黒髪のおとなしそうな男が夜空を背に鎖で縛られている表紙と、帯の「いたぶること 唯一ゆるされた愛しかた」というフレーズにやられた!初めて読む作家さんだったのでレビューと評価を見てから買おうと思っていたのですが、本屋で見かけて我慢できず発売日に購入。読了後の感想は「買ってよかった!」
「やさしいSM」と言っても、プレイ内容は暴力、緊縛、玩具、野外、軟禁など、少しハードに感じる方もいらっしゃるかもしれません(プレイによる流血も描写されています)。
けれど真澄(攻め)の、飛田(受け)への暴力(プレイ)は飛田の希望により二人の合意の下で行われているもので、あくまで飛田が快感を得るための手段なので、読んでいても痛さは感じません。むしろ、飛田のためにS役をこなす真澄の姿は、恋人に献身的に尽くしている可愛いやつに見えるくらい。帯にある通り、真澄にとって「いたぶること」は、飛田から唯一ゆるされている「愛しかた」なんだなーと。
全体を通してプレイ場面は多いですが、肉体的なところではなく精神に重点をおいているので、エロばかりの薄っぺらいBLという感じはしませんでした。
内容について深くは書きませんが、ぐいぐいと深いところまで没頭させられる独特の雰囲気のある一冊でした。SMが苦手な方にもぜひ手に取ってみてほしいです。