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女性kaya。さん

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種族を超えた愛

神様×修理工。

修理工の宗一郎はある日、山で道に迷っていたところを
和服姿の男・紫苑に助けられます。

実はこの紫苑、その正体は山神様なのでした。
人間に興味津々なのか気さくに宗一郎に声をかけてきたり、
文字の練習をしてみたり、神らしくないところが何ともお茶目な神様です。

その他にも紫苑に山に住む妖たちが登場して賑やかで、
ファンタジー色溢れているところも魅力的でした♪

体格的にはがっしりとしてパッと見“攻め”と言われても
遜色ない宗一郎ですが、紫苑を前にするとドキドキしまったり、
男前な見た目に反して可愛いすぎる反応にギャップ萌えでした♡

本尊の劣化により時折記憶を失ってしまうことのある紫苑ですが、
共有した記憶を忘れられて悲しそうな表情をする宗一郎、
そんな宗一郎の様子に辛そうにしている紫苑が切なかったです。

一緒に時を過ごすうちに友情が愛おしさに変わってゆく二人。
けれど、二人は人間と神様なわけで、
埋まらない寿命差がしんどいなぁ…と思っていたら、
ラストは予想外の結末が待ち受けていました。
若干ご都合主義的な展開な気がしないわけでもないけれども、
個人的には二人が離ればなれになってしまう方が遥かにしんどいので、
むしろこの大団円的エンディングでよかったと思えました♪

続きが待ち遠しい

久しぶりの久間よよよ先生の新作、お待ちしておりました。

ほのぼのとした画風からは想像もつかないような
切なさと多幸感に胸を抉られまくった前作でしたが、
今回はまた印象が変わりました。

恋に憧れる落ちこぼれ淫魔のスズはある日、
相棒のメダマ様と人間の青年に夜這いを企むも、
標的はなんと退魔師で…。

淫魔なのにピュアで天然で夢見る乙女のようなスズに対し、
常にダウナーな雰囲気を漂わせる透真との温度差に笑ってしまいます。

けれど、はじめは塩対応だった透真がスズの純粋さに絆されてゆき、
少しずつ表情が変化してゆく過程にキュンとしてしまいました。

上巻ではスズの正体については詳しくは明かされておらず、
スズと透真の関係もあまり進展していません。
下巻で明かされる真実が気になります!

天井なきあまあま

既に前巻から糖分が注意報レベルだった本作ですが、
この2巻ではさらにパワーアップしていました!!

今回も目も心もたっぷりと保養されまくりで、
ごちそさまでございました。

スタイリストと俳優業、互いに忙しい日々を送る晴人と蒼生ですが、
離れている間も互いのことで頭いっぱいな二人が甘すぎました…。

恋人第一な二人ではあるけれど、
その一方で自分の仕事にも誇りを持っていて、
なかなか二人きりの時間がとれない二人。

でも、だからこそ、二人で会えるときには
全身全霊でイチャついてその時間が尊く感じるのでした。

ラストでは遂に蒼生から同棲の提案をされた晴人。
蒼生の職業柄心配もありますが、二人なら乗り越えられるか…
それかもういっそのこと恋人公表しちゃってほしいかも!

あ~~~!めんどうくさい!!(誉め言葉)

最後の最後まで面倒くさすぎた二人でした(誉め言葉)

上巻では隣人の吉鷹と頻繁に身体の関係をもつようになった林でしたが、
突然吉鷹から触れられなってしまい…というところで終えていました。

吉鷹、一体何考えてるの?とじれもだMAXなところから
この下巻では吉鷹の内側が描かれてゆきます。

会社社長の子息として周囲からチヤホヤされてきた吉鷹。
けれど、それは吉鷹自身ではなく、“吉鷹”という家に対しての評価で…。

高校生にして既に何ものにも期待せず、何をしても楽しくなく、
空っぽな人生を送っていた吉鷹でしたが、
インターン中出会った林に惹かれてゆきます。

スマートな年下男子と見せかけて、蓋を開けたら執着系でした。
そんな前から林のことを知っていて、ずっと隣から見つめていたなんて…
執着攻め好きにはたまらぬ展開です!

ただ、自分から誰かを求めたことがなかった吉鷹は
林に対しても好意を上手く示すことができず、
そんな吉鷹の心がわからない林は不信感を募らせてゆきます。

両想いなのに、なんでこの二人、こんなにすれ違ってんの?
「好き」というたった二文字を素直に伝えられないあまり、
傷つけあう二人が見ていられません…。

けれど、最終的には吉鷹の粘り勝ちでした。
雪の降る寒い中、林の帰りを外で待つ吉鷹に不覚にも
キュンとしてしまいました。

捨てられた子犬のような顔をして寂しげに笑む吉鷹に完敗でした。
変に見栄なんて張らずに最初からこんな姿を見せていたら、
林も不安になることはなかったろうに…。

今まで散々駆け引きをしてきて伝えられなかった不安や好意を
ぽつぽつと口にし始める林。
冷え切った吉鷹の心を包み込むように、
いざ殻を取っ払ってしまえばそこに残ったのは甘く、優しい好意でした。
そんな林からの「好き」に救われた吉鷹。
それは吉鷹にとってずっと待ち続けた二文字で、
念願叶った後には溺愛攻めへと変貌を遂げてゆくのでした。
吉鷹の渾身の「大好きです」にこれを待っていた!と
両想いを噛みしめました。

ラストでは林の職場に予定通り吉鷹が入社してきて…
というところでおしまいです。
無事ハピエンを迎えられてよかったけれど、
贅沢を申し上げるとこれから始まるであろう
二人のオフィスラブも見たかった~!

小悪魔的年下男子

くっつきそうでくっついてくれない…
これぞ恋の駆け引きの醍醐味!な1冊でした。

“誰でもいいから男に抱かれてみたい”と
密かな欲望を抱える会社員の林はある日、
隣に住む大学生の吉鷹と一線を越えてしまい…。

一見好青年なお隣さんの吉鷹ですが、
その内側には得体の知れない黒さを抱えていました。

林を挑発するように距離を詰めてきたり、身体に触れてきたり、
思わせぶりなことを言ってきたりとその猛アピールぷりだけで
下心は見え見えなのに、一向に胸の内を明かしてこない吉鷹が
小悪魔すぎてじれじれもだもださせられっぱなしでした。

そんな年下男子・吉鷹に身も心も翻弄されていた林でした。
吉鷹の言動からも、林の口から“何か”を言わせたいんだろうなぁ
というのはわかるけれど、何しろ恋愛初心者な上に恋に奥手な林なので
なかなか二人の関係は進展しません。

デートをきっかけに遂に最後まで致してしまう林と吉鷹。
これでやっと恋人同士!!と歓喜するも想いはまだ通じ合わず!?
じれもだ継続中です。。。ああ、じれったいぃ~~~!

初エッチ以来、毎日身体を重ねるようになっていた二人ですが、
今度は手のひらを返すように吉鷹が触れてこなくなって…
一体何を考えてるの?というところで下巻へ!

どクズ受けの陥落顔が見たくて

はじめに、こちらは続きものです。
1冊完結ではありませんのでご注意ください。


猫をかぶってパパ活でお金を稼ぐ未来は
ある日、新しいパパとの待ち合わせに向かうと
そこに現れたのは高校時代の陰キャ同級生・沼田でした。

昔と変わらず未来に不気味な熱視線を向けてくる沼田ですが、
未来と専属契約を結びたいと言い出して…。

大きな図体で笑顔が怖くて粘着質で一見キモチワルイけれど、
その根っこは高校時代から未来を信仰…もとい10年もの間
片想いし続けてきた一途で健気な沼田。

その言動やパッと見の表面的なキモさが災いしてわかりにくいけれど、
仕事も出来て部下たちにも好かれて献身的で、
どれだけ未来に蔑ろにされようと折れることのない案外スパダリなんです。

だからこそ、沼田を金づるとしてしか認識せずひどい扱いをし続ける
未来のクズ加減が浮き彫りになり、もどかしさが募ります。

体の方は既に沼田の巨根と絶倫エッチによって落ちつつあるので、
あと無自覚ですが沼田の元カノにも嫉妬しちゃったりしているので、
陥落まであと少し…と期待せずにいられません!
これまで弄ぶ側だった未来が翻弄される姿が今から楽しみです♪

最高の焦らしプレイ

あまあまは前巻に引き続きですが、
今回は焦らしプレイが絶品すぎました…!

はじめの頃は陰キャでオドオドしていた
烏丸のドSキャラにも磨きがかかりまくりでした。
お陰様で南もずーっとトロけっぱなしでした…♥

普段は人見知りだけど南限定で可愛い笑顔を見せ、
恋人にはとびきりあまあまな溺愛彼氏なだけに
ドSスイッチが入った時のギャップの破壊力がすさまじかったです///

今巻では烏丸と同じ人気配信者のKEIが登場していますが、
実は配信者・kouのリアコという当て馬ポジションです。

コラボ配信という体でkouに接近を試みるも、
当の烏丸は南以外は眼中になさ過ぎてちらりとも揺らいでくれません。

それでもなんとか烏丸を振り向かせようと
“kouが自分とキスをした”という嘘で揺さぶりをかけようとするKEIですが、
動揺するどころか烏丸を貶めるような嘘を吐くKEIに怒り狂う南が男前でした。
烏丸への絶対的な信頼ももちろんですが、
いつもは笑みを絶やさない南がこんなにも感情を露わにするのが
烏丸のこと、というのがまた萌えどころなんです♪

最終話では玉砕覚悟で烏丸に想いを告げるKEIですが、
「南が大事だから少しでも嫌な思いさせたくない」と
友人関係すら容赦なくお断りしてしまう烏丸の一途愛に
ぎゅんっときちゃいました♥

所々で二人がエロエロな雰囲気を醸し出すものだから、
なんだか終始エッチな気がしっぱなしでしたが、
振り返ってみるとキスやら前戯までは描かれているものの、
二人が実際に最後まで致していたのは
最終話の締めの極甘エッチの1回きりでした。
南同様にいつの間にか読者も烏丸に焦らされていたようです。
だけど、それだけに最終話の執着全開な濃密エッチは
もうご褒美でしかありませんでした。

完結表記はなかったけれど、まだ続編を期待してもよいのでしょうか?

ピュアに敗北するヤリチン

このヤリチンがピュアに陥落しちゃうのが堪らないんだ…!

28歳独身、恋愛経験なしの会社員の本田は婚活に励むも連敗続きの日々。
ある日、高校の同級生だった宇田川と偶然再会し、
恋愛経験豊富な宇田川からレッスンを受けることに。

どうやったらそんな無垢なままで生きてこれるんだ!?と
思わずにいられない程にどピュアの塊な本田ですが、
ヤリチンな宇田川の好奇心をくすぐってしまったことから
ロックオンされてしまったのでした。

恋愛レッスンという体で密着したり触ったりと
ちょっかいをかけて本田の反応を見て揶揄う宇田川でしたが、
何をしても初々しく、まっすぐに自分を信じて疑わない本田に
逆にドギマギさせられてゆく宇田川にニヤリとしてしまいました。

本田の穢れなき笑顔一つでうずうずしちゃったり、
メッセージの返信ひとつでニヤニヤしちゃったり、
コミュ障改善して女の子にモテだした本田にモヤついちゃったり…
ヤリチンの無自覚な独占欲の芽生えに微笑みが漏れ出てしまいます。

けれど、恋愛経験豊富とは言え、
本気の恋愛においては本田同様に初心者な宇田川。

女の子と宇田川のキスを目撃してしまった本田からレッスンの終了を
告げられると「あっそ、わかった」と冷たい態度を取ってしまいます。
いやいや、あっそじゃねーだろが!!
フることには慣れていても、フラれることには慣れてない宇田川。
本田に距離を置かれたショックと苛つきから敢えて傷つけるような
言葉を投げつけてしまったのでした。

自分で傷つけておいて落ち込む宇田川は自業自得であるとして、
ひどい態度を取られてボロボロと涙を流す本田が可哀想で可哀想でしんどい…。
初登場時のヤリチンぶりからはかけ離れたヘタレぶりを発揮し、
本田にも劣らぬ恋愛童貞っぷりにもだもだが止まりません!

結局、宇田川のことを忘れられない本田の行動によって背中を押され、
本田の元へ駆けつけて想いを告げられた宇田川。
ヤリチンと思いきや、本命相手にはどこまでもヘタレで不器用で、
恋人同士になったらとびきり甘い宇田川の変貌に最後の最後には
キュンとさせられちゃいました。
「宇田川のことずっと好きだよ」とまっすぐに目を見つめて告げる
本田に顔を寄せながらぴったりと抱きしめる場面は愛おしさが溢れていました。

想いが通じると友人への嫉妬も露わにしてあまあま全開な宇田川。
無垢エロな本田に翻弄されて「可愛すぎる」と余裕なさげな表情が最高です♥

ピュアな本田なのでエロは少なめですが、両想い後には初エッチありです。
初めてのセックスと言いながらも宇田川にも気持ちよくなってほしいと
宇田川を必死に受け容れようとする本田が健気かわいすぎました。
翌朝には体中キスマだらけで服を着ても隠し切れない首元がなんとも色っぽい///

激重彼氏に変貌を遂げた宇田川に溺愛される後日談ももう少し見てみたいです♪

塩対応からのデレがぐっとくる

好きなことにも、好きな人にもまっしぐらな二人の
可愛くほっこりな恋模様に癒されました…。
友情から恋になってゆく過程が丁寧に描かれていて読み応えもたっぷりです!

仕事の傍ら趣味で同人活動をしているサラリーマンの嶋は
ある日、参加した同人イベントで大学の同級生・麻宮と再会します。

自分の興味のあること以外は無頓着で友人もいない嶋ですが、
学生時代から嶋の漫画のファンだったと熱く語る麻宮に絆されてゆき…。

ひとりぼっちを極めすぎてはじめは麻宮にも壁を作っていた嶋が
無邪気な麻宮に崩されてゆく過程にニヤニヤしてしまいます。
こういう人ってガードは固めなのに、それまでの反動なのか
いざ心を許すととことん無防備で依存しちゃって可愛くて堪りません!

麻宮と趣味を共有するようになってからは自らイベントでの案内役を
買ってでたり、麻宮の漫画執筆のための世話をせっせと焼いてあげたり、
好きなことになるとやたら行動力発揮しちゃったり、口数爆増して
語りまくっちゃったり、オタクあるあるだなぁ~と♪
趣味にまっしぐらな二人が楽しそうで羨ましくなっちゃうくらい!

前半は二人の再会から同じ趣味を共有する仲になるまで、と
どちらかと友情や同志としての絆を深めてゆく二人。
麻宮が思わせぶりなことを言ってきたり、距離バグだったりするものの、
なかなか恋愛には至りません。

ただ、中盤辺りから一緒にいないときにも麻宮のことを考えていたり、
距離の近さを意識してしまうなど嶋の方にもラブの兆しが見え始めます。

そんな戸惑いを抱えながらも着々とイベント準備を進めてゆく二人ですが、
イベント前日、突然麻宮からキスされてしまう嶋。

麻宮に関しては初っ端から好きを連呼 (漫画作品も含め)していたので、
実は学生の頃から嶋のことが好きだったとかなのかなぁと思っていましたが、
雰囲気に流されてのキスで初めて自覚とか…今までの全部無自覚だったんかよ!

そして、なんとなく予想していたけれど、嶋にとっては初めてのキスでした。
初キスで、しかも相手は男で、麻宮で、舌まで入れられて…
穢れ泣き無垢っ子・嶋の困惑顔が可愛すぎました///

ただ、キスはしたもののその後告白があるわけでもなく、
あのキスはイベント準備完了の“脱稿ハイ”だったと片づけてしまう嶋。
んなわけあるか…!と思っていたら、麻宮からの告白。
「嶋くんのことが愛おしいなって」
「嶋くんが可愛くて仕方がなくて」
この自分の中の嶋への想いを一生懸命探りながらしどろもどろに
なってしまう感じが堪らなくいいんですよね…♡

けれど、結局嶋からの返事は保留で
その後なぜか二人で一緒に実家に帰省することに。

なんとなく嶋って家族とは疎遠そうとか思っていたのですが、
そんなことはなくて嶋の趣味を理解しているようでできていない
絶妙な距離感がリアルで笑ってしまいました。

そして、実家で過ごした一夜でようやく保留になっていた告白の
答えを麻宮に返した嶋。
ただ、このときの嶋の返事の台詞がちょっと曖昧なもので、
その後二人の認識がすれ違い、嶋がかなり恥ずかしいことになってしまいます笑
結果として嶋の頑張りによって二人は結ばれます!

ワンコみたいな顔して麻宮が雄顔しているのもびっくりでしたが、
ウブの塊みたいな嶋が麻宮のために自分で準備していたのも感動!
(嶋曰くBL作品から得た知識とのこと。オタクなので)
こんな初々しい顔してエッチだなぁ…。

描き下ろしでは恋人同士な二人の後日談でした。
麻宮と過ごすようになって他人との交流を広げ始めた嶋ですが、
自分以外に可愛い表情を見せる嶋に嫉妬してしまう麻宮のお話。

電子限定版描き下ろしは6話の二人の初夜直後のお話で
麻宮の意外な絶倫ぶりが判明…!

何度読んでも名作

新刊台で本書を発見したとき、何が起きているのかわかりませんでした。
え?新装版?しかも、「上」ってことは「下」もあるってこと?
え?それって小田島と片岡の物語の続きがもっと読めるってこと?と。
ずっと二人の“その後”をもっと読んでみたいと思っていたので、
続編の報に喜びも一入でした。
秋田書店から出ていた既刊も紙本で持っていたものの、
迷うことなくこちらも紙本で購入してしまいました。

ヤクザの若頭片岡と彼の世話係を務めながら実はその命を狙う
下っ端組員の小田島の切なくも胸が熱くなるロードムービー。

結果から申し上げると、上巻は既刊と同じ内容でした。
巻末の予告からも“その後”の二人のお話を読めるのは次巻以降のようです。

ただ、久々に読み直してみると、このページ数で
中々に濃ゆい内容だったんだな、と改めて思ってしまいました。
一見するとヤクザの仇打ちや内輪揉めを描いただけのお話ですが、
小田島の殺した人間の人数が“二人”なのに対して「父親と母親と姉」と
数が合わないことの真相や片岡が小田島から命を狙われていることを
知りながら傍に置いておく理由など、単純なエピソードの裏に隠れる
残酷さや人情など、細部まで緻密に練られたストーリーは読み応え抜群でした。

そして、登場人物たちの魅力もたっぷりです。
面構えは物騒だし、目つきも悪くて可愛さの欠片もないはずなのに、
実は処女だったり、ひっそり片岡に初めてを捧げていたり、
絶妙に男心を擽るそのピュアギャップにぐっときてしまう小田島。

親を自ら殺し、唯一の“家族”だった相棒を失うという
壮絶にして不幸な人生を送ってきた小田島ですが、
だからこそ献身も健気さも映え、めちゃくちゃに愛おしいんです。
人たらしな片岡と一緒に過ごすうちに身も心も絆され、
最後は片岡を刺客から庇い銃口を向けられながらも
切ない笑みを浮かべる小田島にこちらまで心臓をぶち抜かれてしまいました。

一方、そんな小田島に命を狙われながらも決心を揺らがせた片岡は
女好きでデリカシー皆無ながらも情に厚く老若男女を問わずに
惹きつけてしまうザ・ヤクザな男前でした。
節操なしである反面、小田島の処女を自分が奪ってしまったことを知ると
責任をとって「よし結婚すっか」と恋愛もプロポーズもすっとばして
結婚宣言してしまう場面は彼の漢気を感じさせます。
あまりにも飄々としているものだから結婚なんて冗談なのか、
本気なのかわからない片岡でしたが、自分のために命を投げ出す小田島を
「恋女房」と呼び庇うシーンでは彼なりの本気の愛を感じられました。

ラストでは組を抜けて二人、海辺の町で暮らす片岡と小田島。
それは彼らが当初思い描いていた幸せの形とは異なるかもしれませんが、
読者にとってはまぎれもなくハッピーエンドでした。

そして、下巻はそのハピエンのさらにその先を描かれるとのこと。
一体どんなお話になるのか、今から楽しみで仕方ありません。
正座待機でお待ちしております。