神様でありαであるクロと、突然変異でΩになり、生贄としてクロの花嫁になったルカのお話。
ルカは伝承・しきたりによってクロの花嫁になったけれど、一緒の時を重ねるに連れて2人は惹かれ合い、本当の夫婦・家族になっていく。
やがてルカがお腹に新しい命を宿し、お腹の子の様子を見てもらいに他の神様のもとを訪ねた・・・というところまでが2巻でした。
神様のいる時代とオメガバースの創世をベースに、壮大なスケールで描かれた作品だったので、果たして3巻で完結するのか半信半疑でしたが、よくぞ描ききったなと感じました。
世界観がやや抽象的で、セリフやモノローグによる説明も多く、正直に言えば分かりにくいです。
何度も読み返さないと理解が追いつかない。
多分、このレビューを書いている今もしっかりとは理解できていないと思います。
でも、感覚的には理解出来ていると思うのです。
核心を突くネタバレは避けたいので明記しませんが、この世界に絶対的な「神様」などというものは存在せず、動物もヒトもみな孤独や寂しさを抱えながら生きていて、そんな中でも前を向いて生き、大切にしたい・守りたいと思える相手を得て強くなっていくのだという事が一貫して描かれていたなぁーと。
Ωだからといって、弱く可哀想な存在とは描かれておらず、全身全霊で命を生み出す事の出来る逞しい存在として描かれていたのも印象的でした。
「神様」とされているノアとウェレについてのエピソードも描かれており、この二人の存在が世界に大きな影響を与えていた事も判明します。
みんな、愛し愛されたかっただけなんです。
弱くても情けなくってもいい、愛し愛され、子どものように泣き・笑い、次の世代にバトンタッチしていけたらそれでいい。
そんな作品でした。
今後オムニバス短編集は発売されるそうですが、シリーズとしては最終巻。
デビューコミックスとは思えない、素晴らしい全3巻でした!
「うわぁぁぁぁぁあぁぁ」
現在単話4巻まで出ていますが、読み終えて最初の一言目がこれでした!
「ロンリープレイグラウンド」「悪人の躾け方」を読み、なんだこのセンスの塊の先生は!??? と思って最新作のこちらを拝読したら、1話目から魂を持っていかれましたね!
4話まで一気読みしましたけど、もう1話読む毎にダヨオ沼の深みにハマっていっちゃいましたわ。
離島出身で純朴だがエロに頭でっかちな夢見るDT受け・花村先生と、都会的でアンニュイで、何に対しても全力っぽくない攻め・わたる先生。
マッチングアプリで出会い、花村の体をエロい体にすべく毎週金曜日に会う約束をした二人だけど、実は同じ学校に勤める教師だった・・・というお話です。
とっても対照的な二人だけど、わたるが意外にも根気強く花村にエッチなことも大縄も教えてくれているのがめちゃくちゃ良い!
キュンとなる!
わたるは遊び慣れていそうだし、元々は深みにハマるつもりもなかったんでしょうけど、花村があまりにも真っ直ぐで一生懸命で可愛いから、予想に反して惹かれていってるんですよね。
なんかわたるって長男っぽいな、面倒見いいし・・・。
それにしてもダヨオ先生の描く攻め様たちって、なんでこんなにカッコよくてエロいんだろうか。
絶妙にいじわるで、かと思いきやメタメタに優しくて、飴と鞭のバランスが丁度良すぎてこっちまで惚れそうになる!
今から5話の発売が待ち遠しいし、単行本になるのも待ち遠しい。
続きが本当に本気で楽しみです!
はぁぁぁぁぁぁぁあぁ
もう最高!最高すぎるよ!!!
な一冊でした。
「ロンリープレイグラウンド」でクズ社長だったバリタチの雨津木は、傍若無人で一途な年下・針間にグズグズに溶かされ、20年ぶりにネコにされてしまうんですが、「プライドと偏見の塊」である雨津木が自分のペースを完全に崩されて、針間にどんどん侵食されていく様子がたまらない・・・!
針間は一見狡くて傲慢で自分勝手に見えますが、実はとても一途で優しくて、26歳とは思えない包容力があって、これまた最高。
「ロンリープレイグラウンド」の慧介とはまた全然タイプの違うスパダリですね。
雨津木は家柄ゆえ、若かりし頃に自身のセクシャリティを否定された経験があって、だからと言って元愛人・雪文にした仕打ちは許されるものではないけれど、雨津木もまた自分を全肯定してくれる、包み込んでくれるような大きな支えが必要だったんでしょうね。
雨津木は幼少期や思春期に自身のセクシャリティを肯定されなかったがゆえに、屈折した想いを抱えて大人になってしまった気がする。
針間に全力で愛され求められて、内側から暴かれた事で、雨津木ってこんなにも可愛くてエロくて愛おしい人間だったんだ・・・って思いました。
父親の通夜にお寿司を頬張るシーンの雨津木、最高に色っぽかった。
「ロンリープレイグラウンド」でなかなかのクズっぷりを見せた雨津木をここまで愛おしいキャラに変貌させたダヨオ先生、凄すぎます!
高慢で高飛車な男が鉄壁のプライドを崩され、タチだったのに宗旨変えさせられるほどある意味「調教」され、身も心も堕とされていく様子が読みたい方は、ぜひぜひぜひ!!!!
読んでください!!
年上男(不動産会社社長)の愛人を7年やっていた薄幸な美人受けが、社長に捨てられた時に出会った年下スパダリ攻め。
この攻めくんがとにかくカッコよくて、見た目がイケメンとかお金持ちとかそういうカッコ良さではなく、中身がイケメンなんですよ。
好きな人は大事にしたい、傷付けたくない。
愛して大切にして、ダメな時はダメとちゃんと叱ってくれる人。
受けは7年も社長の愛人やって、求められるままドM調教されて、本当は痛い事も緊縛も嫌だっただろうに、言うこと聞くように躾けられていたんですよね。
だから最初は自己肯定感が低く、なかなか社長の呪縛から逃れられなかったんですけど、攻めが何度も何度も受けを全肯定する言葉や行動を示してくれて、少しずつ自分を取り戻していく過程が描かれていました。
後々攻めが受けを自分の実家に連れて行く様子も描かれていますが、攻めの家庭環境というか、暖かい雰囲気を見ると、攻めがあれだけ器の大きい優しい人に育ったのも納得できます。
攻めは攻めで高校生時代に辛い思いをした事があるので、彼なりに悩んだり荒んだりした時期もあったと思いますが、根が真っ直ぐで優しいから、大人になって本当の意味で強く優しい男になれたんじゃないかと。
下巻では、自分自身を取り戻した受けがクズ社長と対峙する様子や、攻めに愛されて幸せいっぱいの笑顔が描かれていて、読みながらこちらも胸いっぱい・幸せいっぱいな気持ちになれます。
攻めと出会えて本当に良かったね。
心根がスパダリな男に愛され、救われていく救済系が読みたい方に全力でオススメする作品です!
ちなみに、下巻最後にクズ社長が他の男と出会うエピソードも描かれていて、そちらは「悪人の躾け方」に繋がっていきます。
社長をただのクズで終わらせず、素晴らしい作品に繋げた作者様の力量に感服。
めちゃくちゃ面白かったので、興味ある方はセットでどうぞ!
元ドルオタのカフェ店員・比良山(ノンケ)×女装配信をしている男性・茉央(ゲイ)のお話。
出会いから相手の事が気になっていく過程、お付き合いに発展していく過程がゆっくりと丁寧に描かれていて、茉央が過去のトラウマからなかなかお付き合いに踏み出せないところも程よいリアル感があって、良かったです。
茉央が女装を始めたきっかけが切なくて、たとえ悪気が無くても、言葉って簡単に人を傷つける凶器になるよなぁと思いました。
茉央くん、優しくて、ちゃんと「待て」も出来る素敵な比良山さんと出会えて良かったね!
お付き合いしてからの様子もけっこう描かれていますが、付き合う前と後とで茉央の表情がまったく違っていて、そのギャップも読んでいて楽しかったです。
「ゲームに負けたら罰ゲームね」という、兄弟姉妹なら良くありそうなシチュエーションなんですが、こちらの作品は、「罰ゲーム」と称して兄が弟をうまく言いくるめ、えっちな事をやっちゃうお話です。
えっちな事っていうか、がっつり挿入までしちゃってるので、倫理的には完全にアウトなんですが。
倫理観はさておき、おいも先生は絵柄が可愛くて作画も綺麗なのと、兄弟甘々背徳BLを描かせたら本当にお上手なので、兄弟同士とはいえラブラブ・甘々なエチを見せつけられると、ほわぁぁぁぁぁ・・・と幸せな気持ちになります!笑
受けは無自覚に超絶えち可愛いし、攻めは受け溺愛過ぎて容赦なく愛撫するし。
兄弟ものに抵抗がなく、甘々大好きーな方にはぜひ読んでみて欲しいです!
これぞお耽美!
と口にしたくなるような、豪奢・残酷・悪趣味・美・官能が満ちている作品世界です。(残酷=グロではありません)
富裕層特有の、貧しい人を虫けらのように見下す感じとか、他人の命をおもちゃにする感覚とか、そういったものが余すことなく描かれていて、ブラッドもその友人も、ある意味卑しく見える。
性に爛れた生活ばかり送っているから尚のことです。
それでもブラッドは完璧な美貌を持っているので、ハマる人は心酔してしまうのでしょうね。
地下闘技場で負け役として生きていた褐色の闘士はブラッドに買われ、「ヴィクター」という名を与えられた。
その時に初めて彼は獣(あるいは虫けら)から「人間」となり、容姿を整えられ、知識と教養を与えられて「紳士」になっていきます。
ヴィクターはまるで雛の刷り込みのようにブラッドを盲信し、やがてブラッドもヴィクターを重用するようになりますが、果たして二人の間にあるのは愛なのか?
はたまた共依存なのか?
名前を付け難い関係の二人は、オメガバースで言うところの魂のつがいの様。
ヴィクターの傲慢で非情な振る舞いは決して同情の余地がある理由から来るものではなく、生育環境により、当然のごとく身に付いたもの。
ですが、ヴィクターの忠誠により愛を知り、ラストでは人間らしさを感じられました。
もう二度とブラッドはヴィクターを他人に貸し出しはしないでしょう。
耽美な絵柄でシリアスな展開が続くため、本編は終始重々しい空気感ですが、描き下ろしや電子限定おまけはポップでユーモアのあるものでしたので、そのギャップがとても良かったです。
いやそれにしても、鹿島先生の絵の上手いことと言ったら・・・。
細部に渡って緻密に描き込まれており、また、人物たちの肉体も顔の造形も美しく、非常に強い説得力がありました。
完成度の高い耽美BLを読みたい方に、ぜひオススメしたい一冊です。
じわじわ人気が出つつある?ポメガバース。
ポメガとは、怒ったり落ち込んだり、気持ちが不安定になるとポメラニアンに変身してしまう人間がいる世界という設定です。
作者様のデビューコミックスとのことですが、嫌な人が出てこない、ポジティブで優しい攻め×ポメ化してしまう体質にコンプレックスを持つ先輩受けのお話で、二人とも可愛かったです。
攻めは先輩が大好きで、何があってもどんな姿であっても先輩を好きだと言ってくれるし、安心感しかない。
ちょっとした誤解から先輩が野生ポメ化しちゃうけど、わりとすぐ攻めの愛情が伝わって人間に戻ります。
あっさりといえばあっさり。
ストーリーも絵柄も優しい世界観なので、目の肥えた熟練腐女子さまより、BL初心者さんにオススメです。
岩本先生・幸村先生の共鳴シリーズは、オメガバース至上最高にして至高だと思いました。
オメガバースとしては王道で、気を衒った設定のない作品ですが、王道をここまでドラマチックに描き切った先生方に脱帽です。
理玖も圭騎も、ともにハイスペックで、自分に厳しいタイプ。
一見すると完璧に見えるけれど、自分ではどうすることも出来ない本能の渇きに振り回されたり、我を忘れたり、時に相手も自分も傷付ける。
だけど、何度心が折れても周囲の友人や仲間の助けを借りながら、出来る限りの努力を積み重ねて、少しずつ人として成長していくんです。
自らの行いが招いた結果とはいえ、遠くから黙って見守るしかなかった圭騎さんも、よく耐えたなと思いました。
よほど強く大きな愛情が無ければ、メール(とわずか2回の電話)だけで1年以上待ち続けられないです。
理玖も、肉体はΩだとしても、元αとしての矜持を内包しているゆえか、圭騎に相応しい人間になるべく日々の努力を積み重ねる姿が美しかった。
理玖の高校卒業後、やっと再会し、素直に愛を伝え合ったシーンは感動的でした!
なんとなく絆されて・・・じゃなく、厳しい試練を乗り越えて一回り成長した二人が結ばれたからこそ!なラストシーンでした。
もう完璧。
これ以上ない終わり方でした。
子どもの頃からずっと理玖のそばにいて、良き親友でいてくれた彩斗が切なかったかな・・・。
彩斗は純粋に理玖を好きで、ずっと見守ってきてくれたから、彼の扱いは少し可哀そうだったなと感じました。
彩斗にも魂のつがいが現れて、どうか幸せになって欲しいです。
李里耶編はコミカライズがスタートしましたが、彩斗編もあれば嬉しいなと思った最終巻でした。
「αの花嫁」で主役だった理玖(りく)を、精神的にも経済的にも支え導いてくれた李里耶(いりや)様のスピンオフ!
発売を心待ちにしておりましたー!!
もともと大変美しい作画の幸村先生ですが、本作も作品世界を完璧に絵で表現されていて、登場人物たちのあまりの美しさに平伏すしかあるません。。。
Ωでありながら、名家・孔王家の跡取りとして、αに引けを取らない知性と教養・品格を備えた李里耶。
幼い頃からずば抜けた美貌をお持ちで、将来を嘱望されるのも頷ける佇まいでしたわ・・・。
なので、あの李里耶が、まさか18になるまで発情期が来ていなかったとは、少々意外でした。
攻めである旺(あきら)とは幼少の頃に会っていて、まだ生殖機能も成熟していないはずなのに、すでに魂のつがいとして共鳴し合っていたのですね・・・成長してから再会した際に、お互いすぐには気付いていなかったけれど、肌が触れた瞬間に激しく共鳴し合っていたのがドラマチックでした。
本能のまま、お互いに激しく求め合う姿はただただ美しく淫靡でしたし、李里耶から匂い立つ色気も壮絶で、一度の情交で旺がとんでもなく強い執着心を抱いてしまうのも無理はない・・・。
ちなみに本作、「αの花嫁」のもう一人の主役であり、李里耶の親友である圭騎(けいき)も登場します!しかも大学生!若い!!
若いくせに、10代の頃からとんでもないツヨツヨαオーラ全開の圭騎様・・・。
事後の旺に一瞥くれて、あからさまに『君ではまだ無理だ』と告げる姿が、「αの花嫁」で理玖を品定めした時の李里耶と重なりましたね。
李里耶も圭騎も、親友のつがいとなる人物は自分が認めた相手じゃなきゃ許さない感じで、つがい候補からするとハードルが高過ぎる小姑(小舅)ですよ。笑
「αの花嫁」では李里耶につがいがいる描写が無かったと思うので、旺と李里耶がいつ結ばれるのか、まったく予想がつきません。
が、旺もこの先、李里耶に相応しい超絶ツヨツヨなαに成長するはずなので、続きが本当に本当ーーーーに楽しみです!
美麗な作画とドラマチックなオメガバースを読みたい方、ぜひご一読ください!