て馬のポジションでした。高律における彼は、大学の同級生で会社の同期、律が知らない高野さんの顔を知っていて、何より高野のことを深く想っている、ということでかなり高スペックな当て馬役だったと思います。でも、今回の当て馬・五百川は、なぜ横澤さんに惚れたのか、どのくらい横澤さんに惚れこんでいるのか…という点で役者不足な感じがしました(それだけ横澤さんが健気で尽くすタイプのキャラクターで、桐横の絆が強いということかもしれませんが…)。その分、新キャラで美形だという安田さんの今後の活躍に期待大です。
当て馬である五百川に不意打ちでキスされたり手を握られたり、強面なのに隙だらけな横澤さんですが、拒みながらも結局流されて車内でHしてしまったり、今巻でも暴れ熊がかわいすぎました。
冒頭で、桐嶋さんが横澤さんたち営業部を責める会議のシーンにハラハラしました。でも、桐嶋さんが横澤さんを追及しまくったのが、営業部内の事情を見抜いてむしろ横澤さんをフォローするためにあんな態度をとったのだと分かって…!!暴れ熊を守ってあげる桐嶋さんは大人イケメンですね…!
営業の横澤さんが主人公なだけあって、ちょくちょくブックスまりも関連で雪名が出てくる~横澤隆史の場合~ですが、今回は料理関連で羽鳥がいっぱい出てきます。誰かのために作る料理の話題でもりあがる2人がすごく良いです。
デミグラスハンバーグやミートグラタンのような子どもっぽいメニューのページに跡がつくくらい練習している羽鳥さんの姿が想像できて、こちらのカプの事情も伺えて1冊で2カプ分美味しかったです。
なにが驚いたって、日和ちゃんと一緒に絵を見ている「暴れ熊」の表情です。これまでの挿絵や漫画では、ほぼ毎回といってもいいほど眉間にしわを寄せていた横澤さんですが、この挿絵では、ものすごく穏やかな表情を浮かべているのです。子どもや猫に対しては表情からデレるんだなぁーと思いました。日和ちゃんとの会話内容にもほのぼのしました。
それから、桐嶋さんが横澤さんの上で寝落ちするシーン!改めて桐嶋さんが横澤さんに告白するところですが、ここのセリフと、眠いのを我慢してまで誤解を解きに来る行動がイケメンです。桐嶋さんの言動の端々から、彼が日和と横澤さんとソラ太の4人の関係を大切にしていることが伝わってきて、もう4人で幸せになってしまえ!と思いました。
前巻では、余裕と包容力を持ち合わせた出来る編集、でも家に帰れば子煩悩なパパ、として描かれていた桐嶋ですが、本作ではまた別の面を見せてくれます。「ヤキモチ焼きは大歓迎だ」と言っていた彼ですが、横澤さんが書店員の女の子に惚れられたのをきっかけに、拗ねてしまいます。また、中村先生の漫画では、日和と横澤さんがお揃いの指輪を買ったことにふくれっ面…。2巻で横澤さんが、自分は桐嶋のことを何も知らない、と言っていたように、前巻では明かされなかった桐嶋の過去や、横澤さんに惚れた切欠、意外と子どもっぽい側面も見られて、より桐嶋への親近感がわきました。「恋愛がこんなに大変なもんだって、この年になって思いだすことになるとはな」…このセリフにぐっときました。
エロ度は少なめ、とあります。たしかに絡みのシーンは1回きりしかないです。しかし、受けが一方的に受けるのではなく、お互いに挑発し合いながらヤってるところが凄く良かったです。
表紙に魅かれて買いました。
なにか突飛な設定があるわけではなく、ごく普通のサラリーマン同士、等身大の男同士の、日常的な恋愛を描いた作品だなぁと思いました。男同士だから・ゲイとノンケだからという葛藤があったり、些細な嘘を気にして喧嘩したり、そういったごく普通の恋愛を描いています。だからこそ、より、両者の心の葛藤や、変化が丁寧に描写されているのだと感じます。
エロいシーンは少なめですが、経験豊富な出口にドキドキしっぱなしで、緊張している小野田が攻めながらかわいらしかったです。ここらへんは、年下ノンケ×年上ネコの醍醐味ですよね。
表紙の雰囲気そのままの、穏やかなBLだと思いました。
CDのほうも聞きましたが、原作の雰囲気そのままで大変良かったです。