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恋の到着地点はどこですか?

イケメンの攻めからベタベタに溺愛される、ベタな甘さにグハッッッと酔いしれました!\(//∇//)\

タイトルからしてもベタなんですけどね、色んな趣向を張り巡らせたストーリーが乱立している中、この王道のBLはかえってグッときます。
パイロットとCAの組み合わせとか、一時期のバルブ時代のあるあるなカップリングですが、キラキラ系の花形職場恋愛であっても、こんなにも切ないのかと。……紙枝の片想いの一途さに胸がツキンと痛みました。
将来有望な紙枝の攻め像は、これぞまさしく"攻めはこうであって欲しい"をふんだんに取り込んだ萌え感。見た目や能力だけじゃなく、佇まいやオーラ、嫉妬や独占欲に至るまで完璧です。
片想いを拗らせ過ぎてヘタレになっちゃう弱い部分も含めてカッコよくてですね、社内報で爪痕を残すさりげなさも素敵なんですよ^ ^

同期の氷鋏には好きな相手がいて、失恋したての傷心中に紙枝と良い感じになったことでお互いの距離がグンと近くなっていきます。お互いにゲイなことが分かり、ちょっぴりエロいこともしちゃったりで、もはや失恋に浸るまでもない氷鋏の恋のベクトルが紙枝の方へと動くのもそう時間がかかりません。
お互いフリーだし、同期で仲良しだし、エロいこともしてるしで、トントン拍子で恋人へのフライトラインにGOするのかと思いきや、まさかの乱気流発生。当て馬じゃないんだけど、当て馬の如くしつこく氷鋏に絡んでくる氷鋏の後輩の石川…こいつは結婚報告で氷鋏を失恋に追い込んだ張本人です。

てっきりコイツは序盤でのご退場かと思っていたら、2人を邪魔してくるポジションとしてウザい存在感を発揮しやがります。
恋愛の土俵にも上がってこないなら、どっか行けよと思ったのは私だけではないはず。あの人懐っこいワンコ属性で氷鋏を落としたんだと思うと、魔性の無自覚ワンコって非常にタチが悪いなと。そんな石川に嫉妬剥き出しで氷鋏の全予定を掌握してガードする紙枝の口撃にキャーが止まりませんでした(〃∀〃)

恋愛経験の無さと失恋回数の多さから紙枝の気持ちに向き合えず、つい臆病になってしまう氷鋏と紙枝の間ですれ違いが起きたりもするけど、ドラマチックな場所で、ドラマチックに想いを伝え、ドラマチックに結ばれるエンディングに大感動!
これまたベタな結ばれ方だと思うけど、BGMに「ラストクリスマス」が聞こえてきそうなワンシーンが素敵でした。

嫉妬深い甘い攻めが大好物な方はぜひご一読を^ ^
出発地は片想い、到着地は両想い(恋人)となった2人の恋のフライトをじっくりとご堪能下さいませ。

アイルの原点はやっぱり料理人

アイルの料理に秘められた治癒の力が、多くのグジナウ国の人々の心と身体を癒していくことを期待したい2巻。ゼスとの遠距離恋愛を余儀なくされてしまい、恋愛と仕事の「仕事」の方をちょっとだけ優先してしまったアイルですが、おおっと。
恋愛と仕事をどちらもとる選択肢があったとは。…というか、無理やり作ってしまったと言った方がしっくりくるのかな^ ^
ゼスよ……さすがは騎士団長。英雄と言われるだけのことはある。
とにかく行動力がすんごい。あと、番犬っぷりがコワイコワイ(笑)

アイルの身の安全(恋人同士の時間を確保したいともいう 笑)を何よりも優先したいゼスの心配と、治癒料理に時間をたくさん費やしたいアイルの使命感がうまいこと噛み合わないことも多いですが、何となくどちらかかが折れて何となく甘い雰囲気に持っていく2人の恋人模様にニンマリ^ ^
すれ違ったり喧嘩したりとかはなく、異国の地でもゆっくりと愛を育んでいきます。

アイルへの愛の重さをたくさん見せつけてくれるゼス。よからぬ虫除けのため、アイルに害を為す者を蹴散らすため、番犬としての牽制力が凄まじいです。
ゼス :早くラール国(2人の母国)に帰ろう
アイル:まだ困っている人がいる → 帰れない
ずっとこのやりとりです(笑)
アイルの料理への探究心は感心しますが、料理のこととなると周りが見えなくて少し危なっかしい。それをゼスがヤキモキしながらお世話してるって感じで、これ…ゼスがいなかったらどうなってたんだろうとヒヤヒヤしました。

料理や人々の治癒に打ち込むアイルの頑張りは素晴らしいですが、身体が限界を超えてもなお無理をする恋人の仕事っぷりに不安になるゼスの気持ちも分かります。アイルの行動は一見するとやりがいの搾取のようにも見えてしまうし、アイルに希望を見出して連れてきたグジナウの宰相……アイルの能力に活路を見出す前に、暗躍する自分の国のアホ侯爵をどうにかしなはれ。王もなんだか国の危機を感じてないし、グジナウのツケをアイルに取らせるとは、ううむ…けしからん。

それに。
アイル自身の身体を心配するのは、ゼスだけなんですよね。アイルは人々の傷を癒せても、アイルは自分自身の身体を癒せない。治癒師とは言えども、治す力に限界はあるし、そこまでのスーパーマンでもありません。
愛する恋人がグジナウの問題に巻き込まれていくのを見てられないゼスが必要以上に怖い番犬になるのも納得かな。アイルの協力者や味方まで牽制するのもやり過ぎですが、そんなゼスの行動から彼がアイルをどれだけ愛しているかの証明にもなっていますので、騎士団長の溺愛っぷりを隅々までご賞味頂ければと思います♪


「医食同源」の精神をファンタジーに落とし込んだようなストーリーは、料理の温かさだけでなく人々の心の温かさまにまで触れた癒しの物語でした。
治癒師として扱われたアイルだけど、やはりアイルは料理人。治癒師ではなく、料理人として美味しい食事で多くの人たちを癒してくれるでしょう。
帰国後は料理人としての腕を磨きながらゼスと共に同じ未来を歩んでいって欲しいなと思います^ ^

冷ややかな言葉の裏に潜む溺愛をお楽しみ下さい

仮面夫夫ものの作品の中でも一等シュール寄りではなかろうか。

夫の方は極度の緊張しいとあがり症のため、妻のアロイスの方は超保守派を演じるため、お口の悪さが回る回る。外聞のためとはいえ、ここまで言わんでも良くね?と思わずツッコミたくなるような2人の口喧嘩を聞いてると、何だか胃がキリキリとしてきます(笑)

普段からそう思ってなければそんな嫌味なワードはポンポンと出てこないのではと思うのですが、一応2人は悪口のプロとして研ぎ澄まされた刃のような言葉選びと、その場を凍りつかせる雰囲気作りを演出するのが抜群に上手い!本人たちは本来そんな性格とは真逆なのに、周りに勘違いをさせてしまってるのが少々難儀だと思えてきます。
まぁでもそれがなかったらそもそも2人は惹かれ合っていないし、うまく結婚生活が送れてもいない。彼らにとっては周りの勘違いよりも、お互いが自分の素の姿を知ってくれているのが重要なんですよね^ ^

一見すると冷ややかに見える夫夫関係は実際にはラブラブ。イチャイチャするのにもちゃんとシールド張っていて、周りからは見えないように甘い時間を堪能している2人にニヤニヤでした。
あそこの夫夫は喧嘩ばかりで冷えた関係なのに、すぐに子を授かっちゃうのなんでだろう……の真相を周囲が知る日が来るのか来ないのか(笑)
何だかんだで両者とも仮面夫婦見せつけプレイを楽しんでる気がしなくもないですが、2人だけの空間で甘ったるく酔いしれる時間は仮面がいらない特別なひとときです。

見た目は仮面夫婦、中身はおしどり夫夫。
そんなギャップで固く繋がり合う夫夫の愛をお楽しみ下さい^ ^

純愛なのかはさておいて…

誰とでも情事に耽るような放蕩者の攻めの恋が「純情」かと聞かれたら、私はそうは思わなかったです。
前半部なんか特にですが、他の誰かと色欲に溺れるシーンがあり、しかもわざとユンに見せつけるようにするやり方は趣味が悪い。後宮にあてがわれた愛人5人と日替わりで相手をしてると言うし、しまいには愛人の1人からザイはバックで致すのが好きだと要らない情報まで……聞きたくもなかったです。
心が伴わない行為だとは言え、また学園時代からずっとユンへの想いを抱えてきたとはいえ、ザイの恋を応援する気持ちが↑上記の理由によりそこまで持てませんでした。
ヤリチンライフを送る男の恋のどこが純情と言うんだろう。執着愛と言う方がしっくりきます。

そんなザイの性事情が元で、本命のユンに本気の愛だと信じてもらえないのは、ちょっとだけザマァと思っちゃいました。
ザイが何度も好きだと言い、本気の愛だと求愛しても、ユンになかなか信じてもらえない状況が続きます。通常ならなかなか通い合わない2人を焦ったいと思うところですが、これはザイに与えられた試練。過去の自分の不埒な行動の報いだと思って、ユンに本気が伝わるよう頑張って欲しいなとも思いました。

ユンを側に置くようになってからは愛人たちとの関係が切れ、ユンにひたすら一途になっていくザイの恋を見守りました。
ユンの視点とザイの視点が入り混じるストーリー構成なので、どちらの心情も分かるのが良いですね。ユンがザイの気持ちに応えられない不安な心境と、ユンに恋焦がれて嫉妬まみれになっている男の独占欲が交錯していく恋愛事模様は見どころです。
恋愛経験が全くないのはザイもユンも一緒で、ちょっとずつ距離を縮めながら互いの気持ちに向き合っていく2人に期待せずにはいられません。
ザイは自分の気持ちを惜しみなく伝えているので、あとはユンの気持ちのみ。ザイの想いに応えるまでの間には、ザイの兄の死に関わる真相に近付いていく展開も見逃せない。BLターンも事件ターンもどんな結末になるのかドキドキハラハラでいっぱいでした。

最初こそザイを応援したい気持ちも低調でしたが、後半にかけてグンと伸びました、ストーリーがめちゃくちゃ面白かったです。兄を殺害した者の断罪はスカッとしたし、腐敗勢力の膿を暴こうと色々と画策していく動きは読み応え抜群でした。
ザイには色々思うところはあるけど、恋心に誠実になった彼は一生懸命でカッコ良かったのは大いに認めます(笑)ユンのドジ天然なところや、ズレた可愛さも魅力的でした。

兄弟愛や親子愛に触れていくアプローチも、ジワッとくる感動の読み感に繋がりました。トータル的には大満足。人物史書き風のその後の情報も有り難かったです^ ^

天国で地獄 電子 コミック

滝端 

ありがとうございますありがとうございます

何ですか、この夢見心地にさせてくれるあまあまの神作品は……!!

タイトルに「地獄」とあったので、どういうことかと思っていたら全く心配することはありませんでした。愛され倒された結果が例え地獄であろうとも、一連の行為は2人がラブラブであるが故のこと。わたしの評価的には地獄度0の天国度100で、天国が圧勝です♪( ´▽`)

覗き見バレの代償は雅にとって大変な身体の負担となりました。
一向に萎えることのない、望のアレ。疲れなんちゃらというヤツなのか、ただ単に雅がエロ可愛く煽ってきたからなのかは分かりませんが、常に臨戦態勢から衰えぬ欲望を一心に雅にぶつける姿にヒャッハーが止まりません♪

ちょっとコミカルめに描かれているのも楽しく、2人が充実した新婚生活を送っていることに幸せいっぱいの読後感です。
素敵なストーリーをありがとうございました。明日からも元気に頑張れますヽ(´▽`)/

まだ僕の中にいて コミック

椿 

好きな人の隣が最高の"居場所"

男子高校生のアオハルものというには、ちょっとテイストが重め。爽やかさよりもしっとりが沁みる作品です。

2年前先輩後輩の関係だった2人が、灯呂の復学をきっかけに同級生となって再会。大きな事故で留年を余儀なくされて再度学園生活に馴染もうとする灯呂の健気さと、見目麗しい男に成長した廻にかつて抱いていた恋心を再確認させられていく心情描写が、めちゃくちゃ切ないです。
この切なさを支配しているのは廻が灯呂に抱く罪悪感や葛藤で、廻がどうこうというより、廻がいかに灯呂とちゃんと向き合えるか否かが2人が結ばれる鍵となってきます。

誰とでも寝るようなキャラに変貌した廻に戸惑いつつも、以前のように廻に接する灯呂の純真さに次第に堅い扉を開けていく廻サイドの態度変化は一番の見どころでしょう。最初のうちはクールで怖い印象だった廻の本質がだんだん暴かれていくと、ものすごく繊細で誠実なキャラクターであることが分かってくると思います。
灯呂を傷付けたトラウマと、父親に見捨てられて居場所を失った悲壮感にずっと心を支配されてきた廻の背景の重さには胸が痛みました。心身共に未熟な思春期での出来事だからこそ、その重さを抱えきれなくなって、投げやりな生き方にシフトしていった廻の苦悩はいかばかりか…。
灯呂視点から廻視点に移り変わると、廻の苦しい感情に襲われるシーンでいっぱいになりましたが、そうした闇から救い出してくれたのは、やっぱり灯呂の存在でした。

灯呂がホントに良いキャラしてるんですよ^ ^
素直で一途。普通なら諦めて距離をとってもおかしくないのに、ぐちゃぐちゃなりながらも廻に向かっていく姿は可愛くて愛おしくて、ギュッとしてヨシヨシしたい衝動に駆られて仕方なかったです(笑)

好き同士なのに、なぜか焦ったい方向に進んでいく2人にやきもきしっぱなしで見守りましたが、ようやく見つけることができた"居場所"でこの先もずっと幸せでいて欲しいなと思いました。
ビジュアルの良さ、ストーリーの沁み具合、どれも素晴らしかったです!

ページをめくる手が止まらないよ

こりゃまた面白い切り口のセフレ設定!

実際には身体の関係はない、でもバーチャルの世界ではしっかりとセフレ関係にある。そんな2人が、まさかの近距離にいて……というドラマチックストーリーに一瞬で虜になりました。

VRの世界ではアバターを介したセフレ関係でも、リアルの世界では上司部下の関係にある両名。本来ならVRの世界線と職場の世界線は交わることはありません。
本田は"マコト"として、桐島は"アキ"として関わり合っていく仮想世界に次第に没入していくのですが、何度も逢瀬を重ねるうちに芽生え始める2人の気持ちに注目です。
VRの世界にはルールがあり、これ以上は踏み込んではいけない厳しいラインが決められています。好き勝手に自由な会話もできず、あくまでも仮想世界の住人としての会話しかできないことは、この2人の関係を限定的なものにしています。

リアルに話したり触れたりできないこの関係は、"アキ"と"マコト"がいる仮想の世界でだけで、桐島と本田の世界ではないんですよね。セフレ関係だけが独り歩きしていて、そこに気持ちが追いついていかないのが、この仮想世界の弱点…あるいは闇の部分でもあるのかなと思います。
桐島が"アキ"であることを知った本田はどう行動するのか。
本田に芽生えたアキへの恋を、リアルの世界の"アキ"に伝えられるのか見ものです。

実生活では怖い上司がまさかの想い人だったギャップも面白いけど、その上司が意外にも可愛い一面がいっぱいで、桐島の中に"アキ"を感じて現実世界で直に触れ合える喜びに浸るシーンはグッときました。
本田のビジュアルのイケてなさも、それがかえってストーリーに厚みを持たせており、"どんな人がきてもマコトがいい"と言った桐島のセリフの重みと繋がる演出が素晴らしかったです^ ^

王と小鳥の愛の集大成を噛み締める

番外編集の楽しさを、只今ひしひしと感じております……!!

基本あまあまだし、ほのぼのほっこりだし、クスッと笑ってしまうちょっとした日常の恋人模様がとにもかくにも最高でした。
切なく悲しいシーンは、あってもほんのちょっとだけ。まだエドと礼が結ばれていなかったときの過去回想は胸にズキンときますが、現在進行形で愛を育み合う恋人同士のやりとりは、糖度が高くて終始頬がゆるみっばでした(笑)

エドってこんなにもヤキモチ焼きだっけ?とツッコミたくなるほど、もはや嫉妬はエドの代名詞。番外編集のあちらこちらで、幼な子のようなヤキモチを撒き散らすエドは必見です^ ^
エドの嫉妬を更に盛り上げてくれるのが、パブリックスクール時代の友人たちの存在です。あ、あと礼が担当するアーティストもいました。彼らと礼があまりにも仲良しで、エドを含めた礼大好きメンバーたちで礼の時間や礼の隣を取り合う椅子取りゲームに笑いが堪えきれませんでした!

エリートたちでワチャワチャし合うの図。ああ…私も仲間に入りたい(笑)
皆んな職業や働く場所も違うけど、不定期で集まって親交を深め合う和やかな時間にホッコリと癒されました。

番外編は、本編にはないキャラクターたちのリアルの姿をたくさん見る事ができる新しい発見の場でした。
それに。本編のストーリーの補完内容にもなっていて、本編では触れていないあの場面の裏ではこんなことがあったのかとか、こんなことを思っていたのか、とか。エドと礼以外の登場人物たちの過去エピや、彼らの心理がよく分かる視点描写が素晴らしかったです。


ボリュームとしてはエドと礼のストーリーの方が圧倒的に多いですが、スタンと桂人のストーリーも収録されています。嫉妬まみれのスタンと、各方面からモテモテな桂人の学園ライフが拝めて、こちらも満足の読後感でした。
どうやらこの番外編には続きがあるようで、今から楽しみにしています!
どんなストーリーになるのか早くも期待でいっぱいです。

真の敵は誰なのか、戦うべき相手は何かを見定めながら読んで欲しい

幼馴染同士、共に国を守ろうと誓い合った親友2人が織りなす中華ファンタジー。国を守護するため、切磋琢磨しながら敵と対峙していくバトルものです。

その過程で想いを交わし合い、幼馴染以上の距離にグッと近づく恋愛ターンは意外と早い段階で訪れるので、焦れったさとかはナシ。関係性がある程度できている2人だったせいか、恋愛事モードに進むタイミングもスピード感もちょうど良かったです。
早いうちに両思いとなるからには、そのあとに色々あるんだろうな…と予測できちゃうのが如何ともし難い。国の不穏な情勢と相まって予想が確信に変わっていく中盤付近に訪れる2人のすれ違いが、まさか攻めの龍炎の闇堕ちルートの引き金になろうとは……。愛し合う2人が敵対勢力となっていく事件ターンの読み応えは抜群でした。


一見すると戦う相手は敵の抵抗勢力ですが、実はそうではない社会の闇構造がこのストーリーの大きな核。確かに、国を滅ぼそうとする者たちとのバトルが最大の見せ場であり、最高のクライマックスシーンではあるんですけど、真に戦うべき相手は目の前の敵ではなく、この国自身っていうメッセージ性が深い終幕でした。
正すべきは国内の社会構造にあって、これまで払ってきた多くの犠牲は、結局のところこの国が自らが招いた結果に過ぎませんでした。

国に蔓延る選民意識、特権ヒエラルキーや差別……身分によって不平等や不公平が生じている国内の歪みこそが本当に倒さなければならない諸悪の根源そのもの。そこに呪いの宝剣アイテムがうまくマッチングし、胸に巣食う悪の感情を増幅させ、遂には瘴気を生み出すエネルギー源となっていくカラクリがなんともやるせません。
父を裏切り者だと罵られるばかりか、身分の低さまでをも馬鹿にされてきた龍炎は、これまでどんな気持ちで耐えて頑張ってきたのか……。あれだけ気丈だった男が夜雪とのすれ違いから一気に闇堕ちしていく展開は目も当てられないほどでした。

国賊化した龍炎の目を覚ますことが出来るのは後にも先にも夜雪のみ。愛する人と敵対関係になってしまった中盤以降はハラハラの連続です。
恋愛的には割とすんなり進んでいただけに、龍炎との対立は歯痒さいっぱいでしたが、夜雪の龍炎への信頼や絆の強さが試されたと思えば、切ないストーリーも乗り越えられました。

登場人物の中で1人、毎回すんごい嫌味を言ってくる差別野郎がいるのですが、奴が最後に龍炎の擁護に回ったのがあまりにも急すぎて、一体何がどうして考えが改まったのかとそこだけが気になりました。
あんだけ龍炎に酷いことを言っていたし、密告もしたくらいの性悪男だったので最後にギャフン展開があれば良いなと願っていたところに、突然の良い人モード。龍炎と夜雪が許しても私は許しません。(とりあえず龍炎に謝んなさいよ)
最後は普通に味方サイドに位置取りしていたこの男のことだけが少々不完全燃焼でした。

社会体制がこれから大きく変わっていく中で、2人がどう国に貢献し、また愛を育み合っていくのか大いに期待していきたいなと思います^ ^

星5個では付け足りない最高の満足度

1巻のときより甘み成分が段違いに多く、どのページをめくっても全部が楽しい仕様となっていて、星が5個しかつけられないことが非常に口惜しいです。

甘さも多いが、エロも多い。エロはこの作品の代名詞のようなものですが、今巻はストーリーもめちゃくちゃ良かった。全方位最強の読み応えです。
糖分が過剰供給気味な濃厚なベッドシーンはトロトロのラブラブで、お付き合いしたてとは思えないイチャイチャ祭りに頬の緩みが止まりませんでした!

関係性が変わるだけで随分と雰囲気が変わったなと。1巻のときはエロの展示会みたいな感じでしたが、それでも設定やキャラの個性、エンターテイメントとしての面白さは別格でした。過激なベッドシーンとプレイの映え感もすごかった印象です。
ただ。ストーリーの内容としては、エロのインパクトが強かったせいか、年下のドS後輩に身体中を攻め立てられているマゾっ子先輩というイメージが先行していたのが少し物足りなくも感じていました。

それがどうでしょう。
この2巻は恋人同士という親密で特別な関係をベースに、蜜月期の幸福な心理描写や、嫉妬感情、関係バレを恐れる不安な心理描写に丁寧にアプローチ。内面の心情変化に触れることでストーリーに広がりが生まれる恋愛模様がホントもう最高でした!!

柳瀬大好きをいっぱい詰め込んだ三谷の溺愛ムーブは何よりの萌え感です。
特別な時間、特別な場所で、特別に甘いプレイに興じる2人に終始ニンマリ。エロシーンあるなしに関わらず、ストーリー全部が神ってました。
このままずっと2人だけの時間がずっと続けば良いのにと何度思ったことか。読み終わりたくないほどに酔いしれました。

社内恋愛における脇キャラたち(営業部長は超ウザい 笑)の存在感も良く、2人の恋人期を余すことなく堪能できた至高の続刊です。
何度読み返しても楽しい満足感をお約束します♪