こりゃまた面白い切り口のセフレ設定!
実際には身体の関係はない、でもバーチャルの世界ではしっかりとセフレ関係にある。そんな2人が、まさかの近距離にいて……というドラマチックストーリーに一瞬で虜になりました。
VRの世界ではアバターを介したセフレ関係でも、リアルの世界では上司部下の関係にある両名。本来ならVRの世界線と職場の世界線は交わることはありません。
本田は"マコト"として、桐島は"アキ"として関わり合っていく仮想世界に次第に没入していくのですが、何度も逢瀬を重ねるうちに芽生え始める2人の気持ちに注目です。
VRの世界にはルールがあり、これ以上は踏み込んではいけない厳しいラインが決められています。好き勝手に自由な会話もできず、あくまでも仮想世界の住人としての会話しかできないことは、この2人の関係を限定的なものにしています。
リアルに話したり触れたりできないこの関係は、"アキ"と"マコト"がいる仮想の世界でだけで、桐島と本田の世界ではないんですよね。セフレ関係だけが独り歩きしていて、そこに気持ちが追いついていかないのが、この仮想世界の弱点…あるいは闇の部分でもあるのかなと思います。
桐島が"アキ"であることを知った本田はどう行動するのか。
本田に芽生えたアキへの恋を、リアルの世界の"アキ"に伝えられるのか見ものです。
実生活では怖い上司がまさかの想い人だったギャップも面白いけど、その上司が意外にも可愛い一面がいっぱいで、桐島の中に"アキ"を感じて現実世界で直に触れ合える喜びに浸るシーンはグッときました。
本田のビジュアルのイケてなさも、それがかえってストーリーに厚みを持たせており、"どんな人がきてもマコトがいい"と言った桐島のセリフの重みと繋がる演出が素晴らしかったです^ ^
番外編集の楽しさを、只今ひしひしと感じております……!!
基本あまあまだし、ほのぼのほっこりだし、クスッと笑ってしまうちょっとした日常の恋人模様がとにもかくにも最高でした。
切なく悲しいシーンは、あってもほんのちょっとだけ。まだエドと礼が結ばれていなかったときの過去回想は胸にズキンときますが、現在進行形で愛を育み合う恋人同士のやりとりは、糖度が高くて終始頬がゆるみっばでした(笑)
エドってこんなにもヤキモチ焼きだっけ?とツッコミたくなるほど、もはや嫉妬はエドの代名詞。番外編集のあちらこちらで、幼な子のようなヤキモチを撒き散らすエドは必見です^ ^
エドの嫉妬を更に盛り上げてくれるのが、パブリックスクール時代の友人たちの存在です。あ、あと礼が担当するアーティストもいました。彼らと礼があまりにも仲良しで、エドを含めた礼大好きメンバーたちで礼の時間や礼の隣を取り合う椅子取りゲームに笑いが堪えきれませんでした!
エリートたちでワチャワチャし合うの図。ああ…私も仲間に入りたい(笑)
皆んな職業や働く場所も違うけど、不定期で集まって親交を深め合う和やかな時間にホッコリと癒されました。
番外編は、本編にはないキャラクターたちのリアルの姿をたくさん見る事ができる新しい発見の場でした。
それに。本編のストーリーの補完内容にもなっていて、本編では触れていないあの場面の裏ではこんなことがあったのかとか、こんなことを思っていたのか、とか。エドと礼以外の登場人物たちの過去エピや、彼らの心理がよく分かる視点描写が素晴らしかったです。
ボリュームとしてはエドと礼のストーリーの方が圧倒的に多いですが、スタンと桂人のストーリーも収録されています。嫉妬まみれのスタンと、各方面からモテモテな桂人の学園ライフが拝めて、こちらも満足の読後感でした。
どうやらこの番外編には続きがあるようで、今から楽しみにしています!
どんなストーリーになるのか早くも期待でいっぱいです。
幼馴染同士、共に国を守ろうと誓い合った親友2人が織りなす中華ファンタジー。国を守護するため、切磋琢磨しながら敵と対峙していくバトルものです。
その過程で想いを交わし合い、幼馴染以上の距離にグッと近づく恋愛ターンは意外と早い段階で訪れるので、焦れったさとかはナシ。関係性がある程度できている2人だったせいか、恋愛事モードに進むタイミングもスピード感もちょうど良かったです。
早いうちに両思いとなるからには、そのあとに色々あるんだろうな…と予測できちゃうのが如何ともし難い。国の不穏な情勢と相まって予想が確信に変わっていく中盤付近に訪れる2人のすれ違いが、まさか攻めの龍炎の闇堕ちルートの引き金になろうとは……。愛し合う2人が敵対勢力となっていく事件ターンの読み応えは抜群でした。
一見すると戦う相手は敵の抵抗勢力ですが、実はそうではない社会の闇構造がこのストーリーの大きな核。確かに、国を滅ぼそうとする者たちとのバトルが最大の見せ場であり、最高のクライマックスシーンではあるんですけど、真に戦うべき相手は目の前の敵ではなく、この国自身っていうメッセージ性が深い終幕でした。
正すべきは国内の社会構造にあって、これまで払ってきた多くの犠牲は、結局のところこの国が自らが招いた結果に過ぎませんでした。
国に蔓延る選民意識、特権ヒエラルキーや差別……身分によって不平等や不公平が生じている国内の歪みこそが本当に倒さなければならない諸悪の根源そのもの。そこに呪いの宝剣アイテムがうまくマッチングし、胸に巣食う悪の感情を増幅させ、遂には瘴気を生み出すエネルギー源となっていくカラクリがなんともやるせません。
父を裏切り者だと罵られるばかりか、身分の低さまでをも馬鹿にされてきた龍炎は、これまでどんな気持ちで耐えて頑張ってきたのか……。あれだけ気丈だった男が夜雪とのすれ違いから一気に闇堕ちしていく展開は目も当てられないほどでした。
国賊化した龍炎の目を覚ますことが出来るのは後にも先にも夜雪のみ。愛する人と敵対関係になってしまった中盤以降はハラハラの連続です。
恋愛的には割とすんなり進んでいただけに、龍炎との対立は歯痒さいっぱいでしたが、夜雪の龍炎への信頼や絆の強さが試されたと思えば、切ないストーリーも乗り越えられました。
登場人物の中で1人、毎回すんごい嫌味を言ってくる差別野郎がいるのですが、奴が最後に龍炎の擁護に回ったのがあまりにも急すぎて、一体何がどうして考えが改まったのかとそこだけが気になりました。
あんだけ龍炎に酷いことを言っていたし、密告もしたくらいの性悪男だったので最後にギャフン展開があれば良いなと願っていたところに、突然の良い人モード。龍炎と夜雪が許しても私は許しません。(とりあえず龍炎に謝んなさいよ)
最後は普通に味方サイドに位置取りしていたこの男のことだけが少々不完全燃焼でした。
社会体制がこれから大きく変わっていく中で、2人がどう国に貢献し、また愛を育み合っていくのか大いに期待していきたいなと思います^ ^
1巻のときより甘み成分が段違いに多く、どのページをめくっても全部が楽しい仕様となっていて、星が5個しかつけられないことが非常に口惜しいです。
甘さも多いが、エロも多い。エロはこの作品の代名詞のようなものですが、今巻はストーリーもめちゃくちゃ良かった。全方位最強の読み応えです。
糖分が過剰供給気味な濃厚なベッドシーンはトロトロのラブラブで、お付き合いしたてとは思えないイチャイチャ祭りに頬の緩みが止まりませんでした!
関係性が変わるだけで随分と雰囲気が変わったなと。1巻のときはエロの展示会みたいな感じでしたが、それでも設定やキャラの個性、エンターテイメントとしての面白さは別格でした。過激なベッドシーンとプレイの映え感もすごかった印象です。
ただ。ストーリーの内容としては、エロのインパクトが強かったせいか、年下のドS後輩に身体中を攻め立てられているマゾっ子先輩というイメージが先行していたのが少し物足りなくも感じていました。
それがどうでしょう。
この2巻は恋人同士という親密で特別な関係をベースに、蜜月期の幸福な心理描写や、嫉妬感情、関係バレを恐れる不安な心理描写に丁寧にアプローチ。内面の心情変化に触れることでストーリーに広がりが生まれる恋愛模様がホントもう最高でした!!
柳瀬大好きをいっぱい詰め込んだ三谷の溺愛ムーブは何よりの萌え感です。
特別な時間、特別な場所で、特別に甘いプレイに興じる2人に終始ニンマリ。エロシーンあるなしに関わらず、ストーリー全部が神ってました。
このままずっと2人だけの時間がずっと続けば良いのにと何度思ったことか。読み終わりたくないほどに酔いしれました。
社内恋愛における脇キャラたち(営業部長は超ウザい 笑)の存在感も良く、2人の恋人期を余すことなく堪能できた至高の続刊です。
何度読み返しても楽しい満足感をお約束します♪
人気セラピストと新人セラピストのセラピスト同士の社内恋愛のお話になっていくのかなと思っていたら、なんとまぁ……全然違いました^ ^
むしろ学園もの寄りでしょうか。実は同じ大学に通う同級生であることが分かり、友人としての付き合いをベースに2人の距離が縮まっていくストーリーとなっています。
この作品を読む前に、小丸オイコ先生の別作品(別レーベルです)を直前に読んでいたのですが、あっちはもう隙あらば挿入にもつれ込むようなエロエロストーリーだったのに対し、こっちの作品は挿入シーンはラストのみ。落差すげーと驚きながらも、大学生2人のピュア可愛い恋愛をたっぷりと楽しみました。
未だチェリーの幹の経験値に合わせるように、しっかりと手順を踏みながらお互いに惹かれ合っていく流れがとっても良かったです。最初の1話こそ、勘違いでエロ展開に突入する一幕がありますが、基本的にはちゃんと両者の気持ちが通い合うまでエッチなことはシません。
すぐにヤろうとする哲也にノーを突き付け、下心のないただの友人として交流を深めていく幹の清い心がこのストーリーの純愛を演出。決して流されない身持ちの固い幹の行動からは、哲也を憧れの人・テツではなく、親友・哲也という対等な存在として見ているようで好印象でした。
身体の関係を交えることなく惹かれ合っていたこそ、快楽に誤魔化されず自分の気持ちに真っ直ぐに向き合えたと思います。嫉妬したり気持ちがすれ違ったり、本意じゃない展開も起きたりするけど、色々と思い考え悩みながら同じ方向へと気持ちを向かわせていくエンディングは胸アツでした。
人を好きになったことがなく、好きの感情が分からない哲也は身体の経験値は高くとも、恋愛経験値は童貞のようなもの。恋愛初心者同士、ここから全てがスタートしていく未来に期待したいです♪
ついに迎えたベッドシーンは、ああもう…これぞ小丸オイコ先生ならではの濃厚でエッチなプレイの数々。ラストにして、2人の甘さをたくさん摂取できて幸せいっぱいですヽ(´▽`)/
恋に夢見る親友に恋するモテメンの苦悩が伝わってくる、焦ったいすれ違いが響くBLです。
なかなか虎晴に告白できないヘタレな龍雪と、少女漫画のような恋に憧れる虎晴との想いが交錯していく恋模様はなかなかうまくいきませんが、現実の恋は漫画のようには上手くいかないもどかしさに包まれて、悩みながらも龍雪への恋心に向き合っていく虎晴から目が離せませんでした。
虎晴の恋はあとになってから覚醒していくのに対して、龍雪の恋心は1話目からかなり飛ばしてます。
虎晴と女の子の関係が発展しないように裏で手を回していたとはね……イケモテメンの執着は楽しいけど、ヘタレなのがちょっと玉に瑕でした。
虎晴への恋にウジる龍雪は面白いけど、龍雪のやってることって、実はまあまあのクズ。虎晴の恋の芽潰し行動自体はいいけど、虎晴と女の子が成就しないように女の子たちを片っ端から食う必要まであるかいな。
好きで抱いてないとはいえ、しっかり勃つもんは勃ってるし、ヤれてるし、で簡単にポイするし。これが龍雪なりの牽制方法なのは分かりますが、ヤレないで回避できる術にシフトして欲しかったかな。実は初めてのとっておきは虎晴のためにとっといてて(少女漫画の一途なヒーロー像をそこでアピール)、女の子たちとは一切ヤらずに蹴散らしていたら星5個でした。
まぁ、そんなクズな龍雪を虎晴が叱ってくれて、虎晴は心意気がやっぱりカッコいい。女の子たちはホント見る目ないなと思います。
すれ違っていた気持ちが修正され、友だちから恋人へ昇格した2人にようやく春が訪れてホッとしました。
私としては、付き合ってからの甘々な様子…それこそ虎晴が龍雪にトゥンクしたりキュンとしたりする少女マンガのヒロインのような甘々恋人期をもっと楽しみたかったです^ ^
片やビッチ、片やヤリチン。
こんなにもエロいベッドプレイを惜しげもなく披露してるというのに、共にピュアな恋をしてるっちゅうギャップがすごい2人です(笑)
伊藤の方は結構ノーマルに攻めてるんですよね。大堂とちゃんと距離を詰めようとしてるのが伝わってきて、すぐにヤろうとしない姿勢は誠実で好ましい。
一方大堂の方は照れ隠しなのか、ホントにただ身体の熱を収めたいだけなのか、すぐに身体の懐柔に走っちゃう。好きな人とのまったりデートに慣れてないんだろうなというのが伺えました^ ^
伊藤からのトゥンク攻め、グッジョブでした。この調子で大堂の心を少しずつ絆しにかかって欲しいなと思います。
ドジっ子で不器用な主人公・輝を、優しくフォローするイケメン先輩に惹かれていくお話かと思っていたら、まさかの隠しネタが仕込まれていて驚きました。
この作品の面白さは両視点にあり!
やたらと輝を気にかけてフォローする紗々原は、ただの優男ではありませんでした。
もちろん優しいは優しいのですが、そこにはちゃんと下心があるのですよ^ ^
途中から展開される紗々原視点により、爽やかな先輩のバックボーンが露わになっていくと、彼がなぜ輝にだけ特別扱いをするのかの理由が分かります。
あ。ちなみに腹黒系とかそんなんじゃありませんのでご安心下さい^ ^
むしろ純粋な一途な愛が故のことで、それは紗々原にとって救いとも、憧れとも、また心の拠り所とも言えること。自分の推しそっくりな輝に興味を持ち、輝のドジな行動を見守っていくうちに支えたいと願うパワーが、今の紗々原を作り上げたのはすごいなと思いました。
ピュアでウブな輝の可愛い反応を前にしてに、欲求を抑えられない紗々原の"やっちまったー"のポーズ……何度見ても面白いです♪
やっちまったと落ち込みこそすれ、ちゃんと前向きだし、積極的にアプローチする紗々原の行動力はグッジョブ。ここでビビって引くようなことがあったらおそらく2人の恋のあゆみは牛歩並みの鈍スピードだったと思うけど、そうならずにちゃんとお互いがお互いの気持ちに向き合ってくれてホッとしました。
切ない過去の描写もトラウマも全部ひっくるめて、ちょっとしたモダつく姿すら自然と応援したくなる2人です。甘めのラブラブなエッチに至るときまでずっと可愛い2人でした(*´︶`*)
キャラも、ストーリーも、絵も全部が素敵で、まさにメロ作品!萌えとメロさをたっぷりと堪能して大満足の読後感です。
『アルファの渇愛』で、脇役ながら大きな存在感を放っていたターミルのターン。
ターミルは、前作の渇愛の方では"カーミディ"の名で度々登場し、レックスと瑠衣にチャチャを入れるよき見守り役だったのを覚えている方も多いのではないでしょうか^ ^
キングであるレックスの悪友であるアラブの王子さまは、キングのポジションにこそ就けなかったものの、そのカッコ良さはキングに匹敵するほど。皆から憧れられる容姿と体躯を有するターミルは、まさにザ・アルファです。
王族という出自の良さを始めとし、エドモンド校生としての品位、周囲を惹きつけるカリスマ性、冷静に物事を見極める知力、狡猾な根回し調整力……などなど、アルファとして申し分のないスパダリスペックです。
愛する運命のオメガ・佑真のことに関して言えば、求愛力もそこにプラスされますので、向かうところ敵なし。オメガバースにおける王道のドラマティックラブストーリーをたっぷりと堪能できるストーリーなのは間違いないでしょう。
佑真の仕える主人が、ターミルを敵対視するターミルの異母兄・ハムディということもあり、彼らの想いが報われるにはかなり困難な道のりです。
というのもですね、ターミルとハムディとの兄弟関係と、佑真とハムディとの主従関係が2人の恋愛成就を阻む最大のハードルで、これがなかなかに厄介だからです。もーーー…諸悪の根源のハムディが気持ちが良いほどのクズで、見てるだけで吐き気がしました。
ターミルの方では、兄弟関係の立場っていうものがあって、報復するのは簡単ではないし、また。佑真の方は親の事業を握られているもんだから強くは出られない。双方に繋がる複雑なパワー関係が、この2人の恋愛模様を焦ったくさせています。
佑真がハムディの策略にハマり、腹パンさせられたり、薬を盛られたり、怪しいショーで陵辱させられたり、水責めで溺死させられようとしたりと、まぁ嫌がらせが酷いもんです。
それをターミルが助けにくるので無傷っちゃ無傷で守ってくれるけど、ハムディの怒りの矛先が佑真に向けられているぶん、兄弟バトルというより弱い者イジメのように見える構図は何とも言えないやるせなさでした。
マジこいつ、早く詰んでくれよと何度願ったか。。。
やることが全部裏目に出るので後味は悪くはないけど、いつも佑真が割を喰らっているので、何か奴が仕掛ける度にため息が出ます……
でもそこはやはりアルファ。やられたら倍返しでやり返す、半沢の精神でズバッと断罪ルートへと落とし込むターミルの手腕はさすがでした。
自分で直接手を下すのではなく、周囲に裁かせるやり方は腹黒が見え隠れしていて、そんなところも良き^ ^ キング最有力候補になるだけのことはあるなと、ターミルの周りを固めていく手腕には惚れ惚れしました。
アラブの王子らしいターミルの一途でひたむきな愛は、砂漠の灼熱にも負けない情熱的なオーラを放っていました。
このシリーズ作品は、どれもアルファがアルファらしくて王道の良さを感じさせてくれるのがいいですね。しかもパブリックスクールという、独特な学園事情も余計にドキドキ感を煽られました。
あと、結構な割合で家族が恋愛に絡んでくるお家事情も各シリーズ作品それぞれで面白い。今作は兄弟でしたが、断罪されたクズな異母兄にも有り難いことに救済エンドが設けられているので、そこんところにも注目して読んで欲しいなと思います。
生殖能力の高さを外交のカードにしているグルナ国の設定が妙に生々しくて、それってどうなの?って思うところが多々あり。
子どもが成せなかったら離縁だと……?
政略結婚なのでそこに愛がないのは仕方ないにしても、2年授からなかったらグルナ国に返されるって人道的にどうなんだろうか。離婚を申し出た他国の夫たち……2年の間にそこに夫夫としての情は育たなかったのか、すごく疑問です。
子どもができないので、ハイ離婚ね。で、別の王族寄越してね。って、そりゃあんまりだよ。
子を産む道具にしか見られていないグルナ国の王族たちは、人間性より妊孕能でしか判断されないなんて少々舐められ気味ではと思う。子どもができなければ用無しで、人としての価値もないみたいに扱われるとは、ただの物語の中の設定だけど、わたし的にはこの世界観にあまり没入できなかったです。
リュビのグルナ国も離縁を普通にそれを受け入れていて、それでまた別の国へとリュビを嫁がせるというルーティンもちょっと怖い。そこには家族の情もあまり感じられなかったし、グルナの王子王女に対する伴侶としての情も感じられないシステマティックなやりとりは、通販のモノのやりとりじゃないんだから…と思わなくもなかったです。
不妊でワケアリのレッテルを貼られたリュビの姿は痛々しかったし、クォーツとリュビのストーリーそのものより、背景設定の無情さの方に意識が向いてしまう始末でした。
その部分を気にしなければ、その他は良い流れの物語だったと思います。子どもありきじゃなく、クォーツとリュビが共に惹かれ合いながら愛し合うようになり、絆を深めていく過程はすごく読み応えがありました。クォーツ弟が絡むシリアス展開はまさかの理由に衝撃でしたが、エンディングへの盛り上がりはめちゃんこ面白かったです。
2人が心から愛し合った結果のその後のストーリーもちゃんと入っていて、最後は良き読後感でホッとしました^ ^