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夜画帳 5 コミック

Byeonduck 

5巻表紙は無邪気に雪遊びをするペク・ナミン

5巻表紙に至るまでに主人公二人(ユン・スンホ、ペク・ナミン)のみが表紙を飾る。
モブキャラが表紙を飾ることはない。
ずっと二人に焦点が当たっている。
おそらく最終巻までこの傾向が継続されるだろう。
 
ユン・スンホは両班、ペク・ナミンは賎民。
身分差がある二人が対等に視線を交わしていた1-3巻から転じて4-5巻は主人公たちの個性を表現している。

5巻表紙は4巻の表紙スンホが「守りたいこの笑顔」のナミンである。
無邪気に雪遊びする姿が描かれている。
(4-5巻セット絵)
  
二人の間に恋が生まれ、段々と身分差の壁が薄くなっていく。
相変わらずのセックス&バイオレンス作品である。

夜画帳 3 コミック

Byeonduck 

3巻表紙はあなただけ見つめてる

1-3巻表紙は二人の距離感がネタバレしている。
共通しているのは二人がお互いを見つめている点である。
 
段々と距離感が近くなっているところがポイントである。
 
1巻、強制的に腕を掴んで目を合わせる。
2巻、イヤイヤながら目を合わせる。
3巻、正面から目を合わせて頬を赤く染めている。
確実に二人の距離感は縮まっている。 

1-2巻に続き相変わらずのセックス&バイオレンス描写は続く。
 
吊り橋効果やストックホルム症候群など、健康的でない愛情要素がある。
しかし二人の間に愛のような感情が育っている3巻である。

夜画帳 1 コミック

Byeonduck 

1巻表紙にはこっそりと三日月が飾られている

本作品は129話で完結である。
その1巻である表紙には作品の最重要モチーフとなる月が小さく載っている。
三日月である。
 
新月(まっくら。なんにも形がない)から三日月を経て満月に至るのを描いている作品である。
最終話129話において夜空に見事な満月が掲載された。
夜画帳の単行本は最終巻に向けて続刊しているが1巻以外に月が出ている表紙はない。
おそらく最終巻の表紙で起承転結をつけるために満月が夜空を飾るだろう。

発刊ペースは半年に一回。
本編は最終回を迎えたが、外伝や番外編の執筆が予告されている。
それに新シリーズの構想もあるというから、もしかしたら発刊に合わせてそれらの新作が発表されるかもしれない。
また数年単位の連載になるかもしれない。
 
ハマるのに時期外れ、ということはない。
最終回は迎えたがまだ終わってないシリーズだ。
今から読み進めても現在進行形で十分に楽しめる。

夜画帳 2 コミック

Byeonduck 

2巻表紙はユン・スンホが望んだ未来の形

2巻においてペク・ナミンは贈答品の鏡台を一日も経たずに破壊してしまう。
 
ぱりーん。
 
その死亡した鏡台が2巻表紙を飾る。
春画を描くのに鏡台は現役活躍している。
表紙には本編では存在しないシーンが描かれているのだ。
 
イヤイヤながらもナミンに自分を受け入れてもらい、仲良くなる未来をスンホは夢見ていたようだ。
 
本編では、ぱりーん⇒逃亡のコンボを極められこの期待は大きく裏切られる。
初見の読者には「恋女房に捨てられる毒夫の見る夢表紙」にはきっと見えないだろう。

2巻表紙は、まるで恋人同士のように穏やかな時間をスンホが欲していたようで微笑ましいシーンである。
夢中であるはずの春画を手にし、それよりも春画師であるナミンに見惚れている。
しかしこんなシーンはない。
本編に存在しない。

「甘々な作品なんだね」と騙されてから本編を読んで欲しい。


期待と現実の落差から、本編では家来たちを殴る蹴るドつく出血させるの暴行に及んだと思われる。
そしてお仕置きの長時間耐久セックス。
甘々な表紙と違って2巻はセックス&バイオレンスが満載だ。

3月15日に気をつけよ。予言者は言った。

3月15日に気をつけよ、と予言者は言った。
ジュリアス・シーザーが仲間たちに暗殺された日だ。
シーザーは裏切りにあったのだ。
 
タイトルがイギリスの劇作家シェイクスピアからの引用で気になった。
欧米はシェイクスピアが大好き。
 
何かにつけてシェイクスピアを引用する。
教養でありステータスであり「お前も当然元ネタ知ってるだろ?」という分かる奴には分かる符号なのだ。
(静岡県民がCMソングを上の句を歌いだしたら下の句も自動的に歌いだすアレ。)
 
そういうわけで、「3月15日に気をつけよ」は裏切りにあった人間が主人公の物語である。


主人公パク・モクハはヤクザ稼業。
仕事中に裏切りにあって服役。
出所後に組に戻るかと思いきや、
なんと堅気に戻って花屋の店長を始めてしまい?!

というのが概要だ。

刑事はパク・モクハの不審な行動に疑問を持ち、
・いったい誰に裏切られたのか
・なぜ組に戻らないのか
これを追っていくミステリ仕立ての物語になっている。
 
取り調べ中もパク・モクハは事件について一切喋らなかった。
出所後も何も喋らない。
寡黙が過ぎるモクハに刑事は暴力をふるったりもするが、やはり、喋らない。

モクハが復讐に燃え滾ることを期待する刑事ナゴンが近づき、やがて事件の真相を解明していく。

朝鮮淫具工房【タテヨミ】 R18電子 コミック

songmi 

あまりにも淫乱すぎるのでは?あ、あぁ…!!

■朝鮮SM時代劇

SMプレイが貴族の密やかでドマイナーな趣味という世界観。
謎めいた工房主人シンウの手作り淫具を求めてスケベ両班(貴族)たちが夜な夜な訪れる…。

■概要
主人公は両班パク・ヒョウォンと商人の工房主シンウの二人である。
工房主を気に入った両班は彼とセフレになりたい。
工房主は面倒くさい両班を諦めさせたい。
二人はSM道具を駆使して諦めさせる、諦めないの試しを繰り広げる。

SM道具の試しは続くよどこまでも。
しゅっぽっぽっ。


■キャラについて

・両班パク・ヒョウォン
不屈、ド淫乱、向学心の塊のような主人公。
夜ごとに男をとっかえひっかえ性欲を満たしていた。
彼が工房の扉を叩いたことによって見知らぬ大きな世界が広がる。

工房主のシンウを気に入ってどうにか仲良くなりたい。
常に前向きで心の闇にとらわれることなく輝き続ける太陽。
その想いは一過性なのか、恋なのか!?


・工房主シンウ
無愛想、鉄面皮、塩対応の主人公。
商人でありながら両班にも媚びることなく傲岸不遜。
ヒョウォンを諦めさせるために冷たい態度を取り続けるもあまりにも食らいついてくるので最近は心が動き始めた。

常に後ろ向きで心の闇にとらわれる薄暗い人間。
顔が良くなければヒョウォンにも興味を持たれなかっただろう。
びっくりするほど巨根。


■おっぱい
作中アイテム乳首挟みの前戯に乳首コリコリがある。
コリコリッ、ギュッ、ビンッと勃起する様子がエロい。
オークル色で黒ずみがなく美しい乳首の色をしている。
乳頭のへこみ、乳輪の盛り上がり、固い乳でありながらも丁寧な描写や良し。


■パンツ
朝鮮時代劇の作品の多くがパンツ履いてない。
中衣を脱いだらすっぽんぽん。
ちんちん、ぽろりんが定石である。

朝鮮印具工房は珍しいことにパンツ着用作品である。
パンツに隠れて奥ゆかしく先走りを漏らす、これぞ雅である。

勃起を白抜きではなくパンツを通すことで濡れ濡れしく表現している。
あっぱれな演出力や良し。



■魅力的な道具たち

プレイ内容とともに例を列記する。

・乳首挟み
 初期アイテム。
 高級感のある朱色の飾り紐付き。
 スチル絵にも用いられており、いずれ全身緊縛後の仕上げに乳首パッチンされると予測される。
 主人公たちの出会いのアイテム、思い入れのある初期装備。

・尿道棒
 可愛らしい鈴付き。
 挿入してチンチンが揺れると優雅にちりんちりん鳴る。
 乳首挟み同様の朱色の飾り紐が付いている。
 ディアゴスティーニのようにシリーズ一式そろえると緊縛責めフルセットが完成すると思われる。

 一見すると耳かきに見えなくもない太さで使い心地は極悪。
 尿道責めと尿道拡張は快感とガバガバ不感症の表裏一体。
 使いすぎには注意だが…?

 
・肛門栓
 普通の性交では満足できない特殊な性癖の持ち主向け。
 人間を止めて獣になりきってのプレイにおすすめ。
 工房シリーズ唯一の飾り紐なし。

 高貴な両班を畜生風情に貶める精神SM要素が強い。
 人間やめますか。両班やめますか。性獣になりますか。
 使用する人間を選ぶ。


■感想

雅なSMに何とも言い表せないおかしみがある。
真面目かつ雅であればあるほど、その姿は滑稽である。
これをして、あはれ、というのだろうか。
「そうはならんやろ」
毎回ゲラゲラ笑ってストレスが軽減される。
beltoonのオアシス。

シンウがあまりにも塩対応でヒョウォンは猫以下の扱いを受けている。
肉を食わせてもらえる猫、顔に濡れ手ぬぐいをぶつけられるヒョウォン。

毎回毎回、シンウに手酷い扱いを受けるヒョウォンだが悲壮感がまるでない。
ポジティブシンキングの塊であり、シンウの方が「なんで…?」と戸惑いの反応を見せている。

過去に囚われているシンウの人生再建の物語がSM道具の試しと同時進行しており興味深い。

雪辱の花 R18電子 コミック

snob 

きみとぼく

■第一部

主人公の波乱万丈な凋落、家族の敵討ちを成し遂げようとする復讐譚である。
喧嘩に弱く、狂言と機転と度胸とセックスで修羅場を乗り越えていく。
悪女聖書の業子のように弱者なりに利用出来るものはすべて利用する。

好意を持つ男を翻弄し、利用して捨て去り、最下層から権力者へのペットに成り上がっていく様子を描いている。

少年漫画の主人公のように熱い気概を持った小さなピカレスクロマン。
性を搾取されたり搾取したりする。


■第二部

懐かない小型犬と意地悪い飼い主の話。
 
二部以降、血で血を洗う政争が進まない。
襲撃、逃亡、事件、事故などの強制イベントがないのだ。
 
おかげでゆったりとした日常の中、懐かない小型犬とその飼い主が菓子食ったり寝たり仲良くなろうとしたりイタズラしたり怒らせたりと箱庭世界が展開している。
 
意地悪な飼い主はときに虐待する。
凶暴な小型犬は懐かない。

強制イベントがないため好感度が上がるチャンスがなかなかない。
ついでに復讐の機会もなかなか巡ってこない。
時間が停止しているような不可思議な空間が発生している。

イベントのない箱庭ゲーでどうやって好感度を上げるのか。
惰性で仲良くなっていくさまを楽しむのだろうか。
その点に注目している。


■好感度イベントは三角関係によって起こされる

基本は主人公二人である。
これにゲストキャラ一人追加の構成で進む。
きみとぼく、そして当て馬。
202308現在、二組の三角関係が発生している。

好感度イベントはこの当て馬によって効果が左右する。
倦怠期のカップルへの刺激のようなものだ。

一部と二部では物語性がだいぶ変わってしまっている。
二部は一部ほどに手に汗握る展開がない。

全てのおっぱいに丁寧に乳首が描かれておりエロポイントが高い。

■概要
朝鮮時代劇をテンプレートにした架空の東洋オカルトファンタジー作品。
原作の『열병(ィヨルビョン、熱病)』は完結済み。
世界観共通三部作の一作目であり、小説大ヒットからのToon化となる。
Toon版は小説挿絵をモチーフにキャラクターデザインがなされている。
 
■作品の魅力

●胸とおっぱい
男×男は苦手であるが、往年の熟女エロ漫画が好きな自分でも大変満足できる良いおっぱいであった。
全てのおっぱいに丁寧に乳首が描かれておりエロポイントが高い。
 
●鳩胸の魅力
鳩胸、それは乳がないのに乳が盛られているように見える摩訶不思議な胸。
男性に多い骨格で、これをエロく描くのはレベル高い。
肋骨が浮くほどガリガリなくせにときどき盛り乳に見える。
このギャップよ。

乳首はピンクのこだわり。
フェチを感じる。
長乳、垂れ乳、バルーン乳といった女性の巨乳にない魅力と出会えて良かった。
鳩胸の乳は初めての領域だ。

 
●粘着質でベタつくようなエロシーンが満載
中年変態オヤジのような粘着質でベタベタかつドロドロかつべろんべろんなエロシーンが満載。
しっかりと交わりが描かれている良作。
執着の先は粘着だと感心した。
 
特に28話、「ふぅっ」シーンのおっぱいに完落ちした。
ダイナミックで画面に迫りくるボリュームが素晴らしい。
おっぱいが上向きになる動きがまるで見えるようだ。
鳩胸が好きになった。
  

●ストーリーの魅力(原作とTOON版)
 
Toon版のドスケベな続きが気になり、免許証登録からの課金後に原作小説『열병(ィヨルビョン)』までも入手した。
ストーリーを隅々まで楽しみたいなら原作履修は外せない。

Toon版と原作版を読み込んで大満足で「神」としたい。
朝鮮民俗、神話、呪いの正体、ホラーとオカルトとミステリが融合して深みがあって楽しかった。

これ以上は何を書いてもネタバレになるので書かない。



●キャラの魅力

・ミョンハ
主人公ミョンハはRTAに挑戦するプレイヤーのようである。
一分の無駄もなく身に着けた技術、全ての資源を投入、パズルのような問題を解決していこうとする姿勢には感心した。
懊悩と憔悴の果てにRTA挑戦することになったのだが、決意後は徹底した合理主義者の片鱗を感じる。

いわゆる時代劇版の「幸福の王子」。
博愛と悲壮の象徴性の高い主人公。
意図せずオスカー・ワイルドな世界に引きずり込まれていく。


・イ・サホン
主人公イ・サホンは王子様である。
「乳首がピンク色だとXX」という迷信を信じている。
そんな彼の乳首の色は…?

真相はToon本編を読んで確かめて欲しい。
Toonでは、原作で不明だったサホンの乳首の色が明かされる。
これ以上は何を書いてもネタバレになるので書かない。


●原作小説
原語は文章の癖が少なくて初心者向け、ハイ!
翻訳アプリを通して読めて、修飾語が少なくて赤川次郎のようにすらすら読める。
ライトなToon版から入ってディープな原作版に入るのがおススメ。

Toon版では別の解釈ルートまで示されており、原作にプラスされた表現を比較するのもまた楽しい。


●文学性
朝鮮文学の悲哀性ある恨(ハン)の思想を「熱病」で掴んだ気がする。
百科事典やwikipediaだけでは分からなかった国民的指向性の「恨(ハン)」。
反復解説されてて分かりやすい小説「熱病」の読後にToon版を読むと染み渡る。
各種韓国Toonに共通する悲惨さ、悲哀さまで、広く目が開けて理解できた気がする。
そうか、そうだったのか。
進研ゼミで赤ペン先生に教えてもらった気分。