とてもよかったです。
前作では主に姉崎が二人の関係を変えるきっかけをつくった印象でしたが、今回は御門が臆病な姉崎をその殻から自然に連れ出していくようなお話に感じました。
両想いになった姉崎と御門ですが、姉崎の悩みは付き合ったら消えるようなものではなく、それを御門も何となく察してるんですよね。その悩みやすれ違いに関して前作のように本音を晒してぶつけ合うシーンはありません。当て馬もいない。物語はとても静かで、二人でデートして旅行して抱き合って同じ体験を共有して、その中で自分と全く違う価値観をもつ御門の何気ない言葉に揺れ動く姉崎の心情がメインで、それがとてもよかったです。全体的な雰囲気は切ないのですがコメディシーンとのバランスがいいので湿っぽくなりすぎないのもよかった。
幸せを諦めていた姉崎が幸せを望み、自分でも相手にそれを返せると笑って言えるようになった過程がとても自然で、読後感がとてもよかったです。