電子で上下合本版を購入、全1086P。
腐界隈では"匂い系"として有名な一般小説のようですが、小説を読みだして日が浅く、最近になって知りました。
これまでにも大好きな作品は数あれど、こんなにも心を奪われ、余韻から抜け出せない作品は珍しいかもしれません。
初読から1週間が過ぎても他の本を読む気になれず、その後の2人が登場する関連作品を読み漁る毎日です。
(この本に出会った人は、きっとみなさんそうですよねw)
新宿のホテルで、ヤクザの大物幹部・韮崎の死体が発見されるところから物語は始まります。
事件を担当する刑事・麻生龍太郎が訪ねた韮崎の愛人は、麻生が10年前、婦女暴行未遂事件の犯人として逮捕した山内練で…。
男娼あがりの企業舎弟で、ヤクザのような生き方をしている練のあまりの変貌に驚く麻生。
あの気弱な大学院生だった青年に、一体何があったのか?
そして、殺人事件の犯人は誰なのか?
恋愛(BL)小説としても、ミステリー小説としても、読み応えのある1冊でした。
恋愛面では、女性も登場しますが、4人の男、特に麻生×練の関係を中心に進みます。
攻め×受け以外に、攻め×女性、他の男性×攻め、他の男性×受け、受け×女性などあるので苦手な方はご注意を。
以下、少しネタバレありです。
(事件についてのネタバレは無し)
たまたま、本当にたまたま、この本を購入して読み始めたのは先週のバレンタインデーでした。
夢中になって読んでいくうちに日付を越えて、読み終えたのは翌日の早朝。
数十年前のまさに今日この時から、この愛憎劇が始まったんだ…!と、出来すぎた偶然に身震いしてしまいました。
もっと言えば、麻生が練を逮捕した日から全ては始まっていた訳ですが。
壮絶な現実を前に、変わらざるを得なかった練。
いつからか、計り知れない絶望の中を生きてきた練に、どうか幸せになってほしい…という一心でページをめくっていました。
練を助けられるのは麻生しかいない、だけど麻生は麻生で、刑事としては優秀でも、逃げられたり憎まれたり、愛した人を幸せにできなかった過去を持つ鈍感で不器用な男なんですよね。
一筋縄ではいかない2人の関係が切なくて苦しくて、だからこそほんの少しの甘さが効いていて。
私立探偵〜やRIKOシリーズを読んでから本作を再読すると、なんかもう泣けてくる…。
作者さんのブログによると、"あの世界の関連書籍"が今年刊行予定だそうですね。
どうか2人にとって、救いのある結末でありますように…。
最後にあと一言だけ言わせてほしい。
麻生といるときの練かわいすぎか!
大好きな作品の続きが読める喜びをかみしめています…!
冒頭のカラーのページが毎回楽しみなんですが、今回もたまらなかった!
渋い2人も、色あせた遊園地もかっこよすぎて目が幸せ。
表紙も美しくて、いつまででも眺めていたいくらいでした。
以下、ネタバレありです。
前巻でついに思いが通じ合った2人。
マレーネ軟禁状態の中、どうにかして会いたいとお互い模索する一方で、ガーランドファミリーによる人狼狩りが激化していきます。
復讐に心を乗っ取られたようなサイモンが怖すぎる。
誰かこのおじいちゃんを止めてくれ、、
4巻は、今までになく笑顔のリリーがたくさん見れてうれしいし、うれしそうなマレーネが見れてうれしい。
2人で一緒にいられるわずかな時間が幸せでしょうがない感じが伝わってきました。
(アレンの株がめちゃくちゃ上がった!)
人狼と人間の間に生まれたコヨーテは、その存在自体が希望の象徴なんだなぁとあらためて感じました。
そんなコヨーテが人間の、それも宿敵ガーランドファミリーの跡取りと惹かれ合ったのは、運命のいたずらか、それとも…
「きっと全てを手に入れるのは難しいことだから…」
その時、コヨーテは何を選択するのでしょう。
何かを選択することは、選ばなかった何かを手放すこと。
どちらも手に入れる道がきっとあると信じたい。
次巻、どうか人狼ファミリーの誰も死なないで…!と祈るばかりです。
続きを読むのが怖いけど待ち遠しい。
リリーとマレーネ、人狼たち、そして人間にも、穏やかな未来が訪れますように。