初めて熊猫先生の作品を拝読しました。
まず目に留まったのが、和でサイケデリックな雰囲気ただようカッコよすぎるコラージュの表紙です。
TADANORI YOKOO感ある色合いといい、作品の内容に関するモチーフを散りばめたデザインといい、素敵すぎます。
ページをめくると、これまたカッコよくて……!
色の使い方が派手なのにパキッと決まっていて、まず表紙から目次ページまでの4ページを何度も繰り返して眺めてしまいました。
本編は本編で、また絵が良いです!
まず攻めの千代田先生の登場シーンが良すぎます。
逆光、かつ顔の下半分からの登場。そして効果音は「ぬ。」
こんなコマを見てしまったら、図体がデカくて不届きもので怖いもの知らずな美形の登場を期待せずにはいられません。
そしてその期待を裏切らない千代田先生。とてもいいキャラしてます。
オカルトや異世界との絡み、二葉との関係性の在り方に関してはもっと細かく読みたいくらいでした。
素敵な絵を存分に堪能しました。
古矢渚先生の『君は夏のなか』の続編、『君と夏のなか』です。
夏が来るたびに読み返したくなる、夏の空気を存分に味わわせてくれる作品です。
佐伯くんと渉くん、この二人の関係性のあり方は見ていてとても心地良いです。
とはいえ佐伯くんからは、自分からの矢印の一方通行なのではないか?と感じているような節が度々うかがえます。
元々のこの恋の始まりが始まりでしたから、そう考えるのも無理はありません。
でもその、自分自身に言い聞かせて納得させているようなところ、渉くんに期待し過ぎないようまずは待とう、としているさまが健気かつ理性的で……
こんなハイパー大学生に出会えるフィクションの世界って、やはり素晴らしいですね。
今後もフィクションには大いに期待し続けたい所存です。
ラストのほう、手を繋ぐシーンにはグッと来てしまいました。
古矢先生の描く、人々の感情が昂る瞬間が大好きです。
作品を読みつつも、こうしてシリーズ物として二人の成長を一緒に追うことができる楽しさと喜びを味わっています。
先日の『君と夏のなか : 3』の発売を機に、久々にシリーズ1巻であるこちらの作品から読み返しておりました。
眩しさに目がくらんでいるうちに、一瞬で過ぎ去ってしまう夏の儚い透明感。そんな空気を味わうことのできるこの作品が大好きです。
作者の古矢先生も今作の後書きでおっしゃっているように、漫画や小説、そして映画などで描かれる二次元の夏、イデアの夏はかくも美しい。
そこには理想の明るい太陽と澄んだ風ときらめく海があります。
その上、この作品には互いへの想いを大切にあたためながら徐々に心を通わせていく二人がいます。
ストーリーは王道と言えるのでしょう。が、その王道こそがいつも私達人間を感動させるのだと思います。
理想の夏に息づく普遍的な愛の物語。
どの夏にも、何度でも読み返したい一冊です。
本編「ブルー!ブルー!ブルー!」の後日譚があるということを最近知り、大急ぎでオンラインストアに走りました。
本編の余白を残した終わり方、あえて身体の一線は越えないラストシーンを既に完全で完璧だと思っていたのですが、このような大盤振る舞いがあるとは……!
想像で補うこともできるのに、ここまで作者さまによる作品として読ませていただけるなんて。惜しみないアフターサービスに感動しています。
想像はただの想像でしかなく、アンサーではないですから、やはり創造者ご本人からの提示ほど尊く有難いものはありません。
大人で理性的な本条さんの動揺や逡巡、そして一瞬の衝動などの描写が素晴らしいです。
普段硬派な人の心がほどけた柔らかな一面や、理性的な人間の本能がうかがえる瞬間ほど味わい深いものはありません。
凝縮された濃厚な41ページでした。読むことができて本当に良かったです。
個人的に、夏をテーマとした作品といえば思い出すのがこちら、アマミヤ先生の『ブルー!ブルー!ブルー!』です。
どうしても夏のうちにレビューを書いておきたい!と思い、この度読み返しておりました。
この圧倒的な爽やかさと透明感。きらきらと太陽光が乱反射するかのような眩しさ。
そんな空気感を持ったストーリーに、大型犬属性の年下攻め桔平くん、そして誠実で硬派な色気がある大人な本条さんというキャラクターの取り合わせがもう最高です。
秘密を共有したこと、そして成り行きではあるけれど、自身の弱い場所を見せたことにより心が近づいて、そこから徐々に気持ちが変化していって。
桔平くんの、本条さんへの憧れと欲が見え隠れする様子がたまらなく良いです。爽やか大学生感、無害な良い子感出しておいて好いた相手へは結構攻め攻めなのも良い……。
ゆっくりとお互いがお互いを知り信頼度を高めていく様子もとても好ましく、台詞外のちょっとした間や表情、動作などで語られる心理描写に胸が揺さぶられます。
読み終えたあとの余韻まで美しい。
何度でも読み返したい作品のひとつです。
裏社会ものでかつオメガバースとのこと、そしてこの美麗かつ勢いと強さがほとばしる絵柄、もう絶対面白くないはずがないでしょうとも!と手に取りました。
ページを繰れば、躍動感あふれる争いにシリアスに流血にそしてコメディに恋愛に、とすべてが収められたストーリーがそこにはありました。この絶妙なバランス。これひとつですべての栄養素が取れそうです。
いやー面白いです!
飄々とした三白眼の強い男、椿さんのポーカーフェイスがとても良いです。
遥来くんのことを大切に思っているのはわかるけれど、それが果たして恋愛に発展するのか?遥来くんの粘り勝ちは可能なのか?
個人的には、そのあーでもないこーでもないの応酬をあと三巻分くらい読みたいくらいでした。そういう栄養価の高いモダモダはいくらあっても美味しくいただけます。
遥来くんが押してもまるで子供扱いでなびかないように見える椿さんとか、それでいていざというときにはなぜかいつも助けてくれる椿さんとか、それで余計悶々とする遥来くんとか……
いいですね……
椿さんとは別組の組長、柏宜さんのキャラクターが気になって仕方がないので、ぜひ続編を!期待しています!!
待ちに待った『二哈和他的白猫師尊』第6巻、先ほど読み終わりました。
なんてこった、と頭を抱えています。
いやーーーーー面白すぎる。
わかってはいましたが。
もう6巻まで読んできているのでわかってはいましたが、それにしても予想を裏切る面白さ。
展開をまったく予想させず、かつすべての人々がそれぞれの場所で生き生きと動き悩み愛し慟哭する、この文章の力。
肉包不吃肉先生の作り出す世界感、それを文章で描き出す力、それに説得力を与える構成力、そして人間という不思議で愚かで尊いものへの理解の深さ。
ただただひれ伏しています。
↓↓↓以下ネタバレを含みます!!↓↓↓
冒頭こそほんわかイチャイチャがありましたが(非常に良いイチャイチャです)、もうそこから先はのんびりアハハウフフとイチャつく暇はありません。
しかし絡んではいます。大いに、狂おしいほどに絡んではいます。が、痛い。
肉まん先生の手にかかるとその描写は恐ろしいほどの臨場感にあふれ、身体も心も痛いです。
そして第1巻を読んだときに「こんなにも三角関係がハッキリしてる中華耽美もアリなんだ!」と感銘を受けたのですが、その三角関係がまさかこんな形で再度姿を現そうとは!!
ひたすら驚いています。まずこの一件からしても、先を読むのが待ち遠しくてなりません。
墨燃と楚晩寧の関係性にオーバーラップする徐霜林と羅楓華のストーリーも素晴らしかったです。
楚晩寧の生い立ちや懐罪大師との確執に至る話などにも触れ、今巻では過去・現在・更に別次元の世界も絡んでその物語は複雑さを増していきます。
遂に登場人物が出揃った感のあるこの第6巻。
ここから怒涛の伏線回収が始まるのでしょうか。楽しみすぎて11月の7・8巻発売が待てません。
それにしても師昧よ。
誰にも深く理解されず、常に平静を保ち、静かに世界を見つめてきた師昧。
彼のしたたかさ、内に秘められた抑制された感情の奔流を思うと胸が痛くなると同時にワクワクもしてきます。これから一体どうなるのでしょうか。
肉包不吃肉先生がどのような道を彼に用意しているのか、どう転ぼうとひたすらに楽しみでなりません。
衝撃作モンスター&ゴーストも遂に第3巻までやって来ました。
こんなにも続きを心待ちにしている作品もそうありません。
もうその始まりの瞬間からして、どう考えても不毛としか言えない椿君と兜君の関係。
本来ならばあり得ないはずの生者と死者とが交わることによる歪み、特に兜君が椿君に及ぼしてしまう影響が、今巻に至って徐々に現れてきます。
この二人はどちら側の世界での共存が可能となるのでしょうか。
きっと一筋縄ではいかないであろう、ここからの展開に期待しかありません。
そして今巻では、目に光の無いイビツ君がよりイビツ君らしさを加速させてきました。
第3巻冒頭、事故を見てのこの表情の変化ですよ……。
最高すぎました。いやーーー恐ろしい、イビツ君。
視野広すぎるし冷静だし神出鬼没だし前動作無しに現れるの怖いしで最高のイビツ君でした。
終盤、夜間のビル群を背景に華麗にパルクールを舞うコマの美しさよ……。
すべてのコマが美しく、イビツ君の身体能力、軽やかな躍動感が見えました。
そして前巻に続き、今巻も心揺さぶられるシーンでページは最後を迎えます。
益々続きが楽しみです。
治水をベースとした架空王朝ものということで拝読しました。
皇帝のヴィジュアル、一途なキャラクターが良いです。
彼の想いは秘められつつも熱量が高く、またあまり自覚の芽生えていない王佳との関係性の今後の変化に期待しかありません。
しかもこれで王佳よりも年下だという話。年下かつ受けよりも圧倒的に位の高い攻め。素晴らしいです。
普段から中華耽美小説を嗜む身としては、今作の人名のふりがなに揺らぎがあるのが意図的なものなのか、それとも特に意味はなくそうなっているのか、どちらだろうと常々考えながら読んでおりました。
美花には「めいふぁ」と中国語普通話のピンインをひらがなにしたようなルビが振ってあるのですが、王康には「おうこう」と日本語音読みのルビが振ってあります。
また、小梅に至っては「こうめ」と日本語訓読みのルビとなっております。
名前の読み方でキャラクターの性質などをあらわすために、意図的にふりがな表記を統一していないのでしょうか。
また、王佳の台詞内で「ルート」という単語が発せられる箇所にも目が行きました。
時代背景、また世界観的に、英語由来の単語が出てくると違和感を感じてしまうようにも思います。
しかしながら、これもあえて横文字言葉を使うことでインパクトを与える狙いがあったのかもしれません。
中華の世界観を楽しむというよりは、そのテイストを帯びたファンタジーとして、架空世界であることを理解しながら読むと楽しむことができそうだと感じました。
あちらこちらでその高い評判を聞いており、いつか時間をとって読もうと思っていた『水辺の夜』。
初めの数話、キャラクターの人となりと世界観を徐々に掴んでいこう…と様子を見ながら読んでいたのが嘘のように、10話ごとにどんどん面白くなっていき深みを増す物語に引き込まれ、続きが気になって仕事が手につかないくらいでした。
30話くらいで「これは…!!」となり、40話ではいてもたってもいられなくなり、60話を超えてヨ・テジュの見たことのない姿に私も嗚咽し、80話あたりはニコニコとしつつもまだもう一雨来そうな気配に戦々恐々とし、90話付近で打ちのめされ……
いやこの人たち収まるのか??収まるところに収まれるのか???と最後までドキドキしながら読みました。
最高の読書体験でした。
心理描写やキャラクターの変化の描き方が素晴らしいです。
物語のスタート地点からの振り幅が凄まじいヨ・テジュにはやられました。ヨ・テジュが良すぎて、寝言がヨ・テジュになりそうでした…。
以下、物語の細かい部分で印象的だったところです。
イヒョンが不意に家から飛び出してイソクにタバコを求めたところ。
イヨンを待っていた、と言っていますが、これは本当はヨ・テジュの気配を欲していたのかなと思いました。
ヨ・テジュのことをタバコの香りがする、と常々言っていたイヒョン。
不意の喫煙、つまり彼自身無意識のうちにヨ・テジュの存在を求めていたのでは……と思うと胸が苦しいです。
イヒョンはいつからヨ・テジュへの情が湧いていたのでしょうか。
また、お互いがお互いのことを白い花の匂いがする、と言っていたヨ・テジュとキム・イヒョン。
イソクもイヒョンのことを「いい匂いです」と言っていた点を鑑みるに、情を向けた相手のフェロモンはやはり良い匂いがするのかなと思います。
そう思うと、イヒョンが情を自覚するずっと以前から、とっくに彼の本能はヨ・テジュを受け入れ求めていたのかなと。
考察しがいのある作品です。
最後に。
ヨ・テジュのベージュ系を基調としたスーツ系ファッション(ヤクザファッションとも言う)とても好きでした。毎度最高に眼福でした!!