SIDE:Aを買い、ずっと続きが気になり悶々としていたので即・購入しました。
この作品はとても現実的です。
BL世界にありがちな、すんなりとゲイカップルが受け入れられている世界ではありません。
ゲイが否定され、嫌悪され、隠し通さなければいけない世界。
三島が好きだと思っていた夢野も三島の性別を再認識し、一度は引いてしまう場面など、人々の現実的な心の動きを細やかに描いています。
(他作品を否定しているわけではないのであしからず)
噂が蔓延る閉鎖的な田舎、セクシャリティに疑問を抱き、葛藤する少年。性癖を否定され歪んでしまった大人。
自分の本当の姿を隠し続け「桃源郷」を夢見る姿がとても切ないです。
主要な登場人物同士の掛け合いだけでなく、それぞれの少年が性癖を告白した際の母親たちの反応もとても考えさせられます。
上京し、女装をしながらメイクアップアーティストとして生活する三島。一度は三島を拒否したものの少しづつ歩み寄り、受け入れることができた夢野。それに対して、女性になりたい願望を隠し『普通』として生きることを選んだ桐野。三人の選択や未来は違っても、自分で生き方を決めたことで、3人は歪まずに生きて行くことができたのではないでしょうか。
結果的にはハッピーエンドなのですが、読後にちょっと切なくなる不思議な話でした。
この作者様はギャグを書くのがとてもお上手ですが、シリアスな場面との切り替えがスムーズです。真剣なシーンにいきなりギャグコマが入ってきてどうしていいかわからなくなる時がありますが(笑)
まさかBL漫画で本気で泣くとは思ってもいませんでした。
繊細な心理描写がとても胸に響き、本当に永井三郎先生の作品が大好きです。
これからもこのような作品を描かれることを期待しています。