BL編集者×小説家
主人公の麻羽舜(攻め)は、一流出版社のファッション誌で仕事をしていたが、突然、子会社(しかも縁もゆかりもないBLジャンル)に出向を命じられる。
夢を叶えてバリバリ働いていたので、腐ってしまう。
という始まりから、攻め視点で話が進んでいきます。
攻め視点、とてもとても好きです。
腐りながらも、仕事は仕事だと頑張る麻羽さん。
新人コンペのため、過去に大ヒット作品を生み出した文芸作家・葵清一郎をスカウトしようと試みますが......
麻羽さんは自分のことを取り柄のない凡人だと思っているようですが、誰がどう見ても努力の天才なんです。
でなければ、この物語は始まりすらしません。
めげずに努力する姿に心を打たれつつ、葵先生との行方を見守りました。
主人公の二人のみならず、脇役たちのキャラが光っていて、物語の良きスパイスになっていました。
まだまだ始まったばかりの物語、ぜひ続きも拝読したいです✨
命令形タイトルに強く惹かれがちでして......(『おれの墓で踊れ』とか)
『春のデジャヴに踊れ』という作品のタイトルと、先生のプロフィールにある「言葉と思考と感情が好き」というのが印象に残り、とても楽しみにしていた作品です。
まず、先生がダンスがお好きということで、その愛が感じられる作品になっています。
ダンスがベースにあり、その上で主人公達の心の揺れ動きが繊細に描かれています。
結婚して子を授かり......と続く人生が、考えるまでもなく当たり前の未来として存在している。
このご時世で実際どうなのかわかりませんが、自然なことだと思います。
結婚も子供も自分の人生には必要ないと言い切れる二人が共にいることを選ぶとき、そこに葛藤は無いかもしれません。
しかし、そうでないなら?
結婚や子供が人生の線路上にある二人が、同性である相手をパートナーとして選ぶということ。
簡単な選択ではありません。
(もとい異性間でも簡単な選択は存在しない)
そんな葛藤が、ダンスという要素と絡められていて、秀逸な作品でした。
ダンスに関する描写はややあっさりめではありますが、デビュー作ということで、今後の作品も楽しみです✨
(じっくりダンスを描いた作品も拝読したいです)
青井秋先生の新刊✨
表紙が素晴らしすぎて、書影公開からワクワクが止まりませんでした。
心拍数も1.2倍くらいに増えていたかもしれない。
庭師×小説家ということで、設定から既に萌えです。
そして1ページをめくると、そこには作品の世界が広がっていました。
フワッと誘われるようにして、気づけば没入していました。
新しいことを知るたびに、世界が少しずつ彩られていく。
名前の無かったものが、気づけば愛おしい存在になって......
世界に色がついていく様子と、木々が芽吹くようにゆっくりと育まれる恋。
読む前は心拍数高めだったのに、読んだ後は自分が大木の葉になった気分で、心臓が空気や日光と一体化した感じ(?)
とにかく、大変素敵な作品でした!
大好きな早寝電灯先生!
新刊はオメガバース。
オメガバースといえば"運命"が重要なキーワードであり、"運命の番"を主軸にした作品も多いですが、こちらは少し違っていて、とても早寝電灯先生らしい作品となっています。
早寝電灯先生作品の素晴らしいところを挙げたらキリがないですが、やはり何と言っても、言葉選びのセンスが素晴らしいと思います。
キャラクター同士が対話をして心を通わせていったり、その前段階としてのモノローグがあったり。
本質的でありながらも、胸に棘が刺さるような類のものではなく、優しい気分になります。
今作も、そんな早寝電灯先生のセンスを感じられる一冊です。
あと、"悪役"が出てこないのも良きです。
先生の作品はいつも安心して読めます。
1巻から新刊で追わせていただいていて、
1巻を読んだ時はあまりのヘビー具合に驚き、苦しい内容でもそれなりに読めるのですが流石に面食らったのを覚えています。
(そして巻の表記が無かったので、続きもので驚いた)
そんな出会いでしたが、期待を超える丁寧なストーリー展開が素晴らしく、こうして完結まで見届けることができて嬉しいです。
最後までリアリティのある展開が描かれています。
そんななかでも、少しずつ少しずつ前進する様子に胸を打たれます。
1巻から未読の方がこのレビューを読んでいるかはわかりませんが、もし気になっている方がいらっしゃったら是非読んでみていただきたいです。
そして最後に言いたい......
ラブラブほのぼの続編をください!!!!!