上下巻読了。
■記憶喪失と恋愛
・寝ると1日の記憶が消える、という『50回目のファースト・キス』や『今夜、世界からこの恋が消えても(セカコイ)』に近いシチュエーション。前述2作品と違うのは、以前から知っていた相手との仲を描くところだ。
・自らの記憶を疑っている人に偽の事実を教えるのは、例えそれがネガティブな目的でなくとも居心地が悪い。
■記憶の保管
ミチは、自身の記憶について次の3パターンの保管方法を取っている。
・日常の記録 →自分宛LINE
・重要事項 →リマインダーアプリ「朝起きたら見ること」
・アラーム →00:10(江古田0:24発用)7:00(起床時間)
上記に加えて、補助となる情報にはすぐアクセスできるようにしている。
・仕事の手順について →PC
・灯について →周りの人間(恭一、父親)
・恭一について →LINEの過去ログ
恭一によると「大切なことも忘れてしまったと知るのが辛い」からと、ミチは「記録しない≒忘れる」選択肢を取っていたが、10/27より始まる物語中で再度「記録する≒覚える」選択肢を取りはじめる。
■記憶の改竄
・恭一による改竄
恭一はミチのリマインダーから、灯との離婚の詳細及び、そこからミチが学んだことを削除している。また、ミチのリマインダーに自分とミチは恋人であると付け加えている。
・ミチ自身による改竄
ミチは「記録しない≒忘れる」だけでなく、「今は恭一とは会ってないってメモしておけば(中略)恭一のこと諦めると思うから」と提案するなど、「朝起きたら見ること」を改竄する意思は見せているが、実行には移していない。
■恭一の望むこと
恭一がミチに望むことは、2項目(A、B)ある。
A「ミチと俺の間に起こったことで忘れてほしいことなんてひとつもないよ」(2人の経験を忘れないこと)
B「何を忘れても俺を覚えているなら、俺を愛していることを覚えているなら、俺は幸せだから」(恭一の存在及び恭一への感情を忘れないこと)
Aについては、「忘れたっていいんだ。誰を愛して愛し合ったか。ミチが忘れても俺が覚えてるから」と譲歩している。その代案として出てきたのがBだ。1日がリセットされると完全に忘れられてしまう存在である灯が、ミチの日記付けに協力的だったのと対照的である。
レジンコミックスにて全話読了。
■連続殺人
殺人被害者は女性が多く、『テッド・バンティ(2019)』に似た雰囲気を感じた。男性を家に連れ込んで殺すところは『アメリカン・クライム・ストーリー(2018)』的。全体的にあまり計画的な犯行ではなく、衝動的で危うく思える。
■キリングとストーキング
ストーキングの割合よりもキリングの割合の方が圧倒的に多い。
■足の骨折
ユンバムさんは、サンウさんの亡き母親(DV被害者かつ幼児虐待者)に似ていたことからサンウさんに気に入られ、足をハンマーで叩き折られて監禁される。足の折れた受けが攻めに監禁される韓国WebコミックスBLと言うと、『歩かない足(Lezhin)』や『Sadistic Beauty(Tappytoon)』などが思いつくが、それに先駆けた作品。
■DV
サンウさんの境遇には「虐待の連鎖」と言えるものがある。サンウさん自身も、自分がユンバムさんに対して、父親が母親にしていたことと同じことをしていると気づいている。
■ナタさんの好みのシチュエーション
・自身は制服を来ていること
・相手は出会い系初心者のゲイもしくはバイであり、初々しい反応をすること
・相手は自分のことを男子高校生だと思い込んでいること
・相手は学生との性行為に対してタジタジであり、それに自分から迫る形であること
・相手は普段完璧な人間であること。(更にはむっつりスケベであること)
■ナタさんの怖い点
・高校生時代に関係があった成人男性に卒業後浮気されたことから、「自分は学生でなければ価値がない」という思いに囚われており、それを現交際相手に押し付けている。
・「制服を着て高校生になりきるシチュエーションプレイが好き」と気づいている。何故か、このことから、「自分も元交際相手(性犯罪者)と同じで胸を張れない性癖を持っている」「この痴漢(性犯罪者)も自分と同じで性癖に振り回されている」と全性犯罪者を許す流れに陥っている。
「養うから仕事辞めな」と言い出すタイプの反社キャラは屋根と食事を提供するだけで、多くは絶対に現金をくれない。就労支援などは絶対にしないし、よしんば就労のを許したとしても自分のシノギで雇うのが一般的である。
比較的見逃されることが多い就労体系は、自営業、孤立して働くタイプの職業など。パッと例が思いつかないが、若い男性がいない田舎などだとコミュニティ密着型の職業でも何も言われないかもしれない。
しかし要さんは反社キャラにも関わらず比較的に就労への態度が柔らかめだった。
■廻さんの就活に対する要さんの発言
居酒屋バイトを辞めたことに際して;
・「お前がヤクザになるくらいなら俺が一生食わしてやる」
・「困ったら使え(封筒の一万円に併せる形で)」
・「お前は毎回しょーもないことをしてすぐ辞めんなよ」
AV出演検討に際して;
・「(AVの仕事を)やりたいなら止めないから」
・「AV出るのやめろよ」
・「お前には好きにして欲しいんだよ それにお前俺からの金は受け取らないだろ」
・「俺とじゃ満足できないか」「やめないとイかせない」
プール監視員バイト採用;
「じゃあ今日はお祝いしなきゃな」
プール監視員バイト終了;
・「別にいいよ気にしなくて 何度も言うけど俺は迷惑してないし」「心配しなくても何かあるなら俺が面倒みてやるから」
・「お前がよくやってるのは知ってるよ」「仕事だってすぐ見つかるから焦らなくてもいいって」
バー(コスプレバー)でのバイト採用;
・「(採用と聞いて)すごいなどんな所なんだ?」
・「は!? どんな仕事だよ」「夜の仕事はやらない約束だろ」
・「バイト断れよ?」「断るならすぐにでもやめてやるよ」
・「俺も一緒に(監視役として)働くか…」
・「(自分の敵対組織のシノギだと気づき)やっぱりここはダメだ 他を探そう」
アダルトグッズのサンプルテスト
・「また隠れてバイトか」「何回も言わせんなバカ犬」「ホントバカ犬だな」
■氷室さんの「かわいい」コメントまとめ
24「黙って尻で善がってろよ 可愛くねぇな」
31「素直だと可愛いな♡」
41「チッほんと可愛くないな」
44「…かわい」
53「いつもの調子出てきたな でもほんとそれ可愛くない」
58「なに可愛い顔して」
63「可愛いなぁ浩平君」「浩平君ほんとかわい」
66「いいんだけどさあすっごい可愛いし…」
210「俺に必死で可愛いとこ」
■気づいたこと
・「オフパコ炎上」「ラブデストロイ」までは頻繁に言っているが「バイオレンス」「サドマゾコミニケーション」ではほぼ言ってない。→恒常的な口癖ではなく、相手に聞かせるために意識的に言っている?
・言うタイミングが分かりやすい(素直or「好き好き」言う→可愛い判定、抵抗or罵倒→可愛くない)
浩平さんが「なぜ俺は素直になれば氷室と付き合えると思ってしまったのか」とひとりごちていたが、絶対に「素直が可愛い」「つっぱねるのは可愛くない」という価値観をコンスタントに言葉で刷り込まれたからだと思います。
ちなみに氷室さんは上記のように好きなタイプがわかりやすいが、浩平さんの好きなタイプは「首締めが好き」「氷室が好き」くらいしか分からなかった。