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女性ちろこさん

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これまでの皇帝像とは違う面白さを知って欲しい

即位の背景に隠された陰謀。
権力の裏側に蔓延る欲深い謀略。
報われぬ想いが嫉妬と憎悪の感情に転化していく後宮事情。
手段のために利用される愛情なき親と子の関わり。

暗い背景に、きな臭い展開がずっしりと響くエモーショナルな世界観でした。
切なさや悲しさ、罪着せに暗殺…などなど、皇宮を取り巻くシリアスな重苦しさが物語のベースになっているのも、中華系のバッググラウンドとよく合っています。
皇宮が舞台となっているだけあって、政治情勢やら複雑な人間関係やらが濃厚に描かれており、敵か味方か…?みたいな探り合いに始まり、燁怜と蒼龍を含む男女の三角関係や、蒼龍と母親の親子確執からも目が離せない。つまり、全方位に全集中を強いられるストーリーとなっています。

新皇帝に代替わりしたことによる不安定な治世の中、一人の踊り手の存在が国を大きく動かしていく壮大なストーリーと、不器用な皇帝の恋心がやがて愛する者への執着や独占欲へと昇華していく愛情のうねりにグッときた逸品作でした。
ストーリーが激しく上下していくこともあり、全シーン、全ページが見せ場のようなものだと言って良いでしょう。
事件ターンのハラハラ感と、BLターンのドキドキ感は別のベクトルで存在しているのに、2つが混ざり合ってより物語が右肩上がりに盛り上がりを見せていくところは読み応え抜群でした。

皇帝と踊り手という圧倒的身分差のある2人の対立的な出会いから、惹かれ合いを経て、次第に想いを通わせ合っていく激動のストーリー展開は、BLとしての萌えどころが満載です!
孤高の皇帝・蒼龍が発する陰りのあるオーラと、人気の踊り手・燁怜の快活な性格の相性感も非常によろしくて、真逆だからこそ高まり合っていく恋心の存在感にしっとりと酔いしれました。
蒼龍は何を考えてるか分かりにくいクール皇帝だけど、頭より行動で身体が反応するのか、蒼龍が燁怜に対してどういった感情を抱いているのかモロ分かりなのが良いですね。執着攻めには違いないですが、皇帝の攻めキャラにはよくある"ザ・エンペラー!"みたいな威風堂々な雰囲気とはまた違うタイプの攻め像は、彼の魅力だと思います。

真意を明らかにしないまま燁怜を囲い込み執着するムッツリなところは、蒼龍の燁怜への本気度が伝わりますし、正妃が一応いるにも関わらず、燁怜にゾッコンな一途さは不穏な皇宮背景においてのオアシスでした。
身分差がある2人が共にいるために蒼龍がした決断はかなりの驚きです。受け側が攻め側の立場に合わせるのが主流な中(特例で正妃にするとか)、まさかの逆とは。意外性にもほどがある…((((;゚Д゚)))))))

冷たい蒼龍の感情を溶かすのは、燃え盛るような情熱的な燁怜の舞に他なりません。
蒼龍の生き生きとした姿には色んな憑き物が落ちたようなサッパリとした感情が乗っていて、とても素晴らしいエンディングでした。
愛を知り、愛に向き合い、愛に応えていく皇帝の生き方に感動を覚えた胸アツの物語でした。

思っていたよりもパラレってた

結構本格的なパラレルワールドストーリーですね!

あっちの世界とこっちの世界。
彼女がいるいのさんの世界線と、太一郎と一緒に住んでるいのさんの世界線とが複雑に絡み合っていくミステリアスかつファンタジーな世界観に引き込まれていくストーリーです。
それまでいた世界がガラリと変わることで、2人の想いが募っていく心理描写がいい。こっちの世界の太一郎(ワンコみの方)の心情には切なくなりましたが、ちゃんといのさんの心には太一郎の存在感が大きく陣取っていたんだなぁとジンときました。

いのさんいのさんと尻尾振ってる太一郎の方が表情豊かで可愛いので、見てる分にはワンコ太一郎の方が楽しいですが、コワイ系部長の太一郎も良い味わいでした(笑)
母親との関係に暗さが目立つ描写もあったりで緊張感が走りましたが、全体的にはラブコメベースなストーリーで、最後まで楽しめたストーリーでした。
続編もあるとこのとなので、2人のこれからも楽しみです^ ^

おとぎ話のようなスカッとした勧善懲悪ストーリーが美味な逸品作

一応、評価上は神評価の5点を付けましたが、気持ち的には4.7点くらい。
足りない0.3点は何かというと、もうちょいじっくりと死に戻り描写にアプローチして欲しかったなと思う部分でちょいマイナスにしました。

死に戻り…つまりタイムリープは、アシェルの生死の分岐点となる時点に時間が巻き戻ることによって、自分の死に繋がる未来を変えることができる、この作品にとって最大の見どころです。話の主軸となる超重要ポイントということもあり、ここについてはゆっくり丁寧に攻めた方が話に重厚感が出たかなと思います。
アシェルの死が、タイムリープのトリガーとなっていて、生き返ると分かっていても殺されることには変わりないのですから、心と身体には相当な負担がかかっているハズ。アシェルが意外と肝がすわっているというか何というか……何回も殺されてるのに気丈で凛としていていて、死に対して淡々と受け入れている達観ぶりがすごいんです(笑)
それが彼自身のキャラクター性なのか、サクサクと進むストーリーのテンポ感のせいなのか分かりかねるところでもあったので、死に戻りが作業的に見えてしまった違和感を払拭する意味でも、アシェルの心情や葛藤について深く突っ込んでくれるとよりこの世界に入り込めたのかなと思いました。

とはいえ。とはいえですよ。
ストーリー自体は、めちゃくちゃ面白くて、テンションアゲアゲで読み入りました!
おとぎ話のように分かりやすい物語構成がまず満点。そして、悪人を華麗に断罪するスカッと展開も花丸満点です!
鬼畜な父兄によって嵌められて、身代わり王子として延々と殺される死亡ループにははらわた煮えくりかえるくらい憤慨しましたが、協力者を得て悪党どもをやり込めていく勧善懲悪エンドは読後感最高です!最初アシェルに対して敵対心を抱いていたセネドア国の王・ライアンが、クソ兄の身代わりだと知ってからアシェルに優しくなっていくBL展開は楽しさの塊でした。

俺様な男かと思っていたら、意外にも恋するとヘタレになる可愛らしさが萌えるキャラクターで、アシェルを襲わせた(アシェルが兄の身代わりだと知らなかった)ことをずっと引きずっている気にしぃなところもいじらしいです。
幼いときから不遇な立場に置かれてきたアシェルは、あの悪魔のような父と兄と同じ血を引いてるとは思えないほど清廉無垢で、よくぞ天使のように育ってくれたなと思いましたし、いつまでも気弱なライアンを励ましながら、ライアンの想いに応えていくアシェルの優しさや芯の強さが沁みる恋物語でした。

最初の方こそ腹立つ展開が目白押しだったけど、その後にどんどん巻き返していく幸せの道筋の高揚感はハンパなかったです。
スカッとする断罪ストーリーがお好みの方にぜひオススメしたい逸品です。
分かりやすく読みやすい作品なので、多くの方にハマるお話だと思います。

シリーズ化を強く希望したい

名倉和希先生の小説作品のコミカライズ版の作画が鮭田ねね先生だなんて。
好きな作家さん2人の最強タッグに、歓喜の涙に包まれております…。゚(゚´Д`゚)゚。

この作品を読んで、おおっ!と思ったのが、コミカライズ版なんだけどコミカライズ色が強くないこと。コミカライズのクセ感があまりなく、元ネタが小説だと言われなかったら分からないくらい漫画の世界に溶け込んでいます。
鮭田ねね先生の美麗で繊細な絵柄とストーリーがめちゃくちゃ合っていて、アーサーの美形ビジュアルをこれほどまでに理想に高めてくれる圧倒的画力がいやはや素晴らしい……。外国人スパダリならではのキラキラした美オーラに終始見惚れました(//∇//)

洗練された圧倒的ビジュアルのアーサーに対し、トキはおぼこさ漂う可愛さが光るキャラクターです。
アーサーの美形とトキの素朴さは、人種の違いや性格の違い、スペックの違いなど対極にある人物像ですが、でもそれが妙にしっくりときます。2人が惹かれ合っていく瞬間瞬間に見せる恋する表情が可愛らしくて目が離せないほど画面に釘付けでした。
これまで百戦錬磨の遊びをしてきたであろう男が、トキへの恋心を前にして狼狽えたりドキドキしたりする姿は、一番の見どころでしょう。30歳にして訪れるアーサーの遅すぎる初恋の芽生えや恋の自覚に、終始ニヤニヤいっぱいの萌え感でした。

トキから距離を置こうとするすれ違い展開も、ストーカー男から監禁暴行を受けるシリアス展開も、後半に入ると一気に緊張感が走ります。
試練とピンチの中、2人はどう気持ちを通わせ合っていくのか、アーサーの初恋の行方をしかとお見届け下さいね^ ^
信頼のおける友人と部下に応援されながら結ばれていく2人の恋愛模様は、ドラマチックでとっても最高の読後感でした。

小説同様、コミカライズ版もシリーズ化してくれると嬉しいです。
恋から恋愛へと移ろう2人の色んな顔をまたぜひ拝ませて欲しいなと思います。

もっと早くにこの作品と出会っていたかった

なんて素敵なお話!!
10年前の作品ですが、今になって読むことになったことを口惜しく思います。それくらい胸に深く響いたストーリーでした。

日常現代ものの作品で、穏やかな日常の中に再び湧き上がっていく初恋エッセンスに萌えゴコロが疼く再会BLです。
日常感が強い世界観は一見すると地味めな印象ですが、それこそがリアルというもの。自然体のシチュエーション、自然体の触れ合い、自然体の感情…といった無理のない描写が共感性を高め、2人の恋が導く世界に完全没入でした。

昔好きだった相手と再会し、かつての恋心が再燃していく芙蓉の心は困惑と嬉しさでいっぱいで、昔のように…いや、昔以上に距離を詰めてくる初恋相手・西澤のグイグイ感に翻弄されていく様が非常にドキドキします!
西澤が何だかんだと芙蓉に構ってくるのもいいし、しかも芙蓉のおばあちゃんが営む下宿先の学生っていうポジションもめっちゃいい…( ´∀`) 同居のようなそうじゃないような微妙な距離感と、生活の一部を共有し合っている関係性がますます芙蓉の恋心を刺激していくところにキュンでした。

自然と距離が近くなっていく2人のやり直しの時間に微笑ましくなる一方、突然離れ離れになったことにより共に過ごす時間が失われてしまった過去の時間の喪失感はやるせない思いでした。
劣悪な家庭環境で生活する芙蓉を救うためとはいえ、芙蓉と唯一仲良くしていた西澤と離れてしまうことになってしまった急なお別れは芙蓉にとってずっと引きずっていた心残りでした。それは西澤が芙蓉の初恋の相手であったことが大きく、西澤への想いを断ち切ることができない今時点でも西澤から借りた植物図鑑を大切に持っていることからも伺えます。

そんでもって、芙蓉にとって大切な一冊となったこの図鑑が、これまた物語の中でいい働きをするんですよね。直接的にではなく間接的にですが、芙蓉と西澤との会話の中で話題に上がる雑草ミニ知識は西澤との距離を詰める役回りとして超重要です。
好きな人から借りっぱなしの図鑑を芙蓉がどれだけ大切にしてきたか、彼の雑草知識からそれが強く伝わってくるのが胸アツです……!!
幼き日の初恋を、伝えられない好きな気持ちを、こうして図鑑の知識と向き合うことで昇華してきた芙蓉の恋心が控えめで健気で、この恋の行方を応援せずにはいられませんでした。

芙蓉の視点であっても西澤の気持ちがわかりやすく仕上がっているのも、この作品の面白さでしょう^ ^
西澤……想像以上の執着攻めで嬉しかったです(笑)
下宿先のお兄さんの存在も良かったし、芙蓉のおばあちゃんも素敵な人。BL読んでるのに家族の温かさをしっとりと感じる描写には涙がホロリでした。

色んな感情ひしめくストーリーの重みに酔いしれた作品でした。
2人の初恋のエンディングを多幸感で見届けることができて大満足です!

春の氷 コミック

中込いくさ 

氷はやがて溶けて、心と身体を潤す水となる

思ってたよりもストーリーがサクサク進み、予想を上回るでもなくまた下回るでもなく、予定調和的にに落ち着いたアッサリ感は少々物足りなかったです。

好きの自覚もなんやかんやと早めで、氷野の葛藤に対して穂村のノリの良さは何だか気安くて、ノンケなのにそんな簡単に好きになっちゃうのかよと、ややストーリー的な都合の良さを感じなくもなかったかな。エッチぃ展開もすれ違い展開も王道でしたし、もうちょいゆっくりと時間を重ねながら相手の懐にはいる間延びがあっても良かったと思いました。

ケンカップルで、同僚で、仕事でも家でもずっと一緒という旨味あるシチュエーションが盛りだくさんなこともあり、通常よりかは2人の恋愛が急ぎ足になるのは仕方ないのかもしれないですが、距離の近さが却って心の距離を遠ざけてしまうような2人の感情の揺れ動きをしっかりと感じとりたかったです。(一応あるにはあるけど、もうちょい浸りたい)

ただ。
何といっても、絵が神レベル!
絵の美麗さが、ストーリーを何倍も良くしているといっても過言ではないです。
光と影がある強弱のついた表情の付け方やキャラの雰囲気は素晴らしい作画描写でした!

性格が反対の2人なので、相性が良いんだか悪いんだかのワチャワチャ感と、反発し合いながらも心の中では相手への想いをしっかりと募らせていくところはグッときちゃうシーンも。
氷野側の抱える家族とのバックグラウンドは、穂村との関係に一考を与える説得力にもなっていて、そんな氷野を穂村が積極的に受け止めることで氷野が救われていくストーリーもすごく良かったです。

東京での2人の生活がどんな感じなのか気になりどころもまだまだあるので、いつか2人のその後など拝見できる機会があればぜひお願いしたいです^ ^
氷野の穂村に対する執着あまあまももっと見たい!

三兄弟の仲(ナカ)の良さを、思いっきり味わって下さい

試し読みの時点で大好きーって思って、お値段も高めでしたが買って大正解……!!(//∇//)\(//∇//)\
どエロも、どエロ。スーパーエロエロ大炸裂で、外読み厳禁な門外不出の兄弟BLの圧に終始大興奮な作品でした。

まず絵のキレイさが満点。読みやすさに加え、三兄弟のビジュアルの良さがこの世界の魅力にグッと引き込んでくれます。
そして設定も満点。長男と次男がヤッてるところを三男・実咲が覗き見しながらオナるシチュエーションの破壊力よ。読者サイドもある意味実咲の隠れ行為を覗き見してるようなものなので、何かイケナイものを見てるかのような興奮感がいよいよこの禁断の世界にいっそう沼らせていきます。

三兄弟間でのセックスプレイは、最初のステージは長男の和実と次男の継実のカップリングで幕を開けます。そのとき実咲は観客のポジションでしかないのですが、長男の手引きによって一挙にプレイヤー側へと押し上げられていきます。
そもそもはというと、和実が継実を抱いたことキッカケにこの背徳的な関係が始まっているので、のちにまだ幼さの残る実咲を誘い入れたことを考えると、長男は相当ヤベー奴。貞操観念が崩壊してる長兄に、弟たちがまさに振り回されている状態なのです。

弟たちに快楽というものをこんなカタチで身体で教え込み、今後弟たちが普通のセックスができなくなったらどうするのだろうか…( ̄∀ ̄; そして、彼らの関係がどこまで続いていくのかも気になります。
今回は継実が受け側ですが、実咲のこともいずれは…と狙っている節もありますし、もしかすると長兄が弟たちに身を委ねるパターンもなくはないかも?(笑)
三兄弟で、仲も(ナカも)深めていく関係の想像力が尽きないのもこの話の面白さでした。

両親不在なら、いつでもどこでもヤれる環境という彼らにとっては好環境が、ますます三兄弟の絆を深めていきそうですね。実咲は可愛い顔してオスの本能が目覚めていましたし、この子の成長をこれからも見守っていきたい…そんな思いに駆られて仕方なかったです^ ^

この作品は【全年齢版】ですが、電子書籍サイトによっては【R18版】の取り扱いもあるので、気になる方はぜひ^ ^

オモチャのチャチャチャ♪

"エッチなおもちゃ"というフレーズから、読む前から期待値アゲアゲでした!

新作短編漫画のためにバイブで1人あそびをする明のエロさ^ ^
BL漫画家くんの本編から4年以上の時が経っていますが、明のエロさってそういえはこんなだったなぁと、懐かしくもあり、久しぶりのエロ神降臨に歓喜の思いでいっぱいでした!
作品に自分の経験や感情をのせる創作スタイルは相変わらずで、そんな詰めの甘さからミヤにオモチャ使用がバレちゃった明がお仕置きされてしまうのが、この番外編のメインストーリーです。

もしも恋人が自分の知らないところで1人気持ちよくなっていたことを知ったら…??
嫉妬心にスイッチが入ったミヤのねちっこいお仕置きが明の身体をグズトロ天国へと誘います(//∇//)

やっぱりめちゃくちゃエロい。とことんエロい!!ミヤのSっ気にスイッチ入った2人のプレイに最後まで目が離せませんでした。
ミヤによって身体全体を性感帯化させられた明の表情にご注目いただきたいです。
イキ責め地獄なのか、はたまたイキ責め天国なのか、実際に読んで判断して欲しいなと思います。

よくある断罪もの作品かと思いきや

上巻部分なので、エンディングの未来予想図がこれっぽっちもまだ見えてませんが、冒険色と謎解きミステリー色が今のところ濃く、そして一番いいところで続きとなってしまい、ますます謎が深まるカタチで前半戦を終えました。

断罪を経て悪役令息となってしまうストーリーは、これまでそこそこ読んできましたが、この作品はあまりその形式に当てはまらないかもしれません。いや、あくまでも今のところは…ですが、無実の罪をかけられた相手に復讐断罪ショーをやるのが、このテの作品のスタンダード。アルトを流刑に処した王太子とその婚約者は、最初こそ感じ悪い風でしたが、あれあれ?何だかよくある断罪もののストーリーと様相が違っていて、どうなっていくんだろう?
先が読めないストーリーなだけに、終わりがめちゃくちゃ気になります。

やられたらやり返す、倍返しだ!!
を、期待していた気持ちがないかと言えば、実は期待していましたが(笑)、それよりもこの世界に不穏な足音が忍び寄ってきていることの方が気になります。
通常のBLゲームのルートから外れてしまったことによる歪みのせいなのか何なのか。……この世界に起きている不協和音の原因や背景、未だ分からないアルト断罪の経緯などなど、気になることがめっちゃいっぱいです。

これまで読んできた断罪令息のストーリーと似てるようで似てないところが、予測不能な想像が色々と膨らみ、今のところワクワク気分です。
もちろん最初アルトに冷たかったフェリクスの態度の変化は、BLの芽生えとなる大事なベース部分で、所々で漏れ出るアルトへの好意にムフフとなること数知れずでした。ラッキースケベ展開もあり、少しずつ…いや、だいぶ進む2人の恋心がいっそう深まっていくことから目が離せません。

両者の気持ちは今のところすれ違ってる感じですが、それも時間の問題でしょう。フェリクスの気持ちも、アルトの想いも、何故これで情が通じ合ってないのか不思議なくらいで、何かキッカケ1つで急激に両想いに雪崩れ込みそう。
早くその瞬間がはよ来いはよ来いと期待しながら、2人の恋を見届けていこうと思います^ ^

ありそうでなかった、これまでのスタンダードを逸脱した盲点作

ちょっとこれは驚きました。

能力が劣っていたり、見た目が普通と違う主人公というのは、これまでのBLセオリー的にはほぼ不憫枠でした。
しかし、この話はどうでしょうか。
デイルの稀有な見た目と折れた白ツノは、鬼人たちに邪険にされるどころか、愛でたり気を遣われたり、お世話されたりと、とにかくデイル以外の登場人物がみなデイルに異常に優しい。弱きもの庇護したい鬼人の性質とはいえ、笑っちゃうほどみなデイルにあまあまです(笑)
こういうパターンがきたら、攻だけが周りとは違う態度や反応で塩対応ぶち込みそうなものですが、全く違います。むしろ逆。
この物語の攻め様こそが、デイルを超あまあまに構い倒す張本人となるのだから、デイルへの甘さがより一層際立つ世界観となっていきます。つまり、全方位からの庇護欲みっちり状態です。

こんなお話、みたことありません^ ^
当たり前ですが、出会う鬼たちみんながめっちゃ良い人。軍人ばかりの環境でも、みんながデイルの動向に気を配っていて、同僚だろうが上官だろうが、ちょっとフラついたりくしゃみをしたぐらいで、医務室へ。とか言われて、健康に問題なしとの所見がなされるまで訓練に参加出来ないとまで言われる始末です。
折れた白ツノの鬼人は病弱なことが殆どで、だからこんな扱いをされちゃうのですが、デイルは見た目が病弱なだけで身体も心も健康優良児。自己紹介のときは、いつも自分は健康ですとアピールしなきゃならないのが、めちゃ笑えます。

いち兵士として訓練も戦闘も頑張りたい意気込みが強いのがデイルというキャラクターです。見た目に反し、最前線で魔物と戦いたい脳筋な子です。
優しく扱われたり甘やかされたりして、戦場での出陣を見送られそうになるたびに、落ち込むデイルが可哀想だけど、理由が毎回おんなじ感じだからそれが却って面白い。脳内で、それおかしいだろ的にツッコんでいくデイルの呟きセンスもGOODです♪
幼い頃からこういう環境で生きてきたのならば、甘ったれのワガママ小僧に成長しそうなのに、デイルはそうじゃない。自分だけが特別視されることを嫌っています。
まともな青年に成長してくれて良かったと思うと同時に、あまりにも過剰な周りからの庇護欲はデイルにとって生き辛そうにも見えてしまって、デイルの意欲を削いでいくことにはやるせない思いでした。

まぁ、でもそんな周りと本人とのギャップがストーリーをコミカルに仕上げているので、基本はニヤニヤッと楽しめます。一番はリランドとのやりとり、庇護欲のトップオブトップの彼のデイルへの態度は終始笑えます^ ^
一目惚れしたデイルをこれでもかと甘やかしにかかるスパダリの権力の使い方をどうかご覧あれ。
上司という立場も上手く利用しながら、デイルと近づきたい欲の溢れ出しは、もはや庇護欲というより愛欲です(笑笑笑)108歳と20歳という年齢差の甘やかし欲もあるのでしょうか、とにかく上官の立場を逸脱した扱いが目立つリランドが見どころです!

そんな2人がどういったカタチで愛を育み、情を交わしていくのか、目まぐるしく変わる2人の関係性に注目して見届けて欲しいと思います。
デイルの小さな白ツノの理由や、リランドと素肌接触しても平気そうにしているデイルの身体の謎にも迫ると、このストーリーの奥深さを感じること間違いなしでしょう。色んなことが繋がってくるラストの展開は驚きと感動の嵐でしたヽ(´▽`)/


美麗な絵も、英国と平行線にある世界観も、キャラクターも、楽しい設定も、全部がおすすめしたい神作でした。
あまあまに構い倒したい庇護欲まみれの攻め VS 自分の足で歩きたい健気受けの、恋愛攻防BLの世界へ誘われてみませんか?