とにかく甘いものが読みたかったので、結果見事に好みの甘々でした!
著者の作品では清澗寺家のような重いものも好きですが、こういう作風も読みたいときがあるので楽しめました。
パーフェクトなイケメンの根古谷は「花婿」としてレンタルされてきます。顔もいいうえに性格もよく、家事もバッチリ。BL小説を買うための実地体験として自分をレンタルした響を全力でサポートし、恋愛のときめきを教えてくれようとします。
根古谷の性格がとてもいいのと、響の性格が純粋無垢なので作りものっぽさやわざとらしさがなく思えました。。
十日間のレンタル生活が終わったあとの二人にすれ違いがあるのですが、ただとんとん拍子にくっつくのではなくてよかったです。
この作者にしてはHが少ないなと思ったのですが、キスシーンのところで舌の扱いにかなり萌えました。攻は紳士に見えてものすごくむっつりなんだなと思いました。
心の底から甘みを求める人にお勧めです!
リンクスロマンスから出ていた清澗寺家シリーズの文庫化第2弾。
1冊目の「この罪深き夜に」から読んでもいいですし、1話完結なのでこちらから読んでも問題ありません。
没落貴族清澗寺家の次男で色狂いと噂される和貴と穏和な好青年の同僚・深沢の物語。家を憎んでいる和貴は深沢の誠実さに苛立ち、彼を使って一族を滅ぼして罪悪感を与えようと、深沢を一族に迎え入れます。しかし深沢はただ穏和なだけの人物ではなく……という話。
1冊目に引き続き大幅に加筆修正とのことで、こちらも読んでいてあくの強さが抜けて読みやすくなったと感じました。とはいえ、売りの濃厚な調教エロのエロさは健在で、それどころか濡れ場にあちこち加筆されてさらにいやらしさが増していたのには驚きました。
深沢の手によって和貴が心身共に追い詰められているところは苦しくなりますが、深沢の和貴に対する強い愛情と執着が透けて見えるようになっているので、不安はありません。
ただエロいだけではなく、和貴の繊細な心の動きがこの作品のメインだと思いますが、読み返すたびにそこに共感してしまいます。愛情を知らず好きな人に素直になれない、強がってしまう和貴には、深沢がいなくてはだめなのだろうと思います。
20ページほどのSS書き下ろしは「初体験」。これまでシリーズを読んでいて気になっていた部分が払拭されました。密かに「初めて」にこだわる深沢が可愛く、またいろいろなプレイスタイルを知っているのだと感心しました。
表紙イラスト等は新書と一緒ですが、デザインが一新されて今風になっています。
リンクスロマンスから新書で出ていた清澗寺家シリーズの文庫化第1弾。
内容は新書と変わらないので書きませんが、おおまかにいうと没落貴族の長男・国貴と誤解から引き離されていた幼なじみで使用人の遼一郎の物語。国貴がエリート軍人で遼一郎が反体制運動家なので立場の差と身分差が大きく二人の間に立ちはだかります。
大幅に加筆修正を行ったということでストーリーはそのままですが、文章がかなり読みやすくなってると感じました。新書ではちょっとくどいなと思った言い回しやモノローグの繰り返しが洗練され、より国貴の思いがわかりやすくなっています。
また、新書では未遂でCDでしか楽しめなかった当て馬・浅野とのシーンが文庫化にあたって書き足されていました。
長いシーンではありませんが、当て馬が出てくるのが苦手な方はそこだけ要注意です。
20ページほどの書き下ろしはその後の二人の物語。日常の断片ですが、国貴に対する遼一郎の思いの深さと互いの愛情がわかるSSでよかったです。
ずっと追いかけている思い入れの強い作品なので、こうして文庫になったのはとても嬉しいです。
これから続けて文庫化されるようなので、ここから清澗寺家シリーズに入る方にお勧めです。