生殖能力の高さを外交のカードにしているグルナ国の設定が妙に生々しくて、それってどうなの?って思うところが多々あり。
子どもが成せなかったら離縁だと……?
政略結婚なのでそこに愛がないのは仕方ないにしても、2年授からなかったらグルナ国に返されるって人道的にどうなんだろうか。離婚を申し出た他国の夫たち……2年の間にそこに夫夫としての情は育たなかったのか、すごく疑問です。
子どもができないので、ハイ離婚ね。で、別の王族寄越してね。って、そりゃあんまりだよ。
子を産む道具にしか見られていないグルナ国の王族たちは、人間性より妊孕能でしか判断されないなんて少々舐められ気味ではと思う。子どもができなければ用無しで、人としての価値もないみたいに扱われるとは、ただの物語の中の設定だけど、わたし的にはこの世界観にあまり没入できなかったです。
リュビのグルナ国も離縁を普通にそれを受け入れていて、それでまた別の国へとリュビを嫁がせるというルーティンもちょっと怖い。そこには家族の情もあまり感じられなかったし、グルナの王子王女に対する伴侶としての情も感じられないシステマティックなやりとりは、通販のモノのやりとりじゃないんだから…と思わなくもなかったです。
不妊でワケアリのレッテルを貼られたリュビの姿は痛々しかったし、クォーツとリュビのストーリーそのものより、背景設定の無情さの方に意識が向いてしまう始末でした。
その部分を気にしなければ、その他は良い流れの物語だったと思います。子どもありきじゃなく、クォーツとリュビが共に惹かれ合いながら愛し合うようになり、絆を深めていく過程はすごく読み応えがありました。クォーツ弟が絡むシリアス展開はまさかの理由に衝撃でしたが、エンディングへの盛り上がりはめちゃんこ面白かったです。
2人が心から愛し合った結果のその後のストーリーもちゃんと入っていて、最後は良き読後感でホッとしました^ ^
趣きは現実世界の世界観ですが、ちょっとだけファンタジー要素入った物語です。
登場人物たちの名前から察するに、フランス(またはフランス語圏)が舞台と思わせる外国の芸術演劇の世界がモチーフとなっていて、劇団の人気トップスターと、天才戯曲家との夫夫関係のカタチから入っていくストーリーとなっています。
年下から熱烈にオファーされた囲い込み婚っていうのが、それだけでもう…ムフフ…色んなことが想像できちゃってワクワクが止まりませんでした^ ^
仮初の夫夫関係から2人がどのようにホンモノの夫夫になっていくのか、そしてどう恋愛の道筋を作っていくのか。攻めのギャスパルの方はヒューゴを好きなのがモロ分かりなのでそっちは置いといて、問題はヒューゴの方です。
結婚した時点ではヒューゴはギャスパルにゼロ感情なので、そこからどうやって100にまで押し上げていくのか、そこが一番の見どころでしょう。
恋愛にも人付き合いにも奥手なヒューゴがどうやって恋愛感情を抱くようになっていくのかと、彼が抱く不安を受け止めつつ見守りました。
アンソロジーの短編とはいえ、短い尺ながらすごくしっかりした作りの作品だなと思いました。2人が所属する劇団のことだったり、演目や配役のことだったり、背景が細やかに描かれているおかげで2人の恋愛の部分がすごく映えています。
物語が浮ついていないんですよね、ちゃんと設定がストーリーに根付いているというか、落ち着いているというか…安心して読んでいられる。だけど、重いというわけでもなく、サラッとストーリーが入ってくる口当たりの良さもあったりで、終始心地よい読みやすさに導かれて満足な読後感が得られました。
年下のアプローチ力に押されてどうなるかと思ったけど、自分の殼に閉じこもっていたトラウマを解放し、心を預けられる唯一無二の存在と心から結ばれることができた救済エンドにグッときました。
ただ。個人的には魔法の要素はなくても良いかな…と。ファンタジーじゃなくても十分成立する作品だと思います^ ^
2人のベッドシーンが思った以上に濃厚だったのには、驚きを通り越して歓喜…!
ヒューゴって、こんな官能的な一面があるのかとドキドキいっぱいでしたし、たっぷりめの甘いイチャイチャシーンにひたすら合掌でした(笑)
一度見たら忘れられないほどの強烈なビジュアルの攻め。
毛むくじゃらのボディに、太いツノ。ずんぐりとした体型は、見た目的にはうーん…となる容姿です。
このビジュアルでいこうと決めた作者さん、すごいと思いました。イケメンが乱立するこのBL界で、このデネブのビジュアルはキワモノ中のキワモノで間違いありません。
スター◯ォーズ映画みたいな他ジャンルでは登場しそうな見た目は、萌え感的にはゼロですが、逆にこのビジュアルだからこそ際立つデネブの存在感はインパクトという意味ではピカイチではないでしょうか。
しかし……
見慣れてくると、この見た目もそんなに気にならなくなってくるんですよね(笑)
見た目はアレだけど、心がとっても穏やかで優しいデネブのキャラクター性に、あれあれれ?とてもイケメンに見えてくるぞと。
心と心で繋がり合う人種を超えた夫婦の在り方に、いつしか萌えキュンが止まらなくなってきます。
魔人の治める国と人間が治める国との和平のための政略結婚は、愛のないカタチだけの婚姻関係だったはずなのに、その実はお互いを想い愛し合う純愛の結晶だったとは誰が予想し得たでしょうか……!!
表紙だけでは絶対分からない幸せな夫婦愛の形があることをぜひ知って欲しいなと思います。
そんな2人の夜の生活はというと。。。
アルカドからのお誘いは積極的でエッチで、あまあまなベッドの営みにドッキドッキが止まりません……(//∇//)
ベッドシーンのときだけではなく、普段の日常でも2人がお互いの距離を測りかねていたり、気遣い合ったり、照れ合ったりする姿がいじらしくて可愛かったです。
ずっと気になっていた作品でしたが、これは面白い!
攻めはイケメンでなきゃならないという固定概念に革命を起こした衝撃作だと思います。
レビューや評価の高さを信じて購入して良かったです。
幸せの真髄はハートにあり。心温まるラブラブな2人にたくさん癒されました^ ^
ひー…すごい読み応えではあったけど、アルトへの畳み掛ける試練が多くて、なんだか心落ち着かない気持ちに襲われまくりの下巻でした。
最大の敵は魔瘴でも魔獣でもスタンピードでもない、人間なんだと。
国の最大危機を救った英雄に対する暴挙には、はらわたが煮えくりかえって仕方がなかったです。
前巻いいところで終わったところから話は進み、王都を魔素の脅威から見事に救ったアルトとフェリクス。闇の女神から課された課題も見事にクリアし、スタンピードも抑え込んで国に平和をもたらした一連の流れには息を呑んで見守りました。
普通ならここでヤッターの幸せエンディングとなるとこ。だって、闇の女神にも2人の仲を認めてもらい、これ以上の後押しがあるかよっていう終幕でしたから、やっと落ち着いて2人の恋愛に集中できると安堵していたら、まさかのまさかで2人の関係に試練を与えるピンチが訪れます。
これはアルトがグローセベルクに流刑された諸事情と深く絡み合っていて、1人の権力者によって全てが仕組まれていたことが腹立たしい。王太子でもどうにもできない権力構造は暴走の一途を辿っており、魔獣や魔素よりも厄介なのは人間の醜い執着心なのかもしれないと思うところでした。
闇の神殿捜索までは完全にファンタジーの領域でしたが、アルトの命が執拗に狙われる後半戦は完全に政治的事情の非ファンタジー。しかも、1人の上級貴族の思惑でしかなく、更に言うとアルトの存在に過剰反応してるに過ぎない妄想ジジイの突っ走り行動が全ての元凶なのです。
一難去って、また一難……。
フェリクスと結ばれることにこんなに多くの問題が孕んでいたのかと思うと、正直ゲンナリ。味方は多いが、何しろラスボスが厄介な人物ということもあり、フェリクスが辺境伯になってアルトとこの国を支えていく未来がこんなにも大変だとは思いもしませんでした。
ここからは、貴族と貴族の駆け引きが主。あんなにファンタジー色が強かった展開から一気にリアルの世界へ突っ込んでいく後半戦は精神的な意味でシンドいです。
何度も言いますが、アルトは国を救った英雄なんですよ。
国に平和をもたらした功労者を亡き者にしようとは、傲慢が過ぎるぜクソ侯爵……
そんな複雑な事情が露わとなり、後半は恋愛の低迷期に入ります。
2人が一緒になる未来のためには仕方がないことなので、彼らの愛が下火になることはないのですが、アルトが死んだことにされ、常に暗殺者に狙われ、1人で住む場所を転々としなければならないのが可哀想でね……この問題が早く解決してくれよと願わんばかりで見守りました。
ただ。こうした試練の期間に、フェリクスがグッと大人になって頼もしく立派になったことだけはピンチの功名と言っていいのかも。グローセベルクの後継問題も、中枢での存在感も、アルトとの明るい未来を期待してのことだと思えば、納得のラストエンディングではないでしょうか♪( ´▽`)
アルトとフェリクスの結婚を認めないジーサンが最後の最後に登場したときは、もういい加減にしとくれと思いましたが、そうした色んな壁を乗り越えてこそ真の運命の2人。上下巻合わせての壮大なドラマが素晴らしかったです。
わたし的にはフェリクスの兄ルイスと隊長フィンとのその後も気になっています。
いつか彼らのスピンオフが読めたらいいなと期待しています^ ^
ゆるっとほわっとした高校生の日常の空気感に、そっと添えられるアオハルの色。
伊吹大好き嵐士と、クーデレ伊吹が奏でる恋愛ムーブメントがますます楽しい続刊です♪
嵐士が伊吹に唐突に告白して終わった1巻。
知りたいことがたくさんあります^ ^
告白の返事は?2人は付き合う付き合わない?告白後の2人の様子は?などなど…
同じクラスの同級生のポジションから、その先…恋人の関係に一歩進むかどうかが気になるところです。
嵐士とのお付き合いに真面目に向き合う伊吹の態度は、いつもながら何を考えているか分かりにくいクールな態度だけど、ヤレるシミュレーションのときに見せた赤面の表情が、伊吹の答えを物語っていたと感じたのは私だけでしょうか……(〃ω〃)
粗雑でぶっきらぼうな態度の伊吹ですが、嵐士の告白をナイことにもしないし適当にあしらったりもしない。嵐士の告白を真摯に受け止め、告った嵐士本人以上に恋人関係になることの意味をしっかりと考える姿からは、それだけ嵐士の想いに真剣に向き合っているんだなと感じました。
そういう点では、伊吹はすごく男前なんですよね。
好き好きアピールはするけど、肝心なところはヘタレになっちゃう嵐士とは真逆だなと。
念願叶って友だちの関係から進んだというのに、イマイチ友だちの域から抜け出せていないところもあって、まぁ…それが嵐士なりの優しさや気遣いなのも分かるんだけど、進路のことを言えなかったりだとかも含めて臆病になる嵐士にズバっとハッキリ伝える伊吹が超カッコよかったです!
恋人フィルターがかかって、伊吹のやることなすこと全てが可愛く見えてしまう嵐士のコミカルな動きも面白いですが、まだまだウブさが取れない2人の恋人としての成長を楽しみにしています。
次巻はどうなるのか既に期待でいっぱいです。これからも2人のことを温かく見守っていきたいと思います。
元々はアンソロジー収録の作品とのことで、私はそちらの方は未読です。
本作でハジメマシテの出会いでしたが、なるほど。反響の大きい人気作品だったことに納得できる楽しさでした♪( ´▽`)
政略結婚からの仮面夫婦…はたまた愛のないカタチだけの夫婦。そんな寂しいシチュエーションから始まるストーリーは、タイトルの物悲しいフレーズと相まって最初は読み心地があまり良くありません。
がしかし!というのがこの作品の面白いとこ。
密かに想いを寄せる夫から塩対応をされる一方通行の夫婦関係が、実は同じくらい……いや。それ以上の好意と欲情をシグルドからぶつけられていた裏事情が露わになると、シグルドの抑えていたリオルへの愛がスパーク……!!!
まぁ、侍女の証言やタレコミ、シグルド本人のちょっとした行動から判断しても、塩対応は誤解だろうなというのはモロ分かりでしたが、ボタンの掛け違えが修正されるとこんなにも甘々になるのかと。読み始めの1ページとの温度差にうっかり風邪をひきそうでした(笑)
シグルドは、家格のために。
リオルは、金銭援助のために。
そんな政略結婚の打診が、2人の純粋な恋心を曇らせていくキッカケとなったのは残念としか言いようがありません。ただ、夫夫となるチャンスをもらったのも、この政略結婚ではあるわけで、夫夫という関係から入ったこともあながち悪手とも言い切れないんですよね。
シグルドみたいな恋愛に不器用な男は特に…
やること全てが盛大に空回っていたり、真意が誤解されたりと、2人の夫夫生活は見ていて歯痒いもんですが、その歯痒さが積もり積もってようやく想いが伝わり合うシーンは、それだけに最高の眺めです。
元がアンソロジーというのもあってか、すれ違いの切ない描写が長々と続かないのも良かった。すっきりとまとまっていながらもしっかりと魅せるストーリーは満足の読後感でした。
また、本作品には書き下ろしの部分の後日談とスピンオフが収録されており、これが更にワをかけてめちゃくちゃ面白い。
特にスピンオフの方は、シグルドとリオルの長男・レイのお話となっていて、これは同時収録に甘んじるレベルではないです。これ単体で一冊の本になってもおかしくないくらいの傑作だと思います。
『おいてけぼりのオメガは偽りの夫に愛されたい』の両親編(番外編含む)と、スピンオフの『足手まといの算術士は報われない恋をする』の長男・レイ編との2篇から構成されているこの一冊は、フォーデンファミリーの2カップルの恋愛模様を余すことなく楽しめる豪華な仕様です。
βのレイと、幼馴染のルーファスとのバースを超えた主従愛は、両親とは全然違うアプローチだけどそこがまた面白く、レイの算術士としてのスキル値の高さで周りからの評価を得ていくサクセスストーリーな側面にワクワクが止まりませんでした。
シゴデキなレイの魅力はもちろんのこと、シグルドとリオルが親の立場からレイに寄り添う脇キャラとしての存在感の大きさも素敵でした。
1冊で2冊分読み終えたような満足感に浸る絶品作です。この作品の世界を余すことなく堪能して欲しいなと思います^ ^
寒い日の朝。暖を取る方法は人それぞれですが、こんなにエッチな暖を取るやり方があるでしょうかっっっ!!
舞浜の股に潜り込んで、オナ&フェラ。目どころかアッチの方も完全に目覚めてしまう猿渡の誘い行動に、既に臨戦態勢となった身体は、朝の寒さなんてなんのそのです。
身体は寝てても、チ◯コは勃つ。朝から元気なムスコに合わせて、2人で早朝の運動に励む体力はさすが警察官ですね。激しく揺さぶり揺さぶられて身体はポカポカだけど、一番のポカポカは、あまーい時間の充足感で間違いないでしょう。
猿渡は随分と言葉で煽るのが上手くなってきました^ ^
朝の冷えた身体を恋人で温めてもらう親密なラブラブっぷりに、こちらまで温かな気持ちになりました。
描き下ろしのデートはエッチなしで何だか新鮮。舞浜のブラコン姉の寂しい心に焦点を当てたアプローチに思わずクスッとなったデートエピソードでした。
まだ1話目だからなんとも言えないけど、受けのコが可愛くない。
もちろん見た目とかじゃなくて、性格がです。
ツンデレ気取ってるけど、あの態度はツンデレじゃなくて悪態。ついでに言うと、自己中でわがままで、上から目線の束縛系。素直になれない気持ちを、晴臣のためにしてやってるんだぞのスタンスで、あくまでも自分の意思じゃないですよーを強調する姿勢にゲンナリでした。
受けの知佳は表向きにはいい子ちゃんを演じていて、裏では文句たらたらの性悪なので魅力も今のところゼロ。晴臣にフラれてザマァなってる展開にはニヤリでしたが、モテる晴臣を見て知佳はどう感じどう行動していくのか見ものです。
これまで晴臣を振り回してきた知佳が、これからは晴臣に振り回されていくのでしょうが、悪態も同時に矯正されていくといいのになと期待(笑)今のところ、愛され要素が全くない知佳の好感度の成長を見守りつつ、知佳の告白を断った晴臣の真意にも注視していきたいなと思います。
私は断然嘉納派。
くっ付くのはあり得ないって分かっちゃいたけど、保住より嘉納を選んで欲しいと強く願っていたほど、嘉納というキャラクターが大好きでした。
そんな嘉納が盛大にフラれてから、ギャルソンの伊吹といい感じにまとまりそうな雰囲気をキャッチしていたものの、あんまりしっくりこないなーなんて、有とのカップリングを未練がましく思っていたものです。
それもこれも、安西先生が当て馬を魅力的に書きすぎるから良くない(笑)
自分の運命を何がなんでも手に入れようとする嘉納の強引な行動力は、当時の私の胸を最高潮にたぎらせました。
本編の『普通〈ベータ〉の男』は3年前の作品ですが、メインカプの保住より嘉納の方がインパクトが強く、今でも記憶に残っているキャラクターです。
彼がメインの今番外編では、お相手はやはりあの伊吹くん。当時は、先にも書いたように"しっくりこない"と思っていたけど、くそぅ……そう思った自分をブン殴りたいです。゚(゚´Д`゚)゚。
番外編……良かったです。めちゃくちゃ良かった。
伊吹こそが嘉納の運命だと思わせてくれる恋愛模様に素敵に酔いしれました。
周りの人を威圧的に思わせてしまう嘉納には、ピリピリオーラを中和してくれるような癒し系のお相手がピッタリではなかろうか。
伊吹のように、仕事柄気配りができる性格だったり、穏やかな気質だったり、所作の美しさだったり。伊吹のキャラクター性をよく知ると、嘉納のベスト恋人だと確信するしかなかったです^ ^
αとβの組み合わせは、オメガバース世界においてイレギュラーカップルなのは間違いないですが、身体が惹かれるのと心が惹かれるのとは全然別のところにあるんですよね。
名前も覚えられない、話す内容にも興味のないΩと本能的に番ったところで、それが幸せに直結するとは限りません。フェロモンやバース性でしか番う理由のない相手と結婚したところで、心はそれで満たされるでしょうか。
一緒にいて安心する、満たされる、もっとこの人のことを知りたい、考えるだけで胸が熱くなる……いくらバース性上番うことができなくとも、相手への好意感情まではコントロールは効きませんよ。
"好き"と"愛してる"が、一緒にいる大きな理由になってるのはとても幸せなことだと思います。
これまでそんな感情に触れてこなかった鈍感αは、相手の気持ちを読み間違えて色々とやらかしていましたが、そんな不器用な嘉納の一面も含めて私は熱烈に推したい!
ワイナリーを経営したり、ハーブ農園を作る2人の未来が私には見えしたが、さてどうなるんでしょ^ ^
嘉納にもちゃんと心を動かされる"運命"の相手が見つかって良かったです。
そんなにページ数はないストーリーだけど、大満足な読後感。読み応えのある幸せにたくさん浸ることができて感無量です。
異世界転生というか、共生?…なのかなぁと思いました。
身体の元々の持ち主・リュシアンが瀕死の状況に陥ったことをキッカケに、リュシアンの身体に転生したという設定。ですが、身体をコントロールしているのはあくまでもリュシアン本人で、田宮涼星という人格はリュシアンのキャラクターには反映されていません。
涼星自身がリュシアンとして生きていくような転生ストーリーではないのが、これまでの転生ものとは違うところかな。リュシアンが関わるもの全てを第三者目線で覗き見しているような感じでしょうか。
リュシアンが経験することや感じることを涼星も共有していくことにより、誰かに愛される温かい感情を知っていくことになるのですが、直接的ではなく間接的にってところがこの物語のミソ。孤独に生きてきたかつての人生や冷えきった感情を、リュシアンの感情と置き換える報われ方は面白いアプローチではあるけど、リュシアンの人生に涼星が介入することはなく、また自分の意思が働くこともないので、転生ものとしての醍醐味は若干薄い気がしなくもなかったです。
普通に兄に溺愛される弟王子の話ってだけのような……。しかもそのストーリーに転生者の涼星が直接関わることがないので、結局主人公は涼星なのかリュシアンなのかよく分からないままでした。転生して第二の人生をやり直す系の話を想像してると、ちょっと違うかもってなるかも知れません。
「溺愛」をこれでもかと強調してくるストーリーなため、溺愛攻めが好きな方にはオススメします。……まぁ、溺愛か過保護なのかの線引きは曖昧ですが(笑)
兄のフレデリックは分かりやすい溺愛を示すくせに、肝心の成就の部分ではヘタレムーブを出してくるので、そこんところの葛藤にも注目しながら2人の恋愛模様を見届けて欲しいなと思います。