内容はエロいですねぇ…。
じつは表紙の美しさに惚れて買っちゃいました。
凛のこの表情がたまらなかったのです!
先生と生徒というわかりやすい流れに、過去の二人の経緯が乗っかって深みのあるストーリーになっていました。
ただ「惚れたーっ」、て、だけでなくて昔二人がとあるピアノ教室で出会っていて、そこからずっと続いていたんだよ~、って部分に萌えがありました。
クールな先生が、じつはネットリと濃いSEXをする男で、ものすごくいやらしいんです。
そして生徒の凛は、どちらかと言うと体で満足してしまうタイプなので気持ちが追い付く事に少し鈍い。
それは17歳ゆえの未熟な部分であって、少年と大人の感情の行き違いや、情熱の温度差などがとても解かりやすく表現されていたと思います。
そして「これでもかっ!」と描かれているSEXシーンは、エロかったです…。
読んだ後に「ご馳走様でした」と、手を合わせて感謝したくなるような作品でした。
「水のナイフ」
美男子で優等生の明智と、美少女・大友と、小さな不細工教師・砂原の三角関係。
教師の砂原に大友を取られたくない明智は、砂原に「好きです」と嘘の告白し、意識を自分に向けさせ、「大友さんと付き合うなら、僕は死にます」と言って脅す。
砂原が大友を振り、失恋に傷ついた彼女を自分が慰めれば、仲良くなって付き合える。
そんな図式を頭に描きながら、「砂原が好き」だという演技を続ける。
大友の気持ちを聞き失恋した明智は、砂原の目の前で包丁を握り、自分の手首を切って「僕は本気だよ」と言う。
明智の本気は「大友が好き」ということであって、「砂原が好き」ということじゃない。
だが砂原はそれが演技とも知らず、大友を振って明智を好きになっていく。
しかし当初の計画通りに大友と付き合う様になった明智は、一方的に砂原に別れを告げるが、友人・掛川と砂原が急接近する様子に苛立ち、勢いで砂原を強姦してしまう。
「セカンド・セレナーデ」
掛川が一夜の慰めに寝た年上の橋本は、プライドが高く、人を傷付ける言葉を平気で言う、嫌味な男。だが橋本の隠されたかわいらしさを見つけた時から掛川は橋本に夢中になってしまう。
「性格の悪さは自分が変えてやればいい」…いつしかそんな風に思い、橋本と付き合う決心をする。なのに橋本は上司に勧められた女性と結婚すると言い出した。
別れて2ヶ月がたったある日、突然橋本がアパートに現れ結婚が破談になったことを聞かされる。しかし掛川は仕返しとばかりにきつい言葉で橋本を突き放す。
「100のうち、99が最悪でも1が好きならしょうがない」
そんな1パーセントのかわいさに惹かれた掛川。
自分しか頼るところがないと分かっているから、惨めな姿の橋本をかわいいと思ってしまう。
でもやっぱり残り99は俺様な橋本で、それを安易に許してしまう掛川はベタ惚れなのだった。
後半の急展開につられ、一気に読んでしまう気持ち良さは格別。
最後の最後まで展開が読めない、だから一気に読まなければヤキモキする。
そして読み終わった後で「にやり」としてしまう爽快感、本当に面白い作品でした。
文字も小さいし、P314というボリュームの多さ。
読み応えアリなので、木原ファンには是非オススメの1冊!
でも絶版なのが悲しい・・・。
これまた、不快感120パーセントですね。
どうしてこんなにも、この男に振り回されなきゃならんのか?
二人とも、そう思っているように思えます。
「窮鼠は…」でも感じましたが、続編ではさらに不快感が募りました。
もう胃が痛くなるほどに…。
だけど、不愉快なんだけど何度も読み返して、私なりの解釈で結末を出すことができた作品でしたので、この評価でした。
じつは、知人とこのタイトルの話しをした時、彼女は「趣味じゃない」でした。
そしてラストをどう捉えているか話したところ、お互いの解釈の仕方がまったく違っていました。
私は何らかの救いが見受けられたのラストでしたが、そうではない人もいたでしょう。
そして重苦しい場面が多く、本音と建て前と嘘とが長々と語られるシーンはもう苦痛で仕方がなかったです。
だけど、そういうやり取りのすべてが本物っぽくて好きです。
好きならきっとこんな風に、なりふり構ってられず「愛人にして」って言っちゃうでしょう。
今ヶ瀬の惨めな程の必死さに、とても胸が痛みます。
やっぱり気持ちよくなれない話でしたが、今ヶ瀬の気持ちの重さに、私の心も奪われた気分です。
不快なんですが、何度も解決の糸口を探して読み直してしまう漫画なんて、そうそうあるものではないと思いました。
普通ならここで嫌になって、評価は下げるところなんですが、嫌なのに何度も読み返してしまうなんて、きっと私自身がこの作品にハマッてしまった証なのだと思いました。
なので今回もこの評価にさせていただきました。
オススメ度の高かったこのタイトルを、どうしても読んでみたくて入手しました。
買って後悔ナシ!
とにかくヒューマンドラマです。
空想のBLなどという甘いストーリーではなく、「本当にありうるだろう」と思わせるリアリティな世界です。
二人のゲイが出会い、恋人になるまでの過程もシリアスだし、過去の恋人に対して執拗に嫉妬してしまうところとか、人間の醜い部分の感情などもきっちりと描かれていて、とても感動しました。
犯罪に巻き込まれ、被害者の立場にありながらも、恋人の立場を守る為、気づかいするメルの愛情はあまりにも献身的で、胸を打たれます。
そして、ゲイに対しての社会的差別や偏見、エイズの問題、親へのカミングアウトなど、恋愛とは別に課せられる大きな問題に、この二人が挑む姿が、悲しくもあり感動的でもあります。
ぱっと見はケインの方が包容力ありそうに見えますが、読み進むうちに明らかになっていくメルの過去を知れば、その献身的な愛情の分、メルの方が包容力があるのだと思いました。
ゲイとして社会と向かい合いながら、偽らない生き方をする。
とても感動的なストーリーですので、オススメしたい作品です。
時代は中世ヨーロッパ。
オッドアイの為に、修道院に隠れ住むセバスチャンは、本当の名をハヴィと言います。
この国ではオッドアイは「悪魔の使い」とされ、見つかれば処刑されてしまう。
ひっそりと暮らしていたのですが、ある日不運にも修道院に立ち寄った騎士団に見つかってしまい、領主エルナンに処刑されそうになります。
しかし、なぜかエルナンは切っ先を向けたままセバスチャンを斬ることができなくて…。
エルナンとセバスチャンは、以前に会った事があるのにエルナンは憶えてなくて性格までも変わってしまって…。
なぜオッドアイが「悪魔の使い」になってしまったのか、それはエルナンとハヴィが出会った頃におきた事件が原因なのでした。
ちょっと得体の知れない側近ルイス・ガルシアの執着心にうんざりするエルナンは、当てつけの様にセバスチャンと肉体関係を結んでいきます。
犯されて神に許しを請うセバスチャン。
SEXの最中に妻殺しと親殺しを疑ってエルナンに懺悔することを求めるなんて、さすが聖職者なんですねぇ、何度もヤラれちゃうので願いが聞きいけられた事はないですが。
結局は、過去の出会いから誤解を清算し、聖職者のまま領主の恋人になっちゃう…というシンデレラストーリー、最後はやたらと甘々です。
私はシンデレラ・ストーリーが好きでして、このお話も好きです。
主人公・志野(しの)は銀髪に赤い目という異形さから、村から忌み嫌われています。
時代設定は明治くらいでしょうか。
まだ外国人を見たこともない人が多い時代に、外国人の血が混ざっていると思われる志野の
姿は、貧しい農村地区では異形の者として扱われ、人目をさけてひっそりと暮らしています。
そんな志野の容姿を見込んで、公爵家の使いが大金を抱えて現れます。
その目的は、遊郭遊びが過ぎる嫡男・一成の専属男妾として、しのを買いたいという事です。
貧しくても決して不幸ではない家族愛に答えたい一心で、しのは買われていきます。
そして、目まぐるしく変わっていく環境にただ驚きと感動するばかり。
一成とは前触れもなく出会ってしまうのですが、お互いにその姿に一目惚れしてしまうという幸運に、自分が買われた意味を忘れてしまう志野ですが、しばらくは一成との幸せな日々が続きます。
志野はまだ刷り込みされていない生まれたての雛のように、物を知らず穢れを知らずピュアです。
少しずつ一成に手ほどきを受け、いろんな事を体験していくのですが…、セックスだけはある誤解からほぼ強姦に近い状況で体験してしまいます。
志野の想いを童話に出てくる「人魚姫」に例え、いつか一成の前から姿を消す日を想像し、身分の違いや、婚約者の存在に涙します。
ちょっと切なくなる場面が多いですが、見せ場としてはやはり志野の見事な女装だと思います。
女装の志野が恥らう姿が可愛くて、男たちはみんなキュ~ンときちゃうのですが、それから一転して一成に犯されてしまうところなんて、あまりにもギャップがあって萌えです。
志野のシンデレラ・サクセスにうっとりしてしまうお話でした。
1週間だけの恋人、なんて…ちょっと響きがいいですね。
相手の事もよくわからないまま、なんだかその場のノリでつきあっちゃった二人。
付き合うって言っても本当に真似事。
マニュアルに沿ったように尽くす芹生、言葉よりも行動が先な弓弦。
4日間一緒にいて少しずつ意識するだけで、二人に急激な進展はありませんが、ゆっくりゆっくりと、お互いを観察し合うな近寄り方が、とてもかわいらしいです。
弓弦は「目を閉じたらキスする」とか、ちょっと試しただけなのにマジでキスされちゃって驚いて、芹生はそんな弓弦にキスしたら、「冗談に乗せられた…」と落ち込んじゃうし、二人は言葉が少なすぎてお互いの気持ちに気付けないのです。
そしていつも嫉妬心とか落ち込んだりする気持ちが、頭の中だけでグルグルと渦を巻いています。
1週間しかないわりに、ただのんびりと学生生活を送っているところが、なんとも言えないスローな雰囲気で良かったです。
二人にはまだ男×男という生々しい事がなく、「女の子の代わりになって付き合ってみた」という興味の方が大きいです。
噂や見た目と違う部分を見つけては、嬉しくなる二人。
各々別々にそれを思っているのに同じようにお互いが好きになってて嫉妬して、思うことを言葉に出せなくて…。
青いなぁ~、と思うのですが、仕草の1つまでも大切に感じ取っていく繊細さに、ほんのり甘い高校生の世界が漂っていてステキでした。
1週間のストーリーに2冊。
ゆっくり進むのはいいけど長すぎるかな、と感じますが、好きなのでいいんです!
前作もとっても繊細に描かれていて、私は好きな作品です。
「夢を見るのに充分が七日間」が「恋をするのに充分な七日間だった」という言葉が、とても好きでした。
終わる事を前提にして付き合っている二人が、来週の約束ごと1つでギクシャクしてしまうなんて…。
さっさと言葉で言わないから、こんなに雰囲気悪くなっちゃうのにねぇ…とこちらも一喜一憂させていただきました。
嫉妬したり、誤解したり、それもすべてちゃんと話しをしないからなのに、1週間しかない時間を有効に使っていない二人にツッコミを入れたくなってしまいました。
それはご愛嬌ということにして、ギクシャクしながらお互いに「別れるの嫌だ~」みたいなオーラが出ているところがかわいいです。
スローなペースのお話で、キスまでしかないですけど…、二人の心が揺れ動く状況が丁寧に描かれていて、とても好感が持てました。
私はこの作品が3部作だと知らずに、これだけを読んでしまいました。
でも、それがよかったのかも知れません。
ヘンに登場人物の予備知識が入ってない分、割とすらすらと読めました。
しかし前2作に出てきた登場人物の名前や関係性には「?」となる場面は多々ありましたが、それほど障害にはなりませんでした。
前半はちょっと語りが長くてダルい感じでしたが、高校時代の話からは目が離せませんでした。
浮気されたことに傷ついて泣きじゃくる昭生と、浮気した事でそんなにも傷つけてしまったと後悔する伊勢のやり取りが、不毛なんですけど痛くで好きです。
傷ついた昭生がかわいそう…と思っていたのも束の間。
昭生の反撃により、倍返し、倍倍返しをされる伊勢がとっても不憫です。
「過ちを犯した人にも救済を」という伊勢の仕事の姿勢が、昭生への許しを請う事へとリンクしているのですが、なかなか許してくれない昭生の気持ちなんだか分かるんですよね。
意固地になると人間って結構見苦しいものですが、それをこってり描いている根暗な部分に、私は萌えを感じてしまいました。
両親にも友達にもゲイであることを認めてもらい、二人はゲイ婚します。
ひっそりと結婚式をあげるのですが、そういうのがきっと現実なんだろうなぁ、と思うと儚くも悲しくもあります。
幸せなのも束の間、メルはまた犯罪に巻き込まれてしまいます。
アメリカなら起こるだろう猟奇殺人に巻き込まれるメル。
ハラハラドキドキしっぱなしでした。
とにかく、「死」というのが近い。
犯人の気持ち一つで「死」と背中合わせのメル。
張り詰め、研ぎ澄ます神経は「生きる」事へと執着します。
極限状態のメルも頑張りますが、メルの痕跡を追い続けるケインもまた必死です。
犯人もまたトラウマを抱えた哀れな男なのですが、やはりその残酷な殺し方は恐ろしいのです。
この殺人鬼にもどこかに救いはあるのだろうか、と考えながら読み進めてしまいました。
事件が解決した後に起こる、ケインへのゲイ・パッシング。
恐怖心から心に傷がさらに深くなってしまったメルにも、ケイン以外に救いはなく、どんなに二人で支えあっても、ニューヨークで生きることは無理だと決断するあたりは、本物のアメリカ社会を感じてしまいました。
最後に、女の子を養子にもらうストーリーですが。
私はこれが一番泣けました。
ゲイ夫婦が家族を作り、それを周りに認められた存在として堂々と生きる姿は感動ですね。
そして二人の最期の瞬間まで描かれている事で、一生を通して描かれたすごいストーリーだと思います。
この2巻、とにかく泣けます!
絶対オススメです。