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最高に刺激的で、最高にクレイジーな愛に心酔

マルヴァニー家の長男・アティカスのターン。
過去2作にも登場し、他の兄弟から若干ウザがられているポジションの彼がどんな風な恋愛をするのか……正直なところ、アティカスがBLの世界線でどう動くのか想像がつきませんでした。

というのも。アティカスには、サイコパス兄弟がウンザリするような強烈な元彼女がいたのはご存知のとおり。彼が女を見る目がないのは分かってましたが、悪女に好き放題させるくらいなのですっかりノーマルだと思ってました。
ところがどっこい。
蓋を開けてみれば、どこがノーマルじゃいという心酔っぷり!^ ^
ターゲットのお掃除現場でジェリコと運命の出会いを果たしてからいうもの、アティカスの身体の熱は昂る一方。死体を目の前に官能の戯れに興じる2人の姿はなかなか刺激的で、最高にクレイジーでした。

アティカスって、どこか良い子ちゃんであんまり冒険とかしなさそうな感じだったのに、この展開には驚きでした。
発情のスピードが早ければ、セックスへGOするのも早い。そして、ここん家の兄弟はすぐに恋に落ちるのも早い(笑)
彼らは養子で繋がる兄弟関係だけど、みんなあっという間に想い人に骨抜きになるのは兄弟そっくりです。
今巻の場合は、お相手のジェリコもアティカスと同じ熱量で(それ以外かも?笑)アプローチしてくるのが、アダムとオーガストのときとはちょっと違うところかな。
アダムとオーガストは粘り勝ちで恋人ポジションをゲットしたのに対し、アティカスは最初っからジェリコとラブラブ濃厚な戯れを見せつけてくれています。

何がすごいって、この2人。ちょっと会っただけでも、視線がぶつかっただけでも、すぐに勃起オンモードになります。いつでもバキバキ臨戦態勢のジェリコと、いつでも受け入れ態勢万全のアティカスのセックスシーンは本巻の随所に投入されているので、拷問現場やお互いの家…などなど色んなシチュエーションでのプレイをお楽しみ頂けることでしょう♪

ジェリコが本当にいい男でね。アティカスのことを大事に扱い、そして誰よりもアティカスを理解している寄り添いにグッときます。
アティカスはサイコパスといっても、ちょっと人間くさいところがあって、なかなか憎めない奴なんです。そしてアティカスのそんなところにジェリコは惚れています。
サイコっぽくない隙あり感が、他の兄弟から馬鹿にされたり揶揄われたりもするんですけど、ジェリコがアティカスを弟たちのイジりから守ってくれる姿がカッコいい…!
暗殺集団のサイコパスたちにも怯まない度胸と、アティカスを守護する姿勢……萌えゴコロがそそられました〜( ´∀`)


ジェリコの妹がとある団体に殺されたことをキッカケに、その真相と犯人たちを追うアティカスとジェリコ。マルヴァニー家とジェリコ軍団の協力体制で、犯人どもを追い詰めて殲滅する作戦にはドキドキハラハラしました。
アダムのときは小児性愛者、オーガストのときは拷問ショー、そしてアティカスのときは人体実験と臓器売買……海外の小説ならではの規模感にいつも引き込まれてしまうストーリーは、今巻も最高にヤバかった。恋愛的にも最高にホット&クールな読み応えでした。

マルヴァニー家の世直し規模もメンバーが増えてどんどん拡大していくのも面白く、先の読めない動きと人間模様の深みに魅力されていくストーリーに終始沼でした。
ジェリコとアティカスの愛の育みの裏で、今後行方が気になるカップル候補も複数登場し、楽しみが尽きることがありません。
続刊としては、イケオジ父のトーマスターンをぜひ^ ^
彼が恋愛でどう乱れるのか見てみたいです。

ユキハの魅力に癒されました

yoco先生の描くユキハが本当イメージ通り!

純粋で無垢で、芯が強くて聡明で。王城に来て、クソな親戚たちに嫌がらせを受けて山育ちのユキハには不慣れで最悪な環境だけど、持ち前の健気さで真摯に対応していくユキハが神々しいです。未来の皇后だけに…笑

貴族や王族のルールっていうのが、ホントただの身分制の悪しき慣習にしか見えずウヘェ……でした。封建制って本来そういうもんじゃないんですけどね、何を履き違えてんのか王族どもめ、ただ立場と血だけを拠り所に偉そうにふんぞりかえりやがって。身内だから邪険にもできず、ユキハには散々な2巻でした。

王位後継者争いを問題として、ゼノやユキハには多くの試練が舞い込む今巻は、先にも言った無能な王やバカな娘たち、野心家の娘婿が邪魔ばかりけしかけてくるので、忍耐を持って見届けて下さい。
ユキハの優しさが使用人たちの救いになる一方、ユキハの行動が王族のルールでは必ずしも正当だと言えなくて、非常にもやもやっとさせられたりもします。
でもユキハのいいところは、持ち前の純真さと天然さ、素直さで上手く躱していくこと。無知であることが逆に武器になって、多くの人たちの懐に入っていく魅力がユキハにはあります。
場面によっては言葉遊びみたいにもなっていて、それが面白いんですよ。芋虫をとる下りには私もゼノ同様クスッとなりました^ ^

ユキハへの嫌がらせの多いストーリーですが、逆にユキハの魅力に迫る内容にもなっていると思います。
ゼノはユキハの一番の味方で、夫婦でアホ親戚たちの嫌がらせに立ち向かう夫婦仲の良さが微笑ましい。一番の敵が血縁者という無情な状況にも負けず、毅然とした態度で真摯に向き合う2人には好感度しかありませんでした。
15年前の事件の真相…アレキサンドライト族の村襲撃事件が明らかになり、何だか色々とやるせない気持ちにもなりますが、困難を乗り越えてこの国があるべき姿になっていく動きから目が離せなかったです。それと同時に、民を敬い慈しむ精神で国を治めていく変革の希望も明るい未来に繋がりました。

ゼノとユキハの子どもたちも最後には登場します^ ^
子どもたちがいてもラブラブな2人を最後まで堪能して下さいね。

お母さんの尻尾もブンブンさせて

オタク気質の2人が、人種を超えて通じ合っていくピュアなラブストーリーにキュンときたストーリーでした( ´∀`)

人種も違えばタイプも違う2人だけど、コアな趣味を共感し合う"お仲間"から友人へ……そして、恋する相手へと次第に移ろいゆく恋愛変遷が見どころな作品です。
誰にも言えない秘密の共有者であり、こだわりの趣味を分かち合う理解者である両名。狼獣人・早風のオープンに出来ない秘め事を知ってしまったことをキッカケに、仲が深まっていく2人の距離の詰め方にドキドキでした。

紳士然としたテーラーの早風が無自覚に甘く、自分の製作したドレスを着た原沢に"可愛い"の言葉責めを浴びせまくるタラシ的振る舞いが非常にけしからん(笑)確かに原沢は美人顔で女性もののドレスがよく似合いますが、サラッと可愛いと言えるスマートな身のこなしは、ただモンじゃないオーラを放っています。
それもそのはず、いいとこのボンボンらしい品の良さと物腰の柔らかさは、きっと幼い頃から紳士としての教育を受けてきたのだろうと予想できました。

何気ない"可愛い"のセリフは、原沢にとってはキラーワード。
早風が可愛いと言う度に原沢の耳を刺激し、感情を昂らせていく媚薬のような効果に、こちらまで胸が昂りました^ ^ (早風は絶対イケボ 笑)
最初はドレスを着た原沢を褒めた言葉だったんだろうけど、ドレスを着てようと着てなかろうと原沢自身が"可愛い"という意味にシフトしていくのを見守るのが楽しかったです。

早風のお見合いのシーンを見たとき、あ。これ身を引く展開くるなって思ったけど、予想を裏切って原沢が男前でカッコ良かったです!
逆に早風には喝。いくら母親に強引に連れて来られたとは言っても狼獣人女子メンたちと仲良さげに談笑したりなんかしてさ、お見合いの場に普通に溶け込んでるのを見てちょいモヤでした。

その後、お母さんに紹介するシーンがあったら良かったかな。
2人の幸せな未来に説得力が増したと思うし、お母さんの尻尾を垂れさせたままでは100%の幸せとはまだ言えないでしょう。
可愛いだけではなくカッコいい恋人をいつかちゃんとしたカタチで家族に紹介できることを願います^ ^

最高にクール!

マルヴァニー兄弟の次男、拷問好きのオーガストのターン。
天才サイコパス・オーガストのストーリーも最高にクールでした!

またも法で裁けない悪党どもが登場し、その危険の刃がオーガストが懸想するルーカスに向けられていることから、マルヴァニー一家の出番となります。
泣く子も黙るサイコパス集団なのに、至って兄弟仲は良いし、殺ってることもエグい。このワチャワチャしたやりとりに毒気が抜かれてクスッとなるシーンがいっぱいでした。

そんなこともあってか、ダークでシリアスなストーリーでもそこまで重くならない読み当たりの良さがこの作品の良さだと思います。犯人はまたも最高にクソ野郎で、奴らの拷問ショーと殺人の痕跡にどんどん迫っていく過程にハラハラさせられました。
殺人犯の主犯はルーカスの元FBI時代の同僚。そしてその立場の裏で何人もの女性を殺める残虐な一面を持ち、更に言うとルーカスのストーカーという最悪な部類のサイコパス男です。
いやー…今回の犯人も相当イカれててウゲェ…でした。

ルーカスにストーキングする連続殺人犯に制裁を下したくて堪らないオーガスト……どんな風に"お掃除"してくれるのかゾクゾクしました。ラストにある拷問シーンは目を覆いたくなる描写なので、苦手な方はお気を付けて下さいね。
…とまぁ、事件に関しては少々パンチが効いてますが、恋愛に感してはピュアめなので、オーガストの恋心にぜひとも酔いしれましょう^ ^
ルーカスに恋するオーガスト、めちゃくちゃ面白いし可愛い。天然なのか、素直なのか、ノアに逐一進言を求めるピュアな一面は拷問好きのサイコパスとは思えない。ギャップ最高な熱烈アプローチは甘くて一生懸命でニヤニヤが止まらんでした。

前巻に登場していたノアの存在感も大きく、すっかりマルヴァニー一家の一員になってるポジションも面白かったです。アダムとは相変わらずラブラブで、このカップルの幸せが垣間見えたのも良き読後感に繋がりました!

闇社会のダークヒーローが見つけた愛

わぁーーーーお!!
勧善懲悪ストーリーとして、かなりパンチの効いたストーリーですね。
BLの世界線でももちろん楽しめる仕様ですが、主人公2人の背景がとにかくダークかつブラック。暗殺稼業のサイコパスと、父親を殺された青年との因縁の出会いから始まっていく恋愛模様は映画さながらの非常にスリリングな物語展開でした。

父を殺した相手と恋愛関係になっていくなんて、おそろしく闇な感じがしますが、思っていたよりポップに恋愛関係が進んでいくので少しばかり拍子抜けでした(笑)
アダムがノアにゾッコンで、やたらと執着するし甘いんですよ。サイコパスっぽく、ヤンデレ色が強いのもアダムの特徴です。
ノアからは最初の復讐心はいつしか消え、父がした行為とその裏に隠された真実に向き合いながらアダムとどんどん深い中になっていきます。
ノアもだいぶ肝が座ってるというか、怖いもの知らずでヒヤヒヤしますが、あんな事件に巻き込まれた当事者として、目の前にある真実に対峙しようとする姿勢はすごく強い。アダムが惚れ込むだけはありますね。
だけど、サイコパスは愛を知らないと言う。けど、どう見てもノアへの執着や献身や耽溺は愛があるようにしか見えません。つまり、そうしたノアへの態度や大事にしたいと思う感情がイコール愛に結びつくとは知らないから、アダムなに言っちゃってんの?ってなるわけです。どう見ても愛を知ってる行動だろうが、ってね^ ^

そんなチグハグな恋愛をしながらアダムとノアが"愛"に溺れていく一方、ノアの父が犯した犯罪の闇が少しずつ暴かれていきます。
このターンでは、アダムのファミリーが大活躍。養子関係で繋がる兄弟関係のサイコパス集団…まぁ、プロの暗殺者チームのことですが、彼らとノアと、そしてボスである彼ら兄弟の父親とで犯罪者たちに制裁を下していくチーム戦がすげぇ。

スパイファミリーならぬサイコパスファミリー……証拠がないことにより法で裁けない犯罪者たちに死を持って罪を償わせる暗殺ブラザーズの存在感がまーヤバい。社会の掃除屋である彼らが"家族"のチーム感で悪党どもを抹殺していく顛末にゾクゾクしながら見守りました。
綺麗事で済まさない仕事ぶり、ひぇーゾクゾクしました。
多分映像化すると恐ろしい光景でしょうが、少し抑え気味に文字描写してくれているおかげでそこまで生々しく感じず苦手な方でも読めるのではと思います。

一人一人の兄弟たちはまとまりがないのに、制裁のときは妙な家族の一体感が何だかおかしくて、アダムの兄たちの強烈な個性にも注目して読んで下さいね。
愛を知らないサイコパスと、同じく愛を知らない孤独な青年の濃密な恋愛をぜひ。
1本の映画を観たような高揚感は満足の読み応えでした。

部屋の中心で愛を叫ぶ

斉藤のそっくりさん。やはり斉藤の関係者…というか、弟でした。

そう、6巻の終わりにちょろっと登場していたあの彼です。
顔は似ていても性格は全然違うその男は、今巻いろいろと掻き回してくれる要注意人物。お兄ちゃん大好きな難儀な性格のお陰で、斉藤にお見合い話を持ちかけるわ(あ、弟も斉藤でした 笑)、富田へちょっかい出そうとするわ、別れろと言うわ、ハッキリ言ってこいつは厄介者です。
兄の幸せより、自分にとって都合の良いことを押し付けてくるので、兄が大好きというのもほとんど戯言に近いですが…。

ブラコン野郎に平穏なお付き合いを乱されて迷惑なひと騒動が起きてしまったわけだけど、でも悪いことばかりでもないんですよ^ ^
あまり感情的になることがない富田の本音が聞けたこと。斉藤に自分の思いをぶつけたこと。……富田らしくないと言えばそうなんだけど、その"らしくない"行動からは富田の隠された斉藤への愛と本気度を感じられて、最高に昂った名シーンでした!
普段言わない人が言う「好き」の言葉は、特別感があって良いですね。照れた富田の顔も可愛かったです。

斉藤弟の一件は一先ず片付いたとは言え、再登場があるかもなので今後も注目していきたいなと思います。
それに。お見合いと言えば、斉藤に持ちかけられたお見合いのお相手は、これまた偶然にしては出来すぎのあの女性。6巻に登場していた北川のお見合い相手の女性なんですが、ソコとソコで繋がる世界の狭さよ……。ビックリしました。
このお見合い話もなかなかマッチングしなくて、これBLの世界線で解決出来る問題なのかなとちょっと気になっています。前巻から引っ張っている案件なので、今後も北川や夏目、富田と斉藤の周辺にも何かしら影響を与えていきそうですが、さてどうなることやら。

早くこの騒動が落ち着いて、日常の安寧と平和が訪れることを願います。
(でもやっぱり何か起きそう 苦笑)

多くの人を魅了していくBL界の名作となる

もう何と言って良いか分からないほど、素晴らしい作品でした。
気になっていた下巻の回収劇はベストオブベスト。予想以上でした。

奥村と東湖が織りなす、甘さと切なさが入り混じる恋愛模様は極上の領域です。
上下巻合わせての読み応えばかりか、クリスマスのシーズンのメロさを詰めた演出も良き。日常現代ものの作品だからこそなのか、しっとりと情感溢れる丁寧な心理描写と、そこに伴う罪悪感と後悔…そして嫉妬とすれ違いのシーンには何度涙腺が緩んだか分かりません。
特殊なストーリーでもなく、そこそこ見る展開っちゃそうなんだけど、そこにウノハナ先生のセンスと解釈が入るとこうも見事にストーリーが展開していくのかと。キャラクターの性格やビジュアル、設定、シチュエーション、それにベッドシーンに至るまで、全部が一番イイところを突いてるのが奇跡みたいな作品です。

で、やっぱり奥村のキャラクターは下巻でも冴えてました。
東湖が抱える後ろめたい黒歴史が明らかになってからは、確かにすれ違いは起きてしまったけど、あのリカバリー力はさすが。東湖から奥村に縋れないぶん、奥村の方からモーションをかけていく圧の強さと男前度にひれ伏しました。
東湖視点がメインだから余計にそう思っちゃうのかもですが、受け側がして欲しいことをたくさん行動してくれる奥村は攻めの鑑です。
仕事ぶりにしても彼氏としても完璧な男なのに、なんで東湖に会うまでフリーでいたのか謎。こんな良い男、皆んなほっとかないでしょうに。
ま、そのおかげで最高の出会いと、最高の恋人を手に入れたから良いのですが^ ^


2年前の出来事が奥村の知るところとなり、物語のベース的には悲しさと切なさがメインで展開していきましたが、クライマックスはそんなことも忘れるくらいの濃厚で幸せなエンディングでした。

この作品はきっと多くの人を魅了していくBL界の名作になることでしょう。
最高の世界を見せてくれてウノハナ先生には感謝しかありません( ´∀`)

甘さと切なさがせめぎ合う、極上の大人の愛に心酔してみませんか

雪降る異国の地のクリスマスマーケット、そこに現れたどタイプの男前、境遇の似た同じ日本人のゲイ同士、スムーズにベッドイン……出会いからセックスまでが淀みなく進んでいって、まるで映画のワンシーンを観てるかと思いました…!!
季節的にまさに今の時期にドンピシャ。気分的にもクリスマスの空気感に当てられてしまったこともあってか、異常に気分が盛り上がってしまいました(笑)

シチュエーションが最高なら主人公2人のキャラがこれまた最高で、奥村と東湖…誘う方も誘われる方もどちらもスマートな大人の恋愛力を見せつけてくれることに歓喜の嵐でした。特に奥村のアプローチがやたらめったら私の萌えツボを抉ってくるのには、いやはや困りました^ ^
無愛想で寡黙なのにすごく甘やかで、ここぞというところで強引に攻める緩急のセンスに何度萌え転がったか分かりません。
東湖の滞在ホテルをキャンセルして自分の部屋で過ごそうと言うわ、さりげなく腰グイをしてくるわ……奥村の行動とセリフ1つ1つに翻弄されっぱなしでした。(私が 笑)

奥村はどこかミステリアスだけど、ちゃんと思ってることはハッキリ言うので、何を考えてるか分からない系の男じゃないのが良いですね。時おり見せる照れたような表情や仕草は、洗練された男前に可愛さがプラスされており、奥村の魅力がこの上巻だけでもたくさん詰まっています。
シゴデキ医者のスペックもそこに加わり、理想の攻め感の圧がすごい!東湖も有能なMRとしての働きが素晴らしく、すごくお似合いのカップルがBL界に登場してくれたことが非常に嬉しいです。


2人の距離の縮め方が順調すぎるのに対し、東湖が奥村に対して後ろめたい事情があるのが彼らの恋愛に絶妙な陰影をつけています。
惹かれてはいけない相手だったのか、受け入れてはいけない愛だったのか……
奥村とのお付き合いが上手くいけばいくほど、罪悪感に駆られる東湖の心理が痛々しく描写されていて、"これ以上この人を好きにさせないで"の静かな叫びがとても切なかったです。

好きと罪悪感がせめぎ合う東湖の複雑な気持ちが、後半以降のストーリーを占めていくなか、どう物語は着地していくのか不安と期待でいっぱいです。
すんごい気になるところで終わってしまったので、読後感としては不安寄りですが、下巻で全ての答えを見届けに行ってきます。

復讐の旅が愛の旅へとカタチを変えていく壮大な冒険愛をご賞味あれ

はーー……時が経つのも忘れて読み入りました。

あかつき雨垂先生の作品を読むといつもこうなる(笑)
極力邪魔もされずに一気に読み切ってしまいたいのですが、ボリュームがそこそこにあるので必ず何かしら邪魔が入るのが難点ですね。結局ぶつ切り読みになっちゃいましたが、それでもやっぱり面白かったです!
ありきたりのストーリーではないワクワク感はこの作品の推しポイント。魔法が絡み合うファンタジックなシーン描写や冒険のスケール感も非常に素晴らしかったです。

用心棒アスランと踊り子エルヴァン(エル)とのアラビアン風ラブロマンスは、煌びやかで幻想的、そして蠱惑的かつ魅惑の世界でした。
王都を目指す2人ですが、砂漠を越えて進む旅路ということもあり、煌びやかさというよりは砂まみれ垢まみれといった方がしっくりくるでしょうか(笑)
身綺麗にしたいエルと動きやすさ重視のアスランとの間でやーやー言い合いながらの道中は、何だかんだありながらも楽しそうで、そんな時間を過ごしながら恋心を芽生えさせていく恋愛模様から目が離せませんでした。

エルを後宮に送り届けるための使命感から付き従うアスランと、一族の復讐のために皇帝に直接会うことを願うエル。
後宮に向かう目的が違う2人が、不思議な縁と不思議な絆でどんどん距離を縮めていく様は嬉しい側面もあり、切ない側面もあったりで、複雑な心境で2人の恋心を見届けなきゃいけない状態がやるせなかったです。

過去に多くの者に身体を開け渡し、彼らから多くのモノを奪ってきたエルですが、街中でならず者たちに襲われてすぐにヤらせようとしたときもそうなんだけど、あまり貞操観念がないビッチ系のキャラクターなのかしらと思っていました。
最初は、すぐに身体を使ってアスランに色仕掛けをしようとするエルのことが好きじゃなかったんですが、でもそれもホント最初だけ。彼が身体を使うのは目的のための手段であり、そうしなきゃならない理由の大きさを知ると、彼の背負うものはあまりにも大きく残酷だなと。エルのアスランへの恋心を思うと復讐の重責はあまりにも無慈悲でした。

身体を差し出すことはエルにとって大したことではないんですよ、悲しいことに…。エルはそうすることで復讐の道を切り開いてきたと言っても過言ではなく、彼の復讐心は、自身の身体を武器にしてまでも復讐遂行を果たすことだけに照準を当てています。
こうしてずっと生きてきたエルに変化を与えたのはアスランで、彼に出会い恋をしたことで揺らぐ復讐心とのせめぎ合いが辛くて見ちゃいられなかったです。

一族の仇討ちか、アスランとの未来か…
どちらも大事でどちらも捨てたくないなか、エルはどの道を選択するのか。
皇帝への復讐は、この国を変えようとする勢力の思惑とも結びつき、クライマックスはなんともしがたい混沌とした状況で、ハラハラドキドキの感情をずっと手放せずにいて困りました。


最初から最後まで飽きさせないストーリーと、ボリューミーな読み応えがすごい作品でした。
復讐の旅が、いつしか愛の旅へとカタチを変えていくアスランとエルの壮大な愛をぜひご堪能下さい^ ^

忠誠心に厚い専属騎士のダークな執着愛はトンデモなかった

素晴らしいですね。
絵もストーリーも本当に素晴らしい。

こういった巻き戻り系や断罪復讐系のお話は小説にはめちゃくちゃ多いですが、コミックスとなるとそう数は多くない。最近、それ系の小説を原作としたコミカライズも増えてはきてますが、まだまだ途上段階にある状態です。

なので、この作品を最初単話で読んだとき衝撃を受けました。
原作小説がない、しかも作者さん自身の初コミックス。作画にしろストーリーにしろ、このクオリティの高さは規格外だと思います。
この作品の面白さはルカスを罠に嵌めた王女の成敗劇ではなく、ルカスに執着するリヒトの過重な独占愛でしょう。なので、王女断罪はただの通過点に過ぎず、リヒトの重い愛がルカスにどう向けられるのかどうか、そしてリヒトとルカスの主従愛がどんな終着点を迎えるのかどうか、そこが大きな見どころです。

王子という立場上、国の未来に責任を背負わされているルカスが真に望むのは、リヒトとずっといることなんですよね。そしてそれはリヒトも同じ。そんなささやかな願いですら叶えられない2人の愛は、ロミオとジュリエットのような雰囲気が漂っていました。
うーん……2人を取り巻く現時点での環境では、幸せな結末に辿り着く余地など1つもない状態ですが、ここから物語がどう動いていくのか見ものです。

リヒトが目論んでいることは、ルカスの平穏と引き換えに自身の人生を破滅に向かわせようとしていることですが、そんなのルカスが許すわけがありません。ルカスのためとは言いながら、それは結果的にルカスを悲しませることに繋がってしまうこのジレンマを一体作者さんはどう捌いていくのかと非常にワクワクしています♪
爽やかな専属騎士のダークな裏の顔が暴かれていくのも楽しく、その都度リヒトのルカスへの執着が荒々しく主張していくのをたっぷりと堪能できてフォッフォッフォッでした\(//∇//)\

ホントにホントに良いところで終わってしまったので、続きがめちゃくちゃ気になって仕方ありません。早く続刊が出るといいな。