突然告白してきた好青年美容師×人の顔が見えない青年
人の顔、表情が見えない悠陽にとって人の顔は塗りつぶされたみたいなぐちゃぐちゃな黒の闇のように表現されています。それがパッと見た感じ結構怖いというか恐ろしいという印象を受けるのですが、だからこそ顔がはっきりと見える兎川さんの陽の印象が引き立っているなと、登場から間違いなくいい人だろうと印象付けられました。
仲良くなって距離が近づくほどに悠陽の変わりたいと思うと同時に付き纏ってくる過去。2人が抱える過去が重くて苦しくて、当時味方のいない狭い世界の中でどれだけお互いが救いだったのか、そしてそんな救いを失ってしまった悠陽が人の顔を認識できなくすることでどうにか自分を守ってきたという事実がものすごく刺さりました。
最初はファンタジー要素にもなりうるなと思えていた兎川さんの顔だけが認識できることの理由もすんなりと納得のいく展開であり、かつ未来への希望が持てる解明の仕方だったのがとても良かったです。
救いの原点であった2人がまた手を取り合って生きていくことができて本当に良かったと思います。とてもいい救済系BLに出会えました。
リオナ先生のはっきりとした絵柄と読後感のいい物語が定期的に読みたくなり、作者さま買いです。
隠れドルオタの器が大きすぎる上司×甘めの顔を持つ可愛い新入社員という年の差社内恋愛BLです!
もうとにかく辻課長が良い男すぎて、こんなん惚れないやつおらんくない??という感想につきます。
仕事できて優しくてユーモアもあって、部下への気遣いもできて、それでいてドルオタ(重度)っていう自分の趣味もあって家族仲もよくて、イケメン高身長というスペックの高さ。その上御幸くんの話もちゃんと冷静に言い分を聞いてくれるし、時間をおいて考えたいというのもちゃんと言葉にしてくれるし、元セフレをコテンパンにしてくれるし!!!仕事とプライベートを分けつつも、どっちでも恋人を守る姿勢は崩さないのも大変に推し。
そして御幸くんもとにかく健気で純粋ピュアで可愛い~と思っていた時にちらっと一瞬見えた悪い顔のせいでその後胡散臭いというか疑いの目を向けてしまったのですが、そこから本当にずっと可愛くて一生懸命で健気だったので最後真実がわかって本気で告白したシーンもすんなり受け入れられました。あの一瞬の悪い顔のシーン、使い方がうまいな~。
結構惚れさせられるかの賭けって視点側の人がやって後悔して信頼を取り戻すという流れが多いイメージだったので視点側が騙されていたというのも新鮮で面白かったです。
今作もテンポもよく、読後も大満足な1冊でした!!
不思議な出会い方をして名前をつけられない関係性になって中盤まで2人が何を抱えて何に苦しんでいるのかお互いにも見えず、こちらにも分からず、ただただ心地いいから一緒にいるという不安定で曖昧な雰囲気が魅力的でした。
最終的にはすべてが紐解かれ、偶然に思えた不思議な出会いにもちゃんと因果があって、すとんと落ちてくるラストなのがまたよかったです。
温かくて優しくて幸せに感じる愛を知るよりも先に好きな人を苦しめたり縛りつけるような愛や望んでいないのに押し付けられ逃げられない愛を知ってしまった2人が確かにそばにいたいのに愛を伝えてしまったら苦しいものに変わってしまうのではと怯える姿が切なく、でもそれを乗り越えて2人でいることを選べた2人が尊く美しい1冊でした。
作者様買いです。
コインランドリーで偶然出会ったヒモのカイとサラリーマンの海くん。
平凡でいつも通りな日常に変化が欲しくてカイを家に招き入れることにした海くんの日常BL作品。
イケメンを囲いたいじゃなくて、ただ働いて食べて誰もいない家に帰って寝てまた働くという完全にルーティン化された生活を変えたくてカイを拾った海くんはきっと独りの生活が寂しかったんだろうなぁという気持ちがしみじみわかってしまって、ちょっと切なくなりました。
ヒモが題材の作品って温かく安定し始めた日常がヒモの気まぐれによって急になくなってしまうというソワソワ感があると個人的に思っているのですが、今回海くんがカイがいることを全身全霊で喜んでいたので、頼むからこんな海くんをあっさり捨てないでくれ〜という気持ちでいっぱいでした。と思いきや意外と強気で冷たい海くんも見れちゃったりと想定外の展開もあって面白かったです!!
ヒモを拾うところから始まるシンデレラストーリー作品。幸田先生の絵柄と相まってとても温かい気持ちになる一冊でした!
久しぶりにここまで正統派な感じのBLを読んだなぁとしみじみ思った1冊でした。
バイト先の気になる先輩の知らない顔を大学の演劇部で見てからさらに惹かれ、近づくために演劇部に入っちゃうし、距離を縮めるためにすごくちゃんとアピールするし、ちょっと嫉妬してイラついちゃったり、無理やり近いたことに反省したりしながら距離縮めていくっていうまっすぐな感じがすごく沁みました…
その上で演劇に対してもすごく一生懸命で部活を全力で頑張るという青春要素もあるのもまたいいです。
あと読めば読むほど想像以上に桜壽くんの性格が面白くてキャラが濃いのがツボにハマります。
きっと泰知先輩の元想い人とかも出てくるだろうし続きがすごく楽しみです!!
タイトルと物語の始まり方でファンタジー要素を含んだ楽しい可愛いラブコメBLだと思って読み進めていましたが、、、
こんなに心から幸せを願って2人の必死な思いに涙が溢れるとは思いませんでした。
人魚姫を元にしたファンタジー設定は物語が進むほど細かい設定が紐解かれていきどんどん物語が深くなります。
雨の献身的で自己犠牲的な愛にも切なくなりますが、個人的には士狼の雨への告白が雨に届かず、でも言葉が何も浮かばずただただ「好き」という言葉を伝えることしかできず、それだけを必死に訴えるシーンに1番胸が締め付けられました。
恩返しがテーマの物語で終わらず愛を深く考えさせられる素敵な1冊でした。
ツブキ先生が描かれるギャグ漫画じゃないのに終始ずっと面白くて、それでいてきゅんも切ないも全部盛りな漫画が大好きで、作者様買いです。
なによりもキャラの設定が天才的でした。
一見まとも、なんなら世間的にみたらエリートでモテ街道まっしぐらに見える医者の雄谷が肛門に目がなくて重度のオタクなのも肛門の知識を明日見に発揮してしまう実はかなりの変人という設定がまず最高です。その上恋愛初心者で好きになったら一直線で明日見を思って行動できるところ、推せます。
そしてクズ男ブラックホールの明日見も、初手がインパクトありすぎて変人かと思いきや恋に傷ついて慎重になりすぎたゲイというギャップがもう…その上雄谷に迫られると恋愛に不慣れな感じになっちゃうのも可愛い!!!
とにかくキャラが魅力的で面白いのに泣けてくるようなそんな1冊です!大変に推し。
大ボリューム大満足の上下巻でした。
上巻の序盤の外面ばっかりよくて何事にも熱くなれない逢介くんからは一変、素直で一生懸命な猛攻わんこへと変貌を遂げました。
そしてそんな真っすぐな逢介くんに心揺さぶられ一瞬だけでも写真を撮る手を止めてしまうほど魅入させられた正午さん。
逢介くんがこんな風になったのは間違いなく正午さんと出会ったからだし、正午さんが昔カメラとちゃんと向き合えたのも、そして誰かを好きという気持ちを認められたのも、まっすぐな逢介くんの影響だと思うと…高め合える存在である恋人ってすごくいいなと思える作品でした。
迷いがあるのも、苦悩しているのも、決意したのも、誰かを想っていることも、すべて瞳に映っているのではないかと思うほど力強く意思をもった瞳が印象的でした。
というよりも小説の題材にしたくなるほど運命的で青春で焦がれる恋だったというのが真実。
印象的な出会いに始まり、恋に落ちるには十分なきっかけがあって、青くて切なくて甘い長い両片想いを経て、幸せすぎる恋人の期間があって、切ない終わりを迎える…それに伴った情緒溢れる情景を描く文章とで本当に眩しい恋のお話で、一息で読んでしまうような切ないところ含めうっとりしてしまうようなそんな恋物語に心が洗われました。
そして切ないところで終わらない運命的な再会をするのがこれもまたフィクションだったんだなぁと最後のセリフにハッとさせられました。
まさに素敵な物語に出会うことができたという満足感のある作品でした。