新章本格始動
たびたびの休載を挟み、産みの苦しみが並大抵ではなかったのではと想像するほかない8巻は、矢代の内面が次々と明かされていく神巻。でも、傷つき、苦しんでいたのは、矢代ひとりではない。百目鬼もまた、苛立ち、傷ついていたということを、次第に我々は知ることになる。9巻が出る頃には、8巻の見え方もまた、変わっているに違いない。この作品を読む面白さは、巻を追うごとに、それまで読んできた世界が次第に違う姿を見せ始めるところにある。だから、何度読んでも楽しめる。磨き込まれたダイヤモンドのように硬質で、透き通っていて、闇を照らす光を秘めた作品。