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人探しでさりげなくビルの屋上まで行っちゃうアンナくんのさりげない超人ぶりがツボでした

ミナヅキアキラ先生の『スモーキーネクター』続編です。
こんなにも面白い続編作品があるでしょうか。
アンナくんとみつるくんの物語を追いかけあっという間に読み終えた今、こんな続編を読みたかったんだ…!という思いで胸がいっぱいです。

前作で触れられたバイター達の “家” にまつわる諸々、またアンナくんみつるくんの幼少期など描きつつ、ストーリーはより奥深く展開していきます。
既出のキャラクター達と新登場のキャラクター達の双方を巧みに利用した物語の進め方も素晴らしいです。


個人的な話ですが、自分が好きな作品について。
二人が想いを通わせるまでに至る物語、突き詰めた心理描写と練られた状況描写、それこそが楽しい部分だ!私がBLで読みたいのはそこだ!!というスタンスです。

そして一作目である程度完結している作品の場合、そこで既に人間関係や恋愛に関するモダモダは済んでいることも多いように思います。

したがって、既に収まるべき鞘に収まった状態での続編作品は、どうしてもストーリーラインが限られてしまうように感じられてしまうことがあります(もちろん、あらかじめ上下巻とうたわれている作品や長編作品はまた話が別です)。

主役二人がまだBLじゃない状態の一作目では、“ここからこの二人がどのようにしてBLに至るのか” というとても分かりやすく大きなテーマがあります。
そしてその非常に簡潔で偉大な主題に向かって何がどう進むのかを楽しめる第一作目と違い、続編にはそれに比するほどの大きなテーマがないことが多いように思います。
大きな一貫したテーマがないところからスタートする続編では、どうしても物語の軸が見えにくくなるように感じます。
つまり、一作目に比べるとカタルシスを産むような展開が作りづらいのかもしれない、と思ったりします。

既にLOVEに至った状態ですから、何かを語るべくお話にするには事件を起こさなければいけません。
例えば別れるかもしれない危機だとか。二人の仲を掻き回す第三者の登場だとか。
もしくはあえて事件など起こさず、甘々な日常を描く場合もあるかもしれません。

相思相愛の二人の甘い日常はとても素敵です。
また、物語を動かすほどの魅力をもった第三者の登場もワクワクさせてくれます。
しかしながら、そこに第一作目ほどのカタルシスや物語を読ませてくれるパワーがあるかどうか?個人的にはそこがポイントになってきます。
やはり物語には力が欲しい。
そこに物語が発生するための集約されたパワー、つまり説得力が欲しい。そう思っています。


そして。ようやくこの『スモーキーネクター Renew』の話に至ります。

非常に素晴らしい続編です。
前作で悪役として登場した蔵持家兄弟の描き方、また謎の多かった “家” 制度の掘り下げ、またバイターという生き物そのものの抱える葛藤など、前作の緻密な設定あってこその深度で展開する物語は、それ自体がとても大きな読ませる力を持っています。

また、前作で明かされた「契約者が死に至る条件」も、今作で起こる事件をより劇的にしてくれています。アンナくんのアクションもキレキレです。

主役二人が共生契約をした結果、バイターの保存を放棄せざるを得ないという、何かを優先すれば何かを手放す必要があるというご都合主義ではない世界観にも惹かれます。
今後二人は文字どおり生死を共にする共生関係。
そのお互いの心が揺れるさまの描写が素晴らしかったです。

前作の世界を引き継ぎ更に深めた、掘り下げと説得力にあふれたこの続編。
読むことができて本当に良かったです。

セクシーで仄暗くて可愛くてカッコよくてあたたかで最高でした

ミナヅキアキラ先生の『スモーキーネクター』、今更ながらこうしてこの素晴らしい作品をじっくりと味わっています。

いやもう最高でした。
第1ページ目からその世界観に引き込まれてしまいます。
幼子の牙、“かじる” というワード、からの噛み跡から流れる血液、そして蚊……と、吸血を思わせる連想ゲームは既に始まっています。
もうどうしようもなく仄暗くてワクワクせざるを得ません。

物語はそのまま仄暗モードで進むかと思いきや、みつるくんとアンナくんの一見ゆるめながらもフラグ立ちまくっている会話が始まります。
ちょっと警戒心足りなそうというか迂闊そうというか、そんな絶妙な隙があるように見える可愛いみつるくんと、逆にまったく隙が無さそうな、でもどこか飄々とした雰囲気がある不動産会社勤めのイケメンアンナくん。

そしてさっそくそのフラグ、もとい不安感は的中し、アンナくんが自身の出自を現すシーンでワクワク感は最初の山場を迎えます。
p33でいきなりクライマックス来るじゃん……!!と初読時は本気で頭抱えました。
あの全方位に隙が無さそうなアンナくんがブチギレる瞬間にも心踊りましたし、その後の誘惑に抗えないアンナくんの描写も非常に素晴らしかったです。

いつもアンナくんがみつるくんの前で喫煙していた理由、それは匂いでのマーキングであり、他者への牽制であり、かつ煙草の匂いでみつるくんの匂いを誤魔化し自分の欲望に蓋をする、そんな幾つもの思いが重なっていたのだなと。

“匂い” も “吸血” も、それぞれ個々で既にとてもセクシーなテーマだと感じます。
それら二つが絶妙に設定として生きている世界観、面白すぎるプロットと細やかな心理描写、筋肉の躍動するさまが見えるような美しい絵。
もうこれは傑作とならないはずがありません。
この作品に出会えて本当に良かったです。

お互いへの配慮、そしてこの作品に触れるすべての人への配慮

『52ヘルツの共振』柔らかい空気感とあたたかな読後感が好きで、たびたび読み返している作品です。

お互いがお互いのことを思いやり配慮しながら関係を重ねていくさま、受けの白根くんの生真面目かつきちんと言語化して思いを伝えていく様子(それゆえにたまにナチュラルに清成くんを煽ってしまっているのも良いです)、攻めの清成くんの優しさと誠意、すべてがあるべきところにある作品です。

個人的に良いなと思うのが倫理観ある描写です。
オメガバースというファンタジー世界を扱いながらも、彼らの行動はとても良い意味で常軌を逸することがありません。
たとえどんなに感情が昂ったとしても、職場で仕事中に個人的な行動に出てしまうようなことはないし(とても大人だしとても社会人で有難い)、たとえ車の運転中に衝撃的な告白を受けて動揺したとしても、そこについて詰めるのはきちんと車を停車してから、というこの配慮!
ファンタジーだからこそ、そういった人間性に関わる細かい描写も大切なのだなと感じます。キャラクターに説得力が生まれるような気がします。

清成くんが高校時代に行った山寺は山形県の立石寺でしょうか。
かなり階段は登りますが、美しい景色ときれいな空気を楽しむことができる私も好きな場所なので、そうだったら良いなと思って読んでおりました。

様式美的ファンタジーの魅力を味わいました

早寝電灯先生のオメガバース作品です。

こちらの『目眩はまどいのつがい』で個人的にテンション上がったのが、攻めである和己さんの盛り盛り設定です。
ガタイの良い髭アリ美丈夫で、どこぞでSPなどやっていてもおかしくないようなその抜群のスタイルを備えつつも職業は個人書店の店主、というそのギャップ。
穏やかそうな瞳をメガネの奥に隠しつつ、アルファとしての秘めた本能がたまに見えるさまがとても良いです。
その自分の本能に対して葛藤を抱え悩む姿が素晴らしいですね。
彼を見ていると、鋼の自制心と臆病さは紙一重なのかもしれないなと感じます。

そしてここまでで既にギャップの塊みたいな属性をあわせもった和己さん、極めつけには近くのバーでたまにバーテンダーをしているという。
もう、ギャップにギャップが二乗しています。

しかもこの副業ですが、同級生のお店を忙しいときにたまに手伝っている、という事情とのこと。
てっきり、自営業だし書店というとても収入が不安定な職業だから必要に駆られて夜のアルバイトをしている、とかそういうのかと思いきや。
そうじゃないんですよ。彼に限ってそうはならないんですよ。
あくまでもバーテンダーは友達のお店のヘルプなんですよ。

完璧です。設定が完璧すぎて隙がない。ちょっとした弱さを見せてくれる姿までパーフェクト。
もう和己さんに降参です。

バーテンダースタイルのときにはメガネを外すのも良いですね。彼自身の気持ちの切り替えになっているのかもしれません。

そんなパーフェクトギャップ攻めである和己さんを救うのが可愛くて意志の強い波止くんです。
この素晴らしいファンタジーの様式美よ。古典の名作御伽話を思い出させてくれます。すべての設定が現実ではあり得ないからこそ生み出される理想のきらめき。魅了されずにはいられません。

幸せな気分になる作品でした。

10DANCE 8 コミック

井上佐藤 

美しい身体が躍動するさまを堪能しました

この度の8巻発売を機に読み始めた『10DANCE』、もう本当に面白すぎました。
休日の丸一日をかけて、1巻から既刊8巻までを物凄い勢いで読み終えました。

なぜ今まで読んでいなかったのか、その理由は自分でもよく分かりません。タイトル名はしばしば耳にしていたのですが。
こうして未だ自分が出会っていない名作がまだまだ星の数ほどあるのだろうなと思うと、この先の人生が楽しみすぎます。生きていて良かった。

しかもこの名作は現在進行形で連載中とのこと。ここからの展開を追える喜びまでついてきてくれました。

絵が非常に美しいです。
いきいきとした筋肉のうねりからは躍動感や呼吸が見えるようです。髪の毛の先まで踊っているようなダンスシーンの描写にはいちいち見惚れてしまいます。
踊っているだけでとても官能的。
ダンスは身体と身体のコミュニケーションなんだなあと感じます。

ガタイの良い美しい男達がダンスのホールドの型で組み合う様子はもう……いくら見ても見飽きないです。こんな美しいものを見せていただいてありがとうございます、と読みながらも御礼をお伝えしたくなりました。

この二人の信也、これからどのようにその絆を深めていくのか、それが彼らのダンスにどう影響していくのか、ストーリー展開が非常に気になるところです。
次巻も楽しみにしています。

恋地獄で待つ コミック

ダヨオ 

地獄で送るボーナスタイム

この度初めてダヨオ先生作品を拝読しました。

どんな強い恋慕も執着もすべては現世にこの身あってこそ、ひとたび命を落としてしまえばそれらのしがらみからは良くも悪くも解き放たれる、と思っておりましたが、なんと舞台をまるっきり死後の世界に置いてしまうとは。
とはいえその地獄はそれまでの人生から地続きで、別世界というよりはたちの悪い悪夢のようで。
このあたりの “何もかもが微妙ーーに上手くいかない” 、ちょっとすっきりしない感覚を表した描写がとても好きでした。

現実世界の行いからも残した思いからも逃れられない、別の自分になることもできず他者との関係性もリセットされない、しかも本物の人生とは異なりいつ終わるともしれない、それは確かに地獄かも……と感じつつも、それこそが彼らが得たボーナスタイムだったんだなと思いました。

ある意味めちゃくちゃ魔性の男だと思いました

今回初めて拝読した鳥田ちず先生作品。
絵の美しさ、タイプの違う二人の主人公のヴィジュアルに惹かれて購入しました。

どのコマもどのコマも隅々まで眼福です。
華やかな笑顔とキラキラとした瞳が印象的な花岡くん、短髪に鋭い視線がクールで男前な、ザ・攻め感ある三森くん。

この花岡くんのフットワークの軽さ、あまりに何事にも障壁がなさすぎる感じや急に距離をつめてきたりするところに、私も三森くんと同様「し…思考回路がよめない…!」とドキドキしました。
中盤過ぎくらいまでは、割と本気で “実は彼はすべて計算尽くでこれらの行動をしており、この関係性も三森くんから始められたように見せかけて、すべては花岡くんによる三森くんを落とすためのあらかじめ仕組まれたプロットである。これは『魔性の男・花岡咲哉』の話” なのではないか……と疑念を抱いて読んでおりました(そんな怖くて泣いちゃうような話ではありませんでした)。

……でも魔性の男であることは間違いないですね、花岡咲哉。そのタイミングでビールこぼされたりしたら、行け三森、今だ!!ってなりますよね。
それが計算じゃないのが、逆にやっぱり怖いです(褒めてます)。

勢いとなんとなく、で始まった関係性の二人が、それぞれに少しずつ意識し始めるその過程がとても良いです。
その心の変化は細かな表情にも繊細に現れていて、絵そのものが読ませてくれる漫画だと感じました。

また他の鳥田ちず先生の作品も読んでみたいです!

カタルシスが待ち受けていました

『二哈和他的白猫師尊』も遂に5巻が発売されました。
日本語版ラジオドラマの配信開始や初のポップアップショップの開催決定など、盛り上がりを見せる二哈界隈。

と同時にこの5巻、盛り上がりに盛り上がってくれました。
ひたすらに最高でした。
まずはこの物語を5巻まで読めて本当に良かった、とその余韻をしみじみ反芻しています。

盛り上がりに盛り上がった結果、あんなことや!こんなことが!起きるのですが、ここまでストーリーが進んでくるとネタバレ回避が難しすぎて、もう何も書けなくなってくるのがなかなかつらいところです!

この5巻ではBL部分の進展のみならず物語も重要な局面に入ってきており、重くシリアスなシーンで今巻は最後のページを迎えます。

その不穏な気配は単行本の帯文からも察せられます。
“この日々が少しでも長く続いてくれたらいいのに…”
仮定法、かつ三点リーダーで締めたこの帯文、不穏展開フラグでしかありません。
表紙の絵自体はこの上なく幸せそうな空気が溢れ出す夜の甘美な御剣デートのシーンだというのに、不安感を誘うこんな帯文を添えるという、上げて落とすハードなスタイル。これだから中華耽美小説、大好きです。

今後墨燃を待ち受けているであろう大きな試練。その試練を通して、物語はいよいよ不可解な重生を遂げた彼自身の謎に迫っていくのでしょうか。
墨燃、そして側にいる楚晩寧が、この局面をどのように受け止め受け入れ昇華していくのか、そして肉包不吃肉先生がその痛みと苦悩をどのように描いてくださるのか、とにかく楽しみで楽しみで仕方ありません。

毎度新しい巻が発売される度に言っているような気がしますが、やはり今回もこれを言わずにはいられません…、今すぐに6巻が読みたいです。

ひとりの小さな山鬼の一万年の歩みでした

『鎮魂』全3巻を読み切って、今その余韻に浸っています。

第2巻で大きな時空の広がりを見せた物語は、この第3巻でより壮大な中国の神話世界へと波及していきます。

お陰様で理解を深めたい欲が高まり『山海経』や『中国の神話』(講談社学術文庫・貝塚茂樹著)などなどに手を出すに至りましたが、たとえ中国神話の知識はなくとも、ひとつの完成した物語としてこの作品自体を楽しむことができると思います。

とはいえ、『中国の神話』を読んだお陰で、天地ができる以前に生じそこに存在した “混沌” 、混沌として何者でもなかったそれに名前をつけ役割を与えた山聖、という図がよりはっきりと見えてきたように感じました。
何でも無いものに名前をつけ「何か」にして存在を定義するということ、それはその実在をこの世に明らかにすること。
その意味で、山聖によってこの世に生まれたと言ってもよいその小鬼はやはり山に見出された鬼であり山の鬼、嵬であり巍なのだなと。

ラストに収録された外伝「山鬼」も非常に良かったです。この物語ひとつで短編映画を見たような余韻を感じました。

ドラマから入った私にとっては、ドラマとの違いを楽しむという意味でもとても得難い読書体験となりました。
映像化にあたって様々な制約が待ち受ける中、原作小説内にちりばめられたエピソードや繊細な心情の揺れなどを彩り豊かに拾い上げて脚本や構成がなされたのであろうことが垣間見え、ドラマ、原作小説どちらもそれぞれにかけがえのない作品であることをより強く感じました。

『鎮魂』、この作品に出会えて本当に良かったです。

春の空気の優しい柔らかさがありました

おどる先生の『春のデジャヴに踊れ』とても柔らかであたたかな読後感でした。
春、少しずつ吹く風が優しくなっていく季節の空気感がそこにありました。

二人の間で微妙に意思疎通できていないように感じられてしまうような不安を煽る些細な言動、お互いに無理をさせているんじゃないかと心を痛める瞬間、そういったものが決して強くなり過ぎることなく柔らかくたおやかに描かれています。

個人的に好きだったのはスタジオ内の細かな描写です。
淳さんがスタジオでマットを敷いて、軽くストレッチしながらイヤホンをして音楽を聴いている、もしくは動画チェックしているさまや、鏡の前のバーに掴まって大腿四頭筋ストレッチしているさまなどなど。
わかるわかる!とついつい注目してしまいました。
ぜひまたおどる先生のダンステーマの作品を読んでみたいです。