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話は面白いですが…

壮大なファンタジーというレビューにひかれて購入しました。その後webも読了。

前置きが長いということもなく話のテンポが良いので、飽きずに一気に読めたし、何よりアシュが本当に可愛かった。
それだけで購入した価値がありました。

その上でこの評価にした理由をつらつら書かせていただきます。
以下ネタバレになるのでこれからお読みになる方は自己責任でお願いいたします。







ディリヤの愛は痛いほどよく伝わってきました。
アシュへの愛も、ユドハへの愛も。

アシュがディリヤを求め、誰よりもディリヤを必要とし、何があっても愛するという愛の深さにも心を打たれました。

そしてユドハが再会後にディリヤとアシュを全身全霊を賭けて守り深く愛していることもわかります。
わかりますが…、再会後にいきなりスパダリ設定がつけられたような違和感を感じました。


まだ17歳の少年だったディリヤがたった一人、死にかけながらも必死にアシュを産み育てる姿がアシュと愛する獣人への愛に溢れていて、読んでいてとても辛かったです。
単純に美しい愛、だけでは済まないリアリティがありました。

人間が獣人の子を出産する危険性や、無事に産まれてもどうやって育てていくのか。
ユドハはディリヤの事を愛しているというのなら、ディリヤの近所の人から話を聞かずとも、この思考に至らなかったはずがないと思うのです。
ディリヤの6年間の境遇を聞いて衝撃を受けていましたが、今更?愛してると言いながらそんな心配はしなかったのかなと、ユドハほど愛情深い獣人がそんな大事なことを他人から聞かされて初めて思い至ったことにまず違和感。

さらにはディリヤを妊娠させた後も女性と割り切った関係をもっていたようで、再会後にディリヤに言い訳をする姿になんだかなぁという気持ちになりました。
ディリヤと出会う前だったかな…後だったかな…と言っていますが、悩む時点で出会った後の可能性もあるし、どちらにしても心と体は別なんだなぁと。
欲望に忠実だとわかる表現があちこちにあったので獣人とはそういうものなのかもしれませんが。

女性と関係を持つこと自体はどうでもいいのですが、ディリヤに過酷な状況下でたった一人命がけの出産を強いておきながら、自分だけ女性と関係もって安らいでる事に対してどうなんだろうと。

以上のことから再会後に無理矢理スパダリ感設定が出たような違和感を感じたので、再会前のユドハ視点で感情の説明が欲しかったです。

心の狭い私は終わりよければ全てよしと思えず、個人的に攻めの設定が好みではなかったので、しゅみじゃないをつけました。
面白いけど趣味ではなかったという事です。
ファンの方すみません。