ここのレビューを読んで心の準備ができたからなのか、割りきって素直に楽しめました。というよりも、初対面から受けがありえないくらいに攻めにメロメロでもうかわいくてしょうがなかったんです。
まず、この作品を楽しめるのに欠かせないのは山中さんのイラストだと思います。作中で受けは外見はごっつオトコマエ、肌は浅黒い、性格は三枚目と書かれています。ガテン系に描かれてもおかしくはないが、攻めが「かわいい」と褒めるたびにすごく違和感を感じるでしょうし、このお伽話の世界に素直に溶け込めなかったと思います。それが山中さんの独特な絵柄だと、受けが攻めより背が高くても、頬を赤らめても、ちっとも気持ち悪くないどころか、そのギャップがよけいに可愛いです。
主役のふたりが相性ばっちりなのもいいです。受けは攻めに女の子のように優しくされて嫌がるどころか、カッコエエカッコエエって心の中で連呼しまくってましたし、実際一目惚れに近い物でした。一方攻めは好きな相手に尽くすのが天性というか、紳士すぎてかえって怪しいですが、ここが関西弁の出番です。受けの乙女っぷりも、攻めのエスコートっぷりも、標準語だと芝居がかったギザで気色悪いセリフになるかもしれませんが、関西弁のふたりは柔らかさやノリツッコミなどの楽しささえ伴って、異様に輝きを放ってました。
確かに異質なふたりで、ふたりだけの世界に浸ってましたが、たまにはこういうピュアな話もいいではないですか。私は受けの可愛さに盛大な拍手を送りたいです、ずっと見ていてニヤニヤが止まりませんでした(笑)。