建設会社の社長とその愛人との間に生まれた遠流(受け)。本宅に引き取られたものの、父の愛情からではなく成績が良い優秀な息子が欲しかったからという理由で、生みの母から憎まれ、養母からは疎まれ、唯一優しくしてくれるのは腹違いのお兄さんだけという環境にいます。
そのお兄さんから、会社が受注している道路建設の件で政治家である菅江(攻め)の口利きが必要と言われ、お兄さんの力になりたい!と覚悟を決め攻めのもとに赴く受け。
凌辱、凌辱、裏切り、精神崩壊って感じでかなり可哀想な受けでした。心の拠りどころだったお兄さんの本音を知るシーンとか・・(T_T)
攻めも別に最初から受けを性的にどうこうしたいと思ってたわけじゃないんだけど、結構鬼畜なんですよ・・特に最初のHなんてまさに悪い政治家です。
でも信じていたお兄さんに裏切られ、自分なんか誰からも必要とされない人間だ、と絶望した受けに根気よく愛情を与えるんですね。それでなんとも思い切った行動に出てしまう。ここは正直なんでそうなる?と思ってしまった。
「育て直し系」っていうんでしょうか、愛情不足の受けを攻めが(ある意味では)救う、みたいな。少し前に和泉桂さんの『夜ごと蜜は滴りて』を読んで、個人的にかなり良かったんですが、あちらもそういう感じがあったんですよね。もしかして私「育て直し系」好きなのかなぁと思いました。
ただこちらは健気な十代の少年が大人の好き勝手にされてるのでそのあたりで好みが分かれそうです(^_^;)
エロに関しては、凌辱好き、「先生呼び」好き、な方には間違いなくおすすめです(笑)
昭和19年、戦局厳しい南洋の島、海軍軍人の道彦(受け)は軍上層部の命令により、同じ日本軍の兵士たちを見捨てるようなことをしてしまいます。その時食って掛かってきた一人の兵士が成島(攻め)でした。
終戦後の昭和22年、受けの家は困窮、肺病を患う妹への援助を頼みに親戚を訪ねますが、冷たく追い返されます。そんな彼の前に戦争を生き残り、成り上がった攻めが現れます。そしてなんと自分の妾になるのなら妹の面倒をみてやる、と言われ・・
復讐の為の凌辱、というのはよくあるパターンですけど、この作品の場合恨む理由がかなり重いものなのでどんな恐ろしいことをするんだろうと思いましたが、そこまででも無かった。受けが堅物でほとんど性的な経験が無く、そういう行為自体がキツイ辱めって感じで良かったです。
受けがほんと真面目くんなんですよね~。早々にデレていく受けが多い中で、最後までキャラが崩れないところが素晴らしい。戦時中の出来事にしても、忠実に任務を遂行したことに後悔は無いけど恨まれるのは仕方がないみたいな。軍人らしさが、いいなぁと思いました。妾とはいえ世話になっているのだからと家事を律儀にこなしたり。
逆に攻めが、復讐はもういいのかいって感じで普通に優しくなっていく(笑)
徐々に心を通わせ、後半に運命のイタズラ的な事実も判明して、めでたしめでたしでした。
戦争は全ての人に傷跡を残しますね、ダメ絶対。
セリフもなかなかグッとくるものが多かったです。一番ジーンときたのはなぜか妹さんの「・・きっと天国にあるわあのドレス・・」のセリフだった。
姉と二人、交通事故で亡くなった両親の遺したお弁当屋を切り盛りする雨音(受け)。
そのお店のすぐ傍の病院に勤務する医師、いつもお弁当を買いに来る五十嵐(攻め)。
忙しいながらも姉弟で助け合い充実した生活を送っていた受けですが、突然お姉さんの妊娠が発覚。お姉さんを支える為始めたバイト先でのちょっとした事件から、なんと攻めと愛人(というか援助交際ですね)のような関係を結ぶことに。
受けがすごく頑張り屋さんのいい子です。「そりゃないよ姉ちゃん・・」という過酷な展開にもギリギリまで一人で頑張ってます。辛いことを一人で抱え込んでしまう性格なので、え?そんなこと?っていう理由の、攻めの薬指の指輪のことも聞けずに話がややこしくなってしまうんですが・・
攻めも無愛想ではありますが心の優しい男です。
愛人、という言葉から連想するような無理矢理感とか激しさとかは全然ありません。好きな子の力になりたい、できればもちろんHなこともしたいみたいな感じ(笑)
しかし私の苦手な穏やか敬語攻めなんだよなぁ(^_^;)
当て馬役の青山(受けのお弁当屋の隣の洋菓子店の責任者)も、好青年でした。
事故に関係ない子供に当たる高坂夫人と、お姉さん&相手の男はちょっとどうかなと思いましたけどね~。受けが明るく前向きなので決して読後感の悪いお話ではないです。
辛く複雑な過去を持つ慶太(受け)は、偶然出会った有賀建設三代目社長の壮一郎に拾われプラトニックな愛情を注いでもらいます。4年後、壮一郎は病死。彼が慶太が大学卒業まで面倒をみること、と遺言を残した為、二年間は四代目社長の秀人(攻め)と一緒に暮らすことに。しかし秀人は慶太のことを壮一郎の愛人だと誤解し、軽蔑していて・・
設定はすごく惹かれるものがあったんですが。
相手の言葉に耳を貸さない思い込みの激しさも、若ければまだ可愛いかもしれませんが、攻めは32才の会社社長です。ちょっともうここで、う~ん・・でした。
そして、二人は以前に会っていて、お互いにビビッとくるものがあったんですね、それはわかるんですが、同居して速攻手を出す攻め。「金目当ての男娼」「干渉するな」などなど散々罵倒していた相手にいきなりキスして、「挑発した君が悪い」「淫売め!」ですよ。いやあなたが我慢できなかっただけじゃん・・。
そんなツンデレか嫌味かみたいな応酬が延々続きます。
攻めがHの最中とかカッコイイ風なセリフも言うんですけど、なんかどうしても「性欲に負けてる男」に思えて、全然かっこよくない。変なたとえだけど下半身裸で説教してる人みたい。
惰性で読み切ったけど、正直いまいちでした。「しゅみじゃない」に近いです。
毒になる親、という言葉がありますが、まさにその呪縛からの解放の物語かなと思いました。
クール敬語攻めと気位の高い受けという、文字にすると好みではないはずのカップルだったのですが、かなり良かったです。
和貴(受け)がめちゃくちゃ愛おしいんですよ。没落しつつある華族の家に生まれて、セックスに溺れる自堕落なお父さんを憎み、自らはゲームのように他人を自分の肉体の虜にすることを楽しんでいます。某有名作品の○ルベールみたいな。
地方出身の愚直で清廉な深沢(攻め)に興味を持ちいつもの調子で近づき、お前だけが綺麗なんて許せないとばかりに、妹の婚約者という名目で、呪われた自分の家に引っ張り込むことに成功しますが・・
なんと、攻めが一枚ウワテでした。
私こういう、ああこいつには敵わないな、っていう攻め好きなんですよね。敬語であることが少々惜しいけど(笑)
肉体以外の繋がりを知らない、というかあえて目を背けてきた受けに、攻めは荒療治とも思える接し方をするわけです。受けにしてみればいままでずっと他人をコントロールする側だったのに、される側になる、そして自分の信じてきた価値観をひっくり返される恐怖。
自信満々のように見えた受けは、その実自信のない寂しがり屋の子供なんです。
エロが多いんですが、個人的にストーリーで十分萌えられたのでこんなにいらないんじゃないかと思いました。受けにお父さんとの違いを教え込むために必要だったのかなぁ・・。
特に第二話『蜜よりも夜は甘く』は全編エロって感じで、・・う~ん、と思いました。
教師×生徒。
数学で赤点を取り、進級が危うくなった祐(受け)は、進級を条件に数学教師岩倉(攻め
)の「奴隷」にさせられてしまう・・。
感情がまったく見えないただの不気味な犯罪者の攻めと、大した抵抗もせず早々に奴隷と化していく受け。
三人称の文章の中に時々受けのモノローグが入るんですが、それがまた「こいつ、何かヤバイ」「ーって俺・・今何考えてた?」「・・もう出るっ・・出したいッ!」等、低学年向け少年漫画の主人公のノリで興ざめです。
あと気になったのが表紙の受けがかなり子供っぽく描かれてること。作中のイラストは普通に高校生に見えるのに。
それ自体無理って方もいそうな設定で、当たり外れ大きいだろうと予想はしていましたが、個人的には抵抗なかったので、もしかしたら!と期待があり。
読み終わった後は、お菓子のおまけのキラカードのような裏表紙を見つめながら、私は何を期待してたんだろうと虚しくなりました。
「一週間を買う」というと体を買う、愛人契約みたいなものかと思ったら、予想に反して健全なお話でした。
お金に困った受けが攻めに助けてもらうかわりに肉体関係を持つという、ザ・王道ですが、金にものを言わせてというのでは全然ありませんので、そういうの苦手~って方も大丈夫ではないでしょうか。
攻めがホント大人な男前という感じ。優しい王子様だけど、私が個人的に苦手な必要以上のお姫様扱いがなかったので、素直にカッコイイと思えました。助けてもらう立場の受けは、う~ん、私はそんなにネガティブと思わなかったですね。むしろ普通の現代っ子っぽいかなと。健気さもあんまり感じませんでしたがイライラもしないキャラでした。
なので、全体的に「え?なんでそうなるの?」が無かったですね。
最近、(悪役以外に)理解不能な行動を取る人間がいない、というのは当たり前のようでなかなか難しいんじゃないかと思ったり。
この作者さんて、こういうBLファンタジーを踏まえつつも自然なテイスト、が持ち味かなと思います。良くも悪くも淡々としているというか過剰さが無いっていうか。この作品ではそのテイストがマッチしていて良かったです。
失踪した姉の身代わりに、名門有栖川家次期当主・誉(攻め)に嫁ぐことになった水晶(受け)。
う~ん、攻めや受けや周りの人達みんなの気持ちというか、なんでそうするのか、どうしてそう思うのか、が理解できないお話でした。展開も唐突ですし。
登場人物の誰にも共感できないって致命的です。
共感できなければ、「ぶっ飛んでるな~!」と楽しみたいところですがそういうのでもなく。酷いことしてても、まぁ例えば変態なら変態でドMならドMでいいんです、普通の人の自然な感情の動きです、みたいに書かれると違和感あるんですよ。この作品は典型的なそれでした。
攻めは不器用と言ってもワガママ暴れん坊で、受けで自己主張はっきりしてて、二人とも言うこと言うって感じ。もどかしい気持ちのすれ違い、が無かったからかなぁ、なんか萌えなかった。エロも直球って感じで、全体的に情緒に欠ける気がしました。
イラストはすごく綺麗で良かったです。
個人的に「身代わりモノ」があまり好きではないんだけど、健気な受けを探していると当たることが本当に多い(^_^;)
こういう、ほだされて好きになり酷くされてもついて行く系もまぁ健気なことに間違いないんだけど・・「これだ!」って健気とは違うんだよなぁ。う~ん難しい。
愛し方が少しずれててこれでもかと甘やかしちゃう攻めと、自分には幸せになる権利がないと少々人生諦め気味の受けのカップル。
溺愛レッスンのタイトル通り、姉の死の責任を感じ、自分なんて・・って後ろ向きな受けに、攻めが「あなたは幸せになっていいんだ」って根気よく言い聞かせる感じのお話でした。カウンセラーみたいな。
ラブラブ~みたいなのではなくて甘くて穏やかな日常、って雰囲気でした。
そのせいか、エロさが無い(笑)
イラストがまたそんな雰囲気に輪をかけて、まったくエロくないんですよ(^_^;)単品でみたら可愛らしい絵柄で悪くないんですけど・・
個人的なことですけど、この作品ではっきりわかりました。ああ私敬語攻めは萌えないんだ、と。
攻めは30代ですが10代の受けに終始敬語です。物腰の柔らかい攻めがお好きな方にはおすすめです。
先輩×後輩。
お金持ちの子供達が通う名門校、そこには下級生から憧れられる特権階級の集団があって、平凡な主人公がなぜかそのメンバーから気に入られて・・という、新旧媒体問わず何百回と使われたであろう設定です。
展開も想像から大きく外れることはないです。
謎のゲーム『子羊狩り』も、目新しさは無かったなぁ。
面白くなかったわけではないのですが、すごく普通だった、というのが本音です。
可哀想な受けに定評のある作者さんだから、どこか「これは!」というのがあるんじゃないかと期待していたんです(^_^;)むしろ、こういう学園モノも書かれていたんだなぁと軽く驚きました。
攻めである朝水先輩が優しくてさわやかなのが大きいのかもな~。なんか十代の子が読むような雰囲気のお話という印象でした。
繊細なタッチの挿絵もお話と合っていて良かったです。
う~ん、私が年を取りすぎたんだろうか・・