すごーく楽しく読めた1冊でした。
大っ嫌いなエリート、桐谷がゲイバーから出てくる瞬間を目撃してしまった碓氷。
ほんの出来心で桐谷に声をかけ、脅してやろうとするものの…
何事も適当で、思いつきで言葉を発する碓氷に対して、ひたすら生真面目で融通の利かない桐谷。
当然のことながら、彼らの会話は全くかみ合いません。
しかしなぜか、その全くかみ合わない言い争いの果てに、なぜか2人は付き合うことになってしまいます。
この「お付き合い」に至るまでの2人の会話が、すごくツボに入りました。
桐谷に「きみもゲイなんだろう」と勘違いされてしまい、弁解する碓氷なのですが、発言が全て裏目に出てじわじわと追い詰められていくという(笑)
「なんでそういうことになるんだよ!」という碓氷の心の叫びが笑えます。
そして、この「かみ合わない2人」の距離が近づいていくまでの過程もすごく丁寧で引き込まれました。
最初のうちこそ、好きでもない桐谷を「落としてやろう」と躍起になっていた碓氷ですが、一緒に過ごす時間が増えるうちに…
定番と言えば定番の展開ですが、碓氷が自分の気持ちに気づくまでのエピソードが自然ですごく良かったです。
ネタばれのし過ぎを防ぐため、この辺の詳細は省きますが、ぜひぜひ読んでみてください!
強いて言うなら、序盤から引っ張っていた「桐谷の手袋」の謎の種明かしが、最初は「?」という感じだったのですが
桐谷のキャラクターならまぁ、アリかなと思いました。生真面目な分、思いこみも激しそうですしね。
新人さんとは思えないほど、充実した内容の1冊でした。
他の方も書いていらっしゃいますが、私も他の本を探そうとしてちょっとがっかり。
大人しく次の作品を待とうと思います(笑)