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切なくて切なくて

雑誌掲載当初と出版された当初、話題をさらった名作だそうですが、つい最近まで知りませんでした。しかし、私のBL漫画人生(最近始めたばかりです)の端緒とも言える作品です。

綺麗な絵とシュールな題名に惹かれて読み始めたら、これが!

優柔不断で流され侍(なんて素敵なネーミング)の主人公大伴恭一と、彼にずっと片思いをしていた大学時代の後輩今ヶ瀬渉の、偶然の再会から物語は始まるわけですが、この偶然をここぞとばかりに必然に変えようとする、今ヶ瀬がとにかく魅力的です。
最初は腹黒い奴と思っていた私は、わずか数ページで今ヶ瀬のけなげな姿にやられてしまいました。

何がって、恭一の手にひざまずいてキスするところ。
卑怯だって分かってるけどそうしたいほど恭一が好きだと迫るところ

序盤から見せ場ありすぎです。

大伴先輩の流されまくりの姿は、確かにイライラさせられますが、人生長く生きてるので(笑)、ああこういう人っているよねー、と私的には許容できてしまいました。

二人は、お互いの感情でお互いを振り回しつつ(ちなみに周囲はもっと振り回されるのです)、すれ違い、傷つけ、逃げて追いかけ・・ということを繰り返しながら、やがてどうしようもなくあふれ出る気持ちに気づきます。今ヶ瀬のあきらめなきゃ、あきらめなきゃと思いながらも、あきらめられないその気持ちと、恭一の認めたくない、怖い、いけないことだと否定しつつも感じてしまう感情が、終盤真っ向からぶつかるシーンは、読んでいて、息をすることを忘れてしまいそうでした。

未読の方は、この臨場感をぜひ!経験してください。

余韻と波乱を感じさせるラストは秀逸です。続編に続きます。ちなみに現在最終章を残して中断した形になっています。私が最終的に望むのは多くの皆さんと一緒・・・2人が主体的に幸せになることです!頑張れ恭一!未来はあなたの手にかかっていると思うよ。