1巻にて無事にくっついた2人。そして続編。
こうしてくっついた先のお話が読めるのはすごくありがたいです。
まず表紙がカワイイですよね。
作者様の画力がめちゃくちゃ高くて、キャラの動きや表情、背景まで1コマ1コマ見入ってしまいます。
ファンタジーのお話ですが、実際の時代背景に当てはめるなら文明開化の初期っぽくて、とても好みの世界観です。
そしてなんと言っても心理描写が本当に巧みです。普通に人間ドラマとして面白い。
仕事をする上で、練さんと並んで歩きたいのにどうやったって距離を縮められない楓くんの苦悩。
急に人間らしい感情をもつことになって、ずっと周囲との間にあった齟齬にようやく気付かされてしまう練さんの苦悩。
いやもう、どっちも苦しい。練さんが涙を流すシーンはつられて泣きそうになりました。
でもどれだけ悩んだって2人はお互いのことが大好きだし、きっと一緒に乗り越えていけるだろうという心強さもあります。
次巻でこの章が完結とのこと。
またじっくり2人の行く末を見守りたいです。
兄×弟の実兄弟モノです。
互いに単なるブラコンと呼ぶには大きすぎる感情を抱いているのに気づいていて、だからこそ頑張って離れようとするけれど心がどうにもついていかない。
作中を通じて二人とも決定的な言葉は言わなくて、読んでいると切なさともどかしさに心臓がギュッと掴まれたように痛みます。
エロはないのですが、実兄弟、弟が高校生、兄は分別ある大人ということでそう簡単に身体の関係にはならないよなぁと納得します。
でも一度だけ完全に「兄」と「弟」を吹っ飛ばして唇を重ねる描写が入っていて。二人の葛藤を丁寧に丁寧に書いているからこそ背徳感に頭がクラクラしました。どんなエロより色気があった気がします。
今後二人は「普通の兄弟」でも「恋人」でもない二人だけの関係を築いていくんだろうなと思います。先のことは語られていないのですが、ただ言えるのはずっと一緒にいてほしい。それだけです。
繊細な心理描写と九十年代夏の匂いを感じ取れる優しい絵のタッチが素敵な作品でした。